fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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2023年10句

2024年01月07日 | 俳句
           

 2023年「童子」に発表した俳句から、10句選びました。
 背景とかあると、よく見えますね。

 俳句を始めたのが、1993年でした。丸30年経ったわけです。
 毎月投句締め切り直前 にやっと作っている状態です。
 吟行したいです。じゃあ、行けばいいと思うでしょう。これ、メンバーが大事なんです。
 山歩きと同様、若くて元気があるとき、やっておいてよかった。
 今毎月5句作って所属結社に投句するだけ。その結社で毎月一つの通信句会の幹事。児童文学仲間かわせみ句会を主宰、桜花会の指導。と書けば、まあまあがんばってるかな。
 来月行われる児童文学の座談会(2023年を振り返る的な)では、今回詩歌も取り上げるということで、俳句担当で出ます(そのための本読み、結構大変)。
 今年は、俳句絵本も2冊出版予定(春夏秋冬4冊シリーズの春夏)。来年もそれとは別に1冊出ます。現在画家さんががんばって絵を描いてくださってるはず。俳句は夏炉冬扇。つまり役にはたたないものと芭蕉は言ってますが、私の場合、役に立ってる。ありがたいです。

それにしても、北陸の避難所の様子が、東日本大震災から進歩してなくて、愕然とします。
 大阪万博はやめて、復興にお金を回してはという意見にうなずいてしまいますが、対外的(海外)には、違約金的なのが発生するのでしょうか。万博を開催するという時点で、過去の成功しか頭になかった。今はもうそんな時代じゃないと、頭を切り換えられなかったのだと思います。
 
 本の世界も変わってきています。アップデートが必要。
 

かわせみ句会 2023/3

2023年03月07日 | 俳句
 児童文学の人達とやっているかわせみ句会の記録です。

 山に住み婆となりしや雛出す     穂波
 残日を惜しむ山の端山桜       結
 鬼やらい独り居の声ほそぼそと    ろく
 氷瀑や体の芯をたしかめる      ふくね
 肩越しに咲き乱れけり波の花     あこ
 初蝶で占おうかな君のこと       こはく
 猫の背に宇宙を見しと卒業子     真理
 舌にのる味噌の甘みと桜鯛      不埒
 剪定をされし木ぐるり母眠る     あぶみ
臓(はらわた)のごと羽毛布団の穴押さえ   朋
 春光や本棚ひとつ組みて寝る     耕実


 おめでたい報告に盛り上がりました! 
私、結構容赦なく、指導させていただいています。いいなと思った句は、しっかり褒めます。
 この句会では、忖度しません。(他ではする? どうだろ・・なるべくしたくはないですね)
 むむむっと思っている方もいらっしゃるかもしれません。でも楽しかったと言っていただけると、励みになります。今なかなかお会いできないので、ZOOMですが、お会いできるのも嬉しいですしね。

           

 鳥の巣に鳥がはいっていくところ   爽波

剪定~種浸など

2023年02月26日 | 俳句
 

歩いていたら、公園の横の木が剪定されていました。
 剪定・・春の季語です。
 同じように枝を伐っても、季節によって、春は剪定、夏は「枝払い」。枝を払って風通しをよくするのです。秋は「庭手入れ」「松手入れ」など。冬は「枝打ち」になります。枝打ちは、庭仕事ではなく、林業の言葉。

 春は、種を蒔く、○○の種を蒔く、種袋。
 農業では、種浸(たねひたし)、種池 など。種浸とかは、農業をしている人じゃないと、なかなか実感はないかも。私は、義父が生きてたころ、軒下の甕に袋に入れて種を浸してたのを見て、これが種浸かあと思ったものでした。でも、発芽しやすいように、シャーレに種を浸すってことは、するか。
 耕す も春の季語。

 2m×3m耕せり   あぶみ(句集『だだすこ』)

 創作も書きっぱなしではなく、剪定が大事ですね。

涅槃会

2023年02月15日 | 俳句
 陰暦2月15日は、お釈迦様が亡くなられた日です。陰暦なので、実際には一ヶ月ほどずれているのですが、お寺さんでは、きょう涅槃会の法要をするところが多いようです。
 そして、だいたいこの時期、涅槃図が公開されます。
 ということを思いだして行ってきました。日野市駅前の宝泉寺です。

       

 本堂の廊下に、庭に面して出してらっしゃいます。ガラス越しに拝見。
 立派なものです。江戸時代のものですが、重信という作者のことはよくわからないそうです。

         

         

          

 弟子、動物達が嘆き悲しんでいます。
 
 涅槃会、涅槃図、涅槃寺、涅槃雪、涅槃西風。全部季語です。涅槃団子というのもあるそう。お寺さんによっては、団子を振る舞うのだそうです。
 芝の増上寺の大きな涅槃図、有名です。大分前ですが、俳句仲間と行ったことがあります。俳句やってると、そういうところに行こうという気持ちになる。

 このお寺は、新撰組の井上源三郎のお墓もあります。

         これは、碑。

        

 お墓は写真に撮るのは不謹慎なので、ここまで。

 調布駅近くのお寺さんには、涅槃像がありましたっけ。

       

2022年自選10句

2023年01月02日 | 俳句
        

 こんなアプリがあるのを見つけ、やってみました。
 楽しい。

 鰐 ワニ
 薄氷  うすらい(うすらひ)
 蜷 ニナ  
 雁来月 かりくづき  雁が渡ってくる月。陰暦8月 秋の季語
 芋茎  ずいき  
 極月 ごくげつ  12月です。

 俳句は、昨年かわせみ句会を3ヶ月に1度はやることに決めました。
 結社誌に毎月投稿し、結社の方に読んでいただくことを、30年近くやってますが、ネットがこれだけ広まった今、こうして発表するのもありだなと感じています。
 かわせみ句会も、もっと私に時間があれば、毎月の句を、掲載するブログを作ればいいのですが・・。
 ブログならできるかなあ。あー、どうだろう。みちのく童話賞が今年は忙しいから、そういうのが一段落してからかな。
 紙の同人誌ではなく発信するのはありかなと感じています。

句会のやり方で考えたこと

2022年12月05日 | 俳句
 先日、久し振りの対面句会がありました。
 コロナになってからは、もっぱら通信句会をしています。それは事前に係りに自分の句を送り、作者のわからないようにランダムに一覧になったものを送ってもらい、そこから好きな句を選ぶというもの。メールの場合もあれば、夏雲システムを使う場合もあります。
 とても便利で、これまで対面でやっていた、1 短冊に自分の句を書く→2 それをばらばらにして、清記用紙に書く → 3 それを回して選句する ここまでが省略できます。

 今回アナログな従来のやり方をしながら、これはいつか消える方法かもしれないと思いました。
 小説を原稿用紙にペンで書いていた時代から、ワープロ、パソコンで書くようになったとき、原稿用紙に書いた作品のほうが味がある、なんていう人がいたものです。今でも手書きの作家さんはいらっしゃるけどごく少数。パソコンで書いて、メール添付で送るができないとプロとしてやっていくのは困難です。
 そんな風に、句会も変わっていくのかも、と思いました。

 ただ、清記用紙に他の方の句を手書きする。自分の句を他の人の筆跡で書かれたものが回ってくる。これ、捨てがたいんですよね。
 1~3の作業をするとき、かなり真剣で、集中します。この時間、悪くないんですよ。家でのんびり送られてきた句を見るのと違う緊迫感があるように思います。

 時間は随分違ってきます。夜の句会などは、1~3が省略できたら、翌日に疲れが残らないかもしれません。

麦の芽

かわせみ句会&桜花会~合同句会in殿ヶ谷戸庭園

2022年12月04日 | 俳句
 二つの会が合同で句会をしました。


  句会場の紅葉亭から外を見た景色。

      

      
 総勢16人。児童文学作家と作家を目指している人達。大ベテランもいれば、勉強中の人もいれば。濃いメンバーでした。
 仙台から佐々木ひとみさん(俳号ろくさん)、イタリアから帰国中の佐藤まどかさん(俳号伊乃国往来さん)も参加。会場は国分寺にある殿ヶ谷戸庭園内紅葉亭です。
 まさに紅葉かつ散る(秋の季語ですが・・)中、菰巻、藪巻、雪吊りもあり。
      
 きれいでした。句もよかったですよ。初デートの句には、いろいろつっこみが入り、それもまた楽しい。

          

 メンバーの一人、朋さんは「おーいお茶」佳作をとり、ペットボトルに載りました! おめでとうございます!! 

桜花会五十回記念句集『酒と桜と五七五』

2022年11月29日 | 俳句


 11人のメンバーが、月一度集まって句会をして、おいしいものを食べ、お酒を飲み、ああだこうだと言い合う。
 ただ集まって、近況を話したりするより、ずーっと楽しいです。
 
 この桜花会の句稿を毎月お送りいただき、十句に選、そして添削をさせていただいています。
 おお、この句、好き! こうやったら、もっとよくなるのに~。という具合です。
そして、このたび、合同句集ができました。全て手作りです! すごい。手作りでこんなすごいのができるんだ。

 メンバーは、現役の児童文学作家、元編集者、現役のフリー編集者、画家、落語家など、豪華な顔ぶれ。
 言葉のプロの集まりです。
  
 句集を作るにあたっても、こんな素敵なものができるのだから、さすがです。

 羊水の記憶浮き輪の輪の中に   昌扇
 夜桜やひと駅前で降りちやつた  圓太郎
 冷まじやスマホみる顔みな写楽  風馬
 さみだるる今日やることを明日もやり  踊波
 繋がれしボートの腹に春の波   楽々
 秋の蚊めぶん回す手にしがみつき  茜紫
 黒南風やまだ新しき土饅頭    青蛙
 デイゴより金魚降りくる散歩かな  果深
 ひだまりのごとき一個のみかんかな  葵
 電話から聞こえてきたる春の雨  優
 熱帯魚ひらり待合室の隅    耕実

鶏頭の十四五本もありぬべし(正岡子規)

2022年09月20日 | 俳句
          
 
 うちの周りでは、あまり鶏頭を見なくなりました。これは岩手の家のおとなり。
 
 見るたびに、
 鶏頭の十四五本もありぬべし という句が頭に浮かびます。
 
 なんと単純、シンプル。
 ありぬべし は、あることだなあ という感じでしょうか。いや、適当なことを書くわけにはいきませんね。調べました。
 あるに違いない という意味だそうです。

 子規32歳の時の句で、すでに病に伏せっています。庭に鶏頭が咲いているだろうというのはわかるけど、実際に庭に降りて見ることはできない。なので、もう十四五本は咲いているだろ、いるにちがいない と詠んだわけです。ちらっとは見えたかもしれませんね。

 生きることへの思いが強調されていると書かれているものを読みましたが、私はそこまで読む必要はないのでは? と思います。そこは読み手の自由。

 では、こういう句を、元気でぴんぴんしている私が詠んだとしたら? やっぱり、子規の背景があってこその句だなと思います。俳句も、他の文芸も、私は作者の人生とは切り離して、そのもので鑑賞したいという気持ちがあるんですが、作者の人生が壮絶な場合、創作物がまた違った意味合いを帯びてくることは否めません。私みたいに平凡な人間は、作品だけで勝負しないと・・ですが。

梅雨寒あるいは、喜雨休み

2022年06月16日 | 俳句
 昨日は、寒くて「梅雨寒」だなあと思いました。
 この時期に梅雨で俳句を作ると平凡。ちょっと前なら、田植寒といえばいいけど。
 農家の方が、雨で農作業を休むのを、喜雨休みとも言います。

 仏壇のちらし眺むや喜雨休   あぶみ 

 最近、ちらしといわず、プライヤーとか、他にもなんだっけ? 別の言い方しますよね。でも昨日ドラマでは「ちらし」といってました。

 7月8月、一気にいろいろ予定が入ってきました。あっちに行ったりこっちに来たり・・。疲れてダウンしないようにしないと。あ、9月以降もだな・・。うっかりミスしないように、気をつけましょう。ひとつひとつ。

 立葵

代表句って、なんだろう。幸せって、なんだろう

2022年06月05日 | 俳句
 自分の代表句って、何かなあ。
 
 先日、ふと

 幸せつてなんだつたつけ文化祭   あぶみ  という俳句を思い出しました。(句集『だだすこ』)

 これは、国立の一橋大学構内を吟行したときの句。ちょうど文化祭前で、立て看板に「幸せって、なんだ?」的なことが書かれてたんですよね。
 ほんと、幸せって、なんでしょう。人それぞれですよね。
 そして、禍福はあざなえる縄のごとし とも思うし。

 私もいろいろあったけど(あったんですよ)、今はかなり幸せかな。
 これ、代表句って言えるかなあ。

     山桜桃

俳句講座④ きれいげな句を作るのではなく、暮らしを読む。~麦

2022年06月03日 | 俳句
        

 句会に、麦の秋や、麦の雨で俳句が出て、そうだった。麦の季節だ。と思い出し、市内の麦を見にいってきました。
 広い麦畑は、すでに刈り取られていて、別に少しばかり残っていたのが、これです。
 金色に光るあの麦畑、見逃してしまいました。

 麦秋 きれいな言葉。夏、暑くなり出した今頃、麦は金色になり、刈り入れ時に。
 麦刈る 麦車 麦わら帽子 みんな夏の季語です。
 
 そして冬には、麦踏み。
 きれいげな風やら、光やらを詠むのではなく、人間が生きているというそのものを、暮らしを詠みたい。
 きれいげな俳句を作っているうちは、まだまだです(最初はどうしても、そうなっちゃうんですが)。
 森羅万象、花鳥風月、その一端に人間の暮らしがあります。
 
 ところで、ウクライナやロシアからの輸入がなくなり、小麦粉が高くなっているとか? なるとか? 麦は放っておいても、育つもののようです。だったら、日本でもっと麦を作ったら? と思いました。でも麦はとても安いため、農家は作らないらしいです。米もそうなんだけど、まだ米は補助金制度があるから、なんとかなっている・・? そのあたり、詳しくないのですが、麦にも補助金制度はあるらしいけど、米のほうが高い、そういうことのようです。*間違っていたら、ごめんなさい。どなたか教えてください。 ・・この文章、「ようです」「らしい」ばっかり笑。

 

螢袋~俳句講座②

2022年06月01日 | 俳句
          
 
 6文字の季語は案外作るのが難しい。
 
 六月や  のように、上5に置くことができず、かといって下5にも持ってこられない。
 
 明るさは螢袋の中にこそ 辻桃子
 逢ひたくて螢袋に灯をともす  岩淵喜代子(『角川大俳句歳時記』より)

 とっちも、中7に入れて助詞をつけている。

 螢袋その日を無為にすごしては  あぶみ (今作りました)のように字余りにして、上5に持ってくるか。

 この花の中に螢を入れて遊んだのが名の由来というけれど、そういう遊びしたことある人いるかな。
 蚊帳の中で放したことはあるけど、今は昔・・って感じですね。
 ネギの中に入れるというのも、聞いたことがあります。
 

ひっそりと~いきなり俳句講座①

2022年05月31日 | 俳句


 ひっそりと咲いております柿の花   

 575で季語は入ってるので、これ、一応俳句です。俳句の第一歩。
 
 では、第2歩は? 花 は咲くものなので、咲いております の中7は、蛇足。
 柿の花を知ってる方にとっては、柿の花はひっそり咲いているのも、「そういうもの」。なので、上5の「ひっそりと」も蛇足。

 柿の花しか残りません。つまり「柿の花」だけで、新緑の季節、ひっそり目立たず咲いていることが表現されているわけです。俳句は17音しかありませんから、余計なことは言わない。

 ではでは?
 取り合わせという技法を使う。

 石踏んで石ぐらぐらや柿の花  石田勝彦(『角川大俳句歳時記』より)
 神経科皮膚科胃腸科柿の花   あぶみ  (今作りました) いろんな医院が入っているビル、でも柿の木があるとなったら、駅前とかではなさそう。みたいな景色、見えるでしょうか。
 目立たない柿の花、そこを取り巻く柿若葉を目に浮かべながら、ぐらぐらの石を踏む感覚、医院の様子を想像し、感じてもらう。取り合わせることで、景色に広がりがでるのです。

 なぜか、いきなり俳句講座のような・・・。そこで、タイトルを「俳句講座」にしてみました。①があるなら②もある? ブログネタが切れたら、かもです。
 本日、かわせみ句会、締め切りです。句会の方、間に合わないかもですが、取り合わせに挑戦もしてみてください。

大久保りん句集『薔薇一輪』より(1)

2022年03月13日 | 俳句
 余生とて青野に風の吹いてをり
 鬼灯やさだかな記憶唇に
 あめんぼのけんくわ見てをり商学部 (一橋大学にて)
 木下闇その濃き方はさけて行く
 万歳をせし日もありし敗戦日
 暖房車このほのめきは恋に似て 
 足指の鶏のやうなる更衣
 夢なのだゆたんぽ足で引きよせて

 
 107才の天寿を全うされたとのこと。謹んでお悔やみを申し上げます。
「童子」主宰辻桃子のご母堂様。この方が俳句をやっていて、先生が家に来られて句会をするとき、人数が足らず、娘を座らせたことが、今につながっています。
 90代から100才にかけて作られた句が載っている、この句集。天晴れです。
 本日は、前半分から、抜粋しました。

 陽炎のそのゆらめきの凜として  あぶみ
 
      

 東日本大震災で、陸前高田市の流された松で作った数珠。