fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『みちのく山のゆなな』(国土社)『ファミリーマップ』、エンタメシリーズ『家守神』1~4巻、『おはようの声』幼年童話『ヘビくんブランコくん』『オンチの葉っぱららららら♪』、短編集『友だちの木』・歴史物語『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』他、好評発売中です。原稿・講演など各種ご依頼は、左側のメッセージからお願いいたします。    

『ピアノようせいレミーとメロディのまほう』しめのゆき作・とこゆ絵(ポプラ社)

2024年07月15日 | 本の紹介
         

 大人気シリーズになりました
 『ピアノようせいレミーとリズムのまほう』に続く第2弾です。
 先日は、リズムのまほうを、tbcラジオでご紹介させていただきました。
 
 続編が出ることは知っていたので、前作の主人公ソラとレミーの物語が続くのか、それとも別の子が出るのか、どっちかなあと思っていました。さあ、どっちでしょうか。ぜひ読んでください。
 今回は、主人公のほか、天才バイオリニストのちょっと年上の子も出てきます。
 あ、主人公を教えないと、内容も書けないなあ。
 でも、ピアノ練習で悩んでいた子とピアノようせいレミーのやりとりで、ピアノの楽しさを感じていくという流れはばっちり。しかも、それはピアノだけじゃなく、私達大人の生き方にも通じることなんです。これが、このシリーズのいいところ。

 奥付についているQRコードをスマホで読み取ると、ポプラ社のサイトに飛び、編集者さんが、物語に出てくる曲を弾いている動画を見ることができるんです。
 これ、今の子にとっては、とっても嬉しいと思います。動画にレミー達も現れて、楽しい雰囲気。自分も弾きたい! と思うはす。
 ピアノ、挫折しないでがんばれたらよかったなあ。子どものころの私に、この本を読ませたかった。(1巻のときも、思いました)
 

『湖を出る川』如月真菜(文學の森)

2024年07月08日 | 本の紹介
         

 「童子」副主宰、如月真菜のエッセイ集が出ました。
 湖は琵琶湖。
 近江を愛した俳人松尾芭蕉の墓は、大津市膳所の義仲寺にあります。
 大阪で死んだ芭蕉は、死んだらここにと門人に伝えていたとのこと。
 真菜さんは、この近くに何年も住み、芭蕉が歩いた道を歩いて、このエッセイを書きました。住んでというところが大事。書くためにその地を旅するのと、大きな違いがあるからです。
 日々のちょっとした感覚が、芭蕉の時代と呼応することがあったのではと思います。

 さて、大津、膳所といえば・・。
 『成瀬は天下を取りに行く』『成瀬は信じた道を行く』の成瀬シリーズの舞台です。(このシリーズ、おもしろい!)
 漫才コンビをすることになった成瀬は、そのコンビ名を「ゼゼカラ」とします。膳所から来たから・・。絶妙なネーミング。
 一度だけ、『わくわく子ども俳句スクール』2巻を作るため、真菜さんとそのお子さん達と、子ども吟行句会をしました。そのとき訪れたのが、この膳所だったんです! 琵琶湖から歩いて、旧東海道に出たところが義仲寺でした。その一室で句会をしたことを、たくさんの写真も入れて出しています。子ども達、今はすっかり大きくなってるはず。
 京都にも近く、紫式部が「源氏物語」の着想を得たという石山寺も、エッセイには出てきます。

 『成瀬~』、3作目は俳句でいくのはどうでしょうか? 盛り上がると思うけどなあ。

『エイ・エイ・オー! ぼくが足軽だった夏』佐々木ひとみ作・浮雲宇一絵(新日本出版社)

2024年07月04日 | 本の紹介
           

 仙台在住で、地元に根ざした物語を書き続けてらっしゃる佐々木ひとみさんの新刊です。
 『兄ちゃんは戦国武将』(くもん出版)の続編にあたる物語で、仙台城を拠点に、伊達政宗公とその側近の皆さんとして、城跡やいろいろな場で演舞を披露し、愛されている伊達武将隊の皆様をモデルにした方達、そして伊達政宗公から託された藤の花をひきついでいる家に生まれた直太のひと夏の物語。足軽として、武将隊に加わった直太の「一生懸命」な物語です。

ひとみさんは、政宗公のご子孫のお作法教室に通ったり、登城したり、と半端ではなく、調べ、感じ、また調べ、歩き、涙を流して全身で仙台を感じてらっしゃる方。
 その熱い気持ちに、伊達武将隊の皆様もすっかり仲間として「ひとみ殿」と呼んでらっしゃるほど。うらやましいです。
「エイ・エイ・オー」という勝鬨の声。私も一緒に拳を振り上げ、叫びたいです。
 Xでは、武将隊の政宗公と佐々木ひとみさんが一緒に登場する動画もありますよ。探してみてください。政宗公、かっこいいです。直太も、かっこいいです。
 ひとみさんの熱さには、作家としてあるべき姿を見せられているようで、心打たれます。
 
 エイ・エイ・オー! 


『つきのよるはさわがしい』おのかつこ さく・え(国土社)

2024年06月23日 | 本の紹介
      

 おのかつこさん、『ふかふか』に続く、2冊目の絵本が出ました。
 2冊目を出すのは、ひとつのハードルです。おめでとうございます!

 さびしがりのふくろうが出会ったのは、飛べないコウモリ。
 それぞれが、月を友だちだと思っています。
 
 さびしい話? でも「さわがしい」んです。そこがいい。
 フクロウ、コウモリ、オオカミ。好きな生き物達が勢ぞろい。
 最初、? と思ったことがありましたが、後半で納得。意外な展開でした。
 ぜひ、お読みください。

 おのさんの銅版画は、黒がきれい。夜空がきれいです。
 夜になると、夜空はまだ明るくて、木々が真っ黒になるんですよね。そこ、見事に描いてらっしゃいます。

『この街で夢をかなえる』堀米薫(くもん出版)

2024年05月20日 | 本の紹介
  

 青森県弘前市から始まった、地域再生物語。&地方アイドル物語。
 りんご娘という青森のアイドルグループは聞いたことがあったし、王林ちゃんはテレビでよく見てました。
 でもそのバックに、こんな胸熱な物語があったとは知りませんでした。
 
 弘前アクターズスクールは、なんと月謝もいただかずに、少女たちを育成したのですよ。
 樋川さんという方は、東京で働いていたこともあったけど青森にもどり、父親の自動車会社を継ぎました。でも、地元を元気にしたい一心で、このプロジェクトを立ち上げたのです。
 今だから王林ちゃんが出たところ! となるけど、最初はどんなに大変だったか。そのあたりも書いてます。
 消滅の危機もありました。
  
 歌を聞きたくなりました。
 ダンスパフォーマンス、見たいです。
 映画かドラマになってほしい~。

『ペット探偵事件ノート』赤羽じゅんこ作・中田いくみ絵(講談社)

2024年05月19日 | 本の紹介
          

 赤羽じゅんこさんの新刊です。すごいペースで新刊を出されてますが、今回はペット探偵。
 そうきたか! と思いました。
 犬や猫を飼っている人は多いです。
 ペットも切り口がたくさんあるけど、ペット探偵は書かれてなかった。
 他の人が書いてない題材を探し出す。ここ、とても大事。
 読むと、しっかり取材して書いているのが、わかります。しかも、小学生の気持ちに寄り添っている。
 子ども達は、一緒に推理しながら読むのではないでしょうか。そして、そういうことだったのかと思うでしょう。

 中田いくみさんのイラストも、かわいくて、ハイセンス。私もいつか、イラストを描いていただきたい。
  
 私はこれでも、猫派なので、読んでいるうちに、あ~猫飼いたいなあとなってました。
 岩手や秋田へ行くことが多いので、難しそう。孫の一人は猫の毛のアレルギーもあるっぽいし。夫はあまり好きじゃないみたいだし。
 子どものころは、常に家に猫がいたのですが、その猫たちのことも思いだしました。

『魔女やしきのサーカス』ふろむ編(国土社)~きょうは児文芸の集まり

2024年05月17日 | 本の紹介
            

 児童文学の同人誌はたくさんあり、その多くが同人誌の雑誌を発行しています。
 ふろむの皆さんの場合、定期的な雑誌ではなく、このようなアンソロジーとして発売になるというのが特徴。なんと3冊目です。
 みちのく童話会の田沢五月さん、ちばるりこさんもメンバーです。

「黒いリフト」 ちばるりこ 怖い話です。リフトって、それでも、宙ぶらりんで運ばれて、風が吹くと揺れるし、乗り降りには緊張するし、怖いです。それが一つだけ黒い座席のが回ってきたら・・・。
 そして急にリフトの速度が速くなったら・・・。怖すぎます。
 気を失って、気づいたときには親切な女の人に助けられていました。が・・。
 順を追って怖くなっていく、段階がさすがです。

「真夜中のコンサート」 田沢五月 は、逆に最初は幽霊? 怖い話? と思っていたら、そうじゃなかったという展開。
 トラツムギという鳥の鳴き声がキーポイントです。
 主人公が最後に将来の夢を語るところが、私は大好き。
 トラツムギの声、ネットでは聴くことができましたが、実際に確かめたいです。

 かわのむつみさんとは、いろいろな会でご一緒になってます。なんと表紙のイラストがかわのさん。そして本のタイトルになっている「魔女やしきのサーカス」がかわのさんの作品でした。子ども達、絶対好き。私は今でも、古い洋館があると、入ってみたいなあと思ってしまうたちです。

「落合くん」 加藤りょうこ
「ゾンビがきたぞ」 鳥野美知子  もよかった。
 もちろん、他もいろいろで、楽しい1冊です。

きょうは、所属している日本児童文芸家協会の集まりがあります。
 本当は総会から出たらいいのでしょうが、夜までずっとだときついので、年間賞の贈呈式と懇親会に出席。すでに何人かの方と、「お会いできますね」と連絡しています。楽しみ。
 本当は来週がもうひとつの団体日本文学者協会なのですが、今年は秋田の関係と重なり出ることができません。

 本日お会いできる皆様、よろしくお願いいたします。
 

『すきまの むこうがわ』巣山ひろみ作/三上唯絵(国土社)

2024年04月27日 | 本の紹介
        

 パステルショートストーリーシリーズ、最新刊、Deep Red『すきまの むこうがわ』が発売になりました。

 上質なファンタジーの短編集です。
日常に潜んでいる亀裂。その向こうに足を踏み入れたとき・・。

 紅
 筆師のはなし
 虫送りの夜
 月夜のお酒
 椿 
 ロボットの夜
 龍の衣

 どれもよかったですが、木好きな私は「龍の衣」にかなり参りました。
 虫送りも、今ではあまりやられなくなっている行事。私は『オオカミのお札』シリーズ2巻「正次が見た影」で虫送りを書くため、青森の虫送りを見学しました(そこは、人形祭りとしてましたが)。すっごく惹かれる。だって、農薬とかなかった時代、田んぼの稲を食べる虫を人形といっしょに火をつけて川から流すんですよ。それは厄災を村から追い出すということでもあるわけで。好きな世界。
 巣山さんの作品、他にも読みたくなりました。

 パステルショートストーリーシリーズは、休み時間にさくっと読み切れるシリーズとして、私も、yellow green『友だちの木』を書いています。
 ぜひ、シリーズで学校図書館、公共図書館でそろえていただきたい。

          このほか、数冊出ています。
 
     

石川妙句集『吉備の野』文學の森社

2024年03月26日 | 本の紹介
  写真、ヘタですみません。

「童子」でご一緒の石川妙さんの句集をご恵贈いただきました。
 岡山在住で、「童子」誌上では何度も巻頭や主宰の珠玉に選ばれてらしてらっしゃる方です。私が幹事をしている多摩センター句会にも、東京の息子さんのお宅にいらしたときに、ご参加くださいました。静かに、でも強く俳句と向き合っていらっしゃる印象の方。

 犬ほめて夫ほめられて五月くる   

 犬と夫という文字が似てることが、なんとも滑稽です。そう、俳句はもともと俳諧といって、滑稽なことをよしとする文学なのです。そこは抒情性の強い短歌との大きな違いです。かといって、これは川柳でもない(この川柳との違いは難しいところ)。

 漢方のにごるスープや抱卵期
 雪の朝帰つたはずの人がゐて
 生家との行き来とだえて枝払ふ
 ちよつとづつ傷ある雛飾りけり


 生まれ育ちは名古屋で、ご結婚で岡山にいらしたという妙さん。生家との行き来とだえて~の句では、私もそうなるのだろうなとせつないというか、それが人生なんだなと思わされました。

 うぐいす色のカバーに金押しの文様がなんとも上品な装丁です。
 

奥山恵歌集『窓辺のふくろう』(コールサック社)

2024年03月14日 | 本の紹介
 

2017年刊行の歌集です。作者の奥山恵さんは、柏市にあるハックルベリーという児童書専門店の店主。そして、雑誌「日本児童文学」の編集長です。
 奥山さんが編集長になられてから、「日本児童文学」では詩歌にも光を当ててくださいました。これまでは少年詩集が巻頭に載るだけだったのですが、短歌と俳句も載るようになったのです。
 私にもお声がかかり、俳句を掲載していただきましたし、俳句特集(先日ご紹介した「イリーナ」)では短編を書かせていただき、また今年5、6月号での座談会にも出ています。
 そのご縁で歌集を頂戴しました。
 すぐにご紹介できないくらい、読んだ後、いろんな思いがこみ上げてきました。
 
〈家庭訪問〉むだに終わりて水銀の流れのような川を渡りぬ

 かつて、高校の先生をされていたときの短歌です。
 
 生きているふりをする人形死にたくてたまらぬ人間すれちがう橋
〈その夜〉も向こうの橋には満員の列車響いて往き過ぎたろう
 ロッカーに残されし分厚きバインダーと生理用品 いのちがあった
 この川はどっちに流れているんだろう簡単なことも澱む東京
 斎条の階段の陰にひそみいて生にも死にもはじかれし記憶
 傷ついた若さを容れる容れものが腐ってゆくか腐ってゆくよ
 
 東京の川に伴走されながら眠れない夜を走る人あり


 他にも海外で詠まれたもの、書店を開いてからのもの、ふくろうのふーちゃんのこと、たくさん好きな短歌がありました。

 今は明日には過去になる。その川の流れのような時をとどめようと、目を凝らしているのが伝わってきました。
 私も、短歌を作っていた時期がありました。俳句は17音。短歌は31文字(みそひともじ)。この差は大きい。
 その差は、重い。
 この歌集を読んで、実は短歌を作りたくなり、作りました。が、ここで数首作るだけではだめなのです。
 ファミレスで作った短歌、あれ、どこにやったかな。

『ぼくのなかみはなにでできてるのか』かさいまり作・おとないちあき絵(金の星社)

2024年02月25日 | 本の紹介
        

 気になるタイトルです。
 読んでみると・・
 主人公神田はるとは、弱気な性格のまま4年生になっている。
 クラスメイトのやすくんも、似ている。
 そんな二人をめぐる学校生活の日常で、はるとはいろいろ考える。
 いろんな気持ちが混ざりあったりする。

 家では、いろんなものを分解するのが好きだったけど、最近はあきてきた。
 かわりに、ぼくの中身がどうなっているのか知りたくなっている。
 骨や肉はすぐわかる。でも見えないもの。おこったり、さびしかったり、くやしかったり。

 発表会、やすくんの転校。そんなできごとがあり、その都度、いろいろ考える。
 きっと読者もいっしょに感じたり、考えたりできる。そんな本だった。

『ぼくの町の妖怪』野泉マヤ作・TAKA絵(国土社)

2024年02月23日 | 本の紹介
         

 パステルショートストーリーシリーズ、新刊。ライトブラウンです。
 みちのく童話会メンバーの野泉マヤ作。私が妖怪作家と呼んでいる方です。さすが。
 このシリーズには、私も書いてますが、短編の登場人物が同じというのは、初めてだと思います。
 小さいころから、妖怪の話をよく聞いていた少年、柳邦彦が、井上円という妖怪を調べている先生と、妖怪調査に出かけます。
 第一話  夜泣き石
 第二話 天狗
 第三話 ろくろ首
 第四話 矢食らい山
 第五話 目目連(もくもくれん)
 第六話 河童

 おなじみの妖怪もいれば、へえ、こんなのもいるんだというラインナップ。
 川を渡る橋が、異世界との境界になっているというの、うなずけます~。

 パステルショートストーリシリーズ、今年はもう1冊出るみたい。そして、来年も出るみたいです。
 全部揃ったら、きれいだろうなあ。
 
 私のイエローグリーン『友だちの木』、そして他の皆さんのも、併せてぜひ、お読みください。

        
      
 これは、最初2冊発売になったときのチラシですね。画像を探していたら出てきたので。
 先日、国分寺の紀伊國屋書店で、ずらりとシリーズが棚にあり、感激しました。
 よろしくお願いいたします。

『シロガラス』シリーズ(佐藤多佳子作)偕成社

2024年02月18日 | 本の紹介
      

 これまで5巻出ています。その5巻目が出たのが、2018年。6年前です。
 これ、これからどうなるの? どう落とすの? というところだったんです。ところがその後、出ない出ない。情報もまったくでない。もう途中で終わったままなのかと思っていました。正直言って、このあとの展開が書けなくなったのかなと(失礼)。
 ところが、最近Xで情報が出たんです。近々6巻、そして7、8と出るらしいです。こういうの、ありなんだ! 佐藤多佳子さんだからだろうな。
 
 1~5巻、読み返しましたよ。おもしろいっ。好きすぎる。
 和のファンタジー、そしてSF。このSFの部分、私4,5巻あたりで、え? こっち? と思ってたんです。でも読み返すと、ちゃんと1巻からそのフラグがあるじゃないですか。
 神社のこと、剣術のこと、神楽のこと、雅楽のこと、半端じゃなくちゃんと調べて書かれているのがわかります。
 そして6人もの小学生達、みんな魅力的。主人公の千里(せんり)もだけど、他の5人も、みんな個性的です。いい!
 どの子も好き。他にも千里の祖父や叔父達。いいです。
 千里、気がつよいし、武道もばっちりだし。でもちょっと短絡的。
 いつも張り合っている礼生は、口が悪くて、え、今ならこんなこと言わせたら、編集者に赤で消されるよというような口調。でも、それがいいんだけどな。4巻、6人での神楽の場面、最高。
 あ~、楽しみです。1~5巻、図書館から借りてるんですが、買おうかなあ。今でも本棚に全く余裕がない。電子書籍があったら、買うんだけど、ないみたいだし。

       

 すみません。この数年で書いた、私の『家守神』シリーズも、和のファンタジーです(SFではないけど)。同じ判型の本のシリーズってことに気づいて、地味に喜んでいます。絶対影響受けてるよ。はい。付箋があるのは、5巻を書くために、影響がある部分です。

 あ~、荻原規子さんの『レッドデータガール』も読み返したくなった。あれも神社の娘が主人公。そういうの、好きだ! 

『「くうき」が僕らを呑みこむ前に』山田健太・たまむらさちこ(理論社)

2024年02月17日 | 本の紹介
       

 副題が「脱サイレント・マジョリティー」。
 この本は、先日の座談会で取り上げられた一冊でした。私はぜんぜん知らなくて、事前に図書館で借りて読んでから座談会に臨みました。
 冒頭、少年のような兵士が死を目前に横たわっています。
 「まさか こんなふうに 死ぬなんて」 という吹き出し。ページをめくると、
 この兵士は、君の未来かもしれない。とあります。
 「まさか」でも、この兵士だって「まさか、自分が」と思っていたはず。
 でも、この未来は、まだ未来。変えられるかもしれない。

 こんなことが、少ない文字数で、簡略化されたカットや四コマ漫画でわかりやすく描かれています。
 多数決について、サイレントマジョリティーについて。
 
 SNSやこのブログでは、あまりネガティブなこと、政治的なことは発信しないように心がけています。
 でも、ぐちを言いたくなって書くこともあれば、政治家にがまんができなくて、書くこともあります。
 書きすぎると炎上? が怖い。反論も怖い。ダメだなあ。
 
 あの兵士が、息子だったら 孫だったら? そんな未来はごめんです。
 座談会の記事ではカットされてますが、「この本、よかった。今は図書館で借りてますが、買おうと思います」と言ったところ、Nさんが「僕、2冊あるからあげるよ」と送ってくださいました。ありがとうございます。
 孫がもう少し大きくなったら、買って送ろうと思います。

 

『わたしに続く道』山本悦子作・佐藤真紀子絵(金の星社)

2024年02月11日 | 本の紹介
      

 リイマは、ケニア人の父と、日本人の母の間に生まれた5年生。弟が二人いる。
 母が日本人と再婚し、再婚相手の母がおばあちゃんとして、同居。
 おばあちゃんは、毎朝洗面所でリイマと会うと、ぎょっとした顔をする。リイマは、自分が日本人とは違う容姿だからだと思う。母には似ていず、学校でも黒人として扱われてしまうのだ。
 足が速いと「黒人だから」と言われる。
 弟たちが「クロ」とか呼ばれていることも知ってしまう。
 日本人なのに。ことわざ検定7級なのに。漢字検定6級なのに。

 そんなリイマは、おばあちゃんから旅行に誘われる。行先はケニアだ。
 ケニアに行くことは、自分のルーツを探すこと? ところが、ケニアに行ったら、リイマはケニア人には見られない。
 実は母に似ていたのだ。(色は黒いけど)
 おばあちゃんとの間にあった誤解も解けていく。私はここがよかった。
 おばあちゃん、凛としててとてもいい。
 私、年齢的におばあちゃんと自分を重ねてしまう。息子が3人の子どものいる人と結婚することになって、しかも、その子たちのおとうさんがケニア人だったら? 正直言ってとまどうだろう。だから、この本を読んでよかった。そういうシチュエーション、ないともかぎらない。なんて、変な風にずれてしまってました。でも読書って、そういうこと。自分がこの立場だったら、どうだろうと疑似体験できるのだ。

 もちろん、テーマであるアイデンティティとか、考えさせられる部分はたくさんある。
 山本さんらしい作品だ。ケニアに行かれたのだろうか。ここ、お尋ねしてみたい。