昨年、初めて俳句甲子園を観戦し、すっかりはまった私。(以下、長文です)
今年は諸事情で、松山には行けず、東京会場のみの観戦となりました。
東京会場は、関東地区大会ということで、千葉や茨城の高校も含め、2会場で行われました。
身はひとつ。なので「童子」編集長である佐藤明彦氏が審査委員長をつとめる第2会場を観戦。こちらの審査員には、髙柳克弘氏もいらしたのもよかったです。
第一会場(バックに、飛行機の離着陸)
ただ、昨年の全国優勝佼、開成高校が2チームとも第1会場ということで、うーん、開成の句やディベートもリアルタイムで見たかったなあとは思いましたが。
開会式。審査員を代表し、髙柳克弘氏が挨拶されました。
1 びびらない。 びびりは言葉を濁らせる。
2 あせらない。 鋭い質問にあせって、しどろもどろにならないように
言葉は、相手に届かないといけない。
3 あきらめない。 言うことが尽きてしまうことがあるが、持ち時間を使い切ってほしい。
と、勝ち上がるための3つの「ない」を伝授。これって、他の場面でも、通じることだなあ。特に、言葉は相手に届いてこそのもの、というところ。ホント。
第2会場では、海城高校Bチームが松山への切符を手にしました! おめでとうございます。
一つだけ、対戦をご紹介します。
赤
春眠より靴紐結ぶごと覚める 6(1)・7・9(1)・6(1)・7
白
春眠に消えた土曜の謎を追え! 6・6・6(1)・7・6・9(1)
4対1で、赤の勝利。( )内は、鑑賞点、ディベート分の加点です。
でも、白に9点をつけた審査員も。「ああ、俳句甲子園に来たな!」と思ったそうです。
確かに、こういう句、私達は作りませんからね。
髙柳克弘さんは、 両方ともびっくりする俳句だったが、赤は驚きと共感のバランスがいい。白は、謎の答えが(一日寝ていたんだ)ということがすぐわかる。答えが出ている。との評でした。
第2会場の最優秀句は、
蛙踏むシェークスピアの幕開けよ 千葉県立総合幕張高校 でした!
正直言って、句会でこの句が出た場合、迷うかもしれません。シェークスピアの劇が始まる。そのときに、蛙を踏んだということなのでしょうか? 読みの難しさ、でも読み手の心をゆさぶるものがある句。審査員の評価は全員が8点と安定していました。
また、
蜜豆を待ちたる雨上がりの街 立教池袋
の対戦後、「中7から下5にかけての句またがりが、この句に適切だったか」 という髙柳さんのご指摘。そして、佐藤明彦さんが、「この句またがりが適切だったどうか」をまず、ディベートでは真っ先につっこみ、そこをしっかり議論するべきだった」と。そして後藤章さんは、「自分はこの句またがりは、OKと思うと」。
各審査員の先生のご指摘が、新鮮でした。
他に私が好きだったのは、
水性の街のぼやけて蛙をり 海城A
母蛙卵密かに引きずれば 総合幕張A
春眠の氾濫原に立ちにけり 海城B
蛙鳴く沼地に不意にバイブ音 総合幕張B
春眠や鞄は街の色をして 立教池袋B
5人の審査員の先生達の評価が一致というのはほとんどなく、俳句観はそれぞれ。その辺りも観戦しておもしろいと感じるところです。
ディベートの点で、勝ち負けがわかれてしまう場合も多く、俳句は自分で作るだけではなく、他の人の句をどう「読む」かが大事な文芸なので、聞いていておもしろかったです。
第2会場の結果が出てから、よしっと第1会場へ行ってみたら、まさにラストの決勝が行われていました。
第一会場 羽田空港利用者が、階段から、2階3階からも観戦できるというスペース
開成高校Aチーム対立教池袋Aチーム。このディベートが白熱していて、すごかった。皆さん、すばらしいですよ。開成高校敗れましたが、このあと投句審査があり、その審査次第では松山行きの可能性が残っています。きっと・・・。そして、松山で再び怒濤の戦いを繰り広げてくれるのではないでしょうか。
今年は、第一会場に、海城AB、千葉県立総合幕張AB、が、そして第二会場に、開成ABが、という抽選結果になったため、同じ高校チーム同士の対戦も(海城)出てしまいました。
最後、第二会場審査委員長、佐藤明彦さん(「童子」編集長)が、「きつい事を言われてもめげないように。全部ひっくるめて、俳句って楽しい。」とおっしゃいました、途中の句評でも、「普段おじいさんおばあさんとばかり句会をしているので、新鮮な気持ちになれた」とも。全くもって同感です。
後藤章さんは、「俳句は筋肉と同じ。毎日作らないと向上しない」と。まったくです……。
日頃、閉ざされた結社内にいるので、(特に東京会場は)審査員の先生が、俳壇の第一線で活躍されている方なので、その俳句観を拝聴できるという贅沢な場でもありました。(しかも、無料)
あー、楽しかった!
他の地方からも、続々と松山行きが決定されることでしょう。高校生の皆さんを、心から応援しています!
(*長々と書きました。全部読んで下さった方、ありがとうございます。相変わらずの勢いで書いていますので、誤字などがありましたら、御容赦ください)