fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『みちのく山のゆなな』(国土社)『ファミリーマップ』、エンタメシリーズ『家守神』1~4巻、『おはようの声』幼年童話『ヘビくんブランコくん』『オンチの葉っぱららららら♪』、短編集『友だちの木』・歴史物語『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』他、好評発売中です。原稿・講演など各種ご依頼は、左側のメッセージからお願いいたします。    

『なみきビブリオバトル・ストーリー 本と4人の深呼吸』(赤羽じゅんこ・松本聡美・おおぎやなぎちか・森川成美作/黒須高嶺絵)さ・え・ら書房

2017年06月30日 | 自作紹介
            高学年~

 発売になりました。
 ビブリオバトルをよくご存知の方も(そうそう、そうなのよ)と楽しめるし、まったく知らない方は、ビブリオバトルって、こういうのなんだとわかっていただき、かつ楽しんでいただける。そんな物語です。
 この本を読んで、ビブリオバトルをやってみたいと思ってくださる方がいるといいな。
 
 ネット社会である現代、書評も本の紹介も、検索すればいろいろと出てきます。それでもこうして、一つの会場で顔が見えるところで、紹介をしあうのは、なぜなのか。私もこの本を書くために、三鷹図書館のビブリオバトルに参加させていただきました。(ほかにも、この本を書いた作家達では何回もしました)そのとき紹介したのは、『しゅるしゅるぱん』(笑)残念ながらチャンプ本にはなれませんでした。でも、手をあげてくださった方も何人かいて、ほっ。(やり方はいろいろで、発表者は、挙手の数がわからないというやり方も多いです)
 
 参加している方の熱意。運営側のみなさん。(図書館の職員はもちろんですが、中高生がスタッフとしてがんばってました!)エントランスを通りがかって聞いていく方達。みなさんの前に立ったときのドキドキ感。
 PCに向き合っているだけでは得られない、緊張と楽しさがありました。
 
 人前に出ることは、ビブリオバトルに限らず、傷ついてしまったり、いやな思いをしたりすることも避けられません。でも、それ以上に得られるものがある。ちょっとかっこつければ、自分を乗り越えることができるんじゃあないかなと、最近思います。ビブリオバトルは、いろいろな場で行われています。勇気を出して出ていけば、きっとさまざまな出会いがあると思います。それは、出場した他の方かもしれないし、誰かが発表した本かもしれないし、成長した自分かもしれない。

 物語の中の4人も、そうなんです。
 私が書いた玲奈は、恋バナ好きな女の子。でも、一番好きなのは、恋バナの子ではなく、あの超有名な野球物語の主人公です。自分に自信がないけれど、恋にあこがれる気持ちはある。ビブリオバトルに申し込んでからも、(やっぱりやめようか)と揺れ動きます。← そう、まるで私みたい。(笑)
 さて、玲奈はどうするか?

 ぜひ、4人の子供達の成長を見てやってください。

2017年上半期おもしろかった本

2017年06月24日 | 日記
 毎年、ああ半分過ぎたって思います。早い。
 そして、毎回、ちゃんと記録していなくて、他にも本読んだような気がするけど・・・と思うのです。

 記憶にある5冊プラス1です。出版社名をメモっていず、調べる手間をおしませていただきます。すみません。
 以前も書きましたが、この本を選ぶにあたり、児童文学は入れていません。たくさんおもしろいのがあるのですが、お知り合いの作家さんも増え、こちらの方の本をとりあげておいて、こちらはどうして入らないのか、なんておっしゃる方はいませんが、自分の中で気にしてしまうので。でも、翻訳児童文学はOKにします。

・『海に向かう足跡』朽木 祥  近未来ディストピア小説。このごろの世界を見ていると、まさかこんなことにならないでしょうとは、決して言えないような気もします。

・『騎士団長殺し』 村上 春樹  ファンタジーなんですよね。こういったとんでもないことを語るためには、これだけの分量が必要なのかもと思いました。でも、村上春樹をファンタジー作家という人はいないなあ。どうしてでしょうか。

・『ハリネズミ乙女の初恋』令丈ヒロ子 ハリネズミのかわいらしさと、主人公が自立していく姿を、毒のない展開で、安心して読めました。こちらは、ファンタジーなのかと思って読んでいたけど、実はそうじゃない。

・『怪物はささやく』映画の宣伝の画面をみて、原作を読みたくなりました。こちらもファンタジーのようで、そうじゃない。でもファンタジーに分類されるのか。映画の宣伝文句はダークファンタジーですね。そうかなあ。
 とにかく、すばらしい作品です。原作が完成されているので、映画は見なくてもいいかと思ってしまうほど。

・『三日月』森 絵都  戦後、塾経営に乗り出した一家の物語。少々不満はありますが、確実な力のある作品だと思います。

・『春や春』(森谷明子)光文社  俳句甲子園ものです! 俳句青春小説。なにしろ今頭の中が「俳句甲子園」8割くらい占めていて、予選を観戦しているので、登場人物がリアルにせまってきました。つまり、これがプラス1。

 今回6冊中、3冊が児童文学畑にゆかりの作家さんでした。朽木さん、令丈さんは、これが初めての大人向け小説。森絵都さんは、ご存じない方も多いかもしれませんが、デビューは児童文学です。『にんきもの』シリーズという4冊。大好きで、今度出版した『なみきビブリオバトル・ストーリー 本と4人の深呼吸』の中でも発表本ではないですが、取り上げさせていただきました。

 上の短い感想の中に、「ファンタジーかどうか」というのが入っていますが、その辺もここにまとめたことで考えさせられました。
 やっぱり、児童文学が好きなんだなあ。

第20回俳句甲子園観戦記⑤

2017年06月18日 | 日記
 弘前高校の投句審査による出場ということで、一度書いた観戦記を書き直しました。


さて、いよいよ秋田会場です。(いよいよは、松山で使うべきか)
 出場は、秋田西、弘前、能代、酒田西 の4校。
 かなり寂しい。秋田が2校。青森、山形が各1校ずつってことですものね。

 秋田高校、出てほしいなあ。母校も・・・(秋田北)。各県、それぞれで地方大会をやれるようになってほしいですね。

 さて、今回も全国大会での傾向対策防止のため、この大会で出た秋田西校の句出しません。東京大会のは観戦記②で書いていますが、東京代表は、追われる側ですからね。ハンディということで。

 秋田西は、一昨年代表になったものの昨年は全敗で敗退。そして今年はリベンジを果たしました。水色のセーラーカラー、松山に行きます! 

     

 酒田西は、まったく初めての出場ということで、今年はいい経験になったと思います。ぜひ、来年再来年、山形のほかの学校も、「うちも」と思われるように頑張っていただきたいです。
 能代高校も、いい句がいくつかあったのですが、ディベイトでの句の解釈に「思い出」という言葉をよく使ったことが残念でした。

 弘前高校は、秋田西との力の差はほとんどありませんでした。2勝ずつでの決勝戦。勝敗はちょっとのところ、審査員が違う人だったら、わかりませんでした。(先日の北上会場は、そういう意味では審査員がほかの人でも、きっと水沢だったと思います)ディベイトも白熱していて、熱かったです!

 審査の点数は、5点から9点と幅広く、これはとてもよかったと思います。審査も、大会を盛り上げる要素だと思うので、北上会場のように、ほとんどの句が6点、7点というのはいただけないと感じました。いい句だとおもったら 、思い切って9点をつける。それが若い人へのエールとなるはず。そして厳しい点もつける。それもまた、エールです。
 でも、審査委員長さんのお話は、北上でも秋田でも、とてもよかったです。
 秋田の審査委員長さんは、俳句甲子園の運営をしている方達へのねぎらいの言葉もあり。ホント、驚いたのは、北上会場と同じメンバーが、秋田の運営もしていたことです。北上が終わってから秋田へ移動したんですね! (まあ、私もだけど)

 子規・漱石生誕150周年記念賞には、弘前の句、大好きな句でした。
 最優秀賞には、秋田西の句が選ばれました。(内緒)余計なことを言わず、シンプルでいい句でした。

 審査員の先生の評価はあまりよくなかったけれど、

 しゃぼん玉絵の具の空にとけていく  という能代の句は、これが絵にぶつかってシャボン玉が割れたととれば、とてもいい句なのに! と思いました。ディベイトで、「思い出」と言ってしまったので、残念。
 
 会場が、生涯教育センターの4Fの講座室のようなところ。一考の余地があるのでは? と感じました。
 新聞などでも報道して、ぜひもっと盛り上げ、出場校を増やしていただきたいです。

 秋田西校、弘前高校、松山に向けてさらに俳句を楽しんでください! 

 応援するのは、秋田西、弘前、水沢Aそして海城A。この4校のうちの2校対決になったときは、どうしようかなあ。

 

 

第20回俳句甲子園観戦記④

2017年06月17日 | 日記
 北上会場を観てきました。会場は、北上市にある詩歌文学館講堂です。

 

 出場チームは、水沢高等学校A、B。盛岡第一、盛岡中央、久慈東の5校です。
 先日東京大会を観戦したときも思ったのですが、出場高校の数によって、その対戦方法、進行、判定のルールなど、かなり綿密にしっかりと決められています。
 今回5チームということで、A、Bブロックに分け、試合が進められ、最後Aブロックの勝者とBブロックの勝者による決勝の試合という流れでした。
 結果、ABブロックとも、勝ち残ったのは水沢高等学校。昨年も同様の決勝だったとのことで、水沢の強さがわかります。ちなみに一昨年は、盛岡中央が全国に行き、ベスト5に入ったとのことでした。

 さて、好きだった句をここに書くかどうか。で、ちょっとためらうのは、ここに書くことで、全国大会出場校として、傾向対策をされる場合もあったり・・・? と考えてしまい、(まあ、こんなおばさんが書くブログで傾向対策もないかなと思いつつ)ちょっと出さないでおこうかなと。
 というのも、水沢高校の句。とてもよかったのですが、かなり作りが似ているのですよ。これが、全国に行ったとき、吉と出るか凶と出るか・・・と、感じたもので。

 審査委員長の方が、途中で、ディベイトで、句はいいのに、自分達の句を鑑賞する力が弱い、解釈が伴っていない的な苦言を何度もおっしゃられました。私も同感でした。自分がどういう気持ちで作ったのか、どういう情景なのか、という説明は必要ないですね。
 水沢は2チームあるので、これから2ヶ月、ディベートの訓練できますね(これまでもやっていたでしょうが)。

 また今回感じたのは、審査委員の先生達がつけられた点数のほとんどが6か7点だったのは、少々寂しいなということでした。8点がついたのは、私の記録では5句のみ。ほかはすべて6か7点。9点はなしです。東京大会では9点の作品がいくつか出ましたが、それと比べて遜色はありませんでした。

 勝者にも涙。敗者にも涙。
 OBOG会が、大会を支えている様子も、よく伝わってきました。
 
 水沢の強さが際だった大会。私が好きだったと赤線をひいた12句中10句が、水沢でした。5人の女子で臨んだ久慈東、いいものを持っていました。初出場ということだったので、今後の期待大。
 全国大会が終わった後に改めて書くかも。(遅いか?)

新刊のお知らせー『なみきビブリオバトル・ストーリー 本と4人の深呼吸』(さ・え・ら書房)

2017年06月15日 | 自作紹介
 赤羽じゅんこ、松本聡美、おおぎやなぎちか、森川成美 作。黒須高嶺 絵 。です。

小学校高学年~
 
 版元のさ・え・ら書房さんのHP、amazon、などで、予約が始まりました。

 昨年この企画が持ち上がり、その後、ビブリオバトル普及委員会の粕谷亮美さんにレクチャーを受け、4人でビブリオバトルをやったり、それぞれが図書館などで行われているビブリオバトルに参加をしたり、どういうキャラ分けで書くか、設定は……など、話し合い、作り上げた本です。
 
 書く子が決まってからは、その子が何の本を発表するか。発表する本だけではなく、その子がビブリオバトルをやるきっかけとなった本や影響を受けた本など、背景にある本も、すべて実際にある本。さ・え・ら書房さんからの出版ですが、他社さんの本もかなり出てきます。というか、ほとんどが、そう。さ・え・ら書房の担当の方が、すべての出版社さんに連絡を取り、掲載許可をいただき……という経過もあり。
 
 画家さんが、イメージにぴったりの絵を描いてくださり、こんなすばらしい一冊が完成。
 ビブリオバトルは、こんど中学校の教科書にも載るらしく、これからどんどん広がることと思います。
 中学生の選抜ビブリオバトルも観戦しましたが、これは今俳句甲子園をおっかけることになったきっかけでもあります。子供達、みんな真剣です。きっとすばらしい大人になるだろうと思わせてくれました。
 本を通して人知る。人を通して本を知る。 これがビブリオバトルの本質です。ビブリオバトル普及委員会は、まさにその文字のごとく、ビブリオバトルの普及のため講師を派遣したり、各地で行われているビブリオバトルの運営に協力されています。

 共著というのは、これまで何冊か出させていただいていますが、このたびのように、ひとつのビブリオバトルに出る子供達、設定を共有したものは、初めてでした。私のほかの3人は、児童文学者協会の理事であったり、新刊も続々と書かれていたりと皆さんお忙しいベテラン作家。さすがとなんども思いました。

 私が書いたのは、玲奈。表紙の絵では階段の一番下にいる子です。

 書店に並ぶのは、今月末ですが(26日発売)、どうぞよろしくお願いいたします。
 

 

第20回俳句甲子園観戦記③

2017年06月13日 | 日記
 東京大会、感想のおまけです。
 高校で俳句をやっている子達って、かなり優秀な生徒さんです。だって、開成だし。他も。
 過去の全国優勝は、松山東がトップ、そして伯方、開成と続きます。松山は、開催地でもあり、子規の出た町であり、あちこちに俳句ポストがあって、小学生からバンバン俳句を作っているというところ。
 
 会場を見渡して、制服姿の出場者たち、女子は吉祥女子だけだったので、白シャツに黒いズボンの男子がほとんどでした。そして、眼鏡率も高い。
 
 彼ら彼女ら、将来何になるんだろう。とずっと思っていました。この子は、どんな職業についてもいい仕事をしてリーダーシップを取るんだろうな、とか。政治家になるかもとか。

 敗れた開成のリーダー、終わったあと、選者の先生ひとりひとりに礼儀正しく挨拶していましたよ! 
 私のとなりで記録係をしていた開成の一年生。週3で俳句部活動。月に12回だよ! おばさん、今月1回です。来年は君たちが出るのでしょうか。がんばれ。
 共学のチームも見たかったなあ。他の地方はきっといるでしょうね。

 去年の準優勝だった東京家政の句みたいなのが、出るとおもしろいでしょうが(気になる方は調べてみて)、あまりこんなんばっかりだと、狙いすぎになるし、さあ、全国ではどんな句が出るか。

第20回俳句甲子園観戦記②

2017年06月13日 | 日記
         
 6月11日。羽田空港6Fギャラクシーホールで、開会式がありました。
 組み合わせ抽選は、その前だったのかな? あとかな? 東京は2会場に別れます。
 昨年の全国優勝チームである、開成Aはすでに出場権を得ているので、この予選には出ないとのこと。開成はBチームがエントリ―していました。
 開会の挨拶では、選者のお一人が、「俳句は友情の文学である。相手の句を読み合うことを忘れずに楽しんでもらいたい」とおっしゃられました。パチパチ。

 私が観戦した会場1は、この開成B(本来は開成高等学校ですが、省略いたします。他の高校も)、吉祥女子、海城A、立教池袋 の4校によるシード選です。
 会場には、選手の他、お母さん達(開成のお母さんが多い印象)、先生達、OB、出場しない選手、そして私のような野次馬はどのくらいいたのか? けっこうびっしりでした。

 第一試合は、赤が吉祥女子、白が開成B 兼題は、「陽炎」
 先鋒戦

 赤 アキレスと亀陽炎と私かな
 白 陽炎や巡回バスのふかみどり

 3対2で、赤の勝ち。アキレスと亀に対して、パラドックスがどうのこうのというやりとりがありましたが、私はわかりませんでした。選者のお一人は、グーグルで見て、なるほどと思ったとおっしゃっていましたが、帰宅して調べたら、ふうん。永遠に追いつけないということなのだそうで。(そお?)まあ、それはさておいて、選考委員長である明彦氏(「童子」編集長は、アキレスと亀は有名すぎて、ありきたりであるとばっさり。
 それでも赤が勝ったのは、白の句はおとなしすぎるというのが、私の印象です。赤のほうが魅力があります。
 
 中堅戦
 白 時計屋を時溢れ出す遊子かな
 赤 陽炎に焼け死ぬ朝を枕から 

 3対2で、白の勝ち。
 白の句のほうが、イメージがわきやすく、赤は陽炎という春の季語に焼け死ぬというのは合わないとか、言われていましたが、同感かなあ。

 大将戦
 赤  水匂うピアノの音は陽炎かな
 白  ギアひとつ上げ陽炎を振り払ふ
 4対1で、白 開成の勝利となりました。
 ギアひとつの句、好きです。

 という具合に試合は進みます。

 第二試合は、海城A対立教池袋 2対1で海城Aの勝ち
 第三試合は、吉祥女子対海城A 3対0で海城Aの勝ち
 ここでは、「ながらえて銀に熟れゆくしゃぼん玉」「放たれてはじめて石鹸玉となり」という海城の句が好きでした。これ、しゃぼん玉をしっかり写生してますね。

 
 第四試合は、開成対立教池袋B 2対1で、開成の勝ち
 ここでは、「しゃぼん玉の中は土砂降りかもしれず」というすばらしい句が開成から出ました。選者の先生達、5人が開成の白い旗を上げました。
 
 ということで、ここで開成と海城がともに2勝をあげ、次の第5試合、開成対海城Aの勝者が全国へ出場ということになりました。
 この試合、先鋒戦、中堅戦とも、5対0で、海城が勝利。ここで、海城の全国出場が決定という劇的展開でした。そのときの海城の句は、「夏立ちて紙飛行機に足す尾翼」「夏来る慣れぬあだ名に振り向いて」。この2句目に対して、開成が出した句は「SLが空侵しくる立夏かな」。これに対して、選者の先生のお一人が、「開成、どうしてここで、この句を出してくるかなあ」と。悪い句ではない。でも、「侵しくる」は有名な句があるらしく(すみません、どんな句なのかわかりません)そうでなくとも、SLという郷愁をさそうものを持ってきたのは失敗だと思いました。

 そうなんですよ。吉祥女子と立教池袋と対戦したときの句のほうがいいの! そっちを海城戦に出せていたら、勝敗はわからなかったかも。
 でも、それが試合というものなんでしょうね。
 
 ちなみに第6試合は、吉祥女子対立教池袋。2対1で、吉祥女子の勝利でした。でも、もう勝者が決まっていたせいか、第二会場では、開成Aと第二会場の勝者チームの試合が行われるということもあり、第一会場の観戦者は、潮が引くようにいなくなってしまいました。
 でも2チームとも、最後までしっかり戦いました。吉祥女子チーム、つっこまれやすい句を作っていますが、危ういながらも魅力がありました。立教池袋Bは、わりと真面目でおとなしい句が多かった印象。でもAチームは、出場を決めたのですから、日頃からかなりやっていることがわかります。

 それにしても、開成の「しゃぼん玉の中は土砂降りかもしれず」は、いい! 明彦選考委員長も、9点をつけ、(持ち点10)「この句が出たことで、しゃぼん玉の中は、あるいは土砂降りなのかもしれないと思わせる力がある」とおっしゃっていて、私は、大きくうなずいていました。
 
 岩手大会、秋田大会、そして全国大会へと③、④……続きます。(の予定)

第20回俳句甲子園観戦記①

2017年06月13日 | 日記
 まずは序章。
 なぜ、観にいこうと思ったか。なぜ、これまで行かなかったか。

 

 俳句甲子園というのが始まったころ、私は一応俳句をやっていました。うちの主宰(辻桃子さん)は、最初のころ、松山の全国大会での選者をつとめていたはずです。松山では街中で行うので、暑くて体力的にきつくて降りたというようなことを聞いた記憶もあります。
 高校生が俳句をやるのは嬉しい。でも、そのやり方が対戦式でディベイトというのが、なんかなあと思っていました。普通の句会のようなものは無理とはいえ、俳句は他者と競うためにやるものじゃあないんだし、ましてディベイト? 私は人と論争をするのが嫌い。
 そして、句会で最後にお互いの句評をするときも、他人の句の「ここがダメ」たとえば、季語が離れすぎているとか、リズムが悪いとか、言いたいことがわからないとか、いろいろつめこみすぎているとか、を指摘するのは意外と簡単。いい点を認める、褒めることが案外難しいと感じています。でも、それがうまくできると、その句は、他者の評によって存在感が増すという事象がおきるのです。
 なので、相手の句の欠点を指摘するようなディベイト形式がいやだなあという意識があったわけです。

 そして、なぜ今回行こうと思ったか。
 それは、昨年からビブリオバトルの本を書くため、小学生、中学生が出るビブリオバトルにちょこちょこ顔を出し、彼らが人前で発表する姿に心打たれていたからです。
 気づいたら、俳句甲子園も観てみたい。と思い始めていました。

 俳句甲子園の記録を書くにあたって、出た俳句を書かないことには意味がありません。最初大会の要項を見たら、著作権が大会本部にあると明記されていたので、twitterにアップした句も、削除しました。でもその後、個人がSNSに出すのはOK。大会側にも確認をとっていると書いている方がいたので、俳句甲子園を広める一助となることを期待し、句も書かせていただきます。
 万が一、やはり困りますということがありましたら、このブログのメッセージにご連絡ください。すぐに削除いたします。

 ここまで読んでくださった方、すみません。本番は、②へ続きます。
 
 とにかく、行ってよかった! おもしろかった! 感動しました。勢いで、17日の岩手大会、18日の秋田大会もおっかけます。そして、松山の全国大会も行きます。(←外でやるの? 暑いのかなあ。そこが心配)

『ワニと猫とかっぱ それから・・・』(花・編)神戸新聞総合出版センター

2017年06月07日 | 本の紹介
             

 関西在住作家が集まる「花」という同人誌のメンバーによるアンソロジーです。同人誌25年を記念して編纂されました。

 子どものころのわくわくと、どきどきと、へえー、うんうんと、あははとにっこりが つまっています。
 
 と、帯に書かれているのは、作家の岡田淳さん。

 ホント。


 みなさんのやさしさが詰まった一冊だなあと思いました。
 物語への思いが共通認識として、つながっているのでしょうね。


 森くま堂さんの「んの反乱」は、「季節風」からのおなじみの作品。こうして本になって、感激です。

 児童文学者協会主催の絵本大賞も受賞され、ナンセンス絵本の出版も決まっている、森くまワールドの根本です。

 ナンセンスは、理屈を考えてはダメ。でもどこまでも勝手にやればいいってもんじゃない。読者をおいてきぼりにしちゃあいけない。楽しませることが第一でしょうか? いや、作者が楽しむ? 森くまさんの力をひしひしと感じています。


 うたかさんの「そばにいるよ」は、とにかくやさしくて、気持ちがあたたかくなって、いい作品!
 童話の基本です。主人公の気持ちの変化が無理なく描かれています。
 阪神淡路大震災のことを、こうして書き継いでいくことも大事だと思います。きっと皆さん、震災に対してはいろいろな思いがおありなのだと思います。
 
 おめでとうございました!


 

句集『小さき喉』安藤ちさと(文學の森)

2017年06月01日 | 本の紹介


「童子」同人、安藤ちさとさんが、句集を上梓されました。
 ちさとさんは、熊本在住。俳歴も長く、ベテランですが、お会いしたことはありません。でも、こうして句集を読むと、ずっと昔からの知り合いだったかのような心持ちになります。

 どの句も、奇をてらうことなく、穏やかで優しさを感じることができました。


 いいなと思った句を、あげさせていただきます。

『明暗』の表紙がとれて漱石忌
 表紙が取れるって、人間だと服を脱いでしまうような感覚に通じ、よくあることなのですが、どきっとなります。『明暗』再読したくなりました。

空き部屋のかすかな音や春の月 
 きっと本当にかすかな音なのでしょう。誰もいないはずなのに、風かしら鼠かしら? とまた耳をそばだてている様子が伝わってきます。
 
いつの間に秋灯しの影濃くなりぬ 
 さりげない句なのに、深い。

望月や小さき石に小さき影
 月と石と影だけのシンプルさ

雛あられ牛車の屋根にこぼしたる 
 雛道具の牛車にとっては、雛あられは、巨大な石のようなものですね。

新しきチョーク揃ふも休暇明   
 まだ一度も使われていない、細長い円柱のチョークが、目に浮かびます。休暇明けとは、夏休み明けのこと、春じゃなくて、秋だというところにチョークの質感が伝わってきました。

ふるさとの厚くて重き蒲団かな  
 そうなんです。ふるさとの蒲団はずっしりと重いんです。

やはらかなものを踏みをり霧の中 
 なんだったんだろう。柔らかいものなんですよね。こういう句、好きです。霧が好きなんです。

流れくる霧を受け止め大玻璃戸  
 きっと、霧襖のような霧ですね。

春深しすとんと下がるエレベーター 
 すとん、きゃっ。

吊るしある箒に月の明かりかな   
 箒という日常が、月の明かりによって、非日常に。

見送りし後は一人や庭焚火     
 さっきまでは、賑やかにみんながいたのに。

蟻の列踏まるる度に広がれる    
 ひたすら写生をしている作者まで、見える。

紙屑のくねり燃ゆるや庭焚火    
 あっという間に灰になる、その直前の写生

アコーディオン冷たき空気吐き出せり 
 そうか、冷たい空気が出るのか。

黒板に自習と書かれ花曇    
 なんとはなしに、季語がいい。

九州句会のアイドル、ちさとさんに、いつかお会いしたいです。秋の大会?