fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『みちのく山のゆなな』(国土社)『ファミリーマップ』、エンタメシリーズ『家守神』1~4巻、『おはようの声』幼年童話『ヘビくんブランコくん』『オンチの葉っぱららららら♪』、短編集『友だちの木』・歴史物語『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』他、好評発売中です。原稿・講演など各種ご依頼は、左側のメッセージからお願いいたします。    

『どこどこ山はどこにある』山本悦子さんのレビュー

2019年02月25日 | 自作紹介
  
 児童文学作家山本悦子さんがご自身のブログで『どこどこ山はどこにある』フレーベル館のレビューを書いてくださいました。
 静かで胸にしみる話 という一節が嬉しいです。



 児童書のよさは、発売直後だけではなく、日にちが経ってからこのように反応があることも多多あること。児童文学をやっている人達は、読み捨てられるのではなく、残ってほしいという気持ちがあります。出版社もそう・・・であることを祈っております。

 山本さんは、一昨年『神隠しの教室』で、野間児童文芸賞をご受賞された、のりののっている作家さん。テーマもディテールもすばらしい作品です。
 長年教師をされていたので、学校が舞台の物語がお得意。
 『かっこうこかっぱのイケノオイ』、『夜間中学へようこそ』、『くつかくしたのだあれ』、他にもいっぱい。
 私が特に大好きなのは、『先生、しゅくだいわすれました』(童心社)です。
 しゅくだいを忘れて、うっかりうそをついたところ、先生は「だまされて楽しいうそならいい」と言うのです。そしたら、次から次に、子供達が楽しいうそを考え始め、毎日一人が宿題を忘れては、その理由を発表することに。この理由が(うそね)楽しい。そして、ついには先生が、しゅくだいを出すのを忘れるのです。その理由は・・・。

 売れに売れて版を重ねているのもうなずけます。だいたいの書店で平積みになってます。いいなあ。
 それは、楽しいから。おもしろいから。

 私も、こんなふうに子供達が楽しんで読める物語が書きたいです。

『イチからの俳句入門』辻桃子・安部元気著・中小雪編(主婦の友社)

2019年02月24日 | 本の紹介
  

私は不肖ながら辻桃子の弟子。
  先生の句集やハウツーものは何冊も持っています。
  ハウツーもので最もわかりやすいと思っていたのが、実は先生が最初に書かれた『俳句の作り方』(成美堂出版)という本でした。私がこれを買ったのは、もう25年も前。とうに絶版になっています。

  その本を加筆改訂したものが、この『イチからの俳句入門』です。っていうか、私知らなくて、先日買ってパラパラめくり「あれ~」となったのです。昨年4月に発売されていました。

 これ、お勧めです。
 俳句入門書って、ホントにたーくさんありますが、とってもわかりやすいです。

 そしてそして、今回例句を大幅に見直されていて、なんと私の句も載っていました! 一年近く気づかずにいたとは、とほほ。

 固有名詞を使う というところに、

 野蒜引く人首丸はここで果て   あぶみ

 という句です。くしくも、先日人首文庫について、twitterでtweetしたばかりでした。



 人首丸は、みちのくの英雄アテルイの息子。アテルイとモレが、大阪で処刑された後、この人首村の大森山に逃れていたところを、田村麻呂の娘婿に見つかり斬首されたといわれています。たいそうな美少年だったとか。

 この本は、もう一点、個人的に思い入れがあります。
 編集をされた中小雪さんは、「童子」副編集長でしたが、一年前、お亡くなりになられました。長年主婦の友社で編集者をされていて、退職後は俳句をやりながら、フリーの編集者としてご活躍されていましたが、この本が最後の編集したものになったそうです。出版されたのは、亡くなられた後になったんですね。
 
 「童子」の「この人にきく」というコーナーでは、私のことも書いてくださいました。そのとき、インタビューを受けた喫茶店の前を通るたび、小雪さんを思い出します。石垣島にご一緒したときも、楽しかった。最高でした。10年以上前ですが。
 本というのは、いいですね。昨年お葬式にいってお別れしたけれど、こういう形で、小雪さんに再会できました。

「藤田嗣治 本のしごと」 展

2019年02月17日 | 日記
 八王子にある東京富士美術館に行ってきました。


 フジタが携わった本の展覧会ということで、挿絵として描いたものを中心に多くの絵が展示されています。
 期待を大きくうわまわりました。
 もともとフジタは大好きなのですが、今回は挿絵だし・・・。なんて思っていたのです。でも一応観たいと出かけて。よかった。
 パリにいたときも、日本にもどっていたときも、たくさんの挿絵や表紙を描いているんですね。「婦人の友」や「スタイルブック」という雑誌の表紙もありました。
 それがどれも、やっぱりうまい! あたりまえなんですが、小さなスケッチひとつとっても、線が生きている。ひしゃげたようでも、いい線なんです。
 そして、フジタもこうやって大きな仕事以外もしていたんだなあと。
 
 その他、額にはいった婦人像や猫のスケッチも予想以上にあって、嬉しかったです。

 また、驚いたのは、手紙や葉書。友人に送った手紙にちゃんと色づけして細かい絵を描いたものが何枚もありました。その絵がウイットに富んでいてとてもよかった。

 その絵を見ていて気づいたこと。
 今年発売になる「こどものとも」で、アニメーターの山村浩二さんが絵を描いてくださっていますが、山村さんの絵の雰囲気と似てるんです! どちらもとても細かいところまで描いていることもあるし、建物の雰囲気なんかも。嬉しい発見でした。(ご本人には否定されちゃうかなあ)

 富士美術館は、都内からだと遠いと思いますが、うちからだと車で30分もかからず気楽に行ける立地です。昨年は東山魁夷展をやっていたし、なかなか。
 
 フジタは、いい! 画家で一番好きかもしれません。

買ってきた絵はがき。

半歌仙を巻きましたーかわせみ句会(二次会)

2019年02月17日 | 俳句
 
 昨年からやっている児童文学者達の句会「かわせみ句会」が先週ありました。
 さすが個々の世界観を持つ作家達です。また言葉のプロです。短期間にかなりの上達。俳句の表現を身につけています。

 さて、今回は、俳句雑誌の編集長さんが取材をかねて句会に参加してくださいました。(何の雑誌かは、発売のときに、またご紹介します)← もったいつけてるね。
 長い俳歴を持ち、ご自身が主宰する雑誌もやってらっしゃる方なので、おっしゃることがわかりやすく、私とはまた違った選もしてくださり、とても刺激になりました。違う風を入れることは大事ですね。

 さて、そのときの俳句は、雑誌にも載せていただけるので(4月号)、きょうは二次会でやった連句をご紹介します。
 連句は、芭蕉達がやっていた複数の人間で一つの巻をつくる、現在の俳句の基礎となっているものです。三十六歌仙、百韻などありますが、今回は二次会なので、三十六歌仙の半分、半歌仙を。
 これ、実はかなり即吟ができないと難しいのです。
 それを、楽しんでやった皆さん、さすがでしたー。( )内に児童文学作家としてのペンネームを入れました。

  蝦夷松の巻

発句   去年今年言の葉生まれては消えて     あぶみ(おおぎやなぎちか)    
脇(二の句)     鷹の目の先風集ふ先     真理(光丘真理)
第三    花舞ふや土手をあるけば古思ひ     なる美 (森川成美)
四 川面にひびく子どもらの声   朋 (渡辺朋)
五   おぼろ月笛の音どこからか聞こえ   湖魂 (三田村慶春) 
六(折端)   おいでおいでと格子の先に   不埒 (海光哲)
・・・・・・ここまで表
一(折立)   見合ひから帰る男の影長し    耕実(後藤耕)
二       夜通し見てるトーキー映画   真理
三   あの人を振りむかせたいワンピース   あこ (橋長あこ)
四        裸足で外を歩いたりして   あぶみ    
五   いつか俺月へ行くぞとビール飲み        ふくね (赤羽じゅんこ)
六       亀が迎えに来るかもしれず   なる美 
七      名月やだらだら坂のその先に       耕実  
八      案山子と酒を呑み干しにけり       真理  
九      薄野や五輪選手が涙こぼして       耕実    
十     まがり角にてふつと消えたる   結     
十一    蝦夷松の幹にもたれて花を見る       お遊(土山優)&あぶみ
十(折端)   戦下の子にも届け春の音        朋     


 本来は、その当季の句から始め、今はもう春なのですが、今回今年初の句会ということもあり、新年からにしました。新年から始まる場合、春から、夏から始まる場合とそれぞれ何句目には、春の句、無季の句、夏の句、秋の月を入れるなど、細かい式目というのがあって(他に、このあたりで恋の句を詠む、発想を大きく飛ばすなど)、一応それにのっとってやったのですが、しっかり連句をされている方がここで読んだら、「違うよ」っていう部分もあると思います。
 でも大勢でやると自分では発想しないものが出てくるので、おもしろいです。皆さんもとても楽しんでくださいました。児童文学関係では、上のメンバーのほか、欠席だったり二次会には出られなかったけれど、にしがきようこさん、かわのむつみさん、森埜こみちさんもいらっしゃいます。この面子、すごいと思います。また、海光さんが、ちゃきちゃき江戸っ子で連句のことなどご存知なため、「連句やりましょうよ」とおっしゃってくださったのも、よかったのだと思います。そうじゃなきゃ、私、まだ初めて日の浅い方たちに「やりましょう」とは自分から言わなかったと思います。

箸休め的に、散歩コースの浅川

 
 *連句については、こちらのサイトがお詳しいです。この中にある画像のように、本来は懐紙に書いて、このように折るわけです。私もさらに勉強させていただきます。
  また、芭蕉の『奥の細道』の序文の最後のところ。

 松島の月まづ心にかかりて、住める方は人に譲り、杉風が別所に移るに、

 草の戸も住み替はる代ぞ雛の家

 表八句を庵の柱に掛け置く


 とあります。この表八句が、百韻の場合の初表 なんですね!

 編集者さん、当日夜は「東大俳句会」の取材とおっしゃってました。そういった若手の句会を紹介するページに載せていただけるのですから、ふふふ。
 改めて、俳句って、楽しい。だからこれだけ長い文化もあり親しまれているのだなと感じます。そして、楽しいだけではない。勉強になるというのとはちょっと違う、脳トレともまた違う、しみじみとした疲れが心地よいです。うーんと頑張る必要もないところもいいのかも。
 自分がこうやって長く俳句をやっていて覚えたことで、他の方に楽しんでいただける一役を担えたことも、嬉しいことでした。

 長くなってしまいました。お読みいただいて、ありがとうございます。
 

秋田県高等学校の部会報にご紹介いただきました。

2019年02月13日 | 日記
 
 昨年11月に、秋田県高等学校文芸祭で講演会をさせていただきましたが、その記事の載った会報を送っていただきました。

   
生徒さん達の感想が、素晴らしくって、感激です。
 載っている一部抜粋させていただきます。

 ・自分の内なる世界を掘り下げ、見つけたものを磨いて作品としたもの」 私は書きたいものを自由に書くような作品の作り方をしていました。自分の好きなように書くのは、作者も楽しいし、伝えたいことも伝わりやすいような書き方だと思っていました。しかし、今日おおぎやなぎ先生の講演をお聞きして、それだと独りよがりで、先生の言葉をお借りするならば「手垢のついた表現」でしか描写できないということがわかりました。

 ・将来を考えた上で、文学を続けていくことに近頃不安を覚えていました。しかし、おおぎやなぎちかさんの「文学は無駄にはならない」という言葉で少し気が楽になりました。

 ・私は児童文学はかなり読んでいるほうだと思います。(中略)小さい頃は、本を開くとわくわくして自分が主人公に染まってゆく感覚に酔っていました。なぜ知識がない子供の自分が物語に深く入れたのか。それは「作者さんが掘り下げて細かいところまで磨く」ことをしてくださっていたからなんだと思いました。
 

 これからも、磨きを怠らずやらなければ。

 5月にあった文芸セミナーでの秋田在住詩人十田撓子さん(H氏賞受賞)の講演会の様子や、信州であった全国高等学校総合文化祭の様子もあり、高校生の皆さん、充実した文芸活動をされています!
 将来、作家になる方もいるかもしれないし、そうじゃなくても、感想にあったように、人生の糧になると思います。
 

予告『くもにアイロン』おおぎやなぎちか文・山村浩二絵~「こどものとも」(福音館書店)5月号ー

2019年02月06日 | 自作紹介
 福音館書店さんのHPに、2019年度の月刊誌のラインナップが出ていました。

 「こどものとも5~6才向け5月号が、「くもにアイロン」です。

 
 発売は4月だと思います。
 昨年末には初稿が刷り上がっていました。世界的な賞をたくさんご受賞されているアニメーター山村浩二さんの絵が、すばらしくって、わくわく。
 ナンセンスな世界を、見事に描いてくださいました。

 この作品は、「母のとも」という雑誌の「一日一話」に3枚童話として発表したものがベースとなっています。公募に応募しての掲載でした。
 それを「こどものとも」の編集者さんが読んでくださって、おもしろい。もっと展開すれば・・と言ってくださったのです。
 
 3枚だったときは、クリーニング屋さんのアイロンが外に飛び出して、こいのぼりにアイロンをかけ、くもにも・・・。そしてそのひらりと落ちてきたくもを、カーテンにするという展開でした。

 それを、どう変化させたか。お楽しみに。「くもにアイロン」というタイトルにしたのですから、落ちは別です(笑)。タイトルで落ちがわかっちゃ、つまんないですからね。
 
 この原稿のやりとりで、絵本のことをかなり学ばせてもいただきました。
 もともと絵本が大好きなので、これからもチャレンジしたいと思っています。

 発売が近づきましたら、またお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。

『こぶたのタミー はじめてのえんそく』かわのむつみ作・下間文恵絵(国土社)

2019年02月05日 | 本の紹介
     

 『こぶたのタミー』シリーズ3作目です。
 しりたがりのこぶたタミーは、牧場のマミちゃんが遠足に出かけるとき、「タミーはお留守番」と言われてしまいます。そんな遠足に行きたいたいタミーに、ネコのイップが「つれていってやる」と。
 
 でも、マキちゃんたち学校の子達が行く道とは違う道を通って、先回りをする・・のですが、そこは泥の道があったりと危険がいっぱい。

 タミーはもちろんですが、ネコのイップが味があります。
 幼年童話の楽しさがぎっちりつまった一冊。うん、幼年は楽しくなくっちゃ! 
 
 下間文恵さんは、『ざんねんないきもの』シリーズで大ブレイク中のイラストレーターさん。

 このシリーズも、さらに人気が出そうです。