塚本高史・主演のタイムスリップが絡むファンタジー作品。
親子の確執のような場面から始まり、最初、塚本のやや高い険悪なトーンの声に引いてしまったが、そのうちストーリーに引き込まれて最後には涙を流した。
親の人生を子供が理解し、自らも成長するという話が、父親の死期が迫っているという舞台設定の中で進行する。父親の過去の心残りを解決するミッションを負う息子がタイムスリップする。
この種の映画ではその異界への入口がどう描写されるかがポイントだ。本作の場合、画家を志していた父親のスケッチブックが鍵となる。現場を探し出しそのスケッチと見比べていると過去に入り込んでいる。
再びそこに戻るまではほんの一瞬のようだから「過去」が夢なのか、心の中の想像なのか、あるいは本当にタイムスリップしているのか、良く分からない。
ただ過去から重要な情報もキャッチしてくるので単なる夢、幻ではないようだ。
こうなりたいという夢を実現できる人生はまれだ。やり残したことを含めてどう現実と折り合いをつけるか、誰もが直面するほろ苦い思いが画面から溢れてくる。