SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「アース」

2008年02月05日 | 映画(ア行)
 イギリスBBC制作TVシリーズの特別編集版劇場公開というスタイルは前作の「ディープ・ブルー」と同じ。

 日本ではNHKでも11回シリーズで放映された。緒方拳が案内役として登場し、オリジナルとは異なる日本バージョンの趣だ。なのでこちらはNHKも共同制作となっている。

 今回の映画版はBBCオリジナルの再編集で日本語吹替え版の声は渡辺謙。NHKは影も形も見えない。96分という上映時間から考えてもTV版の80%はカットされていることになる。映画は地球温暖化防止キャンペーンのような視点から編集されている。

 シリーズの持つ「圧倒的な生命の賛歌、生の多様性」という要素は薄められ、「地球の過酷な環境変動にさらされる生命」を綴っていく。
 そのためみずみずしい地球というより、このまま汚染が続いてよいのかというトーンになってしまい「圧倒的な生命」が見えてこない。

 温暖化で氷が減少する北極のクマ、渇水で砂漠化するアフリカの象などに重点が置かれる。冒頭のシロクマを追った映像を見ていると、これで96分に収まるのだろうかと不安になるくらいだ。また「アース(地球)」という限り海も無視できずクジラやサメも出てくるが、これは「ディープ・ブルー」にも登場していた。逆に昆虫や植物の描写は皆無に近くバランスが悪い。大画面で見る映像はさすがに迫力があるものの、TVシリーズの充実感は乏しい。

 英語版オリジナルのDVD5枚組は、ネットで探すと海外からの送料を入れても40ドルをきる価格で入手できる。ただしリージョン1のディスクが再生可能ならば、だ。