SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「消えた天使」

2007年08月21日 | 映画(カ行)
 「セブン」「羊たちの沈黙」などに繋がる作品。ただ主人公が刑事ではないのが新機軸。

 刑を終えて社会に解き放たれた性犯罪者を監視する保護監察官が主人公の職業。

 18日後にその職を辞すことになっているリチャ-ド・ギアと、その後がまとして配属される新人クレア・ディーンズの実地トレーニング・デイズが描かれる。
 彼女は特別な技能があるわけでもなく、これまで職を転々としており、今回たまたまこの職を得ました、という状況なのだ。FBI捜査官ジョディ・フォスターとの違いは明快だ。

 性犯罪王国の米国では、平均すると1人の監察官は1000人の観察対象を受け持つことになるという。それは非常に地味な職業で、ひたすら監視を続け、発生した事件の捜査に当たるわけではない。もし自分の観察対象が何らかの関わりをもったことが分かると警察に応援を求めると言うのが通常のやり方だ。

 リチャード・ギアにそんな役がつとまるのだろうか?と言う心配は無用、当然のごとくその常道を逸する部分がドラマの肝なのだ。

 面白かったのは、刑を終えた一群が社会復帰のためのグループ・セラピーを行ったり、市民の安全のために彼らがどこに住んでいるかというプライバシーがネット上で公開されたりしているという事実。
 しかし、そのサイトは彼ら自身もアクセス可能で、安全性どころか逆に同じ性癖を持った仲間を求める、一種の出会い系サイトとして機能してもいるというおぞましさ。その仲間が群れるという意味の「THE FLOCK」が原題。

 「インファナル・アフェア」のアンドリュー・ラウ監督ハリウッド第1作。
 主役の二人以外は知らない役者ばかりだが逆にリアリティがあり、犯人を含む脇の配役、特別ゲストのようなアイドル歌手アヴリル・ラヴィーンの扱いなど凄い。

 特に真犯人の造形はこれまでに無いリアルな人間の闇を描き出しており、鳥肌が立つ怖さだ。これを演じる役者魂には恐れ入った。。