masumiノート

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都市部に拡大、ガソリンスタンド過疎地

2015年03月13日 | ガソリンスタンド2

都市部に拡大 過疎撤退事例 (3月13日 燃料油脂新聞「社説」より)

(一)
資源エネルギー庁、石油連盟、全石連の協力体制が整い「SS過疎地対策協議会」が発足、ようやく官民あげての対策が始まることになった。
中山間部では世帯主や若者が仕事を求めて都会へ流出、ますます過疎地が増加。
準限界集落と呼ばれる地域も増えつつある。
石油製品の安定供給システムを迅速に構築しガソリンや灯油難民を解消できるか対策協議会の責任は重い。
(二)
過疎地のSS撤退は人口減少で不採算に陥ったことが最大の理由だろう。
しかし1日平均4ヵ所の撤退例が報告される一般SSの事例も似通っている。
全国石油協会の平成26年度版「経営実態調査」(廃業を検討する245事業者)によれば、
廃業理由の1位は「粗利益減少」
2位が「販売量の減少」
3位は「施設老朽化」
以下「後継者不在」「地下タンク老朽化対応不能」「運転資金」と続く。
(三)
過疎地の撤退事例が全国に拡大している。
過疎地対策も重要に違いないが都市部の「SS過疎化」も問題だ。
東京都心のSS空洞化は知られているが、周辺にも同様の傾向が顕著だ。
小規模店は大型セルフ店に押しまくられ利幅や販売量の減少、これに後継者不在、人手不足と、廃業検討はやむを得ない面もある。
だが、一部量販店の身勝手な振る舞い、理不尽な仕切り体系、業転安・系列高の仕入れ値と
自助努力ではどうにもならない矛盾解消の遅れが廃業を促す要因である。

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前記事の“過疎地”は、高齢世帯ばかりの過疎地の、ガソリンスタンド過疎地でした。


けれど、人口の多い都市部や郊外にもガソリンスタンド過疎地は存在しています。
そしてその中では灯油難民は見えにくいのです。

都市部や郊外の、その地域に元売販社や広域量販店といった“大手”が進出していたり、
既存店でもJAや広域業者等はセルフに改装したり、或はPBになったりして安値販売を始めていたりします。
※安値販売が可能なのは仕入れ値の格差によるものです。

同一商圏内に安値店があれば、顧客も価格(売値)もそちらに引きずられる。


安値の店がない過疎地では「人口減による不採算」がガソリンスタンド廃業の明確な理由です。

都市部や郊外では地域の人口自体はあるし店舗数はあるしで、表立って問題が見えにくいのですが、
高値が敬遠されて地場店を利用する人口が減っているので、実態は過疎地のガソリンスタンドと同じなのです。

外からは見えにくいそういう事情は、1日に4軒ペースでガソリンスタンドが減少していることから推測してもらうしかないのですが・・。


そして前にも書いたように、
大口の需要家のもとには地域外の業者が3者店の系列仕入れでは不可能な安値で営業を掛けて奪っていく。
自分で車を運転して、ポリ容器を運べる人は、3者店の系列仕入れでは不可能な安値のセルフやホームセンターへ買いに行かれる。

残った小口の家庭への灯油配達を担い続けているのが地場業者なのですが、上に書いたように不採算でいつ廃業を決断してもおかしくない状況です。

地場業者が廃業した場合、ホームタンク等である程度の量がある家庭はまだ配達してくれる店が見つかると思います。
家族の中に若い人が居れば買い物も頼めるでしょう。

しかし車を持たない高齢家庭は・・・

灯油の巡回業者がありますが、全ての路地を回るとは限らないようです。
又、効率が悪い地域は巡回すること自体やめることもあるそうです。


灯油難民は過疎地だけの問題ではないのですが、果たして行政や政治家の皆さんはどこまで認知されているのでしょうね。



PS
※念の為(^^;
当店はまだ廃業予定ではありません。



灯油配達、明と暗

札幌にも灯油難民?


灯油の配達は「富山の置き薬」方式で

2015年03月13日 | ガソリンスタンド2

大分県杵築市では山間部の家庭にホームタンクを無料で設置、SSのローリーで定期的に巡回して給油する「富山の置き薬」方式(配置販売)による灯油の配達を行っている。


(3月6日 ぜんせき)

以前は5軒あったガソリンスタンドが1軒だけになり、そのガソリンスタンドに燃料を卸している特約店の社長さんが「高齢化が進んでいる過疎地では暖房用の灯油の購入に困っている方が沢山おられます。支援できないでしょうか」と県に訴え、県の「買い物弱者支援事業」に組み入れることで始まったそうです。

夫婦二人(ご主人は73才)で運営しているSS、小関石油店に負担を掛けないためには・・・・
「住民から注文があるたびに配達するのではSSの負担が大き過ぎる」「コースを決めて回ればよいが、家庭により使用量が異なる」
その話し合いの中で、自然と生まれたのが「配置販売」方式だそうです。

この灯油配達のもう1つの大きな意味。
それは小関さんが定期的に巡回配達することで、「見回りパトロール」の役割を果たすことです。

問題解決へ官民協力して (シリーズ第1~4の、第4回 連載担当は九州支局長の工藤正彦さんです)

過疎地の暮らしをどう守るかー
石油業界が動いている。
3月3日、経産省でSS過疎地対策協議会の設置について、宮沢洋一経産大臣と関正夫全石連会長、木村康石油連盟会長が意見を交わした。

木村会長は「行政、住民、自治体が知恵を出していく必要がある」と協調。
関会長も「我々小売業者にとって一番大切なことだ」とうなづいた。
宮沢大臣も「自治体自身が明確な問題意識を持って行動して頂くことが欠かせない」と答えた。


総務省が過疎地(約6万4千集落、約100万人)を対象にした調査によると、65歳以上の高齢者が50%を超える、いわゆる「限界集落」(小規模集落)は15%を超え、そのうち575集落は全員高齢者だった。
過疎地の人々を支援する施策は“待ったなし”だ。

大分県臼杵市の大田地区で、買い物弱者支援として始まった「灯油の配置販売」は、県、市の協力で地元SSと卸会社が取り組んだ先駆的な事業として注目されている。
一方で、石油業界にとっても大きな意味がある。
万一の災害時でも“独立した暖房機”の燃料として、灯油の優位性を再認識してもらうことにつながるからだ。

大分石商・協の西謙二理事長は「大田地区で始まったこの試みは1つのモデルケースとして注目されるものだ。県内各地で広がる過疎化を考えると、県や各市町村などと地元組合員との間で同様の取り組みが行われるようになれば、県内の皆さんに安心していただけるし、灯油の利便性を改めて認識してもらえることになる。石油組合として同事業の引き続きの支援を県に働き掛けていきたい」と今後の施策に期待する。


全石連の河本博隆副会長・専務理事は「SS過疎化や灯油難民という言葉は、全国で急速に広がっており、社会問題にもなっている」
これに対し全国各地で様々な取り組みが行われているが、この大分県の取り組みは、事業者が県や市、さらには地元の住民とともに最適の仕組みを考え、そして実行し、住民にも喜ばれているということで先進的なケースといえる。灯油の需要拡大にもつながるもので、全石連でも広く全国に紹介し普及に努めていきたい」と話す。

大分県の<小さな集落>の取り組みが<大きなぬくもり>となって広がることが熱望されている。

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色々な条件がプラスに作用して実現した貴重な事業ですね。
ただ小関石油ご夫妻も高齢者だということが少し心配ですが、特約店のフォローがあるようなので大丈夫なんでしょう。

全国の過疎地では早急に考えて実行に移していく必要があると思います。


そして、
過疎地ではこのように意識してもらえるからまだ良いのですが・・・

こちらも忘れないであげてほしいと思うのは、都会の灯油難民です。

過疎地の高齢者は助けてもらえるけど、都会の高齢者は・・・

つづく