日々、心のつぶやき☆

映画やフィギュアや好きな事を勝手につづっています。最近、弱気なのでダニエウ・アウヴェスのようなタフさが欲しいです。

「偽りなき者」

2014-05-16 15:22:47 | 映画・DVD・音楽・TV・本など


映画「偽りなき者」をWOWOWで観ました。
これはずっと観たいと思っていましたが、とても内容の濃いすごい作品でした。
デンマークの映画は何本も観ていますが、私にとってはナンバー1になりそう。


2012年製作。 (デンマーク)
原題は「Jagten」・・・英語では「The Hunt」、「狩り」と言うことでしょうか。
監督はトマス・ビンターベア氏。
この監督の「光の方へ」もとても良かったけど、今回はそれを超えた作品かも。
そして主演の男性ルーカスはデンマーク映画ではお馴染みのマッツ・ミケルセンです。
彼がまた巧かった。


おもな内容は・・・

親友の娘クララの作り話が原因で、変質者のレッテルを貼られてしまったルーカス(マッツ・ミケルセン)。
クララの証言以外に無実を証明できる手段がない彼は、身の潔白を説明しようとするが誰にも話を聞いてもらえず、仕事も信用も失うことになる。
周囲から向けられる憎悪と敵意が日ごとに増していく中、ルーカスは自らの無実を訴え続けるが……。


                    (シネマ・トゥデイより抜粋)


デンマークの片田舎。
勤めていた小学校が閉鎖されてしまい、今は幼稚園で子どもの世話をするルーカス。
子どもたちには人気者です。
その中でもルーカスの親友テオの娘クララにとってルーカスは大のお気に入り。

ある日、クララが作ったハート形のおもちゃを贈りルーカスの唇にキスをします。
ルーカスはやんわりと、しかし言葉を選びながら「唇にキスはだめだよ」とたしなめます。
その事がきっかけでクララは園長にある嘘をつくのですが・・・
このあたりの流れから引き込まれていきました。

クララはまだ小さい女の子だけど、その中に「女性」の部分がちゃんと存在していて、でもルーカスには
わからない。
このクララを演じる女の子の表情がまた巧過ぎでした。
ちょっとヒネた顔つきで「ルーカスが○○を見せたの。」って・・・
嘘を言う演技が巧いだけでなく、常日頃、家庭ではモメ事が多く親に放っておかれる状態で、心もちょっと不安定。
そんなクララがルーカスを慕っていたのは当然でしょうね。

クララの嘘が幼稚園や保護者達、そして警察にも伝えられ、ルーカスはあらゆる場所で非難されます。
それは離れて暮らす息子マルクスにも知らされ、父子で町中の人から攻撃されてゆくのです。
買い物に行っても「帰れ」と売ってくれなかったり、さらに哀しいのは愛犬のファニーが殺されてしまった事。
それはクララも大好きだった犬でした。

最終的には証拠不十分で釈放され、また地域の中で暮らす事ができるようになったと思ったら・・・
ラストのシーンはとても重い、これからのルーカスの人生を予想できるような終わり方でした。
「異常者」「変質者」のレッテルは一度貼られるとはがれない・・・

ルーカスは何も罪を犯しておらず、最初から最後まで顔を前に上げて生きてきました。
理不尽な目にあい、なぐられ、モノをぶつけられても、威厳を保ち耐えるルーカス。
それでも息子を守るためか、自身の尊厳のためか、クリスマスのミサに出向いて、目をそらさずに親友だったテオに初めて抗議したのです。
この地域で暮らしていかないといけない、そんな気持ちで必死だったのでしょう。

ルーカスが一番凄かったのは、嘘を言ったクララを責めなかったこと。
いつも下を見て歩くクララの「道」となって導いたルーカス。
パーティー会場の入り口で歩けなくなっていたクララを抱き上げた時はびっくりしたけど、ルーカスはクララの
これからの生き方、歩き方を支えるようでした。

まぁ、それに比べて、周りの大人は「子どもが嘘をつく訳がない!」と言い切ったり。
カウンセラーの元で誘導尋問のようにルーカスの罪を仕立てるのもぞっとしました。

確かに自分に子どもがいて、性的被害の疑いがあったら冷静な判断はできなくなるはず。
でも何もやっていないのにこんな目にあったら生きていけないですね。
村八分のような事しかできない閉鎖的な地域社会でルーカスはこれからも生きていかないといけないのです。

最後まで息つく間もない重い内容でした。
誰にでも起こり得る事、そんな中を自分を見失わず生きていくのは相当覚悟がいるでしょう。


すごい作品でした。
いろんなシーンで怖さを感じました。
重いけれど秀作です。


今回の評価は・・・     星4つ   ☆☆☆☆


クララの兄、クララにタブレットでポルノ画像を見せるな!
彼の表情にも不穏なものを感じてしまった・・・




   

   

   

   

   

   

   

      

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