日々、心のつぶやき☆

映画やフィギュアや好きな事を勝手につづっています。最近、弱気なのでダニエウ・アウヴェスのようなタフさが欲しいです。

映画 「サラの鍵」

2012-07-07 13:47:02 | 映画・DVD・音楽・TV・本など


映画「サラの鍵」をやっとDVDで観ました。
原作はすでに読んでいてずっと心に残っていた作品です。
映画の方も忠実な描写が多く、とても質の高い内容でした。
良い作品に仕上がっていて感動しました。


2010年製作のフランス映画。
タチアナ・ド・ロネの原作をジル・パケ=ブランネール監督が手掛けた作品です。
主演のクリスティン・スコット・トーマスは今までもいろんな作品を観ていますが
一番良かったかも。


おもな内容は・・・

1942年、ナチス占領下のパリ。
ユダヤ人一斉検挙によってヴェルディヴに連れてこられた人々の中に、少女サラはいた。
それから60年後。パリに暮らすアメリカ人ジャーナリストのジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は、アウシュヴィッツに送られた家族を取材するうちに、かつて自分のアパートで起こった悲劇を知ることとなる。

                               (シネマ・トゥデイより抜粋)



サラと弟のミシェルがベッドでふざけ合うシーンから始まります。
サラを演じる子役のメリュジーヌ・マヤンス、利発そうで役にピッタリでした。
フランス警察に検挙されて、とっさに弟を納戸に隠し鍵をかけるサラ。
それからサラには笑顔はずっと失われたままでした。

室内競輪場のヴェルディヴのシーン、映像では短かったけれど悲惨で劣悪な環境はよく伝わってきました。
原作でもかなり辛い場面がたくさんありました。

ヴェルディヴから違う収集所に入れられ、青年将校や農家の夫婦のおかげで生き延びるサラ。
鍵をいつも大切に握りしめ想う事は弟ミシェルの事ばかり。
そして農家の夫婦と一緒に何とかサラの自宅に行き、すでに居住者がいる部屋の納戸の鍵を開けるサラ・・・
小さな期待が残酷な事実となり、サラの心は死んでしまいます。

サラの物語と交互に描かれるジャーナリストのジュリアの物語。
幸せに暮らしていると思ったジュリアは45歳で妊娠し、二人目をずっと欲しがっていた彼女は喜んだのですが・・・
フランス人の夫は「こんな年になって子どもはいらない」ときっぱり拒絶します。
原作でも感じた、フランス人ならではの夫婦のあり方、婚姻にこだわらない考え、その他いろいろ感じたシーンです。

そして現代、パリのアパルトメントの改修工事。
偶然にもかつてこの部屋にユダヤ人一家が住んでいて収容所に送られたという事を知ります。
ジュリアがその事実を追う事で、サラという女の子を知り彼女のその後を調べていくと同時に
自分のこれからの人生と向き合うのです。

抑えた演技のジュリア、良かったです。
フランスからアメリカ、イタリアに飛び回り、サラを知る人を探そうとします。
サラの息子ウィリアムに会ったシーン、彼が怒りながら拒絶するのも納得。
失意のうちに戻ったジュリアがラストでもう一度ウィリアムに会うシーンが秀逸。
サラは息子にユダヤ人としての辛さを与えないように必死に守りとおしたのですね。
母サラの最期の真実を知ったウィリアム。
ジュリアが高齢で生んだ2歳の女の子、その名が「サラ」と知って涙ぐむウィリアム。
このシーンはとっても良かったです。
それぞれの人の人生が繋がっていく、哀しみの中にできたひとすじの光のような幸せ・・・
ウィリアムにとってもジュリアにとっても救われた真実でした。

シラク大統領が演説したヴェルディヴ事件の真実。
フランス人でも知らなかった史実がこうして原作になり映画になったのは価値があります。
フランス警察がそうするしかなかったのも戦争ならではの事。
だから余計に多くの人々に知ってほしいと思うのでしょうね。

原作を2時間足らずの映画にするには無理もありますが、「黄色い星の子供たち」のヴェルディヴの描写よりもずっとずっと伝わってきました。
映画としても充分見応えのある内容で質の高い作品でした。
原作をもう一度読みたいな。


今回の評価は・・・     星4つ    ☆☆☆☆



   

   

   

      
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