日々、心のつぶやき☆

映画やフィギュアや好きな事を勝手につづっています。最近、弱気なのでダニエウ・アウヴェスのようなタフさが欲しいです。

「わが教え子、ヒトラー」

2011-04-23 21:12:48 | 映画・DVD・音楽・TV・本など


「わが教え子、ヒトラー」をBSで観ました。
う~ん、なかなか面白い映画でした。
面白いと言ったら批判されるかもしれないナチス映画。
でも手掛けた監督がユダヤ人と言う事が一番インパクトがあり興味深いです。

2007年製作のドイツ映画。
脚本、監督をダニー・レヴィというユダヤ人。

おもな内容は・・・

敗戦が濃厚になりつつある1944年12月のドイツ。
ヒトラー(ヘルゲ・シュナイダー)は病気とうつですっかりやる気をなくし、公の場を避けて引きこもる始末だった。
そんな中、ユダヤ人の元演劇教授アドルフ・グリュンバウム(ウルリッヒ・ミューエ)は収容所から総統官邸に呼び寄せられ、ヒトラーに力強いスピーチを指導するよう命じられる。


              (シネマトゥデイより抜粋)


数多くのナチス映画を観てきたけれど、こんなにシニカルなコメディは初めてでした。
あの独裁者ヒトラーに演説を指導した人がいたと言うのは事実として聞いていましたが
まさかこんな展開の話を作るとは。

最初からやたら出てくる「ハイル、ヒトラー」の連呼と動作。
何だかおざなりに見えるのもかなり可笑しかったです。
心なんてこもってないよね。

ヒトラーに黄色?辛子色のジャージを着せちゃうのも可笑しいし、犬に乗られるシーンも最高。
でもこんなシーンでヒトラーの存在を面白おかしくさせるだけが狙いじゃないんですよね。

あの非情な独裁者ヒトラーも小さい時から父親に体罰を受け、そのトラウマを抱えたまま弱みや悩みを持った人間だったと言う事。
史実上、あのホロコーストを指示したのだから同情の余地なんてないんだけど。
でも、こんな一面を持っていたというのを表に出す事によって、改めてヒトラーに対する様々な感情を思い起こす事が一番の狙いなのかな~
とにかくユダヤ人にとってはあの大量虐殺をいつまでも忘れてほしくないのだから。


それから一番良かったのは教授役のウルリッヒ・ミューエ!
「善き人のためのソナタ」でも最高の演技を見せてくれましたが、今回もやっぱり名優ならではの演技。
ヒトラーのそばにいることでヒトラーを殺すチャンスもあったわけです。
それでも人間ヒトラーの弱みや情けなさを目にするとだんだんと気持ちが揺れてくるのです。

ヒトラーが深夜に教授の自宅を訪れて夫婦の真ん中に並んで寝るシーン!
そして教授の妻は思わず枕を押さえつけ・・・・そんな所も可笑しいながら複雑な気持ち。
最後の演説の場面はウルリッヒ・ミューエの良くとおる声でのクライマックス。
ラストの表情まで本当に惹きつけられる演技でした。

こんな名優がもう亡くなってしまったのが本当に惜しい・・・
東ドイツ生まれの彼がどんな気持ちでこの作品に取り組んでいたのだろうか。

私はまったくヒトラーには同情はしないし、この作品を作ったユダヤ人監督の狙いどおりに
可笑しい所では笑えて、このナチスの裏側では多くの犠牲になったユダヤ人がいる事を忘れないと思いました。

今回の評価は・・・    星4つ    ☆☆☆☆  (もちろんウルリッヒ・ミューエに捧げます)  

それにしてもゲッペルズやヒムラーの描写も面白かったです。
というより当時のナチスの連中はもしかしてバカだったの?





         

   

   


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