日々、心のつぶやき☆

映画やフィギュアや好きな事を勝手につづっています。最近、弱気なのでダニエウ・アウヴェスのようなタフさが欲しいです。

「光のほうへ」

2012-03-12 12:47:36 | 映画・DVD・音楽・TV・本など


「光のほうへ」をDVDで観ました。
こちらもデンマークで作られた映画です。
最近は本当にヨーロッパ映画ばかりに惹かれ、特に製作国デンマークの作品から目が離せません。

2010年製作。
監督はトマス・ヴィンターベア氏。
この作品はベルリン国際映画祭や多方面で高い評価を受けたそうです。

原題は「SUBMARINO」・・・
これは「水の中に頭を突っ込まれる拷問」を示すそうですが、彼らの救いのない「いきざま」そのものを表しているのでしょうか。
邦題の「光のほうへ」というのは、ほんの少しの希望が見えるようでめずらしく良い邦題に私は感じました。


おもな内容は・・・

愛を知らずに育ち心に深い傷を抱えたまま大人になった兄弟が、どん底の人生から再び光を見いだそうともがく人間ドラマ・・・ 

                 (シネマ・トゥデイより)

アルコール依存症の母親を持つ兄弟。
年の離れた幼い弟もいるが母親は育児放棄の状態なので兄弟が世話をする毎日だった。
盗んだミルクを与え、二人で名前もつけ洗礼の真似ごとまでしていた。
二人が身につけている服も今の悲惨な状態を窺わせる事ができるようでした。
そしてやっぱり子どもが世話することの限界から、ある日幼い弟は冷たくなって息絶えていたのです。

大人になった兄弟のそれぞれも兄ニックは暴行事件を起こし服役していたりアルコールに溺れる毎日。

弟は(確か作品中に名前の表記はなかったはず)麻薬中毒でどん底の生活だった。
弟には幼い息子マーティンがいて、彼の世話は一生懸命にしようとしていたが、どうしても麻薬の誘惑に負けてトイレにこもり薬を使う日々だった。
弟が麻薬を絶ち切れないという事が福祉課の人間にバレたら、息子マーティンは施設に入れられてしまう・・・そんな心配をしながらも薬がやめられない現実。

そんな二人が母親の死をきっかけに再会します。
兄ニックは弟の暮らしを知って、母親の遺した遺産を全て弟に譲りますが、遺産と言ってもそれほど大金ではないでしょうね。
生活の苦しい弟はそのお金を計画性もなくすぐに使い果たしてしまうのですが・・・
きちんと育てられなかったという事実は大人になってもあらゆる事に多大な影響を及ぼしてしまうのでしょう。
弟が息子マーティンを想う気持ちは愛情がいっぱいなんだけど、やっぱり生き方が間違っている。
その救いようのない暮しの中で息子マーティンの心配そうな表情もたまりませんでした。

それから刑務所の庭越しに再会する二人のやりとり・・・
兄ニックは弟が心配でマーティンの事も気がかりで仕方がなくなるのです。
そして弟は予想通りに命を落としてしまうのですが・・・

最後の教会のシーン。
負の連鎖ばかりだったニックと弟の人生。
でもニックがマーティンと並んで座る場面を見ると、そこには小さな希望や救いを確かに感じる事ができました。


実はこの作品を観たのは2週間ほど前ですが、あまりにも気持ちをやられてしまいすぐに感想を書けませんでした。
観ているのが苦しい位の重さ、哀しさ・・・
あの高福祉国デンマークの闇。
酒や麻薬に溺れる人を軽蔑するのは簡単な事で、そこに生まれる負の連鎖をどう断ち切るかが大きな問題になり続けると思います。

この兄弟も人並みに家庭を持ち仕事に励む人生を築きたいと願った事もあるでしょう。
それでもできなかったのは人間として受けられるはずの知識や教育もなく、一番大きな親の愛情も受けられなかった悲劇・・・
そんな中、兄と弟の間にはお互いに「愛」があった事がわかりました。
それは痛々しいくらいだけど・・・

やっぱりこの作品は秀作です。
とても暗いけれど、多くの人に観て欲しいな。


今回の評価は・・・    星4つ   ☆☆☆☆


   

   
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「未来を生きる君たちへ」 | トップ | 2012 四大陸選手権 アイス... »
最新の画像もっと見る

映画・DVD・音楽・TV・本など」カテゴリの最新記事