日々、心のつぶやき☆

映画やフィギュアや好きな事を勝手につづっています。最近、弱気なのでダニエウ・アウヴェスのようなタフさが欲しいです。

「BOX!」

2009-08-20 19:41:21 | 映画・DVD・音楽・TV・本など


また最高の本を読みました。
587ページという大作、「BOX!」という本です。
一言で言えば高校のアマチュアボクシングの小説なんですが、本当に一気に読みたくて、ここ数日は家でも本を抱えっぱなし。
とにかく最高に面白かったです。


大阪の下町を舞台に、ボクシングにかけては天才的な力を持つ高校生の鏑矢(かぶらや)と、運動は苦手な気弱な優等生、木樽(きたる)という二人の成長を描いた内容です。

この鏑矢の性格が本当に単純でどうしょうもなく下品で、鼻からうどんをぶらさげるシーンなんてどうしようもない!
でもボクシングはものすごく上手くて、ずば抜けた才能を持っています。
木樽とは小さいころからの親友で、お互いの友達思いのところはすごく良い。


一方、木樽は特進クラスの中でも奨学金がもらえるほどの秀才。
でも、あることがきっかけで「鏑矢のように強くなりたい」と決心しボクシング部へ入る。
最初はまったくついていけなかったトレーニングも彼の地道な努力で最後は大化け!するのですが・・・
いや~、よほどの強い意志がなければ一人でのトレーニングはできないな~。

ひょんなことからボクシング部の顧問になった若い女性教師、耀子の目から見たボクシングにたいする感情の変化もおもしろかった。
それからボクシング部の監督、沢木の存在もすごく良いです。

高校のインターハイや全国大会などの試合をからめながら、ほぼ全般がボクシングのシーンです。
あまり余計な家族の話とか、恋愛のことなどは最小限しかない。
ほとんどがボクシング、ボクシング、ボクシング!
でも内容が面白いから、どんどん引き込まれました。


同じ高校生のモンスター稲村の存在に対して、二人の挑戦がドラマチックで良かった。
ボクシング自体、爽やかなスポーツとは言いがたいし、ボクシングの怖さをところどころで感じます。
「パンチドランカー」になって恩師の事も記憶にない過去の選手の話など・・・

木樽の成長がものすごいのですが、たった一年でそこまで強くなるのはただ努力と沢木監督の教えを守ったからでしょう。
彼のボクシングには頭の良さを感じます。


それから鏑矢を育ててくれたプロのボクシングジムの曽我部という存在も大きかったな。
それ以外にも登場人物がみんな中身が濃くて、おもしろい。
何だか涙が出そうなシーンも数々あって、本当に読後感が良かったです。



さて、ボクシングという競技をみんなそれぞれ感じ方が違うと思います。
私は具志堅用高選手(古っ!!)の試合は好きでした。

その後、時々TVでタイトルマッチを観ましたが、苦手な選手が多くなり
あまり好きにはなれなくなりました。
最近は長谷川穂積選手のボクシングと人柄と笑顔が好きで彼の試合は応援しています。

でも、やっぱり私の周りの印象は・・・
「ボクシング?野蛮だよね」
ひどい時は「バカなスポーツだよ」という人も・・・
この小説の耀子のように最初の印象はそんなものでしょうね。

実は・・・今、自分の息子がボクシングのジムに通っているのです。
まだ、ただの練習生だからたいした事を言えませんが、すごく楽しい様子。
自分でウォーミングアップをして縄跳びやシャドー、サンドバッグをたたき
マスをやるなど。
本当にボクシングが好きな様々な年代の人が集まるジムで、息子は何を得ようとしているのか。
自分自身の内面の強さが養えればいいな・・・と思っています。

でも、今回この「BOX!」を読んで、もしもボクシング部のある高校に行きたいと言われたらどうしようか?
そんな高校自体すごく少ない地域なんですが。
特殊なスポーツだからこそ、本当の根性がなければ中途半端になってしまうだろう。
息子にそこまでの気持ちがあるのかわかりませんが、親として子どもがボクシングを選ぶ時には複雑な気持ちがあるのも現実です。

以前、TV番組で元プロボクサー竹原慎二さん(日本人初の世界ミドル級王座獲得)のことをやっていました。
その時に竹原さんのお母さんが出演されて話していた時に急に涙を流すシーンを見たのです。
(広島の自営されている焼肉店で)

お母さんは息子さんがボクシングをやっている時にいろいろつらいことを周りから言われたようです。
「ボクシングなんてやらせて!」とか、それはもうたくさん言われたそうです。
その時は何とか耐えたようですが、今、息子さんが立派になった時に思い出すと涙が出るとか・・・
その表情を見たときに親でしかわからない気持ちを私は強く共感したのです。

ボクシングは不良のスポーツ!と言う認識が強いのも事実です。
そんな中、この小説に出会えて、いろいろ考えることもありました。
生半可な気持ちではできない格闘技なんですよね。



「BOX!」 (動詞)・・・ボクシングをする!

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