報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤早苗の正体……?」

2023-05-26 21:22:35 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月24日12時06分 天候:曇 東京都中央区日本橋浜町 都営地下鉄浜町駅]

 

〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。はまちょう、浜町。明治座前〕

 ……何も起こらなかった。
 私達を乗せた電車は、無事に浜町駅に到着した。
 とにかく、電車を降りる。
 浜町駅はカーブの途中にあるので、ホームもカーブしている。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 電車は短い発車メロディを鳴らした後、ドアを閉めて発車して行った。
 そして、カーブの先のトンネルの向こうへと消えて行く。
 私達はエスカレーターで、改札口を目指した。

 愛原「あっ、善場主任……」

 改札口の前には、善場主任が立っていた。

 善場「お疲れ様です。愛原所長」
 愛原「お疲れ様です」

 善場主任は絵恋と早苗を、険しい顔で見比べた。

 我那覇絵恋「な、何ですか?」
 善場「ふーむ……。相当、特異菌に感染しているようね」
 絵恋「特異菌?」
 リサ「エレンも適合者。だから、モールデッドにはならない?」
 善場「さて、どうかしら……」

 そして、善場主任は早苗を見た。

 善場「あなたが、斉藤早苗さんね?それとも……白井伝三郎と呼んだ方がいいのかしら?」

 いきなりの主任の発言に、私と高橋、リサは息を呑んだ。

 絵恋「白井?誰ですか?」
 早苗「誰ですか、それ?」
 善場「ほお……そう来るわけね」
 早苗「私は斉藤早苗ですよ」
 善場「まあいいわ。後で調べれば分かることだから。それより、お腹空いたでしょ?この近くのファミレスに行きましょう」
 リサ「おー!善場さんの奢り!」
 愛原「こら、リサ!」
 善場「ウィルス検査を呼び掛けたのは、私ですから、私が持ちますよ。このコ達だけですけど……」
 愛原「ですよね」
 高橋「おい、そりゃ無ェぜ、姉ちゃん!」
 善場「……次の検察庁からの呼び出し、いつになるかしら?確か、起訴猶予でしたっけ?不起訴ではなく、起訴猶予ですよね?」
 高橋「くっ……くくっ……!」
 愛原「高橋、ここは逆らうな。オマエを起訴じゃなく、起訴猶予にできる力を持っている機関の方だぞ?」
 リサ「先生の命令は絶対!」
 愛原「というわけで善場主任、私と高橋の分は自分達で出しますから」
 善場「所長は御理解が早く、助かります」

 食事代の件といい、ここからは善場主任がルールになるから、私達はそれに従うべきである。

[同日13時15分 天候:晴 中央区日本橋浜町 某クリニック]

 私達は近くのファミレスで昼食を取った。
 リサのヤツ、昼食だというのにステーキを注文しやがった。
 ただまあ、善場主任にとっては想定内だったようだ。
 私と高橋は、チキンステーキやハンバーグにしておいたが。
 意外なのは、斉藤早苗さんも同じステーキを注文したこと。
 そして、善場主任の言葉……。

 善場「ちょっと、口の中を見せてくれる?」

 と、早苗に迫った。

 早苗「はい」

 早苗はパカッと口を開けた。
 すると!

 リサ「牙が生えてる!?」
 善場「やっぱり!」
 愛原「キミも鬼か!?」

 しかし、早苗は動じない。

 早苗「ただの生まれつきですよ。この通り、歯並びが悪いんです」
 高橋「歯並びの問題じゃねーだろ……」
 善場「あくまでも、シラを切るつもりね」

 そういうやり取りがあった昼食だった。

 リサ「着替えた」

 3人の少女は、検査着に着替えた。
 ピンク色の検査着だった。

 善場「愛原所長方は、適当にお待ち頂いて結構です」
 愛原「はあ……」
 高橋「俺、一服してきます」
 愛原「俺も行こう」
 高橋「マジっスか?」
 愛原「ああ」
 リサ「えー……先生、行っちゃうの?」
 愛原「同じフロアに、喫煙所や自販機コーナーがあるから、そこに行くだけだよ。一服し終わったら、また戻って来るよ」
 レントゲン技師「愛原リサさん。お入りください」
 リサ「は、はい!」
 愛原「ほら、言っといで」

 私はレントゲン室にリサを送ると、一旦クリニックを出た。
 そして、同じフロアにあるリフレッシュルームに向かった。
 このフロアには他に共用設備として給湯室の他、クリニック内にあるものとは別にトイレがある。

 愛原「喫煙室、他に誰かいるか?」
 高橋「今のところ、いませんね」

 恐らく、昼休みが終わって間もないからだろう。
 私と高橋は自販機で飲み物を買うと、喫煙室に入った。
 高橋はすぐにタバコを取り出して火を点ける。

 高橋「大丈夫スか?」
 愛原「ああ、何とか。それより、あいつらのことだ」
 高橋「そうですね。ぶっちゃけ、リサは検査しなくていいんじゃないスか?」
 愛原「まあ、リサに関してはついでみたいなこところがあるな。俺が気になるのは、早苗の態度だ。まるで、何もかも想定内といった感じに余裕しゃくしゃくって感じだ」
 高橋「そうっスね」
 愛原「牙のこともそうだし……。それに、早苗のヤツはリサと違って本当に人食いしている可能性がある」
 高橋「マジっスか!?」
 愛原「リサが言ってたんだ。『人食いをしないと出ない体臭がする』って」
 高橋「あのリサが言うくらいですから、もしかすると……」
 愛原「なー?もしかしたら、この検査で何か分かるかもしれんが、分からないかもしれない」
 高橋「がっつり検査するのに!?」
 愛原「そう」
 高橋「そんなことができるんスか?」
 愛原「知らん。普通はできないはずなんだけどな。でも、あの態度を見ていると、検査すら誤魔化せる。そんな気がするんだよ」

 その時、別の喫煙者が入室してきた。

 愛原「じゃ、俺は外で待ってるから」
 高橋「はい」

 私は缶コーヒー片手に、喫煙室の外に出た。
 そして、自販機コーナーの前にあるベンチに座って高橋を待つことにした。
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“私立探偵 愛原学” 「西へ向かう探偵達」

2023-05-26 16:51:18 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月24日11時25分 天候:曇 千葉県市川市八幡 京成電鉄京成八幡駅]

〔「まもなく八幡、八幡です。お出口は、右側です。都営地下鉄新宿線は、お乗り換えです。八幡の次は、高砂に止まります。菅野、市川真間、国府台、江戸川、小岩には止まりません。今度の普通、上野行きは降りたホーム1番線から、28分の発車です」〕

 私達を乗せた特急電車は、ダイヤ通りに運行していた。
 成田空港発車時はガラガラだった電車も、今は賑わっている。
 また、降っていた雨も、都内に近づく度に弱くなり、今は止んでいるようだった。

〔「ご乗車ありがとうございました。八幡、八幡です。1番線は特急、上野行きです。高砂、青砥、日暮里、終点上野の順に止まります」〕

 私達は電車を降りた。

 愛原「本当に1時間弱だった」
 高橋「早いんだか、遅いんだか……」
 愛原「通勤電車の中では、早い方だよ。次は都営新宿線ね」
 高橋「うス」

 ここで私は乗車車両を間違えたことに気づく。
 大きいミスではないのだが、エスカレーターやエレベーターはホームの後ろ寄りにあるということ。
 先頭車から向かうと、階段が最も近い。
 私と高橋、リサの3人だけならそれでも良いのだが、大きなキャリーバッグを持っている我那覇絵恋さんと斉藤早苗さんはキツいだろう。

 高橋「ほれほれw 頑張って登れやw」
 愛原「高橋……」
 我那覇絵恋「こンのー……!!」
 リサ「ん」

 代わりにリサが、ヒョイと絵恋さんのバッグを片手で持ち上げた。
 さすがは鬼型BOW。

 絵恋「り、リサさん!?持ってくれるの?」
 リサ「こんなん軽い」
 絵恋「も、萌えぇぇぇぇっ!!」
 高橋「あーあー、うるせぇレズガキだ」

 尚、斉藤早苗さんは軽々というわけではないが、それでも1人で自分のキャリーバッグを持ち上げていた。

[同日11時41分 天候:曇 同地区 都営地下鉄本八幡駅→都営新宿線1173K電車最後尾車]

 

 京成八幡駅と地下鉄本八幡駅は隣り合っている。
 連絡通路を行けば、基本的に雨が降っても傘は殆ど必要無い。
 地下鉄構内に入った後で……。

 斉藤早苗「キップ買ってきます」

 京成線に乗る時もそうだったが、彼女はICカードを持っていないようである。
 絵恋さんは元々埼玉に実家があった関係で、Suicaを持っている。
 確かに沖縄在住では、交通系ICカードを持つ機会は少ないか。
 沖縄県内で使用されているオリジナルのICカード、『OKICA(オキカ)』はある。
 沖縄都市モノレールや県内の路線バスなどで使用できるICカードだ。
 しかしながら、そのカードは県外は使えない。

 愛原「早苗さんもPasmoにしたら?」
 早苗「今は結構です」
 愛原「そ、そう?」

 早苗さんだけ紙のキップを購入する。

 愛原「それじゃ、行くか」

 ホームに向かうと、京王の電車がホームに停車していた。
 車両は“京王ライナー”にも使用されるものではなく、前々から運用に就いていた通勤電車タイプである。
 今度は、最後尾の車両に乗った。
 都営の車両は緑色が目立つが、京王のはローズピンクのシート柄が目立つ。
 始発駅ということもあり、私達は再び座席に腰かけた。

〔この電車は、各駅停車、新宿行きです〕

 電車に乗り込んでから、私は再び善場主任にメールを送った。

 善場「順調のようですね。ですが、油断大敵です。鉄道におけるバイオテロ並びに、その鎮圧活動報告はBSAAに限らず、アメリカのシークレットサービスにもあるほどです」

 とのことだ。
 まるで、この電車でバイオテロが起こると予言しているかのような返信だが……。

 善場「もしも予定通りなら、浜町駅にはお昼頃の到着ですね。私も昼食の御相伴に預からせて頂きます」

 とのことだった。

 愛原「おい、キミ達。どうやら、善場主任が昼食を御馳走してくれるかもしれないぞ?」
 リサ「おー!」
 高橋「さすがは姉ちゃん、太っ腹だぜ」
 愛原「こらこら。喜ぶのはまだ早いぞ」

〔「お待たせ致しました。11時41分発、各駅停車の新宿行き、まもなく発車致します」〕

 発車の時刻になり、ホームに発車ベルが鳴り響く。
 また、車両からの発車メロディも流れた。

〔「2番線から各駅停車、新宿行き、発車致します」〕

 ピンポンピンポンとドアチャイムが鳴るが、あまりボリュームは大きくない。
 むしろ代わりにホームドアの方のチャイムが大きく、それにかき消される感がある。
 ドアが閉まると、乗務員室から車掌の発車合図のブザー音が聞こえてくる。
 それからエアの抜ける音がして、電車はインバータの音を響かせて走り出した。

〔都営新宿線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、各駅停車、新宿行きです。次は篠崎、篠崎です。一部、電車とホームの間が広く空いておりますので、足元にご注意ください〕

 地下鉄の場合、末端部は地上区間になっている場合があるが、都営新宿線ではそのようなことはない。
 東大島~大島間に一部地上区間があるだけである。
 電車は殆どの座席が埋まっているといった感じで、まだ立っている乗客はいない。
 リサは絵恋に話し掛けられては、それに受け答えするといった感じだった。
 早苗はスマホを取り出し、それで何か操作している。
 善場主任は恐らく、早苗が何かしないか警戒しているのだろう。
 しかし、特にそのような感じはしなかった。
 因みに昨日は制服のような服を着ていたように見えたが、どうやら違うらしい。
 コートを上に着ていたので、私が見間違えたようだ。
 それでもプリーツスカートを穿いているのには違いない。
 だから、制服のスカートと見間違えたのだろう。
 顔は似ていないが、リサとは雰囲気は似ている。
 もしも早苗が日本版リサ・トレヴァーの何番だと言われたら、信じてしまいそうなほどだ。

 愛原「高橋。善場主任は、バイオテロに警戒するようにとのことだ」
 高橋「了解っス。マグナムなら持って来ています」
 愛原「そうか」

 電車は長い地下鉄のトンネルを突き進んだ。
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“私立探偵 愛原学” 「成田から東京へ」

2023-05-25 21:16:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月24日10時5分 天候:雨 千葉県成田市三里塚 成田国際空港第1ターミナル]

 
(撮影した時間は異なるが、成田空港第1ターミナルのホテル送迎バス乗降場)

 降りしきる雨の中、私達を乗せた送迎バスは成田空港第1ターミナルのバス乗り場に到着した。
 観光バスタイプと違い、路線バスタイプなので、中扉からも乗降できる。
 1泊分の荷物しか無い私達は手荷物程度のものだが、沖縄から来て何泊もする絵恋さん達は大きなキャリーバッグである。
 それはバス車内の荷物置き場に置かれていた。

 アメリカ人旅行客「【運転してくれてありがとう!御礼に1ドルやるよ!受け取ってくれ!】」(と、英語で言っている)
 運転手「あっ、お客様!日本ではチップは要りませんよ~!大丈夫です!お気遣い、感謝致します」
 我那覇絵恋「アメリカのシャトルバスの運転手は、運転乱暴、接客適当でもチップを要求してくるのにねぇ……」
 愛原「お国柄の違いだろう」

 尚、当のアメリカでもチップのやり取りを煩わしく感じる向きはあるらしく、廃止の方向に動いている地域もあるそうな。
 但し、それとて賛否両論であり、如何ともしがたいのが実情のようだ。
 差別の国でもあるので、同じ仕事をしても、白人男性はチップを弾まれるのに対し、黒人やアジア系などはチップすら出してもらえないとか……。
 車道には屋根が無いので、雨を避けながらターミナルの中へと入った。

 愛原「まずは京成線で京成八幡まで行って、そこから都営新宿線に乗り換える。それで浜町まで行くという予定だよ」
 リサ「妥当だと思う」
 高橋「先生の御命令は絶対」
 愛原「てか、命令じゃねーよ」

[同日10時28分 天候:雨 同地区 京成電鉄成田空港駅→京成本線10A06電車先頭車内]

 成田空港駅はJRと京成が共同使用している。
 もちろん改札口やホームはそれぞれ専用であるが、ホームは隣り合っている。

 
(京成本線ホーム。京成成田スカイアクセス線とは別のホームである。尚、ダイヤ改正前の写真である為、ホームの発車標の時刻は現在とは異なる。10時48分発の特別快速、上野行きは現在……ん?特快?京成線に特快なんて種別あったっけ?……って、これ中国語じゃん!紛らわしいんじゃ、ボケ!!漢字は日本語だけでいいだろが!……失礼。中国語では特快だが、日本語では『特急』である。公明党の議員が国土交通大臣になったせいで、全く……)

 愛原「何か、頭上がうるさいな」
 高橋「作者がまた何か騒いでるんですよ」
 愛原「ふむ……」
 リサ「先生、この電車に乗るの?」
 愛原「そう」

 

 ホームには既に8両編成の電車が停車していた。
 あまり賑わいを見せていないのは、どうしても京成スカイライナーや成田スカイアクセス線の方に客が流れるからだろう。
 もちろんこれでも、都内に近づけば近づくほど客は増えて行く予定である。
 私達は先頭車に乗り込んだ。

 

 乗務員室後ろにも座席はあるが、2人掛けなので、そこには座れない。
 長い方の座席に座った。

〔「この電車は10時28分発、京成本線回り、特急、上野行きです。成田スカイアクセス線ではございませんので、ご注意ください。途中の停車駅は空港第2ビル、成田、公津の杜、宗吾参道、酒々井、大佐倉、佐倉、勝田台、八千代台、津田沼、船橋、八幡、高砂、青砥、日暮里、終点上野の順に止まります。途中の成田で快速、都営浅草線直通、西馬込行きに。津田沼で普通、上野行きに。高砂で普通、上野行きにお乗り換えできます。京成本線経由、特急、上野行きです。まもなく発車致します。ご乗車になりまして、お待ちください」〕

 発車間際になっても、あまり客は増えない。
 羽田空港とは偉い違いだ。
 もっとも、羽田空港は他の鉄道がモノレールしか無いというのもあるが。

〔♪♪♪♪。まもなく2番線から、京成本線経由、特急、上野行きが発車致します〕

 JR線側と違い、京成線側は普通の発車ベルが流れる。
 そして、ドアが閉まった。
 駆け込み乗車は無かったか、再開閉することは無い。
 そして、運転室から発車合図のブザーが聞こえてきたかと思うと、ハンドルを操作する音が聞こえてくる。
 それから、エアの抜ける音がして、電車が走り出した。
 地下トンネル内にインバータ制御のモーター音が響く。

〔京成電鉄をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、京成本線経由、特急、上野行きです。次は空港第2ビル(成田第2・第3ターミナル)、空港第2ビル(成田第2・第3ターミナル)です。お出口は、右側です〕

 発車すると車内に自動放送が流れる。
 東京メトロの車内放送の声優さんと同じ人かもしれない。

 リサ「ねぇ、先生」
 愛原「何だ?通勤電車にトイレは無いぞ?」
 リサ「そうじゃなくて、浜町までどのくらい掛かる?」
 愛原「八幡まで軽く1時間弱掛かるからな。それから乗り換えたりすると、1時間半くらいにはなるだろ」
 リサ「お昼ご飯は?」
 愛原「もう昼飯の算段かよw」
 高橋「人食い鬼が」
 斉藤早苗「!」

 高橋は当然リサに言ったのだが、何故かその言葉に斉藤早苗が反応した。
 私はそれに気づかないフリをした。

 愛原「善場主任に今、電車に乗ったってメールしたら、検査は午後からだって言ってたよ。で、昼飯は適当に食べて来てくれって」
 高橋「何スか、それ。姉ちゃん奢ってくれよって感じっスね」
 愛原「こらこら。……とはいうものの、もしかしたら主任、その辺も考えてくれるかもしれないから、追って指示を待とう」
 高橋「分かりました」
 愛原「そういうオマエはオマエで、何だかスマホがフル稼働しているようだが?」
 我那覇絵恋「さっきからLINEの着信音がうるさいのよ」
 愛原「着信音は切っとけよ」
 高橋「あ、はい。サーセン」
 愛原「何だぁ?昔の族仲間から、『クリスマス暴走開催のお知らせ』かぁ?」
 高橋「い、いや、そっちの方がまだマシっスよ」
 愛原「は?」
 高橋「あ、い、いえ、何でも……。も、もちろん、2度と暴走行為なんてしないっスよぉ……ハハハ……」
 絵恋「何か怪しいわねぇ……」
 高橋「うるせっ!」
 リサ「先生、クリスマス・イブだよ。クリスマスパーティーやらないの?」
 愛原「オマエ達のウィルス検査の結果が分からなかったら、どうにもならないさ。ヘタすりゃキミ達、全員藤野送りだで?」
 リサ「ええーっ!」
 絵恋「ええーっ!」
 早苗「藤野……?」
 リサ「やだァ!」
 絵恋「で、でも、リサさんと一緒だったら、別にいいかも……」

 絵恋さんだけまんざらでもないもよう。
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“私立探偵 愛原学” 「愛原の夢、成田の朝」 2

2023-05-23 20:28:52 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月24日08時15分 天候:雨 千葉県成田市取香 ホテル東横イン成田空港新館1階ロビー(朝食会場)]

 愛原「超高層ビルの屋上から、白井が落ちる夢だ。そこには私と高橋とリサの他、別の夢の中に出てきた登場人物と、その関係者らしき者もいた」
 高橋「その登場人物は、俺と先生が昔見た埼京線の幽霊電車で会った、芸能事務所の社長でしたね?」
 愛原「そうだ」
 斉藤早苗「……それでしたら、私のは少し違いますね」
 愛原「えっ、違う?!」
 早苗「私の場合は、魔女のような人物が何人かいました。1人は男でしたが、あとは金髪や黒髪の白人でした。全員、黒や緑のローブを羽織って、フードを被っていました」
 愛原「ありゃ?そこが全然違う。俺の場合はその社長さん以外に、何だか人間そっくりのロボットが登場したぞ?」
 高橋「ロックマンみたいなヤツですか?」
 愛原「そう、だな……。強いて言うなら、確かにその世界線で登場しそうな……」

 私は首を傾げた。

 愛原「ロックマンもそうだし、鉄腕アトムにも登場するかもしれん」
 高橋「何だかSFっスねぇ……」
 愛原「そうだな。早苗さんの場合は、ファンタジーか……」
 早苗「そうですね」
 愛原「だが、夜の超高層ビルの屋上から何故か白井が落ちそうになっていて、俺達が駆け付けたら落ちたんだ。落ちたというか、落とされたって感じだな。そのロボットに」
 早苗「私の場合は、金髪の魔女に雷を落とされて、そのショックで落ちたって感じです」
 高橋「ライディーンかよw 『魔法使い』じゃなくて、『勇者』が唱える呪文だぜ?」
 愛原「いや、分からんぞ。サンダガとかサンダラかもしれないだろ?それなら、魔道士が使えるで?」
 高橋「さ、さすが先生。FF派でしたか」
 愛原「今はスクエニなんだから、どっちでもいいだろうが」
 高橋「いや、ちょっとそれは……」
 愛原「カプコン製のヘリは墜落してナンボと言われているが、スクエニ製も大概だぞ?」
 高橋「た、確かに。FFⅦリメイクのヘリとか……」
 リサ「先生、それより早く朝ごはん食べたい」
 愛原「おっ、そうだったな。とにかく、食べながら話そう」

 私達は朝食を取ることにした。
 このホテルでも、朝食はバイキング方式となっている。
 予想通り、リサは皿に山盛りに料理を盛っていた。

 我那覇絵恋「さすがはリサさん!とってもワイルド~
 リサ「いえい
 愛原「はい、撮るよ~」

 私は手持ちのデジカメで、3人の少女を撮影した。

 絵恋「先生、先生!私のスマホでも、リサさんとのツーショット撮ってくださーい!」
 愛原「はいはい」
 高橋「何気に友達を1人シレッとハブるんじゃねーよ。これだから女は……」
 早苗「いえ、いいんですよ。『魔王様』は特別ですから」
 愛原「早苗さんは優しいねぇ」

 私は絵恋さんのスマホで、リサと絵恋さんのツーショットを撮影した。

 愛原「はい、撮ったよ」
 絵恋「ありがとうございます!……消毒消毒」
 高橋「おい、先生に頼んでおきながら、あからさまに消毒してんじゃねー!」
 愛原「まあまあ。コロナ禍なんだから、これくらい当然だよ」
 高橋「は、はあ……」
 早苗「それより愛原先生。昨夜は、魔王様と『お楽しみ』だったんですか?」
 愛原「ええっ!?」
 絵恋「ええーっ!?」
 高橋「やっぱり?!」
 リサ「先生と『楽しみ』たかったんだけど、先生すぐ寝ちゃったんだよ~」
 絵恋「なーんだ……」
 高橋「先生!次は俺を御指名くださいね?!」
 愛原「それは……どうだろう?」

 何気にバイセクシャルの高橋と一緒に寝るより、リサと一緒に寝た方が今は逆に安全かもと思うようになった。
 前者は私の(違う意味で)貞操の危機、後者は(本当の意味で)貞操の危機&命の危機がある。
 だが、それでも何故か今は、後者の方が安全なような気がしてしまうのだ。

[同日09時45分 天候:雨 同ホテル・エントランス車寄せ→送迎バス車内]

 
(撮影した時間は異なるが、愛原達が乗車した送迎バス。復路は一般路線バス型)

 朝食の後、少しゆっくりした後で、ホテルをチェックアウトした。
 取りあえず、まずは一旦空港に戻ることにする。
 空港の地下から京成線に乗って、都内を目指す感じである。
 エントランスで待っていたのは、一般の路線バスと同じ車種であった。
 都営バスと同じ、ノンステップバスである。
 これでは大きな荷物を積む荷物室が無いだろうと思ったが、乗り込んでそれが分かる。
 前扉と中扉の間。
 通常、優先席が設置されている場所にそれはあった。
 座席は撤去され、その代わり、荷物を置く棚が設置されている。
 まともに座れるのは、反対側の1人席と中扉から後ろの席であった。
 それとて恐らく、車椅子の乗客が来たら、座席が折り畳まれるのだろう。
 今回はそういった客はいなかった。
 再び私達は、1番後ろの座席に横並びに座った。
 もっと早い時間帯は混雑するというから、座席は満席になり、吊り革に掴まる乗客とかも出て来るのだろう。

 運転手「それでは出発しまーす!」

 ピークは過ぎているものの、それでも殆どの座席に乗客が座っている状態であり、ほぼ満席と言える。
 やはり、もっと早い時間帯は吊り革に掴まる客も出るだろうな。
 発車の時間になり、バスはホテルを出発した。

 高橋「どこまで乗って行くんスか?」
 愛原「第1だな。そこだと、京成線の始発駅だ」
 高橋「なるほど」

 相変わらず雨は降っており、大きなフロントガラスの上を、大きなワイパーブレードが左右に動いている。

 斉藤早苗「アメリカのラクーン市のバイオハザード事件の時、天気は雨だったそうです。霧生市も雨でしたか?」
 愛原「俺達は何日かいたが、雨の日もあったな。ずっと雨ではなかったよ。どうしてだ?」
 早苗「いえ……。愛原先生が霧生市から生還された『英雄』だと聞いていたものですから」
 高橋「分かってんじゃねーか」
 リサ「うん。先生はわたしの『英雄』だと思う」

 リサはそう言って、隣に座る私の腕にしがみ付いた。

 絵恋「ちょっ……!リサさん!私も!私もギュッってして!」
 リサ「ん」

 リサはもう片方の手で、絵恋の腕を組んだ。

 絵恋「も、萌えぇえぇぇえっ!」
 リサ「おー!久しぶりの萌え声」
 高橋「うるせーだけだ」
 早苗「フフフ……」

 私は早苗がどうして、先ほどの質問をしてきたのか分からなかった。
 少なくとも、このバスにウィルスばら撒くというわけではないようだが……。
 そ、そういえば昔、どこかの国の空港でもウィルスがばら撒かれて、ゾンビターミナルになったことがあったんだっけ……。
 だ、大丈夫だろうな?
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“私立探偵 愛原学” 「愛原の夢、成田の朝」

2023-05-22 20:17:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[期日不明 時刻不明(夜間) 天候:晴または曇 場所不明(但し、何がしかの超高層ビルの屋上)]

 ???「おーい!おーい!助けてくれー……」
 愛原「!?」

 私はどこか豪勢な部屋にいた。
 まるで超高級ホテルのスイートルームみたいな部屋……いや、違うな。
 どこかの国の大統領の執務室のような部屋と言った方が良いか?
 とにかく、何故か私はその部屋にいた。
 私だけではない。
 近くには高橋とリサもいた。

 高橋「先生!外から、誰かの助けを呼ぶ声がします!」
 愛原「ああ。行ってみよう」

 どうやら部屋の外はテラスになっているようだった。

 愛原「ああっ!?」

 テラスの向こうには、何故か墜落して炎上しているヘリコプターがあった。
 そのヘリのボディには、見たことがないロゴマークが描かれている。
 そのテラスの縁に建っている鉄柵の一部が壊れており、そこから助けを求める声と、そこに座り込む誰かの姿があった。

 ???「助けてくれ……」
 敷島「無様だな。そろそろ年貢の納め時だ」

 誰だ?
 近づいてみると、屋上の縁に座って下を覗き込んでいる男と、そこに掴まって今にも落ちそうになっている男がいた。
 落ちそうになっているのは……。

 愛原「白井だ!」
 敷島「年貢を納めてもらおうか?」

 縁に立っている男……。
 どこかで見たことあるような……?

 白井「だ、脱税した法人税なら、ちゃんと払うから!だ、だから、頼む!助けてくれ!」
 愛原「あいつ!法人税の脱税までしてたのか!?」
 高橋「社長でもないのに?!」
 敷島「節税くらいにしとけば良かったんだよ。それくらいなら、社長やってる俺だってやってる」
 愛原「思い出した!あの人、昔、埼京線の幽霊電車で会った人だ!」
 高橋「ああっ!」
 リサ「え???」
 愛原「リサが来る前の話だから、オマエは知らんだろう。ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 私は昔の埼京線の幽霊電車で会った人……確か、名前を……どこかの芸能プロダクションの社長だとか言ってた……。
 確か、名前が……敷島!
 下の名前は忘れたが、敷島さんという人だ!

 愛原「待ってくれ!」

 私が敷島社長に駆け寄ろうとした時だった。

 愛原「うわっ!」

 私の行く手に、マシンガンが掃射された。

 愛原「な、何だ!?」

 上空を見上げると、そこには……。

 シンディ「邪魔はさせないよ。さあ、さっさと戻りな!」

 金髪の長い髪をポニーテールにし、両足からジェットエンジンを吹かして飛んでいる女の姿があった。

 高橋「あ、ありゃ、ロボットか!?」
 愛原「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺達は、そこの白井に用が……」

 と、その時だった。

 白井「ぎゃああああっ!!」

 別の場所から銃声の音がした。
 銃声からしてショットガンだ。
 白井はそれに被弾した。

 エミリー「シンディ。まだるっこしいぞ。さっさと撃て」
 シンディ「姉さんこそ、気が早いのよ」

 今度は赤い髪をショートボブにした女が空を飛び、右手をショットガンの形にしていた。

 白井「ぎゃあああああああっ!!」

 白井は超高層ビルの屋上から、真っ逆さまに落ちて行った。

[12月24日07時00分 天候:雨 千葉県成田市取香 ホテル東横イン成田空港新館9階客室]

 愛原「白井ぃーっ!」

 私はそこで目が覚めた。

 愛原「ゆ……夢……!?」
 リサ「先生……?」

 と、同時に枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす。
 私は手を伸ばしてアラームを止めた。

 愛原「うーん……」
 リサ「先生、おはよ」
 愛原「ああ、おはよう」

 リサは隣のベッドで寝ていた。
 さすがに夜中、私のベッドに潜り込んでくることはなかった。
 あれだけ昨夜、強く言っておいたからだな。

 リサ「どうしたの?悪い夢でも見た?」
 愛原「そうかもしれんな。とにかく、起きよう……」
 リサ「わたし、トイレだけ先に行くから、その後で先生、顔洗ってきて」
 愛原「リサはどうするんだ?」
 リサ「わたしはシャワーを使う。寝汗かいたから」

 微かにだが、リサの体からは体臭がした。
 これは恐らくこいつ、昨夜はオナニーでもしたのかもしれない。

 愛原「そうかよ」

 私が頷くと……。

 リサ「んしょっと」

 リサは着ていたホテルのナイトウェアを脱ぎ捨てた。
 その下は黒いスポブラと、同じメーカーのショーツを穿いている。
 その後で、バスルームに入った。
 それにしても、変な夢だった。
 埼京線の幽霊電車での出来事ですら、何らかの夢のような話だったというのに、今回もそうだった。
 どこかで、別世界とリンクしているのだろうか。
 そうだ。
 今の夢、私以外に高橋やリサも登場していた。
 この2人は同じ夢を見たのだろうか?
 トイレの水が流れる音がして、リサが出てきた。

 リサ「お待たせ」
 愛原「なあ、リサ」
 リサ「ん?」
 愛原「リサは昨夜、変な夢を見たりはしなかったか?」
 リサ「ううん。特に見てない」
 愛原「そうか……」

 あとは高橋に聞いてみたいが、もしかしたら、高橋も見ていないかもな。

[同日08時00分 天候:雨 同ホテル1階ロビー(朝食会場)]

 朝食会場は賑わっていた。
 しかしながらピークなのは、朝食開始時間から7時台までであるという。
 送迎バスも、7時台から8時台が最も混雑するのだそうだ。

 高橋「えっ?昨夜、変な夢っスか?」
 愛原「そうだ」
 高橋「先生と【イチャイチャ】【ラブラブ】する夢だったら見ましたけど……」
 愛原「あー、そういのいいから」

 こういうこともあるから、却ってリサと同じ部屋の方が安全かもしれない。
 尚、夢の中に登場しなかった我那覇絵恋さんや斉藤早苗は対象外とする。
 ……のだが!

 斉藤早苗「変な夢でしたら、私、見ましたよ」
 愛原「えっ?夜の超高層ビルの屋上が舞台だぞ?」
 早苗「そうです。その屋上から落ちそうな人がいましたね」
 愛原「ええーっ!?」

 何で斉藤早苗が私と同じ夢を見てるんだ!?
コメント
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