報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「東京中央学園上野高校文化祭」 当日の昼

2023-03-29 21:03:08 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月3日12時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校1階・保健室]

 愛原「うーん……」

 私は訳の分からぬ夢を見て目が覚めた。

 愛原「うーん……」

 地獄に堕ちて、鬼達に責められる夢。
 その陣頭にリサがいた。
 地獄の鬼よろしく、虎柄のビキニを着て……。

 リサ「オマエみたいな邪淫は、衆合地獄だ!」

 なんて……。

 高橋「先生、大丈夫ですか!?」

 どうやら高橋が近くにいたようだ。
 私が目が覚めたと知って、駆け付けてきてくれたようだ。

 愛原「高橋?ここは……病院か?」
 高橋「いえ、学校の……東京中央学園の保健室です」
 愛原「そうなんだ」

 どうやら私が倒れた後で、誰かが保健室まで運んでくれたらしい。

 高橋「一体、何があったんスか?俺が何度先生のスマホに連絡しても、全く返信無いんで、心配しましたよ」
 愛原「ああ、悪かったな。えーと……」

 私はスマホを探した。
 ところが、心当たりを探しても、全く見つからない。

 愛原「あれ?どこかで落としたかなぁ?」
 高橋「ええっ!?」
 愛原「確かここに来た時にはあったんだよ。リサと合流する時、LINEを確認したからね。すると、リサから電撃を食らって倒れた時に落としたのかもしれない」
 高橋「電撃!?あいつ、先生が気絶するくらいの電撃をやりやがったんですか!?フザけた野郎だ!」
 愛原「まあ、リサも気が立っていたんだろう。それに気づけなかった俺にも責任はある」
 高橋「いや、でもですね……」
 愛原「まあいいから。リサはどこにいる?」
 高橋「新聞部の部室にいるそうですよ」
 愛原「ああ、そうか。オマエ、『魔王軍』のツアーには参加したか?」
 高橋「いいえ、それどころじゃなかったんで」
 愛原「そうか……」
 高橋「それに、ねーちゃんも一緒です」
 愛原「え!?善場主任が!?」
 高橋「はい。リサの出し物が気になるってんで、見に行ってますが……」

 まさかとは思うが善場主任、イベントに参加してるのではあるまいな?
 そう思っていると、ハンドガンの発砲音が聞こえてきた。

 高橋「おわっ!?な、何だ!?」
 愛原「やっぱり……」

 私は溜め息をついた。

[同日12時15分 天候:晴 同学園・教育資料館(旧校舎)裏]

 リサ「さっきのは演技ですよぉ!」
 善場「そんなことだろうと思ったわ」
 栗原蓮華「す、凄いですね……」

 私と高橋は、銃声がした方へ向かった。
 このツアーは旧校舎裏手の呪われた桜の木で終了するコースで、解散直前にリサが『暴走』する台本になっていたはずだ。
 で、本来なら蓮華さんが模造刀の脇差で『倒す』パターンのはずだったが、善場主任が手持ちのハンドガンでリサに発砲したようである。
 だが、リサの制服はそんなに汚れてはいなかった。

 愛原「何かあったんですか!?」
 リサ「先生!」
 高橋「ねーちゃん、近所迷惑だぜ!」
 善場「あら?BOWの暴走は超A級の非常事態です。緊急車両が緊急走行中、サイレンを鳴らすのと同義ですよ」
 高橋「屁理屈過ぎるだろ!」
 愛原「本当にリサに発砲したんですか?善場主任」
 善場「しましたよ。空包ですけどね」
 愛原「空包!?」

 確かに私が参加の時は、私のハンドガンを他の参加者が撃ってリサを『倒す』ことになっている。
 しかし実弾は危険過ぎるので、殺傷能力の無い空包を装填している。
 これなら発砲音は本物っぽく聞こえても、リサに向けて撃つ分には実弾よりも危険性は低い。
 流れ弾の危険は無いからだ。
 空包でも被弾の仕方によっては命を落とす危険性もあるのだが、リサに当たる分には平気である。

 善場「暴走のタイミングが良すぎるのと、何より……本当に暴走したら、アプリが自動起動するはずですからね」

 善場主任は自分のスマホを取り出した。
 BSAAが開発したアプリには、付近の危険なBOWが近くにいる場合、それを知らせる機能が付いている。
 また、特定のBOWの情報を登録しておけば、それの暴走状態により、緊急アラームを鳴らして教えてくれる仕様にもなっている。
 もちろん、リサも登録されていた。

 善場「それが全く無かったので。イタズラする子には、お仕置きです」
 リサ「ちぇーっ……」
 愛原「それで思い出した!リサ、俺のスマホ知らないか?」
 リサ「はい」

 リサは何食わぬ顔して、私のスマホを制服のブレザーから取り出した。

 愛原「オマエが持ってたんかい!」
 リサ「だって、先生が落とすだもん。ああ、一応、電源は切っといたよ」
 愛原「それで高橋からの連絡が、全く通じなかったわけか」
 高橋「先生に電撃食らわせるとは、フザけやがって!」
 リサ「先生が他の女見るからだよ」
 善場「それにしても、意識不明にして保健室送りはやり過ぎです」
 蓮華「善場さん、やっぱコイツ、首刎ねるべきですよ」
 高橋「俺のマグナムも、2~3発追加でシクヨロ」
 善場「そうですね……」
 リサ「先生の『マグナム』なら欲しいかもw」
 一同「こらぁーっ!!」

[同日12時45分 天候:晴 同高校1階・3年3組]

 私達は昼食に、蓮華さんのクラスの出し物である鉄板焼きを食べることにした。
 教室にホットプレートを持ち込み、それで焼きそばやお好み焼きを作っている。
 因みにお好み焼きは、関西風のものだった。

 蓮華「さぁさぁ、先生方は座って待っててください!私が焼きそばとお好み焼きのセットをお作りします!」
 愛原「よろしく頼むよ」

 このクラスの女子生徒も可愛い子が多いと思っていたら、どうも面食いが多いらしく……。

 女子生徒A「あの、良かったら、LINEの交換をしてもらえませんか?」
 女子生徒B「歌舞伎町のホストの方ですか?」
 女子生徒C「彼女はいますか?」

 高橋がほぼ独占してしまっていた。

 高橋「先生、助けてください!リサ、こいつら追い出してくれよ!」
 リサ「ムリ!3年生には手が出せない」

 『魔王軍』には3年生がいない為。
 実はリサ、3年生にも手を出そうとしたのだが、蓮華さんに成敗されかかり、豪快に断念したという経緯がある。

 愛原「あーあ、ハーレム羨まし」

 リサはリサで、女子生徒達が高橋の方に行くおかげで、私がそちらの方に目を向けられなくて助かっているようだ。

 リサ「凄い!鬼斬りセンパイ、本当に屋台の人みたい!」
 愛原「うーむ……。手慣れたもんだ」
 蓮華「隅田川花火大会の時、うちでも屋台を出すんで、よく手伝わされたもので」
 愛原「なるほど、そういうことか」

 ということは、その屋台は焼きそばとかお好み焼きなどを出しているのだろう。
 コロナ禍で中止になったりしてはいたが、それでも腕は鈍っていないというわけだ。
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“私立探偵 愛原学” 「東京中央学園上野高校文化祭」 当日の朝

2023-03-29 14:28:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月3日07時00分 天候:晴 東京都台東区上野 上野アーバンホテル→東京中央学園上野高校]

 昨夜は特に何も無かった。
 BSAAのアプリがアラームを鳴らすことも、リサからの緊急連絡が来ることも、善場主任から緊急連絡が来ることもなかった。
 拍子抜けた感じで、私は朝目が覚め、出発の支度してチェックアウトをした。
 それから、徒歩数分先にある学園に向かう。
 さすがにまだ正門は開いていないものの、生徒通用門は開いていて、そこから既に登校している生徒達の姿を確認することができた。
 リサ達『魔王軍』のように泊まり込むほどではないにせよ、夜遅くまで準備していたり、こうやって朝早くから準備したりするのもまた、文化祭ならではと言えよう。
 尚、文化祭前日だけは下校時刻も有名無実化するという。
 テスト前日は部活動禁止となる為、それの意趣返しか。

 愛原「えーと……家庭科室に行けばいいんだな」

 家庭科室は家政部が活動拠点としている場所だが、ちゃっかり『魔王軍』の食事提供場所にもなっている。
 そこに行くと、昨日と同じ、カレーの匂いがした。

 リサ「先生、おはよう」
 愛原「おー、リサ。おはよう」

 リサは昨日と同じ、制服を着ていた。

 リサ「朝食べに来たんだね?嫌がってたのに……」
 愛原「い、いや、ここのカレーは美味しい。せっかくの文化祭なんだから、楽しませてもらうよ」
 リサ「だって」

 すると『魔王軍』メンバーで、家政部員の女子生徒が、何やら用紙を持って来た。

 家政部員「PTA会長推薦ということで、レビューをお願いします」
 愛原「おいおい。私は代行だぞ」
 リサ「でも来年度には、正式に会長でしょ?」
 愛原「他に適任者がいるはずなのになぁ……」

 どこの学校も、保護者はPTA役員をやりたがらない。
 況や会長をや、か……。
 この学園は、比較的業務委託化が進んでいて、まだ仕事は楽な方だと思う。
 もっとも、業務委託先に私の事務所が含まれているところが何とも……。
 急な学校からの呼び出しに対応できるよう、会社員や公務員では務まりにくい為、必然的に自営業者が選ばれることが多い。

 リサ「ヤマダ、早く先生にお食事を」
 山田「かしこまりました」

 先ほどの家政部員さん、山田さんと言うのか。
 んっ?さんの指摘通り、『魔王軍』のメンバーって、家電量販店……ゲフンゲフン。

 山田「一晩寝かせたカレーです」
 愛原「ありがとう。ここ最近は涼しく、夜は肌寒くなったりする日もあるけれど、常温保存はあまり良くないらしいよ?」
 山田「もちろん、冷蔵庫に保管して、今朝温め直しています」
 愛原「それなら大丈夫か」

 私は朝食にカレーを頂くことにした。
 これとは別に、今日、来校者に振る舞う新しいカレーの調理なんかも行われていた。

 愛原「文化祭の開始は何時から?」
 リサ「9時から。9時から15時まで」
 愛原「まあまあだな。まあ、撤収とかもしないといけないからか」
 リサ「そう」

 対比としてコミケを上げてしまった。
 コミケの開始時間は10時、終了は16時。

 愛原「警備員時代、コミケの警備に駆り出されたものだよ」
 リサ「面白そう!」
 愛原「いやいや、仕事だから。遊びじゃないんだよ」
 リサ「ううん。そうじゃなくて、その時の話」
 愛原「そっちか」
 リサ「面白いエピソード無いの?」
 愛原「も、もちろん、ビキニアーマーの女戦士のコスプレや、海物語のマリンちゃんのコスプレが見られた時は嬉しかった」
 リサ「電撃……

 リサ、右手から火花を散らす。
 他の『魔王軍』メンバーが驚いて、テーブルから離れた。

 愛原「いやいや!昔の話だよ!リサと会う前の話だから、時効……時効ですらねぇーっ!」
 リサ「! それもそうか」

 リサ、電撃の準備をやめる。

 愛原「ま、全く……」

 と、その時、廊下をビキニアーマーの女戦士が歩いているのを見た。

 愛原「! あれは?!」
 淀橋「あれは演劇部の衣装ですね。講堂では演劇部が何かやるんで」
 小島「確か、『大魔道師の弟子』ですよ。主人公の稲生勇太が、魔界に迷い込んで、そこで出会ったビキニアーマーの女戦士と旅をするというストーリーです」
 愛原「ちょっと間近で見てみよう」

 私が席を立った時、突然体に電気が走った。
 リサが電撃をお見舞いしてきたのだ。

 リサ「先生!わたし以外の女、見ちゃダメだって言ったでしょう!」
 愛原「い……いいぢゃないか……それくらい……」
 リサ「まだ言うか!」

 バリバリバリバリバリ

 愛原「ぎゃああああっ!!」
 淀橋「フム。ちょうど直流100ボルトか。さすがは魔王様」

 科学部の淀橋さん、何故か電流計を持っている。

 小島「それよりも愛原先生、生きて……ますね」
 愛原「生きてまーす……」
 リサ「電撃使うとお腹空く。カレーおかわり」
 山田「か、かしこまりました。魔王様」

 私はしばらく動けなかったが……。

 上野凛「愛原先生、大丈夫ですか?」

 上野凛が助けに来てくれた。
 彼女もまた制服姿である。
 女子陸上部ではあるのだが、さすがに文化祭では陸上部としての出し物は無く、クラスの出し物や『魔王軍』のイベントに参加するだけのようである。

 愛原「起こすの手伝ってくれ……」
 凛「はいはい」
 リサ「フン。しばらくは痺れて動けないよ」

 私は凛に抱え起こされた。

 凛「石丸さんも手伝って」
 石丸「はいはい」

 手の空いている別の『魔王軍』メンバー2人に抱えられる。
 因みに『魔王軍』メンバーは、女子生徒しかいないので念の為。
 それにしても……この石丸さんってコ、何部だかは知らないが、結構グラマーな体つきだ。
 中肉とぽっちゃりの間の、ちょうど良いバランスの所の体型を保っている。
 上野凛は陸上部員ということもあってか、腹筋が割れている筋肉質な感じなのだが……。
 胸のサイズは……Gカップくらいあるかな?

 リサ「先生……?どこを見てるの!」
 凛「まずい!石丸さん、離れて!」
 石丸「ええっ!?」

 バリバリバリバリバリ

 愛原「ぎゃあああああ!!」

 再び電撃を食らった私は、ついに意識を失った。
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