報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「東京中央学園上野高校文化祭」 前日

2023-03-27 20:30:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月2日16時00分 天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 リサ「ちょうどお腹が空いてたのォォォォォ!!人間の肉ゥゥゥゥ食わせろぉぉぉぉぉ!!」
 栗原蓮華「人食い鬼が!成敗する!!」

 第1形態に戻ったリサが白い仮面を脱ぎ捨て、牙と長い爪を持って栗原蓮華に飛び掛かる。
 蓮華は鬼斬り用の真剣である打刀ではなく、模造刀である全く斬れない脇差を抜くと、それでリサに斬り掛かった。
 鬼斬りらしく、首を狙う。

 リサ「がはっ……!や……ら……れ……た……!」

 リサ、その場に倒れる。

 蓮華「人食い鬼、成敗」

 蓮華は脇差についた鬼の血を振り払うと、それを鞘に納めた。
 しかし、リサの体からは血は出ていないし、蓮華の脇差も血はついていない。
 リサはムクッと起き上がった。

 リサ「こういう感じでツアーは終了」
 蓮華「はー……とんだ茶番だわー……。何でこんなの引き受けたんだろ……」

 蓮華は右手を頭にやって溜め息をついた。

 愛原「蓮華さんだってノリノリじゃない。剣道着に袴まで穿いてきて」
 蓮華「こ、これは……剣道部の部活が……」
 リサ「運動部の3年生は、そろそろ受験とかで忙しくなるから、2年生に引き継いで引退って聞いてるけど……」
 蓮華「わ、私の進学先は学園大だからいいの!」

 付属の大学なので、高校の成績や功績次第では推薦で入学できる。

 愛原「で、こういうイベントを毎回ツアーごとに行うわけか」
 リサ「そう!」
 愛原「どうだろう?たまには蓮華さんが負けてみたら?」
 蓮華「ええっ?」
 リサ「それいい!袴だけ脱がして、公開おもらしショー!」
 蓮華「マジで首刎ねるぞ!!」
 愛原「そういうことじゃなくて。要は、ディズニーランドのシンデレラ城方式だよ」
 リサ「そんなのパクッて、後でオリエンタルランドからクレーム来ない?」
 愛原「だ、大丈夫だ。要は本来、人食い鬼であるリサを倒すはずの蓮華さんが負けてしまい、他の参加者が倒さなきゃいけないという状況になる。その誰かに倒してもらうというイベントだ」
 淀橋「それは面白そうですね!」
 リサ「ヨドバシ、裏切り者」
 淀橋「あっ……!」
 愛原「ま、いきなりの変更は難しいかもしれないけど、参考までに……」
 リサ「じゃあ、先生が監修して」
 愛原「ええっ!?」
 リサ「明日は先生も来るんでしょ?先生がツアーに参加した時に、鬼斬りセンパイがわたしにやられる。その時、先生が銃でわたしを撃って倒すというのはどう?」
 愛原「身内同士だと、八百長臭いからダメだ。誰かが銃を拾い、それでリサに撃って倒すというのはどうだ?」
 小島「でも、銃はどうやって用意するんです?本物なんか持ち込んだら危ないですよ?」
 愛原「銃は俺のハンドガンを使う。これは本物だけど、装填する銃弾は空包とする。これなら発砲音はしても、リサに対して殺傷能力は全く無い」
 リサ「まあ、本物でも、そんなものでわたしは殺せない」
 愛原「それでも被弾した時に血は出るから、制服が汚れるだろ?」
 リサ「それもそうだ」
 愛原「そういうことにしよう」

 面白いイベントにはなりそうだった。

[同日18時00分 天候:曇 同高校1階・家庭科室]

 愛原「家政部の料理はカレーか」
 リサ「これなら大量に作っておけるし、1日寝かせて、明日は更に美味しいカレーになるんだって」
 愛原「考えたな」

 愛原は帰ろうとしたのだが、家政部の中に『魔王軍』がいるということで、ついでに夕食を食べて行ってほしいと引き留められた。

 愛原「うん、美味い美味い」
 リサ「わたしも手伝ったんだよ!」
 愛原「リサが作ると、大辛になるからなぁ……」
 家政部員「一応、万人受けするように、中辛で作りました」
 愛原「うん、そうだね。こういうのでいいんだよ、こういうので」
 リサ「わたしには、ちょっと物足りないかな……」
 愛原「だったら、唐辛子入れればいいだろう」
 リサ「先生、朝ごはんは?」
 愛原「適当に食べてくるよ」
 家政部員「だったら朝カレーもありますよ?」
 リサ「だって」
 愛原「おいおい……。ていうか、リサ達はどうするんだ?」
 リサ「朝カレー食べる」
 愛原「マジか……」

 明日の文化祭までに、『魔王軍』達で完食しちゃうんじゃないのかと心配になった愛原だった。

[同日19時00分 天候:雨 同高校女子水泳部室・シャワー室]

 愛原はホテルへと引き上げ、『魔王軍』メンバー十数名が残った。
 メンバーの中には非正規員もおり、彼女らは他の出し物に参加する為、今回は泊まらない。
 泊まるのはリサと四天王、そして正規員だけであった。

 リサ「ふう……」
 淀橋「良かったね。シャワー借りられて」
 リサ「ん」

 リサはシャワーから出ると、体を拭いた。

 小島「女子水泳部にも七不思議の噂があるんですよね」
 リサ「女子水泳部員の幽霊の話か。ロッカーの中にマネキン仕掛けておいて。あとは、わたしが特異菌仕掛けて動くようにするから」

 女子水泳部員が活動中に溺死するという事故が過去に起きた。
 それ以来、その部員が使っていたロッカーを使うと、呪われて自分も溺れるという。
 そのロッカーがどこかは分からないが、もしも扉を開けて、彼女の幽霊と遭遇した場合、ただ単に溺れるだけでは済まない……という噂であった。

 上野凛「はーい」
 桜谷「上野さん、楽しそうね?」
 凛「まあ、女子陸上部には怖い話は無いから。男子陸上部には、キナ臭い話はあるけどね」
 リサ「ああ。昔、男子バスケ部ともめた話か……」

 まだバスケがそんなに人気があるわけではなかった頃、男子陸上部に期待の新人が入った。
 しかし、当時の男子バスケ部のキャプテンは、そんな新人こそバスケ部の強化に必要と、引き抜きを画策した。
 当然、男子陸上部は面白くない。
 となれば、トラブル勃発は必至だった。
 人間の歪んだ情熱が起こした怖い話という、お化けも幽霊も登場しない珍しい怪談話である。

 リサ「わたしも聞いたけど、あれ、男子だから直接的なケンカで済んだけど、女子だったら陰湿で、もっと怖い話になってたと思うよ?」
 凛「え、ええ。それは……言えてますね」
 リサ「こうしてみると、この学園、百不思議くらいあったから、それを全部ツアーにして回ろうとすると、文化祭が1週間は欲しいよね」
 桜谷「一応、私も怖い話を聞いて、インパクトになった部分を絵にして描いてみましたが、やっぱり大変ですよ」
 小島「『魔王様』に厳選して頂くしか無いですね」
 リサ「分かってるよ」

 リサは体操服のブルマを穿いた。
 これが今夜の『魔王軍』の夜着である。
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“私立探偵 愛原学” 「東京中央学園上野高校文化祭」 前日

2023-03-27 17:21:05 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月2日15時00分 天候:曇 東京都台東区上野 上野アーバンホテル→東京中央学園上野高校]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 明日は東京中央学園上野高校で文化祭が行われる。
 生徒達もその準備の為に遅くまで残って準備をするそうだが、『魔王軍』のように泊まり込む生徒もいる。
 学校内は私の監視委託の対象外のはずだが、善場主任からは強化中なので、それはダメだと言われた。
 しかし、いくらPTA会長代行とはいえ、私の泊まり込みは認められない。
 そこで、学校近隣のビジホに泊まって、何かあったらすぐに駆け付けられるようにしておいた。
 都心にある学校ならでの措置か。
 宿直室もあるのだが、宿直制度が無くなった今、そこは警備会社の警備員の休憩室兼仮眠室になっているので、そこも泊まれない。

 愛原「ちょっと出てきます」
 フロントスタッフ「行ってらっしゃいませ」

 空はどんよりと曇っていて、何だか降りそうだ。
 因みに今、事務所は高橋に任せている。
 私はホテルから徒歩数分の高校へと向かった。
 事務室の窓口で入構手続きをして、それから校内に入る。

 リサ「あ、先生」

 そこから新聞部の部室に行くと、リサがいた。
 リサは新聞部員ではないが、新聞部が毎年恒例で“学校の七不思議”特集をしている為、ここを明日の活動拠点にするらしい。
 手作りの『学校の七不思議ツアー受付』という看板も、部室のドアに掲げられている。

 愛原「様子を見に来たぞ。……別にリサのことが信用できないんじゃなく、善場主任から、監視強化だって言われただけだ」
 リサ「分かってるよ」
 愛原「で、どうすんるんだ?明日はどんな感じでツアーやるんだ?」
 リサ「学校の七不思議の場所となった所を皆で回るの。で、わたし達が語り部になって、その場所を案内する」
 愛原「ふんふん」
 リサ「で、わたしがたまに演出する。特異菌を使って」
 愛原「特異菌使うのかよ!?」
 リサ「明日だけは、わたしも第1形態までなら正体を現そうかなって思ってる」
 愛原「鬼の姿だで?大丈夫か?」
 栗原蓮華「イザとなったら私が首を刎ねますので、愛原先生は安心してください」

 剣道着に袴姿の栗原蓮華がやってきた。
 左足は義足だが、袴を穿いていると、それが分からない。

 愛原「蓮華さんか」
 リサ「最後はわたしが暴走したフリをして、鬼斬りセンパイに斬られるパフォーマンスでツアー終了」
 愛原「そういうオチか!」
 蓮華「ついでに本当に跳ね飛ばしてもいいんだよ?」
 リサ「デイライトに逮捕されますよ?」
 蓮華「言うねぇ!」
 リサ「何が?」
 愛原「まあまあ!ケンカはやめろ!蓮華さんは泊まらないのか?」
 蓮華「私は『魔王軍』ではないので、泊まりません。うちのクラスで出し物はしますので、その手伝いです」
 愛原「蓮華さんは3年3組だっけ?何をやるの?」
 蓮華「焼きそばをやるので、食べにきてください」
 愛原「おー、それはいいね。さすがは本所吾妻橋」
 蓮華「ありがとうございます」

 蓮華は生粋の江戸っ子ではない(霧生市出身)が、親族がそこに住んでいるので。

 リサ「それより先生。先生もコースの下見、手伝ってよ」
 愛原「あー、そうだな。一応、どういった感じでやるのか、俺も把握させてもらおう」
 リサ「ちょっと待って。今、メンバー呼んでくる」

 リサはスマホを取り出した。
 グループLINEを使って呼び出すのだろう。
 スマホやケータイが無かった頃、こういう女子のグループって、どうやって仲間集めしていたのだろう?

 淀橋「お待たせしました!」
 小島「愛原先生、こんにちは!」
 上野凛「まさか本当に、愛原先生が来るとは……」
 桜谷「四天王、全員集合です」
 リサ「オッケ」
 愛原「いやいやいや!全員、タイミング悪いんじゃないか!?」

 科学部の淀橋さんは白衣着たままだし、文芸部の小島さんは本持ったまんまだし、陸上部の凛はジャージ着たままだし、美術部の桜谷さんは絵の具で汚れたエプロン付けたまんまだで!?

 リサ「そんなの関係無い。『魔王』の呼び出しに、『四天王』は必ず従う掟」
 淀橋「その通り」
 小島「その通りです」
 凛「はい、そうです」
 桜谷「仰る通りです」
 蓮華「全員、目が死んでるのはどうしてかな?」
 愛原「昭和のスケバングループ並みの重い掟だな……」

 こういう時、気づく。
 リサの実年齢って、私より10歳以上年上の50代なんだって。
 今から40年くらい前、1980年代って、まだまだスケバン達が元気に存在していた頃だろう。

 愛原「ていうか、『魔王軍』って同好会扱いなんだろ?リサ以外それぞれ部活に入っているのに、掛け持ちしていいの?」
 蓮華「同好会なら、掛け持ちはしていいんですよ。部に昇格されたらダメですけど。その代わり、同好会では部費は出ません」
 リサ「そういうこと。だから、鬼斬りセンパイも是非……」
 蓮華「お断りだ、バカ!」

 蓮華は手持ちの刀を抜きかけた。
 真剣であるが、栗原家の権力なのか、ちゃんと許可が取れている。
 絵恋さんの斉藤家は成り上がりの富豪だが、栗原家は江戸時代から脈々と続く旧家であるので、何かしらの力を持っているのかもしれない。

 愛原「リサが『魔王』なら、蓮華さんは『勇者』かな?」
 蓮華「そんな御大層なものではないですよ。パーティーも組めませんし」
 リサ「ボッチ?」
 蓮華「んなわけあるか!……皆、度胸が無いだけですよ」
 淀橋「そりゃあ、『魔王様』に立ち向かえるのはねぇ……」
 小島「栗原先輩くらいなものですよ」
 リサ「それより先生。ツアーの下見」
 愛原「ああ、そうだったな」
 リサ「ここで受付をお願いします」
 愛原「はいはい。コースって選べるの?」
 リサ「時間ごとにコースが違います」
 愛原「なるほど。そういう風にしているのか。旧校舎コースって、今は旧校舎に入れないだろう?」
 リサ「旧校舎は外から見る形だね」
 愛原「まあ、やっぱそうなるか」
 リサ「それじゃ、久しぶりに……」

 リサは白い仮面を着けた。
 それは日本アンブレラが、日本版リサ・トレヴァー達に着けさせていた仮面である。
 真っ白い仮面で、目の部分に2つ、横長の切れ目があるだけである。

 リサ「これで行く」
 愛原「ついでだから、服もセーラー服にしたら?それも、この学園の旧制服の」
 リサ「絶対ヤダ!」
 蓮華「“トイレの花子さん”ですね」

 アンブレラの研究所では、『制服』と称して、セーラー服を着せられていたが、どうも白井の趣味だったらしく、リサ・トレヴァーの少女達はセーラー服を着たまま性的実験をさせられていた。
 だからリサも幼心にそんなトラウマを植え付けられたせいで、セーラー服を着たがらない。
 もしも東京中央学園の制服がブレザーでなかったら、転入の話を断っていたという。
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