報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「東京中央学園上野高校文化祭」 当日の朝

2023-03-29 14:28:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月3日07時00分 天候:晴 東京都台東区上野 上野アーバンホテル→東京中央学園上野高校]

 昨夜は特に何も無かった。
 BSAAのアプリがアラームを鳴らすことも、リサからの緊急連絡が来ることも、善場主任から緊急連絡が来ることもなかった。
 拍子抜けた感じで、私は朝目が覚め、出発の支度してチェックアウトをした。
 それから、徒歩数分先にある学園に向かう。
 さすがにまだ正門は開いていないものの、生徒通用門は開いていて、そこから既に登校している生徒達の姿を確認することができた。
 リサ達『魔王軍』のように泊まり込むほどではないにせよ、夜遅くまで準備していたり、こうやって朝早くから準備したりするのもまた、文化祭ならではと言えよう。
 尚、文化祭前日だけは下校時刻も有名無実化するという。
 テスト前日は部活動禁止となる為、それの意趣返しか。

 愛原「えーと……家庭科室に行けばいいんだな」

 家庭科室は家政部が活動拠点としている場所だが、ちゃっかり『魔王軍』の食事提供場所にもなっている。
 そこに行くと、昨日と同じ、カレーの匂いがした。

 リサ「先生、おはよう」
 愛原「おー、リサ。おはよう」

 リサは昨日と同じ、制服を着ていた。

 リサ「朝食べに来たんだね?嫌がってたのに……」
 愛原「い、いや、ここのカレーは美味しい。せっかくの文化祭なんだから、楽しませてもらうよ」
 リサ「だって」

 すると『魔王軍』メンバーで、家政部員の女子生徒が、何やら用紙を持って来た。

 家政部員「PTA会長推薦ということで、レビューをお願いします」
 愛原「おいおい。私は代行だぞ」
 リサ「でも来年度には、正式に会長でしょ?」
 愛原「他に適任者がいるはずなのになぁ……」

 どこの学校も、保護者はPTA役員をやりたがらない。
 況や会長をや、か……。
 この学園は、比較的業務委託化が進んでいて、まだ仕事は楽な方だと思う。
 もっとも、業務委託先に私の事務所が含まれているところが何とも……。
 急な学校からの呼び出しに対応できるよう、会社員や公務員では務まりにくい為、必然的に自営業者が選ばれることが多い。

 リサ「ヤマダ、早く先生にお食事を」
 山田「かしこまりました」

 先ほどの家政部員さん、山田さんと言うのか。
 んっ?さんの指摘通り、『魔王軍』のメンバーって、家電量販店……ゲフンゲフン。

 山田「一晩寝かせたカレーです」
 愛原「ありがとう。ここ最近は涼しく、夜は肌寒くなったりする日もあるけれど、常温保存はあまり良くないらしいよ?」
 山田「もちろん、冷蔵庫に保管して、今朝温め直しています」
 愛原「それなら大丈夫か」

 私は朝食にカレーを頂くことにした。
 これとは別に、今日、来校者に振る舞う新しいカレーの調理なんかも行われていた。

 愛原「文化祭の開始は何時から?」
 リサ「9時から。9時から15時まで」
 愛原「まあまあだな。まあ、撤収とかもしないといけないからか」
 リサ「そう」

 対比としてコミケを上げてしまった。
 コミケの開始時間は10時、終了は16時。

 愛原「警備員時代、コミケの警備に駆り出されたものだよ」
 リサ「面白そう!」
 愛原「いやいや、仕事だから。遊びじゃないんだよ」
 リサ「ううん。そうじゃなくて、その時の話」
 愛原「そっちか」
 リサ「面白いエピソード無いの?」
 愛原「も、もちろん、ビキニアーマーの女戦士のコスプレや、海物語のマリンちゃんのコスプレが見られた時は嬉しかった」
 リサ「電撃……

 リサ、右手から火花を散らす。
 他の『魔王軍』メンバーが驚いて、テーブルから離れた。

 愛原「いやいや!昔の話だよ!リサと会う前の話だから、時効……時効ですらねぇーっ!」
 リサ「! それもそうか」

 リサ、電撃の準備をやめる。

 愛原「ま、全く……」

 と、その時、廊下をビキニアーマーの女戦士が歩いているのを見た。

 愛原「! あれは?!」
 淀橋「あれは演劇部の衣装ですね。講堂では演劇部が何かやるんで」
 小島「確か、『大魔道師の弟子』ですよ。主人公の稲生勇太が、魔界に迷い込んで、そこで出会ったビキニアーマーの女戦士と旅をするというストーリーです」
 愛原「ちょっと間近で見てみよう」

 私が席を立った時、突然体に電気が走った。
 リサが電撃をお見舞いしてきたのだ。

 リサ「先生!わたし以外の女、見ちゃダメだって言ったでしょう!」
 愛原「い……いいぢゃないか……それくらい……」
 リサ「まだ言うか!」

 バリバリバリバリバリ

 愛原「ぎゃああああっ!!」
 淀橋「フム。ちょうど直流100ボルトか。さすがは魔王様」

 科学部の淀橋さん、何故か電流計を持っている。

 小島「それよりも愛原先生、生きて……ますね」
 愛原「生きてまーす……」
 リサ「電撃使うとお腹空く。カレーおかわり」
 山田「か、かしこまりました。魔王様」

 私はしばらく動けなかったが……。

 上野凛「愛原先生、大丈夫ですか?」

 上野凛が助けに来てくれた。
 彼女もまた制服姿である。
 女子陸上部ではあるのだが、さすがに文化祭では陸上部としての出し物は無く、クラスの出し物や『魔王軍』のイベントに参加するだけのようである。

 愛原「起こすの手伝ってくれ……」
 凛「はいはい」
 リサ「フン。しばらくは痺れて動けないよ」

 私は凛に抱え起こされた。

 凛「石丸さんも手伝って」
 石丸「はいはい」

 手の空いている別の『魔王軍』メンバー2人に抱えられる。
 因みに『魔王軍』メンバーは、女子生徒しかいないので念の為。
 それにしても……この石丸さんってコ、何部だかは知らないが、結構グラマーな体つきだ。
 中肉とぽっちゃりの間の、ちょうど良いバランスの所の体型を保っている。
 上野凛は陸上部員ということもあってか、腹筋が割れている筋肉質な感じなのだが……。
 胸のサイズは……Gカップくらいあるかな?

 リサ「先生……?どこを見てるの!」
 凛「まずい!石丸さん、離れて!」
 石丸「ええっ!?」

 バリバリバリバリバリ

 愛原「ぎゃあああああ!!」

 再び電撃を食らった私は、ついに意識を失った。

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