報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「桧枝岐村からの帰路」

2023-03-21 20:14:06 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月30日10時00分 天候:曇 福島県南会津郡桧枝岐村 道の駅『尾瀬桧枝岐』]

 旅館をチェックアウトした私達は、車に乗り込んで国道352号線を進んだ。
 案の定、5分と掛からず、道の駅に到着する。
 日曜日ということもあり、駐車場には他県ナンバーの車が多く見受けられた。
 そしてその中に、都内でも見覚えのある車を見つけた。
 それはBSAAの医療車だった。
 くすんだ緑色に、大きく赤十字のマークを付けている所は自衛隊の救急車と酷似している。
 日本のBSAAは殆どが自衛隊からの出向者で構成されていることから、こういう車両も自衛隊から出向しているのかもしれない。
 で、実際の自衛隊のそれとの見分け方は、ナンバープレートや所属が明記されていることだろう。
 自衛隊のナンバープレートと違い、しっかり陸運局からのそれを付けている。
 もちろん、8ナンバーだが。
 そして、ボディにもBSAA-JFAと書かれている。
 JFAとは、『Japan Far East』の略である。
 極東支部日本地区本部のことだな。

 愛原「高橋、あそこの近くに止めてくれ」
 高橋「分かりました」

 雨は上がっているが、まだ空はどんより曇っている。
 BSAAの車の近くに止めて、そこから降りると、私達の存在に気付いたBSAA隊員も車から降りてきた。

 BSAA隊長「この度は、御足労ありがとうございます」

 BSAAの軍服を着た隊長が敬礼をした。

 愛原「こ、これはどうも、ご丁寧に……。それで、今日は何の御用でしょうか?」
 隊長「単刀直入に申し上げます。そこにいるリサ・トレヴァー『2番』の遺伝子を採取させて頂きたいのです」
 愛原「遺伝子を採取???」
 隊長「ここでは何ですから、車の中へ」

 さすがに目立つからか、一般人達がこちらを見ている。

 愛原「は、はい」

 荷台のハッチを開けると、中は救急車のそれとあまり変わらなかった。

 隊長「愛原さんが見つけてくれた白骨死体との関係性を調べたいので、遺伝子採取にご協力をお願いします。具体的には、採血をさせて頂ければと思います」
 愛原「そういうことですか。リサ、いいか?」
 リサ「先生の命令なら聞くよ」
 愛原「じゃあ、協力してやってくれ」
 リサ「分かった」

 もし私やリサの夢が正夢なのだとしたら、あの白骨死体達は白井が率いるUBCSに殺されたリサの両親なのかもしれない。
 しかし、ここで疑問が残る。

 愛原「私の推理では、あの白骨死体は人間だった頃のリサの両親ではないかと考えています」
 隊長「それを確認したいのです」
 愛原「だとしたら、1つ疑問が残るんですよ」
 隊長「何でしょう?」
 愛原「桧枝岐村は落人伝説が残る村で、村民達の殆どはその子孫だと言われています。その為、苗字も3つしかないと言います」

 もちろん、公務員など(小中学校教師、消防職員、医療関係者、郵便局員やインフラ事業、ライフライン事業関係者など)、他地域から来て働いている者は除く。

 隊長「そうですね」
 愛原「しかしリサの人間だった頃の苗字は、『上野』です。違う苗字の人間が住んでいたなら、この村では目立つと思うのです」
 隊長「そうですね。だからこそ、村外れの林道の、それも脇道を入った所に住んでいたのではないでしょうか」
 愛原「いやいやいや!林道って言ったら、林業関係者が主に使う道じゃないですか。いくら林道の本道からは見えない所とはいえ、そんな所に家を建てて住んでいたら、それはそれで目立ちませんか?」

 この村では、林業も主たる生業の1つだろう。
 そして、それこそ地元民の仕事であると思うのだ。
 にも関わらず、よそ者がそんな所にいたら……。

 隊長「こちらの調査では、それが許されていたのではないかと見られています」
 愛原「許されていた?どういうことですか?」
 隊長「これは50年くらい前の話になるのですが……」

 1970年代の頃だ。
 この村に、1人の医者がやってきた。
 東京の病院で働いていたのだが、医療ミスで患者を死なせてしまい、それからしばらくして、妻も病気で亡くなったので、その菩提を弔う旅をしていて、この村に流れ着いたのだと、村人に話したのだそうだ。

 愛原「その医者、もしかして白井という……」
 隊長「いえ、上野という名前だったそうです。白井とは直接何の関係もありません」
 愛原「何だ……って、上野!?」

 この村で受け入れられたのは、通り掛かった際に、山仕事をしていた村人が急病で倒れていたところを助けたばかりか、村長(桧枝岐村の村長ではなく、地区長という意味)の病気も治したのが理由だった。
 上野はこの村に住むつもりは最初は無かったが、村長(地区長)が大事な医者をこの村に留める為、村の未亡人を宛がい、外堀を埋める形で結婚させ、この村に住まわせたのだという。
 尚、現在この村は無医村ということはなく、旅館ひのえまたの近くに診療所がある。

 隊長「はい」
 愛原「ここで、リサのルーツが出てくるのか……」
 隊長「そのようです」
 愛原「だとしたら、堂々と村の中心部に住めばいいのに、どうしてあんな場所に?」
 隊長「今はもうとっくに時効を迎えていますが、医療ミスということで、刑事事件で捜査が行われていたようです。警察に逮捕されるのを恐れていたのではないでしょうか」
 愛原「マジか……」

 地区長や住民は、それを知っていたのであろうか?
 仮に知っていたとしても、無医村だったこの村に、念願の医者を留まらせる為には、村ぐるみで隠ぺいくらいはしたかもしれない。
 さすがに今は隠せないだろうが。
 で、白井はそれを嗅ぎ付けて、やってきたというわけかな。
 でも、どうして上野医師の所だったのだろう?
 私がその疑問を投げると、まださすがにそこまでは分かっていないようだった。

 隊長「今のところ、こちらで分かっているのは、これだけです」
 愛原「ありがとうございます」

 リサは採血を受けた。
 以前にもされたように、10本くらいは取られていた。

 隊長「ありがとうございました。ではまた何かありましたら、ご協力のほど、よろしくお願い致します」
 愛原「いいえ、恐れ入ります」

 これで話が終わり、私達は解放されたのだった。

 愛原「それじゃ、次の道の駅に行くか」
 高橋「はい」
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“私立探偵 愛原学” 「桧枝岐村での一泊」 2

2023-03-21 15:05:35 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月29日21時00分 天候:晴 福島県南会津郡桧枝岐村 旅館ひのえまた5階・客室]

 リサ「ヘリコプターが飛んでるよ?」

 リサが客室の窓から上空を見上げている。

 愛原「BSAAか?ヤバいことになってるのかもな」
 高橋「暗くて、よく分かんないっスね」

 高橋が双眼鏡で見てみた。

 愛原「まあ、BSAAだろうな。こういう山奥の村で、こんな時間に定期的にヘリが飛んでるとは思えない」
 高橋「確かにそうっスね」
 愛原「それと、さっき地図で見てみたんだが、旅館の前の国道352号線。これって新潟県方面に伸びてるじゃん?」
 高橋「そうっスね。魚沼市です」
 愛原「その途中から伸びている、この県道……の跡って、霧生バイパスなんだよな」
 高橋「今でも立入禁止区域になっている、霧生市の跡っスね」
 愛原「もしも俺やリサが見た夢が正夢だとすると、人間だった頃のリサが白井達に捕まった後、陸路で霧生市の研究所に行くことは可能なわけだ」
 高橋「そうっスね」
 リサ「でも、私は覚えてない。特に、変異してからは……」
 愛原「まあ、しょうがない。無理して思い出す必要は無いだろう。それよりも……」

 その時、また私のスマホにメール着信が入った。
 それは善場主任からだった。

 善場「明日の午前10時に、村内の道の駅『尾瀬桧枝岐』にて、BSAAと合流し、協力をお願いします」

 とのことだった。
 村内の道の駅には往路で立ち寄ったが、案外広い敷地であった。
 迷わずに合流できるか心配だったが、BSAAの車が駐車場で待っているという。
 BSAAの車なら目立つから確かに迷うことはないが、目立ち過ぎて通報されやしないかと別の心配をしてしまう。

 愛原「明日、道の駅でBSAAと合流して欲しいとのことだ」
 高橋「道の駅っていうと、昼飯食った所っスか」
 愛原「そうだ」
 高橋「何をさせられるんスかね?」
 愛原「さあな。でもまあ、所詮は民間の探偵業者だ。そんな俺達に小難しく、かつデンジャラスな仕事はさせないと思うがな」

 もう少し詳しく状況を聞きたいとか、そういうことではないかと思う。
 もしくは現場保存せず、勝手に穴を掘ったことを咎められるのだろうか?
 しかし警察と違って、BSAAはあくまでバイオテロの鎮圧や予防に勤しむ国連機関だからなぁ……。

 愛原「ま、とにかく、俺達の仕事は明日もあるってことさ」
 高橋「はあ……」
 愛原「そうと決まったら、早めに寝ることにしよう。酒も無し」
 高橋「どうします?もう1回、風呂に入ってきます?」
 愛原「あー、そうだな……」
 リサ「ここ、ゲームコーナーとか卓球とか無いからねぇ……」
 愛原「ホテルじゃないからな。まあとにかく、せっかく温泉旅館に泊まってるんだ。もう1回入ってから寝るとするか」
 高橋「うっス」

[10月30日07時00分 天候:雨 同旅館5階・客室]

 愛原「うーん……うーん……」
 リサ「先生……
 高橋「先生……
 愛原「だっはぁーっ!」

 私は地獄に堕ちる夢を見た。
 そこでは鬼のリサや、鬼化した高橋に追い回された。
 こういうの、衆合地獄って言うんだっけ?
 渋谷の若者のファッションをした鬼達に責められる地獄って。

 愛原「くぉらーっ!」

 私は両側から抱き着くリサと高橋にゲンコツを食らわせた。
 と、同時に枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす。

 高橋「おはざーっス!」
 愛原「おはざーっスじゃねぇ!男に抱き着かれて、いいわけねーだろ!」
 リサ「わたしはいいよね?」
 愛原「ラムちゃんみたいな鬼に抱き着かれて、電撃食らわされる夢を見たんだが?」
 リサ「まーっ!?」
 愛原「ったく、もう!ほら、さっさと起きるぞ!」
 高橋「へーい!」
 リサ「へーい!」

 リサと高橋は私の布団から出た。
 リサも浴衣を着ているが、それがはだけて、下の黒いスポプラや黒いショーツが見えてしまっている。
 寝る時は乳首が擦れて痛むというので、スポプラを着けているという。

 愛原「まあ、おかげで寝坊はしないがな」
 高橋「俺のおかげっスか!?」
 リサ「わたしのおかげだよね!?」
 愛原「枕が変わると、抵抗なく起きられるというからな。それだろ」
 高橋「えーっ?」
 リサ「えーっ?」

 私は洗面道具を手にすると、洗面台に向かった。
 客室にはトイレと洗面台が付いているが、浴室は無い。

 リサ「わたし、トイレ」

 リサはトイレに向かい、高橋は窓際の椅子に座って、一服を始めた。

[同日08時00分 天候:雨 同旅館1階・宴会場]

 顔を洗った後は、朝食を食べに向かった。
 会場は夕食会場と同じ、1階の宴会場だったが、襖で仕切られて、まるで個室のように利用できる。
 旅館では珍しく、朝食でも鍋が付いていた。
 これは味噌汁だという。
 これまた具材には、キノコが使われていた。
 あとは鮎の甘露煮とか。

 愛原「今気づいたんだが、外、雨降ってるんだな」
 高橋「そうっスね。昨夜はいい天気だったのに……」
 愛原「まあ、福島じゃ、結構通り雨とか降るらしいからな。昔、福島競馬場に行った時、そこの常連のオッチャンに言われたよ。『弁当忘れても、傘忘れんな』って」
 高橋「なるほど。そういうもんスか」
 リサ「TKG!TKG!」
 愛原「ん?これ、温泉タマゴじゃね?……ああ、そうか」

 卵かけごはんって、私は生卵を掛けて食べるものだと思っていたが、よくよく考えてみたら、別に半熟卵でもいいんだな。

 高橋「先生?」
 愛原「いや、何でもない」
 高橋「それで、チェックアウトとかはどうします?」
 愛原「10時に道の駅で待ち合わせだろ。ここから道の駅って、結構近いよな?」
 高橋「まあ、車で5分くらいってとこっスね」
 愛原「それなら5分前行動ということで、ここを9時50分に出よう」
 高橋「了解っス。まだゆっくりできますね」
 愛原「うん」
 高橋「朝風呂は入らないんスか?」
 愛原「もうここの風呂は2回入って、お腹一杯だからね。それに、時間が許せば、道の駅の温泉にも入ってみたいし」
 高橋「ああ!あの、何とか289って所の……」
 愛原「そう!それ!」
 高橋「分かりました。そこに行ってみましょう」

 来た道を戻るのなら、また立ち寄ることになりそうだから、ついでに入るといいだろう。
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“私立探偵 愛原学” 「桧枝岐村での一泊」

2023-03-21 11:45:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月29日18時00分 天候:晴 福島県南会津郡桧枝岐村 旅館ひのえまた2階・大浴場]

 私達は温泉を堪能していた。

 高橋「秘技!『マッサージで感じちゃった僕』!」
 愛原「やめい!背中流すだけだろうが!」

 高橋は、いつもの狂ったノリで私の背中を流そうとした。
 これで、LGBTのBとかGじゃなかったらまともなんだが……。

 愛原「まあ、背中は流してくれてありがとうだな」
 高橋「あざーっス!」
 愛原「露天風呂行こう、露天風呂」
 高橋「うっス!」

 私と高橋は露天風呂に向かった。

 愛原「おお!天気がいいから、満点の星空だな!」

 だいぶ日も短くなり、西の空が若干明るい程度であった。

 高橋「そうっスね」
 愛原「満月もきれいだしなぁ……」

 月自体は東京でも見れるが、満点の星空となると……。

 愛原「めでためーでーたぁーの♪祭りの夜♪キミと2人きり♪」
 高橋「ヤッショーマカショー!シャンシャンシャン!ヤッショーマカショー!シャンシャンシャン!ハイッ!」
 リサ「先生の匂いがする!先生、そっちにいるの!?」
 愛原「だーっ!」

 リサの声がした。
 どうやら、男湯の露天風呂とは背中合わせになっているらしく、壁1つを挟んで、向こう側に女湯の露天風呂があるらしい。

 高橋「オマエは犬か!」
 リサ「鬼だよ!」

 自分で鬼だと認めたし……。

 高橋「犬ならワンと言え、ワンと!」
 リサ「ツー!」
 宿泊客「なかなか元気なお嬢さんが御一緒のようで……」
 愛原「あ、いや、どうもどうも……」

 私は温泉の熱さより、恥ずかしさで体が熱くなった。

[同日18時30分 天候:晴 同旅館1階・宴会場]

 愛原「あー、恥ずかしかった!オマエら、はしゃぎ過ぎだよ!」
 高橋「さ、サーセン」
 リサ「ゴメンナサイ……」
 高橋「オマエのせいで怒られただろうが!」
 リサ「お兄ちゃんだって、ノッてたじゃん!」
 高橋「人のせいにすんじゃねぇ!」
 愛原「あー、もう!うるせっ!」
 リサ「これがホントの『うる星やつら』ってね」

 リサ、右手から火花を散らした。

 愛原「やかましいわ!怒られるからやめろ!」

 私達は夕食会場である、1階の宴会場に向かった。
 宴会場は各テーブルごとに、掘りごたつ式になっている。
 つまり、座敷でありながら、椅子に座る感覚で座れるというわけだ。

 仲居「愛原様方のお席は、こちらでございます」
 愛原「ありがとう」

 テーブルの上には、部屋番号と『愛原様』と書かれた札が置かれていた。

 仲居「お飲み物は何になさいますか?」
 愛原「取りあえず、ビールで」
 高橋「じゃあ、俺も」
 リサ「わたしもー」
 愛原&高橋「何でやねん!」

 やると思ったw

 愛原「リサはジュースだろ」
 リサ「ちぇーっ!」
 愛原「オレンジジュースを1本」
 仲居「かしこまりました」

 メニューを見ていた高橋が、酒を指さした。

 高橋「先生、凄いっスね。マイタケ酒とか岩魚の骨酒とかありますよ」
 愛原「この辺は山菜、キノコ、蕎麦が名物だからな。東北地方とはいえ、この辺りは米が取れない。そこで、この辺りの人達は蕎麦を主食にしていたんだそうだ」

 蕎麦なら痩せた土地でも、十分に収穫できる。
 まあ、今なら流通も良くなったから、米だって普通に買えるんだがな。

 リサ「……日本の鬼族って、こういう魚を捕まえて、それでお酒を造っていたんだって」

 リサがポツリと言った。

 愛原「リサ!?」
 高橋「おい、角が出てるぞ。隠せ隠せ!」
 リサ「おっと……!」

 一瞬リサのヤツ、本当の鬼になっていなかったか?
 こいつに酒を飲ませてはいけない。
 年齢的な理由以外で!

 仲居「お待たせ致しました。ビール2本とオレンジジュースが1本でございますね」
 愛原「ありがとう」

 仲居さんがビール中瓶2つと、オレンジジュースの瓶1本を持ってくる。

 仲居「それでは、火をお点け致します」

 仲居さんはチャッカマンを取り出すと、1人鍋の下にある固形燃料に火を点けた。

 仲居「火が消える頃が、ちょうど煮立つ頃合いでございます」
 愛原「おー、いいねぇ!」
 高橋「先生、まずは一杯!」
 愛原「おっ、悪いな」

 高橋がビールを注ぐ。

 愛原「じゃあ、俺からも」
 高橋「あざざざざーっス!」
 リサ「先生、わたしも!わたしも!」
 高橋「おめーは自分で注げ」
 愛原「いいよいいよ。俺が注いでやるよ」
 リサ「わーい!」
 高橋「チッ!」
 愛原「というわけで、お疲れ!」
 高橋「お疲れ様っス!」
 リサ「おつかさまー!」

 夕食にはキノコ鍋や蕎麦、はっとうや山椒魚が並んでいる。
 肉は鍋の中に、少し入っている程度。

 リサ「あーん」
 愛原「肉を生のままで食べない!」
 リサ「えー……」
 愛原「先に蕎麦とか食べればいいんだよ」
 高橋「さすがは先生!」

 食べていると、善場主任からメールが来た。
 見ると明日、旅館のチェックアウト後に、BSAAと合流してもらいたいという。

 愛原「そ、そうか。まだ、仕事中だもんな……」
 高橋「何がですか?」
 愛原「明日、旅館をチェックアウトしたら、BSAAと合流してほしいんだってさ」
 高橋「そうなんスか。一緒に、現場を捜索っスか?」
 愛原「いや、そういうことじゃないだろ。だいいち、俺達の大仕事は既に終わってるはずなんだ。捜索はもう、公務員さん達の仕事さ」
 高橋「ですよねぇ……」

 多分、白骨死体を見つけた時点で、私の夢は正夢なのだろう。
 しかしながら、リサの記憶が戻らないというのは気になった。
 ついフラッシュバックでも起こして、最悪錯乱するところまでは想定していたのだが……。
 私が了解の旨返信すると、詳細はまた後でメールするとのことだった。
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