[期日不明 時間不明 天候:不明 場所:不明]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
私は何故か、無人の船内を歩いていた。
見覚えのある船だ。
これは……あれか。
東京湾シンフォニークルーズの船の中か。
不思議だ。
前に乗った時は、大勢の乗客で賑わっていたというのに。
今は人っ子一人いない。
乗客だけでなく、船員もだ。
高野芽衣子:「愛原先生、こんな所で何をなさっているんです?」
愛原:「おっ、高野君!キミこそ、どうしてここに!?もしかして、船内でバイオハザードでも発生したのか!?」
高野:「何を仰ってるんですかw 私は最後のお別れを伝えに来たんですよ」
愛原:「お別れ!?どういうことだ!?」
高野:「私はもう先生と2度と会うことはありません。事務所時代は短い間でしたが、お世話になりました」
愛原:「ど、どういうことなんだ!?」
すると、高野君は狙撃用のライフルを私に向けた。
愛原:「な、何をする!?」
高野:「まだ分からないのですか?」
高野:「な、何がだ!?」
高橋:「アネゴ。『知らぬが仏』って言うだろ。余計なこと言わなくていいと思うぜ?」
愛原:「た、高橋!?余計なことって何だ!?」
すると、高橋も手持ちのマグナム44を私に向けた。
高橋:「先生。今までお世話になりました」
愛原:「な、何だって!?オマエ達、一体どういうつもりだ!?」
リサ:「もう、お兄ちゃん達!冷たすぎるよ!」
そこへリサも現れる。
リサ:「何も知らないまま殺されるのも可愛そうだよ。やっぱり、ちゃんと教えてあげるべきだと思うよ?」
高橋:「テメェ、なに生意気なことを……」
高野:「いやいや、それもそうね。リサちゃんの言う通りだわ」
リサ:「ねー?」
愛原:「リサ、どういうことだ!?助けてくれんのか!?」
リサ:「助ける?何で?」
愛原:「な、何でって!俺、丸腰なのに、この2人に銃を向けられてるんだぞ!?」
リサ:「当たり前じゃない。だって、先生は……」
その時、私の背中に強い衝撃が走った。
力が抜け、床に倒れる私。
だ、誰だ?
誰が撃ったんだ……?
善場:「あなた達、遊んでる場合ではありません。とにかく……」
と、善場主任!?
この声は善場主任か!?
[8月28日07:00.天候:晴 東京都中央区銀座8丁目 銀座グランドホテル8F客室]
愛原:「わぁーっ!」
枕元に置いたスマホのアラームが鳴って、私は飛び起きた。
な、何だ……。
夢だったのか……。
リサ:「うー……ん……」
隣に寝ているリサが、呆然とする私を尻目に、手を伸ばしてスマホのアラームを止めた。
……ん!?隣!?
愛原:「……って、おい、リサ!」
リサ:「あ……先生。おはよー……」
リサは大きな欠伸をした。
人間形態の第0形態ながら、変化しきれていない牙が覗く。
愛原:「何で俺の隣に寝てるんだ!?」
とはいえ、本当に添い寝だけしていたようで、私の服が脱がされているわけでもなければ、リサが脱いでいるというわけでもなかった。
もっとも、手繋ぎされていた感じはあるが。
リサ:「先生の護衛」
愛原:「は!?」
リサ:「……ウソ。夜中に寂しくなったから、つい入っちゃった。ゴメンナサーイ……」
愛原:「あー……びっくりした……」
リサ:「メーワクだった?」
愛原:「……まあ、今回は許す」
リサ:「ホント!?じゃあ、お詫びと許してくれた御礼と『おはよう』のチュー」
愛原:「おい!」
しかし、私の唇はリサに奪われた。
リサ:「ハイ。先生のファーストキス、頂きぃ~!」
愛原:「オマエね!……ったく」
変な寄生虫を送り込まれた感じは無い。
愛原:「早く、ベッドから出て。起きるから」
リサ:「はーい」
愛原:「うー……嫌な夢見た。ちょっと寝汗かいたから、シャワー入ってくる」
リサ:「あ、じゃあわたしも入るー」
愛原:「調子に乗るな。……危うく俺、夢の中でオマエに裏切られるところだったんだから」
リサ:「わたしが!?」
愛原:「そうだよ」
リサ:「先生の夢の中のわたし、暴走した?」
愛原:「そういうわけじゃなく、結構ガチめの裏切りだったよ。高野君や高橋と一緒にな。あと、善場主任もだ」
リサ:「何それ?ドッキリ?」
愛原:「ドッキリだったんなら良かったんだがな。背後から善場主任にショットガンで撃たれて、お陀仏だよ」
リサ:「ヒドイねー」
愛原:「だから、オマエもだったんだって」
私はそう言うと、着替えを持ってバスルームに入った。
リサ:「背中流そうか?」
愛原:「いや、軽く汗を流すだけだから、そこまでしなくていい」
リサ:「そう……」
ついでに歯磨きと髭剃りもしておこう。
[同日08:00.天候:晴 同ホテルB1F朝食会場 レストラン“銀座 羅豚(らぶ)”]
朝の身支度を整えた私達は、朝食会場に向かった。
宿泊プランは朝食付きなので、フロントでもらった朝食券を手にレストランに向かう。
リサ:「お兄ちゃんの分、勿体ないねー」
愛原:「結局あいつ、戻って来なかったな……」
朝食は食べ放題のバイキングではなく、定食形式であった。
但し、メイン料理や小鉢など、内容は色々と組み合わせをチョイスできるシステムのようだ。
私は焼き魚を選び、今朝は焼き鮭であった。
リサは朝からハンバーグ定食をチョイスした。
主食は御飯と味噌汁をチョイスし、それはリサも同じだった。
リサ:「TKG、TKG」
愛原:「俺は納豆にするよ」
リサは玉子かけ御飯を楽しんだ。
愛原:「どうせ今日は休みだ。ゆっくり帰ろう」
リサ:「うん!」
愛原:「チェックアウトは11時みたいだし、それまでゆっくりしてもいい」
リサ:「10時じゃなくて、11時なんだ」
愛原:「高級ホテルには、たまにあるな。急いで帰りたいのなら、そうするが?まだ夏休みの宿題、終わってない?」
リサ:「それは大丈夫だよ」
愛原:「そうか」
リサ:「ねえ、先生」
愛原:「何だ?」
リサ:「先生が見た夢の内容、教えて?」
愛原:「あー……そうだな……。まあ、ちょっと怖い夢だから、ここではな……。部屋に戻ったら話すよ」
リサ:「分かった」
私達は取りあえず、朝食を楽しんだ。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
私は何故か、無人の船内を歩いていた。
見覚えのある船だ。
これは……あれか。
東京湾シンフォニークルーズの船の中か。
不思議だ。
前に乗った時は、大勢の乗客で賑わっていたというのに。
今は人っ子一人いない。
乗客だけでなく、船員もだ。
高野芽衣子:「愛原先生、こんな所で何をなさっているんです?」
愛原:「おっ、高野君!キミこそ、どうしてここに!?もしかして、船内でバイオハザードでも発生したのか!?」
高野:「何を仰ってるんですかw 私は最後のお別れを伝えに来たんですよ」
愛原:「お別れ!?どういうことだ!?」
高野:「私はもう先生と2度と会うことはありません。事務所時代は短い間でしたが、お世話になりました」
愛原:「ど、どういうことなんだ!?」
すると、高野君は狙撃用のライフルを私に向けた。
愛原:「な、何をする!?」
高野:「まだ分からないのですか?」
高野:「な、何がだ!?」
高橋:「アネゴ。『知らぬが仏』って言うだろ。余計なこと言わなくていいと思うぜ?」
愛原:「た、高橋!?余計なことって何だ!?」
すると、高橋も手持ちのマグナム44を私に向けた。
高橋:「先生。今までお世話になりました」
愛原:「な、何だって!?オマエ達、一体どういうつもりだ!?」
リサ:「もう、お兄ちゃん達!冷たすぎるよ!」
そこへリサも現れる。
リサ:「何も知らないまま殺されるのも可愛そうだよ。やっぱり、ちゃんと教えてあげるべきだと思うよ?」
高橋:「テメェ、なに生意気なことを……」
高野:「いやいや、それもそうね。リサちゃんの言う通りだわ」
リサ:「ねー?」
愛原:「リサ、どういうことだ!?助けてくれんのか!?」
リサ:「助ける?何で?」
愛原:「な、何でって!俺、丸腰なのに、この2人に銃を向けられてるんだぞ!?」
リサ:「当たり前じゃない。だって、先生は……」
その時、私の背中に強い衝撃が走った。
力が抜け、床に倒れる私。
だ、誰だ?
誰が撃ったんだ……?
善場:「あなた達、遊んでる場合ではありません。とにかく……」
と、善場主任!?
この声は善場主任か!?
[8月28日07:00.天候:晴 東京都中央区銀座8丁目 銀座グランドホテル8F客室]
愛原:「わぁーっ!」
枕元に置いたスマホのアラームが鳴って、私は飛び起きた。
な、何だ……。
夢だったのか……。
リサ:「うー……ん……」
隣に寝ているリサが、呆然とする私を尻目に、手を伸ばしてスマホのアラームを止めた。
……ん!?隣!?
愛原:「……って、おい、リサ!」
リサ:「あ……先生。おはよー……」
リサは大きな欠伸をした。
人間形態の第0形態ながら、変化しきれていない牙が覗く。
愛原:「何で俺の隣に寝てるんだ!?」
とはいえ、本当に添い寝だけしていたようで、私の服が脱がされているわけでもなければ、リサが脱いでいるというわけでもなかった。
もっとも、手繋ぎされていた感じはあるが。
リサ:「先生の護衛」
愛原:「は!?」
リサ:「……ウソ。夜中に寂しくなったから、つい入っちゃった。ゴメンナサーイ……」
愛原:「あー……びっくりした……」
リサ:「メーワクだった?」
愛原:「……まあ、今回は許す」
リサ:「ホント!?じゃあ、お詫びと許してくれた御礼と『おはよう』のチュー」
愛原:「おい!」
しかし、私の唇はリサに奪われた。
リサ:「ハイ。先生のファーストキス、頂きぃ~!」
愛原:「オマエね!……ったく」
変な寄生虫を送り込まれた感じは無い。
愛原:「早く、ベッドから出て。起きるから」
リサ:「はーい」
愛原:「うー……嫌な夢見た。ちょっと寝汗かいたから、シャワー入ってくる」
リサ:「あ、じゃあわたしも入るー」
愛原:「調子に乗るな。……危うく俺、夢の中でオマエに裏切られるところだったんだから」
リサ:「わたしが!?」
愛原:「そうだよ」
リサ:「先生の夢の中のわたし、暴走した?」
愛原:「そういうわけじゃなく、結構ガチめの裏切りだったよ。高野君や高橋と一緒にな。あと、善場主任もだ」
リサ:「何それ?ドッキリ?」
愛原:「ドッキリだったんなら良かったんだがな。背後から善場主任にショットガンで撃たれて、お陀仏だよ」
リサ:「ヒドイねー」
愛原:「だから、オマエもだったんだって」
私はそう言うと、着替えを持ってバスルームに入った。
リサ:「背中流そうか?」
愛原:「いや、軽く汗を流すだけだから、そこまでしなくていい」
リサ:「そう……」
ついでに歯磨きと髭剃りもしておこう。
[同日08:00.天候:晴 同ホテルB1F朝食会場 レストラン“銀座 羅豚(らぶ)”]
朝の身支度を整えた私達は、朝食会場に向かった。
宿泊プランは朝食付きなので、フロントでもらった朝食券を手にレストランに向かう。
リサ:「お兄ちゃんの分、勿体ないねー」
愛原:「結局あいつ、戻って来なかったな……」
朝食は食べ放題のバイキングではなく、定食形式であった。
但し、メイン料理や小鉢など、内容は色々と組み合わせをチョイスできるシステムのようだ。
私は焼き魚を選び、今朝は焼き鮭であった。
リサは朝からハンバーグ定食をチョイスした。
主食は御飯と味噌汁をチョイスし、それはリサも同じだった。
リサ:「TKG、TKG」
愛原:「俺は納豆にするよ」
リサは玉子かけ御飯を楽しんだ。
愛原:「どうせ今日は休みだ。ゆっくり帰ろう」
リサ:「うん!」
愛原:「チェックアウトは11時みたいだし、それまでゆっくりしてもいい」
リサ:「10時じゃなくて、11時なんだ」
愛原:「高級ホテルには、たまにあるな。急いで帰りたいのなら、そうするが?まだ夏休みの宿題、終わってない?」
リサ:「それは大丈夫だよ」
愛原:「そうか」
リサ:「ねえ、先生」
愛原:「何だ?」
リサ:「先生が見た夢の内容、教えて?」
愛原:「あー……そうだな……。まあ、ちょっと怖い夢だから、ここではな……。部屋に戻ったら話すよ」
リサ:「分かった」
私達は取りあえず、朝食を楽しんだ。