報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「事務所へ戻る」

2019-07-26 14:46:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月13日12:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 やっと仕事から帰って来れた。
 やはり無事に仕事が終わった時の安心感は半端ない。
 途中のサービスエリアやパーキングエリアで休憩を取りながら戻ってきたものの、やはり徹夜の眠気には勝てず、高橋はダウン。
 しょうがないので、埼玉県内からは私が運転した。
 リサもリアシートで完全に爆睡モードである。
 リサは着替える前はデニムのショートパンツだったが、着替えは同じ素材のスカートだった。
 上半身だけシートに横になって、足を広げて寝るものだから白いショーツが見えてしまっている。
 恥じらいが無いのはBOWだからか、或いはそれだけ私達を信頼しきっているからなのか……。

 愛原:「おーい、着いたぞー」
 高橋:「あ、はい……」
 リサ:「
 愛原:「リサー、起きろー。着いたぞー」
 リサ:「うぅーん……!」
 愛原:「リサ、パンモロしてる。気をつけろ」
 リサ:「ふぁい……」

 リサはパッと足を閉じた。

 高橋:「それじゃメチャクチャにヤられて処女喪失しても文句は言えねーぜ?」
 リサ:「ヤッたヤツがゾンビ化するだけだもん……」

 エイズより怖い性感染症だぁ……。

 リサ:「あ、愛原さんの時は感染しないようにするからね」
 高橋:「テメ、くぉらっ!」
 愛原:「そりゃどうも……。早いとこ荷物降ろしてくれ。あとこの車、返しに行かなくちゃあ」
 高橋:「あ、俺が返しに行って来ます」
 愛原:「大丈夫か?」
 高橋:「はい。少し寝させてもらったんで、もう大丈夫です」
 愛原:「そうか」

 と、言ってるくせに……。

 愛原:「おい、高橋!起きろ!」

 事務所のエレベーターで上がっている最中に、立ち寝しかかる高橋であった。

〔ピンポーン♪ 5階です。ドアが開きます〕

 エレベーターのドアが開いて、斜め前の事務所のガラスドアを見ると、電気が点いていた。
 どうやら高野君が出勤しているらしい。

 愛原:「おーい、開けてくでー」
 高野:「はいはい」

 両手に荷物を持った私達に代わり、中にいた高野君がドアを開けてくれた。

 高野:「先生、お帰りなさい。お疲れ様でした」
 愛原:「ああ、ただいま。取りあえず、ミッション終了だ。報酬はちゃんと契約通りにもらえるぞ」
 高野:「さすが先生です」
 愛原:「ただ、徹夜したもんだから、皆眠くてしょうがない。高野君、俺達が出ている間に何かあったか?」
 高野:「いいえ。異常どころか、依頼もありません」
 愛原:「そうか。いや、だったら1つ頼みがある」
 高野:「何でしょう?」
 高橋:「先生!先生の命令は全部俺が引き受けます!」
 愛原:「エレベーターん中で立ちながら寝落ちし掛かったヤツが何を言う。……いや、外に止めたバネット、レンタカー屋に返して来て欲しいんだ」
 高野:「それならお安い御用です。ちょっと行って来ます。ついでにお昼も買って来ますか?」
 愛原:「ああ……そうだな。駅前のマックでいいだろう。俺はダブルチーズバーガーのセットでサイドメニューはポテト、ドリンクはコーラでいいや」
 高橋:「俺は先生の食べ残しで!」
 愛原:「言っておくが、俺は基本的に出された物は完食する主義だからな?」
 高野:「マサは先生と同じものが食べたいのね。リサちゃんは?」
 リサ:「ビッグマックセット!ポテトとコーラ!」
 高橋:「また先生より高いもの頼みやがって……!」
 愛原:「だからいいって」

 私は財布の中から2000円札を出して高野君に渡した。

 高野:「あら、珍しい」
 愛原:「珍し過ぎて、偽札扱いされて通報されたって話がネットで実しやかに語られていたぞ」
 高野:「何気に私に危ない橋を渡らせますのね?」
 愛原:「偽札扱いされたら、俺に電話くれ。高橋、送り込むから」
 高橋:「先生の2000円札を偽札扱いしやがるクソフザけた店には、マグナム撃ち込んでやりますぜ!」
 高野:「今度は大人用の刑務所にブチ込まれるからやめときなさい」

[同日13:00.天候:晴 同事務所]

 午後から本格的に業務を開始したわけだが、やはり士気が上がらない。
 何しろ私自身もまた眠気との格闘だったからだ。
 高橋は自分の机に突っ伏して寝落ちしてしまった。
 最初は就業時間だからと注意していた私だったが、さすがにもうそれはやめた。

 高野:「先生、あとは私がここにいますから、どうぞお帰りになって休んでください」
 愛原:「いや、そういうわけには……。こういう時に限って、ボスから電話があったりするものだ」

 それにこの時間に寝てしまったら、今度は夜寝られなくなる。
 それではいけない。
 因みにリサは食後、応接室に行って横になって寝ていた。
 今日は来客の予定が無いからいいようなものの、うちみたいな小さな事務所は飛び込みの仕事を受けることが多い。
 それをまとめてうちに紹介してくれるのがボスなのだが、クライアント自身が飛び込んで来ることも稀にある。
 その時はリサを起こして退出させないといけない。

 愛原:「おっ!?」

 その時、事務所の電話が鳴った。

 愛原:「ほらな?言った通りだろ!?ボスからの電話だ!」
 高野:「はあ……」

 高野君が電話に出た。

 高野:「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます。……あ、善場主任」
 愛原:「ん?」

 善場氏から?

 高野:「いつもお世話になっております。……あ、はい。愛原はもう帰所しております。……はい。少々お待ちください」
 愛原:「善場さんからだって?」
 高野:「そうです」

 私は自分の机の電話機の受話器を取った。

 愛原:「はい、お電話代わりました。愛原です」
 善場:「愛原所長、お疲れ様です。逆女(さかさおんな)峠・妖伏寺(ようぶくじ)トンネル工事現場での御活躍、お聞きしました」
 愛原:「ありがとうございます。いや、何かまたバイオハザード絡みでしたねぇ」
 善場:「BSAAからも報告は受けました。是非とも愛原さんからも直接お話を伺いたいので、お時間頂けないでしょうか?」
 愛原:「いつでもいいですよ。何でしたら今日にでも……」
 善場:「いえ、明後日の月曜日でお願いします」

 いくらエージェントとはいえ、そこはお役所。
 やはり日曜日は休みのようだ。
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“私立探偵 愛原学” 「徹夜の帰京」

2019-07-25 19:06:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月13日06:30.天候:曇 福島県郡山市 東北自動車道・安積パーキングエリア]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 昨日から仕事で南東北へ行って来た。
 どうにか仕事は終わったのだが、バイオハザード絡みのせいでBSAAの調査がうるさく、なかなか帰してもらえなかった。
 それでも私達は契約通りに働いたわけだからな、ちゃんと報酬はもらうさ。
 とはいえ、バイオハザードのせいでトンネルは封鎖されるようだから、工事会社など関係各所には大きな痛手だろう。
 今ある旧道を拡張するなどして対応する他は無さそうだな。
 え?それができないから新道を作るんだって?んなもん知るかい。
 私は探偵であって、土木工事関係者ではない。
 契約に無いことにまで口を出すつもりはないさ。

 高橋:「先生、ここで少し休みましょう」
 愛原:「そうだな」
 リサ:「お腹空いた……」

 さっきから高橋の運転がふら付いている。
 このままでは事故るのは時間の問題だろう。

 愛原:「どうせ今日は土曜日だ。事務所は遅めに開けるさ」

 事務所には留守電を入れておいたから、高野君がもし出勤してくれば聞いてくれるだろう。

 愛原:「それより、飯の前にシャワー使おう。カビの化け物のせいで、こっちまでカビ臭くなってるよ」
 高橋:「そうですね」

 こんなこともあろうかと着替えは持って来ている。

 高橋:「着きました」
 愛原:「ご苦労さん」

 私達は車を降りた。

 愛原:「こんな朝早くからシャワー使えるかな?」
 高橋:「温泉とかはともかく、シャワーくらいなら24時間使えるはずですよ」
 愛原:「そうか」

 その旨はちゃんと看板に書かれていた。
 10分で200円らしい。
 確かに温泉施設よりずっと安い。
 売店の奥のあるようだ。
 当たり前だが、トイレのように男女に別れている。
 入口が何だかトイレみたいだ。

 愛原:「じゃあ、リサはそっちな?」
 リサ:「うん」

 女性のみ売店に声を掛けて利用することになる。

 愛原:「このコが使うのでよろしく」
 店員:「はい、どうぞ」

 男性用は中に入ると更に3部屋に分かれている。
 1つは使用中だった。
 大型車のスペースに長距離トラックが何台か止まっていたから、その運転手が使っているのかもしれない。
 脱衣所があって、その向こう側に折り戸があってシャワーブースがある。

 高橋:「先生、一緒に入r……」
 愛原:「オマエはそっちを使え!1人用だ!」

 来ると思ったw
 リサも寂しそうな顔をして女性用に入って行ったが、そのリサでも我慢しているのだから、高橋にも辛抱強くなってもらわなきゃあ。
 シャワーブースに入ると、天井にスプリンクラー……もとい……あ、いや、いいのか。
 固定シャワーとハンドシャワーがある。
 因みに脱衣所にドライヤーはあるが、タオルや石鹸などは無い。
 これは売店で購入することになる。
 リサは持っていなかったので、リサの分を買う時にリサが女性用を使う旨、店員に伝えたというわけだ。
 尚、シャワーブースは一回使う事に自動洗浄機能がある為、結構きれいである。
 それにしても私はこういう時、急な泊まりになることを覚悟して着替えやら洗面道具を持って行くことにしており、それを高橋にも教えたのだが、リサのことは忘れていた。
 反省すべき点だな。
 もっとも、売店も24時間営業なのでタオルも石鹸もちゃんと購入できる。
 さすがにコインランドリーは無いので、汚れた服は帰って洗濯しないとダメだな。
 クリーニングに出さないと、普通の洗濯では汚れが落ちないかもしれない。
 それにしても、リサでもダメージを食らうBOWがいるとは思わなかった。
 リサもアメリカのオリジナル版はラスボスクラスだったというし、あのエブリンもアメリカの第一号はラスボスで、BSAA北米支部の介入でもって倒されたと聞く(実際に介入したのは正義に目覚めた新生アンブレラで、BSAA北米支部の幹部を作戦遂行に招聘しただけに過ぎない)。
 でも、私はしかと聞いた。
 リサの決意を。
 リサは私を信頼してくれている。
 この信頼を裏切らない限り、彼女は暴走することはないだろう。
 私のミッションはリサを成人になるまで面倒を看、日本政府エージェントとして採用されるのを見届けることだ。

 愛原:「!?」

 その時、私はふと思った。
 それってつまり、善場氏の部下になるということだろう。
 善場氏は上司として理想的な人物に見えるからそれはいいのだが、BOWを部下にしようとするくらいだから、もしかしたら善場氏も……普通の人間ではないのかもと思ってしまった。
 いや、まさかね。
 特殊部隊もかくやといった訓練は受けているだろうが、体まで改造されているとは……思わないよねぇ……。

 それから30分くらいして、私達はサッパリすることができた。
 汚れた服は先に車に積んでおいて、しかも高橋は車用のファブリーズを徹底的にスプレーしていた。

 愛原:「よし。ちょうど飯食う所も開いたし、ここで食べて行こう」
 高橋:「はい!」
 リサ:「お腹空いた」

 私は普通にラーメンを注文したのだが、リサはカツカレーを注文していた。

 高橋:「先生より高い物を注文するとはいい度胸だな?あぁ?」
 愛原:「オマエの定食も俺より20円しか違わないだろうが。いいんだよ、好きなもん頼んで」
 高橋:「でも先生、コイツが頼んだのジャンボサイズっスよ?」
 リサ:「お腹空いたもん」
 愛原:「だからいいんだって。俺と違ってお前達は若いんだから、ガンガン食っていいの!」

 リサと高橋なんて10歳くらいしか違わないだろう。
 10代と20代、どちらも食欲も性欲も旺盛な年代だ。
 私みたいなアラフォー世代とは違う。

 高橋:「へへ……じゃあ、お言葉に甘えまして、俺も飯大盛りで」
 愛原:「ああ、いいよいいよ。食え食え。その代わり、リサは絶対に人を食ったりしないように」
 リサ:「うん、分かった!」
 愛原:「高橋は高橋で、男を食うのは禁止だ。特に俺に襲い掛かったりしないように」
 高橋:「ええっ!?じゃあ、大盛りいいです……」
 愛原:「オマエの優先順位はどうなってるんだ?」

 私は呆れざるを得なかった。
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“私立探偵 愛原学” 「BOW同士でも軋轢はある」

2019-07-25 14:41:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月13日02:00.天候:不明 某県山中県道バイパス 妖伏寺トンネル工事現場]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は仕事で山奥を走る道路トンネルの工事現場に……って、暢気に解説している場合ではない。
 確か、私は……そうだ!
 シールドマシン内部で、黒カビに飲み込まれたんだった!
 それから程なく意識を失って……?
 ん?ここはどこだ!?真っ暗だぞ!?
 しかも、地に足の付いていない感覚!
 まるで無重力の中に閉じ込められているかのようだ。
 まさか私は死んだのか!?

 ……いや、待て。
 何か聞こえる。
 話し声のようだ。
 これは……リサの声?
 誰かと話している?

 ???:「いいじゃん、このまま食べちゃえば?あなたも人喰いなんでしょう?」
 リサ:「愛原さん達は別!愛原さん達と約束したもん!絶対に人喰いはしないって!」
 ???:「私達はどうせBOW。このまま言う事聞いてたって、どうせ実験台だとか色々利用されて終わり。アメリカ人のあのコだって、モノ扱いされて結局は殺されたのよ?このままでは私達も同じ」
 リサ:「私は愛原さん達を信じる!」
 ???:「あなたとは友達になれないようね」

 一体、何だ?
 リサは誰と話している?
 聞いたことのない声だ。
 声からして、リサと同じくらいの歳の女の子のようだが……。
 それより、私のこの状態は一体何なんだ?
 どうも、あのコ達と話の内容からして私は捕まったようなのだが……。
 と!

 リサ:「愛原さん!早くここから出て!」

 リサがベリべリと何かを剥がす音を立てた。
 私の向こうで、その音が聞こえる。
 まるで石灰岩を剥がすかのように……って、私はいつの間に石灰岩の中に閉じ込められたんだろうか?

 愛原:「プハッ!」

 息苦しさから解放された時、向こう側にリサの姿が見えた。
 リサは尚も私を閉じ込めている脆い岩のようなものを剥がしている。
 そして、最後には私はその中から落ちた。

 愛原:「いでっ!」
 リサ:「愛原さん、大丈夫!?」
 愛原:「いでででで……。一体、何なんだ?」
 リサ:「エブリンがね、愛原さん達を食べようとしたの。だけど、もう要らないって」
 愛原:「な、何だって!?」

 やはり私達は危うく捕食されるところだったようだ。

 愛原:「高橋は!?」
 リサ:「あそこ!」

 リサが指さした所には、私と同じように石灰化した歪な壁の中に下半身だけ呑み込まれた高橋の姿があった。

 愛原:「高橋!大丈夫か!?」

 私はリサと一緒に高橋を救出した。

 高橋:「う……先生……?俺は……?」
 愛原:「生きてるな!?よし!」

 私は高橋を起こそうと手を伸ばした。
 しかし、その手を掴む者がいた。

 ???:「この女と別れちゃいなよ、先生?」
 愛原:「わあっ!?」

 それはウェーブの掛かった黒い髪をショートボブにした少女。
 黒いワンピースを着て、不気味な笑顔を見せている。
 だが、私がびっくりして仰け反ると同時にその少女は消えた。

 リサ:「エブリン、やめて!」
 高橋:「敵ですか、先生!?……何だ、テメェは!?」

 高橋は見えない誰かに向かってマグナムを構えた。
 どうやら高橋は幻覚を見ているようだ。

 愛原:「! リサ、後ろにいるぞ!」

 リサの後ろには、リサの首に手を伸ばそうとしているエブリンの姿があった。
 リサよりも幼い顔立ちで、身長も低い為に年下らしく見える。
 しかし、リサは動じない。

 リサ:「エブリンはもういないよ。“黒いお友達”を連れて、引っ越して行っちゃった」
 愛原:「な、なに?!し、しかし、現に……!」
 エブリン:「リサなんかと付き合っても不幸になるだけだよ?」

 また私の手を掴んで来るエブリンの姿があった。

 リサ:「それは幻覚。私には見えるけど、恐らくそれは高橋兄ちゃんには見えない。そして、高橋兄ちゃんの手を掴んでるエブリンの姿も先生には見えないと思う」
 愛原:「ど、どういうことだ!?」
 リサ:「この中から早く出よう。あいつは獲物に幻を見せるのが得意なの」
 愛原:「な、何だ、幻覚か。高橋、何だかヤバそうだから早く出るぞ!」
 高橋:「先生から離れろ、クソガキが!!」
 愛原:「惑わされるな!幻覚だ!」

 私は先ほど入って来たドアを開けようとしたが、何かに引っ掛かっているのか開かない。
 そこはリサがBOWならではの強い腕力でこじ開けた。
 マシンの外も石灰化したカビに覆われていた。
 それにドアが引っ掛かっていたのだ。

 愛原:「まだモールデッドが外にいるかもしれないから、気をつけて行くぞ!」
 高橋:「はい!」

 私達が出口に向かって走ると、向こうから武装した男達がやってきた。
 ワッペンにはBSAAとある。

 愛原:「やっぱりバイオハザード絡みだったか……」

 というか、私達の方がこの国連組織より歩みが早いとは……。

[同日04:00.天候:晴 同トンネル工事現場事務所]

 BSAA極東支部日本地区本部の隊員達に連れられて、私達はトンネルの外に出た。
 そこには他にも多くの隊員達が駐留していて、さながらベースキャンプのような雰囲気だった。
 そこの一画に設置された救護所で、私達は検査を受けた。
 どうやら、アメリカのルイジアナ州で起きたバイオハザードと同じ特異菌であるらしい。
 そこで驚かれたのは、リサはBOWだから当たり前だが、私や高橋が殆ど感染していなかったことだ。
 高橋にあっては群馬県で起きたバイオハザードの時に抗体ができたと考えられるが、私の場合はどうも最初から抗体があったようであるとのことだった。

 高橋:「さすが先生!やはり凡人ではないですね!正に神降臨です!」
 愛原:「いや、大げさだよ」

 私は肩を竦めてみせたが、霧生市のバイオハザードといい、豪華客船のバイオハザードといい、そして新種のカビを利用した特異菌によるバイオハザードといい、全てにおいてその力を無効化させるものが私の体の中にあるという。

 BSAA医療技師:「もしよろしかったら今度、BSAAにて精密検査を……」
 愛原:「既にそちらさんの息の掛かっている病院で検査は受けているので、そこに問い合わせれば私のデータが出て来るはずです」

 そのうち、私もモルモットにされる日が来るのかもしれないな。
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“私立探偵 愛原学” 「トンネルの中は異界」

2019-07-23 19:08:11 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月12日21:00.天候:雨 某県霧生市隣町 妖伏寺トンネル内]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は仕事で地方の山の中までやってきた。
 トンネル工事現場に化け物が出るということで来てみたのだが、現れたのは人型のゴキブリのようなものであった。
 恐らくそれが延々と無限湧きするのだろうと思いきや、テラフォーマーみたいなゴキブリが現れたのは2匹だけ。
 それ以降現れたのは……。

 高橋:「先生、危ない!」
 愛原:「おっ!?」

 高橋が手持ちの違法改造エアガンで、私の背後に現れたクリーチャーの頭を撃ち抜く。
 アメリカのルイジアナ州にも現れたモールデッドと呼ばれるクリーチャーで、これが最新の“ゾンビ”なのだという。
 名前の由来は『モールド(カビ)』+『デッド(死人)』を合わせたもので、新種の黒カビに侵されてゾンビ化した元人間である。
 身体的な特徴は全身を厚い黒カビに覆われ、それが元々は人間であったことを忘れさせるほどだ。
 顔は分からず、男か女かも分からない。
 これが生前の名残があった従来のゾンビとは違うところだ。
 ゾンビにも亜種がいたが、こちらも何種類かいるもよう。
 中には4足歩行で這うように襲って来る個体もあり、これが山辺監督の見たモールデッドだったのだろう。
 ということは、リッカーや逆さ女……もとい、サスペンデッドはここにはいないようである。
 最大の特徴は、何と言ってもその現れ方。
 ダクトや排水溝の中から現れることもできれば、地面の中に潜んで、対象者が現れたら土の下から現れるなんてこともしてきやがる。
 なるほど。
 それで警察などがやってきても、隠れてやり過ごすことができたわけだ。

 高橋:「うらぁーっ!!」

 厚いカビに覆われているとはいえ、そこは元人間。
 頭を撃ち抜かれれば死ぬ。
 ただ、通常のゾンビもそうだったのだが、手足を撃ち抜いたくらいでは、這ってでも向かってくる。

 愛原:「高橋!あんまり弾を無駄にするなよ!?」
 高橋:「分かってますよ!」

 リサはリサで右手を触手のように変化させ、モールデッドが襲って来たら頭やら胸やらを槍のように突き刺して貫通させるのだ。

 リサ:「ペッ!マズい!」

 しかも、そのモールデッドを逆に食べてやろうという勢い。
 正体を曝け出したら腹が減るとか言っていたが、そんな腹ペコBOWでもカビゾンビは食えないようだ。

 愛原:「それにしても、何だか俺達を待っていたかのような感じだぞ!?一体どういうことだ?」
 高橋:「誰かの命令で動いてるんじゃないスか?」
 愛原:「リサ!こいつらが誰の命令で動いているか分かるか!?」
 リサ:「分かんない!」

 少なくとも、リサの知り合いがこの中にいるわけではなさそうだ。 

 愛原:「アメリカのルイジアナ州のパターンだと、エブリンという名の少女型BOWが全てを動かしていたらしいぞ!?」
 高橋:「リサ!本当何も知らねーのか!?」
 リサ:「知らないってば!」

 しょうがないから、このままトンネルの奥に進むしか無いのだが……。

 愛原:「行き止まりだ!」

 このトンネルはシールド工法で掘削されているらしい。
 そのシールドマシンの所まで来た。
 だが、ここはここで惨劇の現場だったらしい。
 シールドマシンのあちこちに血しぶきの掛かった痕がある。
 だが、死体は無い。
 恐らくその死体は、今まで現れていたモールデッド達だったのだろう。
 作業員の成れの果てか、或いは元々潜んでいた奴らか……。

 高橋:「先生!何にも無いですよ!?」
 愛原:「落ち着け。このシールドマシンの周辺を調べてみるんだ」
 高橋:「は、はい」

 このシールドマシンの裏側には何があるのだろうと思った。
 もしこの周辺に何も無いようなら、裏側に行ってみよう。

 高橋:「先生、何も無さそうです。こいつらに命令していたヤツはどこに行ったんでしょう?」

 もしくはそのような存在は最初から無く、勝手に行動していたか。
 襲い方に統率性が感じられなかったので、その可能性もある。
 無ければ無いでいいのだが……。

 愛原:「よし。シールドマシンの裏側に行ってみよう」

 私が言うと同時に、リサがシールドマシンの方に走って行った。

 高橋:「こら!俺より先に行くんじゃねぇ!」

 何かリサは見つけたのだろうか?
 私でもこの裏側へ行く方法を探していたのだが、リサは最初から知っているかのようにあっさりとそこへの入口へ向かった。

 愛原:「リサのヤツ、何か見つけたかな?」
 高橋:「何ですって?おい、リサ!何か見つけたんなら、先生に報告しろ!」

 私達もリサの後を追った。

 リサ:「どこにいるの〜!?」

 私達がマシンの中に入ると、リサは何かを探していた。
 何かというより、呼び掛け方から、誰かであろう。

 愛原:「どうしたんだ、リサ?」
 リサ:「女の子がいたの。私よりも小さいコ」
 愛原:「何だって!?」
 高橋:「なんでこんな工事現場に、オメーより小さいガキがいるんだよ?」
 愛原:「どんなコだった?」
 リサ:「黒っぽい服着たコ。小学生くらいの」

 リサは中学2年生だから、4つくらい下かな?

 愛原:「! 待てよ……!」

 確か、アメリカのルイジアナ州でモールデッドの軍団を操っていたエブリンというのは、見た目は10歳くらいの女の子で、黒いワンピースを着ていたとされる。

 愛原:「もしかしたら、リサが見たのはエブリンかもしれないぞ!?」
 高橋:「つまりボスですね!?おい、リサ!そいつはどこにいる!?」
 リサ:「この部屋に入って行く所は見たの。だけど、いないみたい」
 愛原:「きっと裏側だ!この中から裏側に行ったに違いない!」
 高橋:「行ってみましょう!」

 そのドアはすぐに見つかったが、何故か開かなかった。

 愛原:「鍵が掛かってる!?」
 高橋:「マジっスか!?クソですね!」

 しょうがない。
 一度戻って、山辺監督に鍵をもらってこよう。
 私がそう思った時だった。

 高橋:「せ、先生!」

 マシン内部から、まるで科学番組の映像を見るかのように、壁面から黒カビが現れた。
 それはどんどんどんどん内部を侵食していく。

 愛原:「マジかよ!?早く脱出するぞ!」

 私は先ほど入ったドアを開けようとした。
 だが、こちらも開かなかった。
 こちらはまるで、何かに押さえつけられているかのようだ。

 愛原:「開かないぞ!リサ、お前の力なら開けられるか!?」
 リサ:「やってみる!」

 リサがBOWならではの力を発揮してドアをこじ開けようとした。
 確かに私がやった時よりもドアは少し開いたが、それだけだ。

 愛原:「リサの力でも開かない!?」
 リサ:「そ、そんなぁ……!」
 高橋:「先生……うわっ!?」

 その時、高橋が黒カビに飲み込まれてしまった。

 愛原:「しまった!罠だったのか!」
 リサ:「きゃあああああっ!!」

 その次にリサと私が同時に黒カビに飲み込まれてしまい、私の意識はここで途絶えた。
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小説の途中ですが、ここで本日の動向をお送りします。20190720

2019-07-20 23:05:35 | 日記
 今日は横浜市へ遊びに行って来た。
 今年度から付き合い始めている彼女が横浜市在住なので、市内を案内してくれるという。

 取りあえず、桜木町駅で待ち合わせをした後は駅前のランドマークタワーに昇ってみた。
 70階建ての超高層ビルの69階に展望台がある。

 
(本日ゲットした入場券)

 70階は高級レストランになっているようで、そこの客にならないと入れないようだ。
 とはいえ、私も高い所は池袋のサンシャイン60の60階が最高記録だ。
 それを更新することになる。
 とはいえ、今日の天気は何だったか?
 そう、曇時々雨である。
 今日は殆ど雨に当たることは無かったが、一日中曇り空だったのでその眺望は【お察しください】。
 全く見えなかったわけではないが、さすがに天候が良ければ富士山まで見えるという触れ込みだったが、それは【お察しください】。
 だからだと思うが、土曜日である割には空いていた。
 ま、超高層建築物の展望台に昇った高さの記録更新はできたということで。
 これを更新する為には、スカイツリーにでも昇らないとダメかな?
 東京タワーでも大丈夫かな?

 ランドマークタワーに昇った後は、横浜市営バスが運行する“あかいくつ”に乗ってみた。

 
(種車は日野自動車製のレインボー辺りだと思われる)

 どこの大都市でもレトロ調のバスを観光客向けに運行することが流行っているようだが、御多聞に漏れずこのバスもそうだった。
 私がバスファンでもあることを彼女は理解してくれていて、すぐに乗り場へ連れて行ってくれたというわけだ。
 それでどこまで行ったかというと、港の見える丘公園。
 私達が乗車した“あかいくつ”が循環路線でそのまま乗っていると桜木町駅に戻って来るコースの為、途中で降りたというわけだ。
 このバス停は道が狭く、公園内の噴水の周りを回って転回する所が面白い。
 尚、この公園内には大佛次郎記念館があるのだが、猫の像が飾ってあることで有名だ。
 だからなのか、この公園には野良猫(にしては綺麗なので、地域猫かもしれない。首輪は無かったので、少なくとも飼い猫ではない)が数匹棲息している。
 トチロ〜さん、猫がいますよ〜?
 尚、黒猫は確認できず、三毛猫と“じゃらん”のCMに出て来そうなネコがいた。
 あいにくと、彼らは写真を撮らせてはくれなかった。
 え?記念館のネコの像?モノホンのネコに気を取られて、撮影するのを忘れてました。てへてへw
 因みに公園内に何故か警察官が配置されており、警察官から挨拶されたので私も返した。
 それだけで済んだのだが、ここで恐らく狼狽えると職質ターイムとなるのだろう。
 どうして警察官が配置されているのだろうと首を傾げていると、近くにシタ朝鮮総領事館があるのね!
 御存知、我が国と彼の国はさっさと国交断絶しろよというくらいに関係が悪化している。
 私も参院選挙では彼の国との国交断絶を公約にしてくれる候補者に是非とも一票投じたかったのだが、あいにくといなかった。残念!
 その為、右翼団体関係者の弟も舌を巻く過激派が突入して来ないよう、特別警備に当たっているのだろう。
 そこの門の前を警備する警察官にも挨拶されたので、私はちゃんと返しておいた。
 ほぼ敵国たる総領事館の警備に駆り出されるお巡りさんも大変だ。

 次は市電保存館に向かった。
 件のバス乗り場から、今度は普通の路線バスで本町四丁目バス停まで行き、そこから滝頭行きのバスに乗り換える。
 彼女の話だと、終点の滝頭バス停はバスの営業所もあり、そこに市電保存館も併設されているという。
 因みに仙台にも市電保存館はある。
 こちらは仙台市地下鉄南北線の南の終点駅、富沢たけし駅の更に南側、富沢たけし車両基地に隣接されて設置されている。
 横浜では地下鉄ではなく、バスの営業所に併設されているというわけだ。

 
(定価は300円なのだが、ここに市営バスで乗り付けると100円割引になる。受付にICカードの履歴を読み取る機械があるので、これで分かる)

 館内は仙台市のものよりも本格的であった。

 
(1100型。横浜市営バスの一般路線車の塗装が、この市電から受け継がれていることが分かる)

 
(同型の車内。床は木張りでこの写真だと分からないが、乗降ドアも手動である)

 
(市電廃止の時点まで在籍していた1500型。1970年代に廃止されたわけだが、既にこの時点で“新ビオフェルミン”が存在していたことに驚いた)

 
(1500型の車内。廃止時点の最新型車両でも床は木張り。尚、運転台が中央から左ハンドルになっていたりする)

 市電だけでなく、鉄道模型なんかも展示されていて、ちょっとした鉄道博物館である。
 これは仙台市、負けたな。
 因みに私がノリノリだったのは、市電のシミュレーター。
 但し、何故かワンハンドルマスコンであったが。
 彼女はオーバーランを繰り返していたが、私はちゃんと適正な速度で走行し、停止位置も±1メートル以内に抑えて停車できた。
 どちらかというと、私の運転の仕方は電車というよりもバスの運転に近い。
 他の車と速度を合わせ、ブレーキも徐々に強く掛けていくやり方だ(JR東日本などは一気に強いブレーキを掛けて、徐々に弱めていく止め方である)。
 そもそもが、路面電車のエアブレーキはJRなどの電車のブレーキとは根本的に構造が違う。
 それこそ大型バスのブレーキに近い(エアをタンクに溜めてブレーキ圧を掛ける所が特に)。
 大型免許を持っている私はこの辺を理解していたので、オーバーランも急停車にもならずに済んだというわけだ。

 帰りは市電保存館前からバスに乗り、桜木町駅に向かった。
 その駅前で夕食を一緒に取り、京浜東北線で横浜駅に移動して彼女は横須賀線へ、私は上野東京ラインへ。
 とどのつまり、横浜市内ではJR以外の電車には乗っておらず、しかも路線バスも横浜市営にしか乗っていないというわけだ。
 でも、私にとっては本格的に横浜市内を散策する機会に恵まれたので、良い体験であった。

 あくまでも彼女との付き合いで行ったものであり、取材の意図は全く無いのだが、もしも作中で横浜市内が登場するようなことがあればこの体験が行かされることになるだろう。

 因みに彼女は日蓮正宗以外の人である。
 はっきり言って私の現況では、日蓮正宗内で恋愛・結婚をすることはまず無理と判断し(そもそもが法華講の女性がそこに功徳を求めて来ることに無理がある)、無宗教の間に外で作って来た。
 私が法道院を飛び出した理由にはいくつかあるが、あの大寺院でさえ出会いには全く期待できないことに希望を見出すことができなかったということもある。
 それはもちろん今の報恩坊もそうなのだが(そもそも若い女性がいない!いてもまずお寺に来ない!トチロ〜さん、どうなってるんスか!?)、とにかくさっさと諦めて外に活路を見出した方が良い。
 それで上手く行ってる私が言うのだから、その判断は正しかったと思う。
コメント (8)
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