報恩坊の怪しい偽作家!

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“大魔道師の弟子” 「魔界紀行」 東京都内

2017-09-11 12:24:56 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[9月9日17:29.天候:晴 JR新宿駅→都営地下鉄新宿駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。「ご乗車お疲れさまでした。まもなく終点、新宿、新宿に到着致します。10番線に入ります。お出口は、左側です。【中略】甲府駅におきまして、ケガ人の救護を行いました関係で、この電車、約5分ほど遅れまして新宿駅に到着致します。本日は電車遅れまして、大変ご迷惑をお掛け致しました。……」〕

 稲生:「それでも5分遅れで済んだとは……。回復運転はしただろうけど」
 マリア:「応急手当して、後は降ろすだけだったからな」
 イリーナ:「ううーん……!」

 イリーナは大きく伸びをした。

 イリーナ:「余計な魔力を使うと、疲れるよ」
 稲生:「先生、お疲れさまです」
 マリア:「車内販売係がこちらに来るのを妨害していた酔っ払い2人は、トイレでコケて便器に頭ぶつけたり、洗面台でコケて頭ぶつけたということにした……と」
 稲生:(本当は人形達にボッコボコにされていたんだけど……)
 イリーナ:「関係者の記憶をいじくり回すの、本当大変だったんだから。この時いつも、システムプログラマーのシステムプログラミングの難しさに対応する苦労が分かるってものさね」
 マリア:「便利な人だなぁ……」
 稲生:(てか、魔法使いがシステムプログラミングって……)

 電車が更に速度を落とし、ポイント通過で大きく揺れたりすると、もう新宿駅である。

 稲生:「ここの乗り換えに苦労するんですよ。1度迷子になったら、まず都営地下鉄の駅に行けないものと思ってください」
 イリーナ:「ああ。確かにここのダンジョンは、魔王城でさえ序盤のステージ扱いになっちゃうものね」
 マリア:「そうなのか?」
 稲生:「カントクが『どうしても新線新宿駅に到着できない( ;∀;)』ってんで、わざわざ笹塚駅まで行って乗り換えたらしいですから」

 昔の話である。
 あの時はやたら工事していたので、通常ルートが取れなかったのである。
 というか、こんな新宿駅で迷子になる思いをするなら、実際に乗り換えがそんなに複雑ではない京王線に乗って笹塚駅で乗り換えた方が楽なような気がするのは私だけか?
 いや、もちろん遠回りした分の運賃を余計に払わなければならないという短所はあるが。
 埼京線→バスタ新宿の乗り換えルートは完璧なのだが……。

 マリア:「それ、魔界ではバッドエンドコースになるぞ。ダンジョン攻略を放棄した、という意味で
 稲生:「ですよねぇ……」

 ドアが開いて乗客達が一斉に降り出した。

 稲生:「じゃ、行きましょう。僕なら分かりますから」
 マリア:「ああ、分かった」
 イリーナ:「頼もしいねぇ……」

 尚、今ならもっと乗り換えが楽な都営大江戸線があるので、諦め笹塚ルートを採る必要は無くなっている。
 こちらもこちらで遠回りにはなるのだが、同じ都営地下鉄線ということで、余計な運賃を取られる心配は無い。

[同日17:43.天候:晴 都営地下鉄新宿駅・新宿線ホーム]

 稲生:「急行には乗り遅れちゃいましたね。ま、次の電車はここ始発ですから」
 マリア:「師匠の足で『せかせか』は無理だよ」
 イリーナ:「この体では『ふつう』も難しいものだよ」

 何の話をしているのかというと……。

 イリーナ:「最近は魔法でルート検索ができるものねぇ……。詠唱術式も、ただ単に『ナビタイム』と唱えるだけでいいなんて……」
 マリア:「いや、それ魔法じゃないです」
 稲生:「このくらいなら、ナビタイムは要りません」
 イリーナ:「このヘルメット被った紳士が、ファミリア(使い魔)なのね」
 稲生:「だから違いますって」

 イリーナはホームの広告のナビタイムのオジさんを見て頷いていた。

 イリーナ:「これは失礼。この紳士自身が検索魔法『ナビタイム』を開発した魔道師とは……。どこの門流の人かしら?」
 稲生:「いや、ですから……」
 マリア:「いいよ、ユウタ。1人で『ナビタイム』やらせとけって」
 稲生:「はあ……」

 そこへ電車が轟音を立ててやってくる。

 稲生:「都営新宿線には、まだホームドアがありませんからね。気をつけてくださいよ」

 2019年度には設置が完了する見込みとのこと。

 イリーナ:「そうよ。地下鉄の風は侮れないからね。マリアの短いスカートだと、すぐ捲れるよ」
 マリア:「!!!」
 稲生:「大丈夫ですって。ここ、先頭車ですからそんなに風が来ませんから」
 マリア:「そうか」

〔「4番線もご注意ください。京王新線直通、快速、橋本行きの到着です」〕

 ゴォォォォォォォォォォォ!!
 ブワッ!

 マリア:「!!!……見た?」
 稲生:「いえっ、見てません!」
 イリーナ:「んー、ここが先頭ということは、逆方向からすれば1番後ろになるもんねー」

〔「5番線に到着の電車は当駅始発、各駅停車の本八幡行きです」〕

 ドアが開いて電車に乗り込む。

 稲生:「たまにはあっちの京王9000系に乗ってみたいな」
 マリア:「色合いが違う」
 稲生:「向こうの橋本行きは、乗り入れて来た京王電鉄の車両です。乗り入れて来て、帰るところですね」
 マリア:「ほおほお」
 稲生:「でも、時々思うんですよ」
 マリア:「何が?」
 稲生:「こういう相互乗り入れをしている路線で、何か事故が起きたりすると、相互乗り入れを中止することがあるんです」
 マリア:「それで?」
 稲生:「相互乗り入れが中止になった路線で、乗り入れて来た電車が元の会社線に帰れず、他社線内をうろうろしている様に悲壮感を感じるのは僕だけでしょうか?」
 マリア:「うん、ユウタだけだと思う」

 尚、埼京線とりんかい線においては、通常ダイヤであっても線内折り返しが行われているので、大した悲壮感は無いという。

〔「5番線、各駅停車、本八幡行き、ドアが閉まります」〕

 JRの電車みたいなドアチャイムが鳴ってドアが閉まる。
 先頭車や最後尾にいると聞こえてくる、発車合図のブザーで持って電車が走り出した。

〔毎度、都営地下鉄をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は各駅停車、本八幡行きです。次は新宿三丁目、新宿三丁目。丸ノ内線、副都心線はお乗り換えです。お出口は、右側です〕

 稲生:「先生、20分ちょっとで着きますから、あまり寝落ちはされない方が良いかと」
 イリーナ:「そうね。本当は地下鉄で寝落ちとかしちゃいけないんだけど……」
 稲生:「他の国では治安が悪いからですか?」
 イリーナ:「うん。昔、ベルリンの地下鉄で寝落ちした時、見事に水晶球を盗まれて、捕まえるのに魔法使って、電車1台オシャカにしちゃったw」
 稲生:「日本の地下鉄では絶対に寝ないでくださいね!」

 世界で唯一、寝落ちしても大丈夫な地下鉄が東京だと言う。

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