報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「愛原家のクリスマス」

2021-12-25 15:33:09 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月24日17:08.天候:晴 東京都墨田区菊川 都営バス菊川一丁目停留所→錦11系統車内]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日はクリスマス・イブということで、事務所を早めに閉めて、錦糸町に繰り出すことにした。
 夕食を食べに行くところだが、リサにクリスマスプレゼントを買ってやるというのもある。

 リサ:「お、バス来た」
 愛原:「そうか」

 今や都営バスは観光バス以外、全ての路線バスがノンステップバスになっている。
 私達の前で止まったバスは、グライドスライドドア式の前扉を開けた。
 リサが嬉々とした様子で、バスに乗り込む。
 かつては秘密の研究所の地下室に閉じ込められていたBOW(生物兵器)も、今や電車やバスに普通に乗れるようになった。
 資料映像を見せてもらったのだが、外国ではリサと見た目年齢が大して変わらない人間型BOWがいて、彼女も普通に路線バスに乗っていた。
 夕方ラッシュが始まる頃なので席は空いておらず、中扉を背にするようにして吊り革と手すりに摑まる。

〔発車致します。お掴まりください〕

 バスが走り出す。
 尚、リサのBOWとしての身体能力では、電車よりも揺れるバス車内であっても、掴まらずに立つことができる。
 もっとも、私はちゃんと周りに合わせるように言っておいた。

〔ピンポーン♪ 次は菊川駅前、菊川駅前でございます。都営地下鉄新宿線、都営バス、とうきょうスカイツリー駅前、新橋、東京駅丸の内北口方面はお乗り換えです。次は、菊川駅前でございます〕

 リサはあまりファッションには拘りは無く、むしろゲームやヘッドホンなどを欲しがった。
 BOWには、まま見られる傾向だそうである。
 実際、ここにいる『2番』のリサ以外のリサ・トレヴァーの中にはジャージを着ている者もいたので、正にそうなのだろう。
 今のリサもクリーム色のジャンパーの下は、パーカーとデニムのショートパンツ姿である。
 BOWは暑さや寒さに強く、この冬でも厚着はしなくても良い。
 だがさすがに違和感が無いよう、出掛ける時は制服の時はコートを着させている。
 今は私服なので、ジャンパーである。

 愛原:「高橋も残念だったな」
 高橋:「何がですか?」
 愛原:「パールも一緒に出掛けちゃったんだろ?斉藤家の高飛び」
 高橋:「ああ。まあ、しょうがないっスね。俺も仕事が忙しいんで」
 愛原:「伯父さんの件以来はヒマだったけどなw」

 きっとこの分では、ヒマなまま年末年始に突入するのだろうな。
 はぁ~……。
 あ、そういえば……。

 愛原:「もしかしすると、栃木の上野さんの娘さん。こっちに来たら、彼女の監視も頼むって言われるかもな」
 リサ:「地方在住者は、基本的に寮に入ることになってるよ?」
 愛原:「学校にいる時は、リサが監視するんだよ、きっと」
 リサ:「監視されてる私が監視するの」
 愛原:「かもな。……1度、再び那須塩原に行く必要があるかもしれない」
 リサ:「おー!旅行!」
 高橋:「いいんスか?本来はあそこ、宗教施設らしいじゃないスか。のこのこ行って勧誘でもされたら、メンド臭いっスよ」
 愛原:「その時はその時だ」

 まあ、大丈夫だと思うけど。

[同日17:30.天候:晴 東京都墨田区江東橋 テルミナ内ヨドバシカメラ錦糸町]

 バスで錦糸町駅に到着した私達は、駅ビルに向かった。
 テルミナという名前のビルなのだが、そこのテナントにヨドバシカメラが入っている。
 そこでリサへのクリスマスプレゼントと、仕事で使う道具を購入することにした。

 愛原:「ゲームやヘッドホンについては、高橋に任せた」
 高橋:「うっス!任されました!」

 リサのヤツ、前にノートPC買ってあげたら、ゲームはPCゲームをやるようになった。

 リサ:「パソコンゲームの方が面白いソフト揃ってる」

 と、リサがチョイスしたのが……。

 愛原:「全部ホラーかい!」
 リサ:「わたし自身がホラーだから、どうやったら上手い演出ができるか、これで勉強する」
 愛原:「人間に戻りたいんなら、むしろ演出されて怖がる方にならないと……」
 リサ:「ムリ。お化け屋敷とか、全然怖くない」
 愛原:「あ、そう。あれは参考にならないの?」
 リサ:「なんないね」

 さすがは元ラスボス。
 で、ヘッドホンの方は……。

 高橋:「BOSEのヘッドホンなんか高品質だぞ」
 リサ:「ずーん……」
 高橋:「何だよ、その顔!?」
 リサ:「かわいくない……」
 高橋:「あぁっ!?」
 リサ:「もっとかわいいのがいい。キュートなの」
 愛原:「……と、仰ってますが?」
 高橋:「しょうがねぇなぁ!じゃあ、このピンク色のヤツはどうだ!?」
 リサ:「む!かわいい!これがいい!」
 愛原:「BOSEよりはだいぶ安くなったな……」

 リサ、どういう時にヘッドホンを使うのかというと、正にゲームをやる時である。
 リビングにある据え置きゲーム機の場合はそのままなのだが、部屋でパソコンゲームをやる時に使う。
 それと、コロナ対策で行われているリモート授業の時。

 店員:「ありがとうございまーす」
 愛原:「どうも」

 リサはPCゲームソフトとヘッドホンの入った箱を、大事そうにリュックの中にしまった。

 高橋:「先生、しっかり領収書切りましたね?」
 愛原:「シッ、黙ってろ。あくまでも、仕事で使うカメラとかライトとか……そのついでだ」
 リサ:「先生、この後は?」
 愛原:「夕飯にしよう。何がいい?」
 リサ:「肉!」
 高橋:「……言うと思ったぜ」
 愛原:「まあまあ、とにかく行こう。また焼肉になるかな?」

 焼肉なら食べ放題コースがあるので、それにすれば、私の財布はそんなに痛まない。
 だが、店側が想定外の在庫減に悩まされるという……。

 リサ:「ケーキは!?」
 愛原:「生ものだから、帰り際にするさ」

 そう言って私達はヨドバシカメラを出て、レストラン街のあるフロアへと向かった。
 
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