報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「中央本線527M列車の旅」

2022-02-08 16:11:52 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月22日08:09.天候:晴 東京都八王子市 JR八王子駅→中央本線527M列車先頭車内]

〔おはようございます。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の4番線の列車は、8時11分発、普通、甲府行きです。この列車は、3つドア、6両です。……〕

 ホテルをチェックアウトした私達は、その足でJR八王子駅に向かった。
 ホテルからだと、京王八王子駅よりJR八王子駅の方が近い。
 日曜日なので乗客は少なかったが、上りホームと下りホームでは客層に違いが見られた。
 上りはそれでも仕事に行く人達がちらほら見かけたが、下りホームは行楽客のような人達しか見受けられない。
 ただ、リサ達みたいな学生の姿も少しだけ見受けられた。

〔まもなく4番線に、普通、甲府行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。この列車は、3つドア、6両です。……〕

 豊田電車区から出区してくるのか、私達が乗る列車は隣の豊田駅が始発である。

 

 国鉄型では最後の世代になるであろう、211系電車がやってきた。
 半自動ドアボタンが付いているが、コロナ禍においては換気促進の為に使用されない。
 本来なら、高尾駅以東で使われるはずだ。

〔はちおうじ~、八王子~。ご乗車、ありがとうございます〕

 

 前回乗車した時はロングシートの車両だったと思うが、今回はボックスシートの車両が来た。
 平日ダイヤと休日ダイヤで使い分けているのか、或いは全く運次第の共通運用なのか、それは分からない。
 確か前回はロングシート車だったと思うが、今回はボックスシートの車両で運用されるようだ。
 一応、1つ空いているボックスシートがあったので、そこに座ってみる。

〔「8時11分発、中央本線普通列車の甲府行きです。発車まで、約1分ほどお待ちください。途中の大月で、特急“あずさ”5号の通過待ちがございます」〕

 リサ:「うん、これならジュース買える」
 愛原:「乗り遅れるなよ?」
 リサ:「すぐそこの自販機だから」
 凛:「私も行きます」

 2人のBOW少女は、ホームの自販機に行ってジュースを買って来た。
 それを窓の桟に置く。

〔「お待たせ致しました。8時11分発、中央本線普通列車、甲府行き、まもなく発車致します」〕

 ホームから“夕焼け小焼け”の発車メロディが流れてくる。
 これは作詞者が八王子市出身だからだそうだ。

〔4番線、ドアが閉まります。ご注意ください〕

 特にドアチャイムも無く、しかもエアーの音が響くドアの開閉音は今や懐かしい。
 走り出す時のショックとか、インバータ制御ではなく、前世代のモーター音が響くところもそうである。
 もっと昔の113系や115系は全廃になってしまったが、最後の国鉄型211系には頑張ってもらいたいものである。
 ……のだが、実は211系はJR化後も製造されていたので、JR型と国鉄型に分かれているのだそうな。
 確か、ロングシート車で乗務員室の窓が大きいタイプがJR車じゃなかったかな(JR東海の211系もこれ。しかも、JR東日本車と違ってトイレすら無い)。

〔「ご乗車ありがとうございます。中央本線普通列車、甲府行きです。西八王子、高尾、相模湖、藤野、上野原の順に、終点甲府まで各駅に停車致します。次は西八王子、西八王子です」〕

 しかも自動放送も無く、車掌による肉声放送が行われる。
 リサの隣、通路側に座っている私はスマホを取り出して、善場主任にメールを送った。

 愛原:「よし、定時報告完了」
 高橋:「お疲れ様っス。やっぱ、写真も添えるんスね」
 愛原:「そう」

 ホームの駅名看板と、その下にリサと凛さんを並ばせて撮影する。
 その写真を添付して、定時報告のメールを送るのである。
 次の定時報告は藤野駅ということになる。

 リサ:「ん」

 リサはバッグの中からポッキーを取り出すと、口に咥えて、私に差し出した。
 ここでポッキーゲームをやれっていうのか。

 愛原:「普通に寄越せよ」

 私が窘めると、リサは頬を膨らませた。
 そこで……。

 愛原:「分かった分かった。じゃあ、一本もらうよ」

 と、私はリサが咥えていた一本を引き抜くと、それをそのまま食べた。

 リサ:「おおー!」

 実質的な間接キスに、リサは歓喜の表情を浮かべた。

 リサ:「今度は先生がやって」

 リサはもう一本を私に渡した。

 愛原:「また今度な」
 リサ:「えっ……!?」

 私にお預けを食らったリサは、またプクッと頬を膨らませた。

[同日08:33.天候:晴 神奈川県相模原市緑区小渕 JR藤野駅]

 駅数は数えるほどなのだが、駅間距離が長い為、その分時間が掛かっている。
 特に、高尾駅を出ると、車窓は一変し、一気にローカルチックなものとなる。
 断続的にトンネルが多くなり、線形もあまり良くない為に、速度も落ちるからだろう。
 また、コロナ対策で窓が少し開けられていることもあり、そのせいでトンネルに入ると、強風が車内に吹き込んで来る。
 この時代、列車は全て電車になっているからその程度で済むが、確かにこれがSL列車だと大変だ。
 吹き込んで来る強風=煤煙ということだろうから。

〔「まもなく藤野、藤野。お出口は、右側です。電車のドアは自動で開きます。開くドアに、ご注意ください」〕

 本来は半自動ドアが実施される区間なのだが、コロナ禍による換気促進が優先される為。

 愛原:「よし、じゃあ降りるか」

 電車がホームに入線すると、私達は席を立った。

〔ふじの~、藤野~。ご乗車、ありがとうございます〕

 電車を降りて、跨線橋に向かう。
 高台にあるホームの為、電車が発車して行くと、相模湖が眼下に見える。
 そして、例の研修センターもここから見えるのだが、歩いて行こうとすると大変だ。
 以前私は路線バスで、向こうから駅まで向かったが、アップダウンの激しい道であった。

 愛原:「タクシーで行こう」

 再びホームの駅名看板と、2人の少女を一緒に撮影すると、改札口へ向かった。

 愛原:「もうちょっとで、お母さんに会えるからな」
 凛:「はい」

 しかし、よく栃木からここまで護送したもんだ。
 多分、ヘリで一気に運んだんだろうがな。
 

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