報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「BOWの北紀行」

2021-11-25 19:49:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月2日08:24.天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 仙台市地下鉄仙台駅・南北線ホーム→南北線(泉中央行き)電車先頭車内]

〔2番線に、泉中央行き電車が到着します〕
〔The train is approaching at truck number 2.〕

 ホームに下りたリサ達は、そこで電車を待った。
 リサにとっては地下空間は、閉鎖されたアンブレラの研究所を彷彿とさせるので、あまり心地良い空間ではない。
 いくら明るく照らされた地下鉄のホームといったところで、それはほんの気休めに過ぎないのだ。
 リサはグレーのパーカーのフードを被り、そのポケットに両手を突っ込んでいた。
 そして、強風を巻き起こしながら、警笛を鳴らして電車が入線してきた。

〔仙台、仙台。東西線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕

 ホームドアと共に、電車のドアが開く。
 仙台市地下鉄の中でも、最も乗降客数の多い駅ということもあり、この駅で降りて来る乗客は多かった。
 3人は先頭車に乗り込み、京王電車のよりも明るいピンク色の座席に腰かけた。
 これはツツジをイメージしているのだという。

 斉藤絵恋:「リサさん達、確かにこの電車に乗ったわね」

 隣の車両に乗り込み、連結器横の座席に腰かけ、そこから覗くようにして、先頭車のリサ達を監視する絵恋とパール。

 パール:「私の見込み通りでした。マサは私から逃げられません」
 絵恋:「何だか、あなたの方が怖いわね」
 パール:「恐れ入ります」
 絵恋:「いや、褒めてないし」

〔2番線から、泉中央行き電車が発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕

 ホームに発車サイン音が鳴り響く。

〔ドアが閉まります。ご注意ください〕

 ドアチャイムが鳴って、ドアが閉まった。
 更新前は気の抜けるようなドアブザー(ホェ~♪)だったが、今は東西線と同じく、ドアチャイム(ピンポン♪×4)に更新されている。
 電車はワンマン運転だが、仙台駅のようなターミナル駅では、運転士も座ったままではなく、立って直接乗務員室の窓から顔を出してホーム監視を行っている。
 ドアが閉まり切ると、運転席に座って発車のボタンを押すので、多少のブランクがある。
 インバータの音を響かせて、電車は暗闇のトンネルの中を走る。

〔次は広瀬通、広瀬通です。一番町、中央通りはこちらです〕
〔The next stop is Hirose-dori station.〕
〔日蓮正宗日浄寺へは、北仙台で。日蓮正宗妙遍寺へは、八乙女でお降りください〕

 リサ:「ふむ」

 リサは仙台駅の売店で買ったポッキーを口に運んだ。

 愛原:「早速おやつか?」
 リサ:「お腹空いたし、地下は嫌だし」
 愛原:「ま、それで気が紛れるならいいもんだ」
 高橋:「先生。レンタカー屋は、駅の近くに?」
 愛原:「ああ。歩いて行ける距離だ。まあ、またコンパクトカーになるけど、よろしく頼むな?」
 高橋:「先生の御命令でしたら、何でもOKっスよ」

 愛原達がそんな会話をしている間、絵恋とパールは……。

 絵恋:「ねえ、パール。リサさん達は車に乗るみたいよ?私達はどうするの?」
 パール:「御心配には及びません、御嬢様。幸い仙台には、かつての私のチームメイトがおりまして、その者から乗り物を借りる手筈になってございます」
 絵恋:「さすがは私のメイド」
 パール:「恐れ入ります」

 この時、絵恋はすっかり忘れていた。
 パールがかつて、高橋と同じ穴のムジナの人生を歩んでいたことを……。

[同日08:40.天候:晴 仙台市泉区泉中央 仙台市地下鉄泉中央駅]

 北に向かう電車から、地上が見えるようになるのは、台原駅を過ぎてから。
 正確にはまだ地下区間であるのだが、台地の地下を走るということもあり、半地下構造となる。
 具体的にはトンネルに窓が設けられており、そこから外部が見えるようになっているということである。
 そこから見える景色は、台原森林公園。
 旭ヶ丘駅もまた地下にありながら、ホームから外が見えるという不思議な光景が体験できる。
 駅名からして分かる通り、いずれも台地や丘地にも関わらず、地下トンネルで建設された為に、このようなことが起きているのだ。
 旭ヶ丘駅を出ると、ようやく地上に出たかのように見受けられる。
 このような言い回しなのは、黒松駅は半地下構造だからだ。
 さすがにホームには窓は無いものの、駅の前後は吹き抜け構造となっており、天気が良いと、そこから日光が差し込むという光景が体験できる。
 黒松駅を出ると、本格的に地上区間である。
 湿地帯の上を電車が走る場所があり、そこを真美沢堤という(仮に名古屋鉄道が開業させていたなら、駅名は黒松ではなく、真美沢堤となっていただろう)。
 その湿地帯を通過すると、再びトンネルに入る。
 しかしこれは地下トンネルではなく、山岳トンネルである。
 そこを通過すると、八乙女駅に到着する。
 かつては、ここが終点駅だった。
 そこから電車は、延伸部分を走行する。
 地上部分を走行するようになり、電車内に日差しが入るようになって、リサも安心した様子だった。
 但し、電車の窓にはブラインドは無い。
 日に当たる方が嬉しいリサは、ただの鬼ではないことが分かる。

〔泉中央、泉中央。お忘れ物、落とし物の無いようご注意ください〕

 電車は再び地下に入る。
 地下と言っても、やはり高台の町にある駅なだけに、本当に地下と言って良いのか分からない。
 とにかく、駅の出入口から見れば地下にある。
 電車はそのホームに入線した。

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく泉中央、泉中央、終点です。2番線到着、お出口は右側です」〕

 運転士の肉声放送が流れて来る。
 電車は無事、泉中央駅に到着した。

〔泉中央、泉中央、終点です〕

 愛原:「よし。じゃあ、レンタカー屋に行くか」
 高橋:「はい」

 リサはポッキーが入っていた空箱を持って電車を降りた。

 リサ:「オジさん、このゴミいい?」
 清掃員:「ああ、いいよ。ここに入れて」

 たまたま駅のゴミ箱のゴミ回収を行っていた清掃員に、空箱を渡すリサ。

 愛原:「もう食べ切ったのか?」
 リサ:「うん。腹5分目」
 愛原:「あれで!?」
 リサ:「あと3分目食べたい」
 愛原:「いやいやいや……」
 高橋:「どんだけ燃費悪いよ……」

 しかし、後を追う絵恋は……。

 絵恋:「ちょっとそこのあなた!リサさんから物をもらうなんて、いい度胸してるじゃない!」
 清掃員:「は???」
 パール:「御嬢様、リサ様はお菓子の空き箱を処分しただけですわ」
 絵恋:「リサさんの食べ残し、私がもらいたいなぁ……」
 清掃員:「さっきのお嬢ちゃんのゴミかい?きれいに中身は空だったよ?」
 パール:「でしょうね。御嬢様、リサ様が食べ残しをされるはずがございませんわ」
 絵恋:「うぅ……」
 パール:「それより早く参りましょう。リサ様達を見失ってしまいますわ」
 絵恋:「わ、分かったわよ……」

 2人の追跡者も移動を開始した。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

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Unknown (雲羽百三)
2021-11-27 03:42:37
>確かに、甘えられそうな人には歯の浮くようなお世辞を言って自分の要求を次々と押し付けて、いざ利用できなくなると、途端に悪口を言いはじめる性根の腐りきった人間も居るかもしれませんね?

そういえば昔、報恩坊にもこんな人いたなぁ……。
同タイプ同士ウマが合うのかと思いきや、そうでも無かったらしく、某ブログで大喧嘩して、片方は捨て台詞吐いて遁走したようだ。
返信する
Unknown (雲羽百三)
2021-11-27 23:11:08
https://news.yahoo.co.jp/articles/dc6cfa5deb5063630230ce9ebfb125b0a7bdd60c

ダメだよ。JCがそんなことしちゃ。
せめて屋上からカートを落とすのではなく、自分達のスカートを脱いで落としなさいw
そしたら、オジさん達は誰も被害届は出さないよw

ケンショーグリーン:「ハァハァ……JCの制服スカート……(;´Д`)。上から落ちて来て功徳であります……ハァハァ……!できれば、その下のブルマも落としてください……(;´Д`)」
雲羽:「いや、今はもう短パンしか無いだろw」
返信する
Unknown (雲羽百三)
2021-11-27 23:13:56
こんな変態が混じってるから、大石寺は若い女性が1人で歩けないってことで、なかなか境内じゃ見かけないのか?
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