報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサの入学前準備」

2018-10-17 13:56:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月10日09:15.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は日本政府エージェントの善場さんが、リサのことで話があるとやってきた。
 私もリサのことで相談があるので、ちょうど良いタイミングであったが……。

 善場:「リサ・トレヴァーのことなんですが、ちゃんとした戸籍を取らせる代わりに、最低限の教育は受けてもらうということなりました」
 愛原:「えっ、それって……。リサを学校に通わせろということですか?」
 善場:「はい。ただ……いくら力が制御できる状態ではあるとはいえ、まだ10代前半の女の子です。精神的にも不安定になりやすい時期ですし、精神が不安定になった際に力が暴走する恐れがあるという観点からして、反対の声もあるのは事実です」
 愛原:「あー、でしょうねぇ……」
 善場:「愛原さんは今、表向きリサの後見人になっております。愛原さんの御意見も伺いたいのです」
 愛原:「リサを学校に行かせろというのは、善場さんの意見ですか?」
 善場:「いえ、もっと上です。ただ、その上層部の間でも賛否両論はあるということなんですよ。もしも彼女が高校生くらいの歳でしたら、通信制の高校でということで、決着は付けられたかと思います。ただ、義務教育である中学校となりますと……」
 愛原:「聞いたことないですね」
 善場:「都内に一校あるんですよ。中学校の通信教育を行っている学校が」
 愛原:「本当ですか?じゃあ、そこに入れればいいわけですね。……ただ、本人の希望は……」
 善場:「本人の希望?リサは何か希望を言ってるんですか?」
 愛原:「実は……はい」

 私はリサの現況を善場氏に話した。

 愛原:「……というわけで、普通の中学校を希望しているもようです」
 善場:「そうですか。実は中学校の通信教育を行っている所が都内には一校しか無いという実情から、そこへの編入は難しいと考えております」

 政府の国家権力を使えば造作も無いことだろうが、そこまでする必要があるかってことだ。

 愛原:「どうでしょう?今どうせ転入しようと思えば一年生になるわけでしょう?」
 善場:「そうですね」
 愛原:「どうせあと半年で進級です。それで様子を見るというのは如何でしょう?その間に一応、善場さん達にはその一校しか無い通信教育の場を用意して頂く。もしダメならそこへ移籍させればいいですし、問題無さそうならそのまま最初の学校へ通わせるというのは?」
 善場:「それはいい案ですね」
 愛原:「実は私も、リサが学校に行きたいと言った時、それもそうだと思ったんですよ。だけど、学力は大丈夫なんでしょうかね?しばらく小学校にも行ってなかったようですし……」
 善場:「日本アンブレラの研究所から押収した資料によれば、リサの知能やら身体能力やらは常人離れをしておりますので、恐らく大丈夫かと思います。こちらの研究所で検査をしても、明らかに小学校卒業程度以上の学力は持っているようです」
 愛原:「それは凄い。なら、特に問題無いのでは?要は、BOWとしての力が暴走しなければ、ということですよね?」
 善場:「そういうことです。上層部の反対派は、それを一番懸念しています」
 愛原:「とにかく、やってみないと分かりませんよ。私は試しに通わせてあげたいですね」
 善場:「分かりました。愛原さんの意見を上に伝えておきましょう」
 愛原:「ありがとうございます。ただ、学費などについては……」
 善場:「大丈夫です。学費関係につきましては、全てこちらで負担します」
 愛原:「おおっ!」
 善場:「将来、政府またはBSAAのエージェントになる候補ですから」

 恐らく、政府はどちらに将来リサが行ってもいいように今から駆け引きをするつもりなのだろう。
 BSAAは今世界中を騒がせているバイオテロを専門に鎮圧する国連軍として有名だ。
 その極東支部は、あいにくと日本には無い。
 しかしその利権は大きいので、リサに日本国籍を与え、日本人の子として育て上げ、BSAAに送り込めば、日本政府の声も無視できなくなるということだ。
 それに、もしダメなら日本政府のエージェントとして使えば良い。
 どちらに転んでもWIN-WINというわけだ。

 善場:「もしも愛原さんの意見が採用され、それが更に大きな結果(高校、大学と進学しても何の問題も無いということが分かれば)をもたらせば、愛原さんには多大な謝礼を致します」
 愛原:「おおっ!じゃ、もう入学の準備に取り掛かっていいですか?」
 善場:「そうですね。ただ、入学先はこちらで指定することになると思いますので、その辺は少しお待ちください」
 愛原:「あまり遠い所は困りますよ?」
 善場:「分かっています。ちょうど近くに、候補となる学校がありますので、そちらを当たってみます」

 それはどこだろう?
 まあ、国家の関わることだ。
 国立……あ、いや。
 近くに国立の中学校は無いぞ。
 すると、どこだろう?
 まあいいや。
 この辺は善場氏に任せるとしよう。
 いずれにせよ、リサが普通の中学校に通える所までは内定ということでいいな。

[同日18:15.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原家]

 愛原:「ただいまァ」

 事務所での仕事を終え、私と高橋は帰宅した。

 リサ:「お帰りなさーい」
 愛原:「留守番どうだった?」
 リサ:「今度は侵入者は誰もいなかった」
 愛原:「そうか」

 まあ、リサなら少女を狙う変態野郎が来たとしても……その変態の命が無くなるだけだ。

 高橋:「先生、すぐ夕飯作りますので」
 愛原:「ああ、悪いな。てか、昨夜のカレーがまだ余ってるだろう?あれにしよう」
 高橋:「いいんですか?」
 愛原:「カレーは一日寝かせた方が美味いというからな。それで余った分は完食できるんじゃないか?」
 高橋:「まあ、そうですね」
 リサ:「お兄ちゃんのカレーは美味しいよ」
 愛原:「そうだな」
 高橋:「ありがとうございます。また、作りますね」
 愛原:「ああ。それからリサ、1ついい話がある」
 リサ:「なーに?」
 愛原:「学校、行けるようになりそうだぞ?良かったな」
 リサ:「! おー!」

 リサは感激して両手を挙げた。
 嬉しいと両手を挙げる癖があるが、これは恐らくBOWとしての習性。
 両腕を変化させて、興奮状態のまま敵を薙ぎ払う為であろう。
 一応それを抑える訓練はしつつも、まだ癖は抜けないようだ。

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