報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「動き出す陰謀」

2015-03-30 15:51:07 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月1日12:00.長野県内某所 アリスの屋敷 稲生ユウタ&マリアンナ・スカーレット]

「せめて在学中、もっと英語を勉強しておけば良かったな……」
 ユタはヘッドホンを外して、席を立った。
 部屋の外ではメイド服を着て人間形態をした人形が立っていた。
 名前は……確か、レイチェルと言ったか。
「ああ、お昼の時間ですね。今、行きます」
 すると、レイチェルが無表情でユタにある物を渡した。
 それは1枚のメモで、英文で書かれていた。
 一応、英文を読むくらいなら日本語訳ができる。
「『マリアンナ様を呼んできてください。それと……ナンシーとアリッサも止めて』?……何のこっちゃ?」
 ユタは首を傾げながら、裏庭に向かった。
 最近のマリアは魔力の向上に力を入れているようで、魔法陣を描いては何やら魔法の実験なんかをしている。
 人けの無い長野の山奥だからこそできることだろうか。
 ユタはマリアがいると思われる裏庭に向かった。

 すると3階の窓から、トラメガで喋る人形達の姿があった。
「マリアンナ様ぁ!……何だっけ?」
 ナンシーが隣にいるアリッサに振る。
 どちらもメイド服を着た人間形態をしているが、コミカルな動きをしていた。
 アリッサがトラメガを奪うように取ると、
「我々はー!ベースアップを要求する!」
「わあ!何だか労働争議みたいなこと言い出した!」
 ユタは慌てて3階への階段を駆け上った。
「こら!下に降りなさい!春闘はとっくに終わったんだよ、キミ達!」
「ストライキを実施する!」
「昔の国労じゃないんだよ、キミ達!」
「花見ストを実施するにゃ!」
「千葉動労か!……今年もそろそろだと思うけど!」
 ユタは人形2体を両手で抱えた。
「久留里線のワンマン運転に反対する!」
「“成田エクスプレス”の車両管理権剥奪するぞ、コラ!……あれ?」
 ↑実際の千葉動労とJR東日本千葉支社の応酬。“成田エクスプレス”車両の所属が全て横浜支社になっているのは、そいつらのせい。

[同日12:30.マリアの屋敷・ダイニングルーム ユタ&マリア]

「ふぅ……」
「ユウタ君、申し訳無い。私の人形達がとんだマネを……」
「いえ、いいんです」
 ようやく昼食にありつけたユタ。
 因みに労働争議ごっこをしていた人形達は魔力を抜かれて、また元のフランス人形に戻った。
 何故かそこにたすきが掛けられており、それには『祝・民営化』と書かれていたが、これはユタが作ったものなのか。
「マリアさんも精が出ますね」
「いや、なに……。ユウタ君が頑張ってるんだから、私も頑張らないとね」
「僕はただ英会話の勉強をしているだけですが……」
「大丈夫。もう殆ど私と喋れてるじゃない?」
「あっ!」
「もう少ししたら、ユウタ君も使えるようになるよ?」
「何がですか?」
「言語変換魔法。あれ、最低でも2ヶ国語以上喋れるのが条件だから」
「そうなんですか。すると、イリーナ先生とも魔法でロシア語会話ができるということですね?」
「まあ、そうだけど、私も師匠がロシア語で喋ってるところ見たことないなー」
「なるほど……」

[現地時間同時刻……というと、04:30? イギリス・ロンドンのホテル イリーナ・レヴィア・ブリジッド]

 イリーナの水晶球が、師匠の噂話をしている弟子2人を映し出す。

〔「私も師匠がロシア語で【以下略】」「なるほど……」〕

 だが、もちろんそんな時間、当の噂話をされている師匠は、
「ZZZ……」
 寝てた。

[日本時間4月1日15:00.長野県某所・マリアの屋敷 稲生ユウタ]

「え?今度はお茶の時間かい?分かったよ。もうそんな時間か……」
 ユタはヘッドホンを外し、呼びにきたレイチェルに答えた。
 多弁な人形もいる反面、寡黙な人形もいる。
「はは……(苦笑)また労働争議を止めに行かなきゃいけないのか……」
 ユタはマリアを呼びに行くよう、無表情ながら有無を言わさない雰囲気を放つレイチェルに急かされてしまった。
 果たして人形のメイド長は誰なんだろうかと首を傾げる。

「我々はー!……何だっけ?」
「週休8日を要求するー!」
 と、またやってるナンシーとアリッサ。
「今度はデレマスネタかよ……」
 ユタは苦笑いした。そして、
「お前達は完全に包囲されている!無駄な抵抗を辞めて投降せよ!」
「しないもーん!」
「べーっ!このヒモ男が!」
(僕は人形達からマリアさんのヒモに見えるのか……)
 ガクッとなりつつ、
「マスターのマリアさんが泣いてるぞー!ハク姉さん(クラリス)も泣くぞ!」
 と言ってやると、ナンシーが、
「ええっ!?」
 動揺した。因みにフランス人形のクラリスをユタがハクと呼ぶのは、クラリスが弱音ハクに似ているからである。
「……私、ストやめる」
「ええっ!?……アタシは1人でも頑張る!」
「ミク姉さん(ミカエラ)も怒ってるぞー!早く謝らないとキレちゃうぞー!?」
 フランス人形で初音ミクに似ているものを、ユタはそう呼んでいる。
「ええっ!?じゃ、アタシも降りる」
 人形達を投降させることに成功したユタだった。

[同日15:15.マリアの屋敷・ダイニングルーム ユタ&マリア]

「ユウタ君も、私の人形の扱いが上手くなったみたいじゃない。私と同じ、“人形使い”になってみる?」
 マリアは紅茶を啜りながら言った。
「いや……僕は人形作れないんで。それよりマリアさんは今、どんなことを?」
「やっぱり人形使いとして、もっと上手く人形を操れるようにしないとってね」
「はいはい」
「だけど、私の力ではまだ完璧にできないみたい」
「と、言いますと?」
「多くの人形を操ろうとすると、その分、一体当たりの攻撃力が弱くなってしまう。昔、妖狐にやられたのも、それが原因だと思う」
「あれでも十分強かったと思いますよ?威吹は戦い慣れしていたからで……。1度は撃退されてしまいましたからね」
「人形の数を少なくすれば、その分、ミカエラ達の攻撃力もアップする。そこの加減が難しい」
「うーむ……」
 ユタは首を傾げた。
「少数精鋭って言葉もありますけどね……」
「まあ、携帯するなら数が少ない方が楽と言えば楽だが……。まあ、それでいいか」
「はい」
「1番いいのは、私がもっと魔力を付けて、数多くの人形達にそれを振り分けられるようにすればいいんだけど……」
「まあ、そうですね。……その前に、僕はもっと英語力を付けないと……」
「それは慌てなくていいと思う。別に、師匠は時間的なノルマを課していないからね」
「はあ……」
「お互い地味な修行が続くけど、頑張ろう」
「そうですね」
 ユタは小さく頷いた。

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3 コメント

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Unknown (ANP)
2015-03-30 19:51:33
http://tetsudo-shimbun.com/article/topic/entry-352.html

なん・・・だと・・・

これには東日本も対抗しないとw
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Unknown (ANP)
2015-03-30 19:52:13
あと灰皿は無い?模様ですかね?

全車禁煙なので
返信する
ANPさんへ (作者)
2015-03-30 20:14:30
 西日本はいい試みをしますね。
 東海は絶対にやりませんね。
 東日本にも頑張ってもらいたいですね。

 禁煙で灰皿が無いのはもちろん、恐らく照明もLEDだと思うし、トイレなんかも交通バリアフリー法のおかげで、車椅子対応の洋式トイレだと思われます。
 
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