報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「日光紀行」 3

2023-06-29 15:55:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月30日09時18分 天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅]

〔まもなく大宮、大宮。お出口は、右側です。新幹線、高崎線、埼京線、川越線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。電車とホームの間に、広く空いている所がありますので、足元にご注意ください〕

 駅弁を食べてお茶でも飲んでいる頃、大宮駅に到着した。
 もちろん、私達はここでは降りない。
 栃木県までしか行かない中距離電車であるが、それでも帰省客が乗り込んで来たりはした。
 新幹線が止まらない所か、或いは新幹線代の節約か。
 満席になるほどではないので、私の空いている隣の通路側には誰も来なかったが。
 停車時間は1分ほどであり、ホームに発車メロディが鳴り響く。

〔「9番線から宇都宮線の普通列車、宇都宮行き、まもなく発車致します」〕
〔9番線の、宇都宮線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の列車を、ご利用ください〕

 上り列車も乗客は多かったが、下り列車もそれなりに乗客を増やして、電車は埼玉県のターミナル駅を発車した。

〔この電車は、宇都宮線、普通電車、宇都宮行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、土呂です〕

 大宮駅を出発する頃、高橋からLINEがあった。

 愛原「あいつら、マジか!早ェな!」
 リサ「どうかしたの?」
 愛原「いや、高橋からLINEが来たんだが……。あいつら、もう蓮田サービスエリアに着いたそうだぞ!」
 リサ「ほおほお」

 もっとも、リサはどこだか分かっていないもよう。
 蓮田サービスエリアは埼玉県蓮田市にある東北自動車道のサービスエリアで、東京側の起点から行くと、1番最初に現れるサービスエリアである。
 当然高橋達は、バイクを預けていた篠崎から出発した。
 篠崎には首都高の出入口があるから、そこから首都高に乗り、首都高を経由して東北道へ向かったのだろう。
 街道レーサーだった2人にとっては、首都高は庭のようなものである。
 篠崎から首都高に乗り、そこからバイクを飛ばして、東北道の蓮田サービスエリアで朝食休憩を取っているという。
 自撮りの写真も添付されていたが、どうやらバイクは1台ずつ乗っているようである。
 そういえば、高橋のバイクってどこにしまってあるんだろうと思っていたが、どうやら篠崎であったようだ。
 私は、ようやく電車が大宮駅を出たと返信した。
 そしたら高橋のヤツ、『電車が蓮田駅を出たら、教えてください』とのことだ。
 もちろん、私は了解した。
 ここから蓮田駅なんて、電車で10分ほどだが、朝食はもう食べ終わったのだろうか。
 ある程度、落ち着いたところで、私にLINEしてきたのかもしれない。

 高橋「それにしても、電車は遅いですね」
 愛原「各駅停車の鈍行なんだ、しょうがない」

 という会話で、一旦は終了した。
 尚、東北自動車道は蓮田を出ると、JR宇都宮線とはお別れとなる。
 しばらくは東武伊勢崎線に近い所を走行することになる。

 グリーンアテンダント「軽食、お飲み物でございまーす」
 リサ「む!」

 グリーンアテンダントが車内販売に来た。
 紙のグリーン券の確認や、そもそもグリーン券を持っていない乗客にグリーン券を販売するのも仕事だが、車内販売も業務の1つである。
 リサが目ざとくそれを見つけた。

 愛原「俺も一杯やらせてもらうか」

 尚、車内販売にはビールなどのアルコールの品目もある。
 それが、需要喚起の大きな理由の1つのようである。

 愛原「すいません。氷結1つと、あたりめ1つ……」
 リサ「ポッキーとジュース」
 絵恋「私もください!」
 グリーンアテンダント「はい、ありがとうございます」
 絵恋「り、リサさん……!こ、これでポ……ポッキーゲームなんか……」
 リサ「ん」

 リサはポッキーを口にくわえた。

 絵恋「も、萌えぇぇえぇえぇぇぇぇえっ!!」
 リサ「……まだ何もしてないけど?」
 愛原「こら、静かにしろ」

 電車で移動しているが、特に今のところ何も無いな。

[同日10時34分 天候:晴 栃木県宇都宮市 JR宇都宮駅]

 電車は何事も無く順調に運転を続けた。
 途中でリサや絵恋は、トイレに行ったり、洗面所に行ったり……。
 高橋からは次の連絡は無い(蓮田駅を出た時に連絡はした)が、多分、高速道路を走行しているのだろう。
 冬は二輪は寒いだろうに、若い者はいいねぇ。

〔まもなく終点、宇都宮、宇都宮。お出口は、左側です。新幹線、日光線、烏山線と宇都宮線、矢板、黒磯方面はお乗り換えです。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
〔「宇都宮からの乗り越え列車をご案内致します。東北新幹線下り……【中略】日光線下り、11時22分発、普通列車の日光行きは5番線から発車致します。どなた様もお忘れ物の無いよう、もう1度よくお確かめください。今日もJR東日本、宇都宮線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 リクライニングシート車による旅は、ここまで。
 宇都宮から先は、ロングシート車による旅となる。

 愛原「乗り換え時間、少し空いてるから、駅構内でゆっくりしよう」
 リサ「わたしはいいけど、どこが暖房の効いてる所にいた方がいいよ」
 愛原「そうだな」

〔まもなく、止まります。手すりにお掴まりください〕

 網棚から荷物を下ろしたりしていると、私のスマホに着信があった。
 着信音からして、メール方だ。
 重要な連絡の場合、善場主任はLINEではなく、メールを送ってくることがある。
 それかもしれないとスマホを見ると、果たしてそうであった。
 内容は、川口パーキングエリアでトラックを降りた男の鬼のその後の足取りが掴めたという話であった。
 どうやらそいつは、別のトラックに便乗したとのことである。
 もちろん、便乗されたトラックの運転手は知らない。
 それは栃木県の運送会社のトラックで、埼玉で集荷をした後、栃木県に戻る途中だったとのことである。
 そのトラックの行先は、宇都宮。
 つまり、私達がいる今この町である。
 集荷をした後だから、その荷物に紛れ込んで便乗することは可能だったかもしれない。
 その後の足取りは現在調査中とのこと。

〔「ご乗車ありがとうございました。うつのみや~、宇都宮です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。10番線の列車は、折り返し、10時45分発、上野東京ライン、東海道線直通、普通列車の熱海行きとなります」〕

 リサ「先生、どうしたの?降りるよ」
 愛原「あ、ああ」
 絵恋「リサさん、あそこにエスカレーターがあるから、それで上に行こう」
 リサ「ん」

 私達は列車を降りた。
 宇都宮市はそんなに寒い地域ではないはずだが、心なしか東京より寒いと思った。
 これから日光市という、もっと寒くて雪のある所に行こうというのに……。

 愛原「1度、コンコースに行こう」

 私達はエスカレーターでコンコースに上がった。
 コンコース内にはNewDaysもあるし、待合室もあるから、そこで暖が取れるはずである。

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