報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「最後の温泉」 2

2022-04-17 20:07:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月20日13:00.天候:晴 静岡県熱海市 マリンスパあたみ]

 午前中、プールで遊んだ私達は館内のレストランで昼食を取った。
 東京方面から見て静岡県に入ったばかりの町だというのに、ここで富士宮焼きそばが売られているのにはびっくりした。
 肉好きのリサは、カツカレーを注文している。
 私は普通のビーフカレーを注文した。

 愛原:「食べ終わったら、今度は温泉に行こう。今度は水着無しの全裸入浴だ」

 もちろん、水着着用エリアの健康温浴室もあった。
 それらは水着で入る健康ランド的な感じであった。
 午後は、大浴場に入ろうと思う。

 高橋:「帰りはどのタイミングにしますか?」
 愛原:「そうだな……。各駅停車の鈍行で帰りたいから、あんまり遅くなるのもな……。あと、まだ土産買ってないだろ。その時間も考慮しないといけない」
 高橋:「そうですね」

 昼食を食べ終わった後は、予定通り、大浴場に入る。

 愛原:「ここからも海が見えるのか。ホテルの大浴場とはまた違った風景だな。さすが、海の見える大浴場だ」
 高橋:「俺は先生の勇姿が絶景です」
 愛原:「え?」
 高橋:「あれ?違った意味で、大欲情っスか?」
 愛原:「やかましいわ!何が違った意味で大欲情だ!ここでゲイ出すんじゃねぇ!」
 高橋:「それよさっき、電話あったじゃないスか?姉ちゃんですか?」
 愛原:「きっと斉藤元社長が見つかるまで、休み返上なんだろうなぁ……」
 高橋:「見つからないんスか?」
 愛原:「見つからないらしい。目撃情報によれば、怪しい救急車が港の方に走って行ったらしいが、それだけだ」
 高橋:「怪しい救急車?それは黄色い救急車、通称イエローピーポーとか……」
 愛原:「なワケあるか!見た目は普通の救急車だったそうだ。てか、何でオマエの歳で黄色い救急車知ってるんだ?」

 私の歳なら子供の頃、奇人変人を見たら、『ヤベッ!イエローピーポーだ!w』と囃してたものだ。

 愛原:「多分、港から船に乗ったんだろうなぁ……」
 高橋:「船。それは顕正号とか正信号、あるいはクイーン・ゼノビア号みたいな……」
 愛原:「そんな大きな船だったら目立つだろう。多分、目立たない小型の船だろうな。漁船とかクルーザーとかだったら目立たないんじゃないか?」
 高橋:「それでどこ行ったんスかね?」
 愛原:「日本の領海ではないだろうな。そしたらいくら何でも拿捕される。ロシア船籍の船なら、ロシア近海を航行していても、別にロシア側からは拿捕されないからな。俺が思うに、樺太周辺とか、北方四島付近とかじゃないか?」

 日本領でありながら、日本政府が手出しできない場所。
 犬鳴村の伝説にある『この先、日本国憲法は無効です』が本当に通用する所。
 そういう所を航行しているのだろう。
 ……航行して、その後は?

 愛原:「本当に“青いアンブレラ”も分からんな」
 高橋:「善場の姉ちゃんが警戒するのも、何だか分かる気がします」
 愛原:「お役人として、一民間企業が世界の役所を差し置いて活躍するのが気に入らないだけかもな」
 高橋:「あ、なるほど」

[同日15:00.天候:晴 同市内 マリンスパあたみ→送迎バス車内]

 帰りは施設が運行している送迎バスに乗った。
 これなら駅まで無料で、しかも直行で戻れる。
 もう一度あの奇抜なバスに乗りたいと思ったが、あまり遅くなるわけにもいかない。

 運転手:「お待たせしました。では、発車します」

 マイクロバスは、ほぼ満席の状態で発車した。
 私達は1番後ろの席に並んで座った。

 愛原:「やー、随分と堪能したな。リサ達はどうだった?」
 絵恋:「楽しかったです」
 リサ:「またお腹空きそう」
 愛原:「食べた後、温泉しか入ってないが?」
 リサ:「サウナも行ったよ?新陳代謝が上がり過ぎて、汗が止まらなかったの。そしたら、またお腹空いて来た」
 愛原:「マジかよ……」
 高橋:「食う事ばっかかよ」

[同日15:15.天候:晴 同市内 JR熱海駅]

 バスは多少道路混雑に巻き込まれたものの、無事に熱海駅前に到着した。

 愛原:「それじゃ、帰る前に土産を買うか」
 高橋:「先生、何にしますか?」
 愛原:「熱海の地ビールかな?」
 高橋:「それはいいですね」

 駅ビルの“ラスカ”に入り、そこで土産物を物色する。
 善場主任には菓子折りを購入したが、私達はというと……。

 愛原:「これ、小田原の蒲鉾じゃね?」
 高橋:「つまみにはいいですよね?」
 愛原:「あー、まあ確かにな」

 酒関係になり、リサ達は……。

 リサ:「湯のたまご?これ、美味しそう」
 絵恋:「じゃあ、これにする?」

 お菓子関係になった。
 因みに熱海は伊豆半島への入口にもなっているせいか、伊豆のお土産も混じって売られていた。

 愛原:「これは明後日、善場主任に持って行く」
 リサ:「わたしも挨拶に行った方がいい?」
 愛原:「あー、そうだな……。いや、別にいいよ。何なら、俺1人で行ってもいいし」
 高橋:「え、マジっスか?」
 愛原:「だって土産渡してくるだけだし。あとはせいぜい、情報交換くらいだろう」
 高橋:「俺は何をすれば……?」
 愛原:「事務所で留守番しててくれよ?リサと一緒に」
 高橋:「はあ……そうですか」

 高橋はガックリと頭を垂れた。
 駅の方に移動し、自動券売機に向かう。

 愛原:「さすがに普通車ではキツいので、グリーン車に乗ろう。東京駅までと……」
 絵恋:「あ、私、大宮の実家に帰るので……」
 愛原:「分かった。それじゃ、絵恋さんは大宮までだな」

 私は券売機で東京までのグリーン券3枚と、大宮までのグリーン券1枚を購入した。

 愛原:「じゃあ、これは絵恋さんの分」
 絵恋:「ありがとうございます」

 乗車券はSuicaやPasmoを使う。
 駅構内に入ると、すぐにホームには行かず、トイレに行ったり、ジュースを買ったりした。

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