報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「リサ・トレヴァーの悪夢」 4

2022-12-08 11:16:37 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月30日20:00.天候:晴 東京都港区新橋 相鉄フレッサイン新橋日比谷口]

 リサはホテル別館のレストランで、善場から夕食を御馳走された。

 善場:「いい?辛いとは思うけど、学校にはちゃんと行くのよ?電車での行き方、あれでいいからね?」

 善場はリサと、色々話したようだ。

 リサ:「……分かりました。御馳走さま……です」

 リサは善場と一緒に、レストランを出て、すぐ隣のホテル本館に向かった。
 別館と本館は繋がっていないので、そこへの行き来は一旦通りに出る必要がある。
 新橋ということもあり、この時間帯は多くの勤め人が新橋駅に向かっている。

 善場:「それじゃあ……ね」
 リサ:「はい」

 リサはホテル本館エレベーターに乗り、客室フロアに向かった。
 途中、3階のフロント階に止まる。
 だが、乗って来る客はいなかった。
 防犯の為、誰もボタンを押していなくても、必ず3階には止まるシステムとのこと。

 リサ:(追跡者側だったら、有利なシステムだ……)

 リサも特級BOWとして、獲物を追い回す方。
 どうしても、そういう視点で見てしまう。
 そして、エレベーターはリサ1人を乗せたまま客室フロアに向かった。
 部屋に戻ると、制服から私服に着替えようと思った。

 リサ:「あ……そうか」

 思わず、つい体操服とブルマに着替えようとしてしまう。
 今は気を引く相手の愛原がいないので、着ても意味が無いし……。

 リサ:(洗濯するか)

 リサは私服に着替えると、体育で着た体操服や制服のブラウス、下着などを洗うことにした。
 コインランドリーは4Fにある。
 最新式の物で、ドラム式の洗濯機は、洗濯から乾燥まで一気にやってくれるタイプのものだった。

 エブリン:「綺麗好きだね」
 リサ:「なにっ!?」

 洗濯機を稼働させ、エレベーターホールに戻ると、背後からエブリンが話し掛けて来た。
 リサが振り向くと、そこには誰もいなかった。

 リサ:「おかしい。わたしは治療薬を投与したはずなのに……」

 エレベーターがやってきて、ドアが開く。

 エブリン:「オマエも『こっち側』の『モノ』なんだよ。なに、『そっち側』にいようとしてるの?」
 リサ:「う、うるさい!」

 リサは右手の爪を長く鋭く伸ばした。

 エブリン:「ほら。やっぱり、『こっち側』だ。うははははは!」
 リサ:「ううっ……!」

[同日21:30.天候:晴 同ホテル客室]

 リサは再び洗濯物を取りに、部屋から出た。
 夕食終了以降から登校開始まで、ホテルからの外出は許可されていない。
 その為、館内にコインランドリーやコンビニがあると便利だった。
 コンビニに行っておやつや飲み物を買い、その足でコインランドリーに向かう。
 洗濯物を回収して部屋に戻ったが、またエブリンが現れることはなかった。

 リサ:(このことも、善場さんに言っといた方がいいんだろうな……)

 今度会った時に伝えておこうと思い、宿題の続きを終わらせた。
 LINEグループの名前が、『魔王軍』。
 まるで、暴走族のチーム名だと高橋が笑っていた。
 そこに属する友達との会話。
 やはり、リサがホームルームを早退して帰ったことについて聞かれた。
 リサは正直に答えると、皆が驚いて心配した。

 リサ:「私は国連機関や国家機関から監視対象になっているから、誰も保護者がいないまま、今の家に住んでちゃダメみたい。今は、新橋のホテルにいる」

 と、答えると、周辺の高級ホテルの名前を挙げてきた。
 このホテルの、この部屋も普通に泊まればそこそこの値段はするのだろうが……。

 リサ:「そこまで高級じゃない」

 とは、答えておいた。
 コンビニや大戸屋などが入居しているホテルだから、多分リサ向きだと判断されたのだろう。
 ふっちゃけ大戸屋なら、朝食どころか夕食もそこで取れる。
 夕食代は、デイライトから支給された。

 リサ:「お風呂入る」

 リサはバスルームに行くと、バスタブに湯を入れた。
 安いビジネスホテルのそれよりは広いが、トイレや洗面所が一緒になった3点ユニットバスである。

 リサ:「これ入れよう」

 ホテルのサービスで、入浴剤が無料で手に入る。

 リサ:「先生は、温泉の名前が入っているのが好きだったな……」

[8月31日06:30.天候:晴 同ホテル客室→2F大戸屋]

 6時半起床。
 リサは私服から、ホテルの寝巻を着ていた。
 欠伸をしながら、バスルームに行く。

 リサ:(うん。今日は変な夢、見なかった)

 エブリンが夢の中に現れたらどうしようと思っていたが、そんなことはなかった。
 顔を洗いながら……。

 リサ:(前の夢に出て来た、金髪に黒い帽子を被ったローズマリー・ウィンターズって誰だろう?エブリンの仲間っぽいけど……。エブリンと違って、そいつの方が強そうだ……)

 朝の支度を整え、制服に着替えて、リサは鞄を持って客室を出た。
 朝食券を手に、2Fの大戸屋に向かった。
 因みに別館側にある、インタリアンレストランでも朝食券は使える。
 しかし、一旦ホテルの外に出ないといけないので、リサは無理のような気がするが、案外そうでもない。
 登校時以降はホテルの外に出ることが許されるのだから、『登校時に立ち寄った』ことにすれば良い。
 入店してカウンター席に座り、タッチパネルで注文する形式である。

 リサ:「朝定食……」

 肉系統だと唐揚げ定食があるようだ。

 リサ:(いや……。今日の学食のA定食が、唐揚げ定食だったな……。だったら……)

 リサはアジの開きの定食にした。

 リサ:(先生、朝はこういうのも好きだし……)

 しばらくして、注文した物が運ばれてくる。
 で、リサ、考え事をしながら食べたので、やらかしてしまった。

 隣席のサラリーマン:「……!!」("゚д゚)

 リサがバリボリと骨ごと食べるのを見て、唖然とする周囲の客がいた。
 隣席のサラリーマンはTwitterで、『あ……ありのまま……ありのまま……今起こったことを話すぜ。俺は今、「アジの開きを骨ごと食べる女子高生を見てしまった!」な、何を言ってるのかわからねーと思うが……』と、ツイートした。
 しかし、それを発見したリサは、『勝手に拡散してんじゃねーよ、オッサン』と、リツイートしたのであった。

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