報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「リサの異変?」 3

2023-02-26 11:18:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月18日15時45分 天候:雨 東京都千代田区外神田 JR秋葉原駅前バス停→都営バス秋26系統車内]

 私は当初の予定の東京中央学園上野高校ではなく、秋葉原駅の中央口で待ち合わせることにした。
 リサからそうしてほしいと言われたのだ。
 恐らく、私と一緒にいると恥ずかしいとか、そういうことなのだろうと思った。
 直接、本人から聞いてはいないのだが。

 リサ「お待たせ」

 リサは単独でやってきた。
 まあ、今回は行く所が行く所だけに、『魔王軍』がぞろぞろ来られても困る部分はある。
 駅の外に出て、駅前ロータリーの外周部にあるバス停に向かう。

 リサ「地下鉄でいかないの?」
 愛原「行きはバスの方が楽なんだよ」
 リサ「ふーん……?」

 

 バス停に到着する。
 バス停の前は、ヨドバシAkibaの建物がそびえ立っている。

 

 愛原「学校はどうだった?」

 私は制服姿のリサに聞いた。

 リサ「特にも何にも無かった。わたしも、いつも通り」
 愛原「そうか。それは良かった」

 今朝は具合が悪そうにしていたが、今は回復したようだ。

 

 バスは既にバス停に停車していたが、まだ乗車は始まっていない。
 始発停留所に相応しく、ヨドバシカメラのラッピングをしたバスだった。
 当然ながら、ヨドバシカメラの店舗がある町でしか、このラッピングを見ることはできない。
 名物は、カメラのレンズ部分にタイヤホイールが来るようになっていること。
 発車の5分前くらいになってから、バスは所定の停車位置に移動し、それから前扉が開いた。

 愛原「大人2人で」

 行きのバス代は、私が2人分払っておいた。
 それから、後ろの2人席に着席する。

 リサ「再検査って、どういうことをやるの?」
 愛原「どうも、やり方は普通の健康診断と大して変わらないみたいだな。行き先は、見た目は普通のクリニックだし、そんなに構えなくてもいいんじゃないかな?」
 リサ「そう……」

 それから発車の時間になって、バスが出発した。
 ロータリーをグルッと回って、公道に出る。
 ロータリーのヨドバシカメラ側にもバス停はあるが、こちらは高速バス用である。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは浜町中の橋、江戸川車庫前経由、葛西駅行きでございます。次は須田町、須田町でございます〕

 愛原「都営バスだと、バスの中でもWi-Fiが使えるよ?」
 リサ「ホントだ。……本当はね、今日も文化祭の打ち合わせがあったんだ」
 愛原「え、そうなの?実行委員会か何か?」
 リサ「わたしは違うんだけど、何か、色んな所から声が掛かっちゃって……。『絵のモデルになって』とか、『写真のモデルに』とか、『リサ・トレヴァーの役で演劇部の支援を!』とか……」
 愛原「最後の依頼、『なに本人に頼んでんだよ』ってツッコミか?」
 リサ「そうだね。まあ、私はオリジナル大先輩とは違うけど」
 愛原「うん」

 何だかんだ言って、学校では人気者か。
 持ち前の能力を良い方向に使うと、『魔王様』か。

[同日16時07分 東京都中央区日本橋浜町 久松町バス停→某診療所]

〔「久松町です」〕

 都営バスを降りる。
 バス停の名前は日本橋久松町から取ったと思われるが、実際は日本橋浜町である。
 神田も『神田○○町』など、神田の名前が付く地区名が多い。
 何を隠そう、明治座の最寄りである。
 地下鉄の浜町駅でも、副駅名に『明治座前』とあるほどだ。
 バスを降りると、通学服に見を包んだ小学生達が代わりにバスに乗り込んで行った。
 この近くに小学校があるのだろう。

 リサ「うっ……!」
 愛原「リサ!?」

 高学年の女子児童と思しき少女がリサとすれ違い、最後にバスに乗り込んだ。
 その少女を見た時、リサが頭を抱えた。

 リサ「うう……」
 愛原「どうした?大丈夫か?」
 リサ「……大丈夫。ちょっと、頭痛がしただけ……」

 リサには人間だつた頃の記憶が殆ど無い。
 しかし、時折その記憶の糸口に触れるようなことがあると、フラッシュバックのように断片的な記憶が蘇り、その際に激しい頭痛を起こすのだ。

 愛原「何か、記憶が……?」
 リサ「思い出せない……」

 リサの記憶は、あまりにも断片的過ぎて、特定するのが困難なのである。
 未だに、人間だった頃はどこに住んでいて、親は?というのは分かっていない。
 上野利恵が実の姉妹ではなく、従姉妹であった所までは分かっている。
 だが当の利恵も、人間だった頃の記憶は殆ど失われている(上野利恵自身も実の姉を失っており、それが最初はリサではないかとされた)。

 愛原「そうか……」

 とにかく、私達はクリニックのあるビルの中に入った。
 複合ビルの中にあるクリニックというのは、大都市では珍しいことではないが、それでも1階とか2階となどの低層部分に入居しているのが普通である。
 このビルからすれば、確かにクリニックが入居しているフロアは低層階になるのだろうが、それでもエレベーターでの移動を余儀無くされる所は珍しいと言えるだろう。
 低層階用のエレベーターに乗り込み、クリニックのあるフロアへと向かう。

 愛原「こんにちは。愛原と申しますが、デイライトさんの指示で参りました」
 受付係「少々お待ちください」

 確かに入ると、内装はクリニックそのものだった。
 待合ロビーがあり、受付がある。

 受付係「それでは、こちらの問診票をお書きになり、書き終わりましたら、あちらのレントゲン受付で、こちらの問診票を出してお待ちください」

 とのことだった。
 まるで本当に、健康診断のようだ。

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