[10月18日16時30分 天候:曇 東京都中央区日本橋浜町 某診療所]
問診票を書いたリサは、レントゲン室近くの待合椅子に座った。
レントゲン技師「愛原リサさん、中へどうぞ」
愛原「はい。……リサ、呼ばれたぞ」
リサ「う、うん。……先生は行かないの?」
愛原「レントゲン室は、基本的に技師さんと患者しか入れないからね」
リサ「……それもそうか」
レントゲン室の中に入るリサ。
放射能でBOWを倒すことは可能なのだろうか?
恐らくBOWも生物である以上、可能なのだろうが、その後の処理が大変か。
未だに放射能を除染するには、現代の技術を持ってしても多大な費用と時間を要する。
BSAAがレールガンなどを装備していたとしても、核兵器を使わないのはそれが理由か。
高圧電流で動きを止めることはできるので、それで動きを止めた後、集中砲火を浴びせて倒すという些か乱暴なやり方が通っているという。
リサ「終わった」
案外早めに撮影は終わった。
撮影に当たり、上に着ていたニットやブラウスは脱がないといけないので、それをまた着るのに時間が掛かったようだ。
尚、医師の問診がある為、ニットはまだ着ていない。
事務員「次は検尿です。この紙コップに、尿を取ってください」
リサ「はい」
このフロアにも共用トイレはあるが、診療所内にもトイレはある。
リサはそこの女子トイレに行った。
ウィルス濃度を測るには、体液を調べるのが1番だ。
だからなのか、検尿と採血が最も注視されたような感じであった。
事務員「次は、採血です」
もちろんリサの血は赤い。
しかし、私の健康診断の時でさえ、せいぜい3本分くらいしか採血しないのに、リサは10本くらい採血されていた。
恐らく、ここ以外にも検査に持って行くつもりなのだろう。
リサの血液から、抗ウィルス剤が作れるかもしれないのだ。
何しろ、エボラウィルスでさえ食い殺すGウィルスやTウィルスを保有しているのだから。
しかもそれを、リサは自分の意志で操作できるのだから。
検査技師「はい、目を大きく開いて。虹彩を撮ります」
様々な検査が終わった後、最後は医師の問診。
リサを診るのは、女性医師。
だが、ここにいるのは、本当にこのクリニックの医師なのだろうか?
BSAAから派遣されてきた医官かもしれない。
医師「何か体に変わったことはないですか?」
リサ「生理の時、前より重くなった」
医師「……他には?例えば、手から白い液体が出るようになったとか……」
リサ「それは無い」
白い液体が出るというのは、特異菌感染者の初期症状の1つである。
どうやらBSAAは、リサが特異菌を駆使するようになることを恐れているようだ。
Gウィルスと特異菌がタッグを組んだら、どうなるのか……。
医師「幻覚症状のようなものは?」
リサ「……それも無い」
愛原「あ、あの……!」
私は口を挟まずにはいられなかった。
愛原「彼女は最近、あまり寝つきが良くないようです。あと、このビルに入る前、フラッシュバックと思しき症状が発生しまして……」
リサ「先生!」
医師「記憶障害の症状の1つですね。フラッシュバックで、何を見ましたか?」
リサ「……わたしに似た女の子。小学生の制服と、黄色い帽子を被って……」
医師「そのコ、1人だけ?」
リサ「1人だけ……」
医師「背景は?」
リサ「背景……」
医師「ビルの中とか、外とか、海とか山とか……」
リサ「山……かな?何か、草とか木とか生えていて……」
医師「そうですか……」
その女の子が誰なのかは分からない。
しかし、リサにフラッシュバック現象を起こさせたきっかけとなった女子児童も同じ格好をしていた。
コロナ禍の昨今、マスクを着けていて顔は分からなかったが、リサの消えた記憶の中に残っていた少女と似た雰囲気だったのだろう。
もしかしたら、リサと同様に、日本アンブレラに捕まった女の子なのかもしれない。
愛原「あと、眠りが浅いそうです。そうだな、リサ?」
リサ「う、うん……」
医師「眠りが浅いということは、夢を見やすいということですね。どんな夢をよく見ますか?」
リサ「夢……それは……うっ……!!」
リサが頭を抱えた。
椅子から落ちそうになったので、慌てて体を支えてやる。
医師「……何がしかのトラウマを抱えているようですね」
愛原「そりゃ、アンブレラで非人道的な実験を受けてきましたからね」
私はそれを思い出しているのかと思った。
医師「…………」
[同日17時30分。天候:曇 某診療所の入っているビル]
再検査が一通り終わり、私とリサは診療所をあとにした。
リサの疲労が激しかったので、同じフロア内にあるリフレッシュコーナーに行く。
ここには自販機はあるし、ベンチもある。
リサに好きなジュースを飲ませて、落ちつかせた。
愛原「どうだ?少しは落ち着いたか?」
リサ「うん……」
愛原「悪かったな。まさか、ここまでキツいとは……」
リサ「ううん」
愛原「帰りはタクシーにしよう。この時間だと、帰りの電車も混んでいるしな」
乗車時間は短いのだが、またもやリサにフラッシュバック現象が発生したりするとマズいので。
ジュースを飲み終えると、エレベーターホールに向かい、そこからエレベーターに乗って1階に下りた。
それからバス停のある通りに出て、空車のタクシーを探す。
平日の日本橋地区のバス通りなので、少し待てば空車のタクシーがやってきた。
愛原「タクシー!」
大手のタクシー会社のタクシーが私達の前で止まる。
愛原「はい、乗って」
トールワゴンタイプのタクシーだった。
スライドドアが開くと、先にリサを乗せ、助手席後ろに私が乗った。
愛原「菊川1丁目……までお願いします」
運転手「はい、ありがとうございます」
タクシーが走り出すと、私は高橋にLINEを送った。
高橋はマンションで夕食の支度をしているはずなので、まもなく帰るという連絡である。
善場主任には、既にメールで検査終了の報告をしている。
すると、彼女からこんな返信があった。
善場「お疲れ様です。あとは再検査の結果待ちですが、リサの動向については、より一層の監視強化をお願いします。できれば結果が出るまで、登校も控えるのが望ましいと思われます」
とのことだった。
私はびっくりした。
確かにここ最近、リサの様子が変だとは思っていたが、デイライトはもっと深刻に捉えているようだ。
愛原「さすがに不登校には無理があると思います。そこまでリサは、体調不良というわけではありません。再検査の結果次第で、休むかどうかを決めては?」
と、更に返信すると、
善場「判断は愛原所長にお任せします」
とのことだった。
愛原「善場主任は何かを御存知なのですか?もしそうなら、私にも説明しては頂けませんでしょうか?」
と、送信した。
善場「今はまだ憶測の段階です。再検査の結果がこちらに来ましたら、ご説明させて頂きます」
とのことだった。
その憶測が何なのかを聞きたいのだが……。
問診票を書いたリサは、レントゲン室近くの待合椅子に座った。
レントゲン技師「愛原リサさん、中へどうぞ」
愛原「はい。……リサ、呼ばれたぞ」
リサ「う、うん。……先生は行かないの?」
愛原「レントゲン室は、基本的に技師さんと患者しか入れないからね」
リサ「……それもそうか」
レントゲン室の中に入るリサ。
放射能でBOWを倒すことは可能なのだろうか?
恐らくBOWも生物である以上、可能なのだろうが、その後の処理が大変か。
未だに放射能を除染するには、現代の技術を持ってしても多大な費用と時間を要する。
BSAAがレールガンなどを装備していたとしても、核兵器を使わないのはそれが理由か。
高圧電流で動きを止めることはできるので、それで動きを止めた後、集中砲火を浴びせて倒すという些か乱暴なやり方が通っているという。
リサ「終わった」
案外早めに撮影は終わった。
撮影に当たり、上に着ていたニットやブラウスは脱がないといけないので、それをまた着るのに時間が掛かったようだ。
尚、医師の問診がある為、ニットはまだ着ていない。
事務員「次は検尿です。この紙コップに、尿を取ってください」
リサ「はい」
このフロアにも共用トイレはあるが、診療所内にもトイレはある。
リサはそこの女子トイレに行った。
ウィルス濃度を測るには、体液を調べるのが1番だ。
だからなのか、検尿と採血が最も注視されたような感じであった。
事務員「次は、採血です」
もちろんリサの血は赤い。
しかし、私の健康診断の時でさえ、せいぜい3本分くらいしか採血しないのに、リサは10本くらい採血されていた。
恐らく、ここ以外にも検査に持って行くつもりなのだろう。
リサの血液から、抗ウィルス剤が作れるかもしれないのだ。
何しろ、エボラウィルスでさえ食い殺すGウィルスやTウィルスを保有しているのだから。
しかもそれを、リサは自分の意志で操作できるのだから。
検査技師「はい、目を大きく開いて。虹彩を撮ります」
様々な検査が終わった後、最後は医師の問診。
リサを診るのは、女性医師。
だが、ここにいるのは、本当にこのクリニックの医師なのだろうか?
BSAAから派遣されてきた医官かもしれない。
医師「何か体に変わったことはないですか?」
リサ「生理の時、前より重くなった」
医師「……他には?例えば、手から白い液体が出るようになったとか……」
リサ「それは無い」
白い液体が出るというのは、特異菌感染者の初期症状の1つである。
どうやらBSAAは、リサが特異菌を駆使するようになることを恐れているようだ。
Gウィルスと特異菌がタッグを組んだら、どうなるのか……。
医師「幻覚症状のようなものは?」
リサ「……それも無い」
愛原「あ、あの……!」
私は口を挟まずにはいられなかった。
愛原「彼女は最近、あまり寝つきが良くないようです。あと、このビルに入る前、フラッシュバックと思しき症状が発生しまして……」
リサ「先生!」
医師「記憶障害の症状の1つですね。フラッシュバックで、何を見ましたか?」
リサ「……わたしに似た女の子。小学生の制服と、黄色い帽子を被って……」
医師「そのコ、1人だけ?」
リサ「1人だけ……」
医師「背景は?」
リサ「背景……」
医師「ビルの中とか、外とか、海とか山とか……」
リサ「山……かな?何か、草とか木とか生えていて……」
医師「そうですか……」
その女の子が誰なのかは分からない。
しかし、リサにフラッシュバック現象を起こさせたきっかけとなった女子児童も同じ格好をしていた。
コロナ禍の昨今、マスクを着けていて顔は分からなかったが、リサの消えた記憶の中に残っていた少女と似た雰囲気だったのだろう。
もしかしたら、リサと同様に、日本アンブレラに捕まった女の子なのかもしれない。
愛原「あと、眠りが浅いそうです。そうだな、リサ?」
リサ「う、うん……」
医師「眠りが浅いということは、夢を見やすいということですね。どんな夢をよく見ますか?」
リサ「夢……それは……うっ……!!」
リサが頭を抱えた。
椅子から落ちそうになったので、慌てて体を支えてやる。
医師「……何がしかのトラウマを抱えているようですね」
愛原「そりゃ、アンブレラで非人道的な実験を受けてきましたからね」
私はそれを思い出しているのかと思った。
医師「…………」
[同日17時30分。天候:曇 某診療所の入っているビル]
再検査が一通り終わり、私とリサは診療所をあとにした。
リサの疲労が激しかったので、同じフロア内にあるリフレッシュコーナーに行く。
ここには自販機はあるし、ベンチもある。
リサに好きなジュースを飲ませて、落ちつかせた。
愛原「どうだ?少しは落ち着いたか?」
リサ「うん……」
愛原「悪かったな。まさか、ここまでキツいとは……」
リサ「ううん」
愛原「帰りはタクシーにしよう。この時間だと、帰りの電車も混んでいるしな」
乗車時間は短いのだが、またもやリサにフラッシュバック現象が発生したりするとマズいので。
ジュースを飲み終えると、エレベーターホールに向かい、そこからエレベーターに乗って1階に下りた。
それからバス停のある通りに出て、空車のタクシーを探す。
平日の日本橋地区のバス通りなので、少し待てば空車のタクシーがやってきた。
愛原「タクシー!」
大手のタクシー会社のタクシーが私達の前で止まる。
愛原「はい、乗って」
トールワゴンタイプのタクシーだった。
スライドドアが開くと、先にリサを乗せ、助手席後ろに私が乗った。
愛原「菊川1丁目……までお願いします」
運転手「はい、ありがとうございます」
タクシーが走り出すと、私は高橋にLINEを送った。
高橋はマンションで夕食の支度をしているはずなので、まもなく帰るという連絡である。
善場主任には、既にメールで検査終了の報告をしている。
すると、彼女からこんな返信があった。
善場「お疲れ様です。あとは再検査の結果待ちですが、リサの動向については、より一層の監視強化をお願いします。できれば結果が出るまで、登校も控えるのが望ましいと思われます」
とのことだった。
私はびっくりした。
確かにここ最近、リサの様子が変だとは思っていたが、デイライトはもっと深刻に捉えているようだ。
愛原「さすがに不登校には無理があると思います。そこまでリサは、体調不良というわけではありません。再検査の結果次第で、休むかどうかを決めては?」
と、更に返信すると、
善場「判断は愛原所長にお任せします」
とのことだった。
愛原「善場主任は何かを御存知なのですか?もしそうなら、私にも説明しては頂けませんでしょうか?」
と、送信した。
善場「今はまだ憶測の段階です。再検査の結果がこちらに来ましたら、ご説明させて頂きます」
とのことだった。
その憶測が何なのかを聞きたいのだが……。
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