報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「愛原事務所のクリスマス」 2

2021-01-17 16:02:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月24日12:00.天候:晴 東京都墨田区江東橋 錦糸町駅ビル“テルミナ”]

 新橋からJRで錦糸町駅に移動し、そこの駅ビルでクリスマスに必要なものを買う。

 高橋:「先生!この俺にボーナスが支給されるなんて感激っスよ!」
 愛原:「悪かったなぁ。今まで支給してやれなくて。ここ最近はデイライトさんや斉藤社長からの依頼で売り上げも確保できたから、ちょっとな……」
 高橋:「早速使わせてもらいます!」
 愛原:「何に使うんだ?」
 高橋:「新しいスマホの買い替えです!」
 愛原:「ああ、なるほど」

 リサへの入学祝に渡したスマホは……。
 まあ、高校への入学祝の時でいいか。
 クリスマスプレゼントは何がいいかな……。
 善場主任からは図書カードを預かったし、私はクオカードにするか?
 何しろ15歳の女の子の欲しそうなものって、よく分からんからなぁ……。
 ヒマな時は家でテレビゲームやってるから(それもホラーもの)、そういう類のゲームソフトでも良さげな気はする。
 リサはあまりファッションには関心は無く(曰く、『第2形態以降に変化したりすれば服は破れるし、最終形態なんか裸だから』)、そういうものはあまり喜ばないだろう。
 そもそも私達、テルミナ内のヨドバシカメラに来ている時点で【お察しください】。
 高橋は1階の携帯電話コーナーに行った。
 恐らく、再びiPhoneでも買うつもりだろう。
 私は……しばらく買い替えはいいや。
 それよりリサだな。
 そうだ。
 ちょっと悩み事相談でもしてあげよう。
 私は高橋を待っている間、リサにLINEを送ってみた。
 何か困っていることは無いかという内容の質問だ。
 すると、こんな返信が来た。

 リサ:「サイトーが『今度の週末、一緒に買い物に行きましょう!』って何度も迫って来てウザい」

 とのことだ。

 リサ:「先生が許可してくれたら、サイトーを食い殺す」

 という物騒な追伸付きだったが、当然私は不許可だ。

 愛原:「一緒に買い物に行こうって、リサは小遣いあるのか?」
 リサ:「サイトーのヤツ、クリスマスプレゼントにお父さんから商品券もらったらしい。何か、お札束みたいにしてる」

 中学生の娘にクリスマスプレゼントとして商品券送る親がいるとは……。
 斉藤社長もどこかズレてるような気がするなぁ……。
 それとも、セレブの家ってこんな感じなのか?
 しかも、札束並みの厚さとは……。
 1000円券を束……まあ、100枚くらいだとして、それでも10万円!?
 5000円券や1万円券なら【お察しください】。
 いやいやいや……。
 私は思い切ってリサに聞いてみた。

 愛原:「なあ。リサはクリスマスプレゼントに何が欲しい?」
 リサ:「! おー!それじゃあ、『先生と夜の営み』
 愛原:「……もっと別のにしようか」

 しかし、なかなか返信が返って来ない。
 そうこうしているうちに、高橋が戻って来た。

 高橋:「お待たせしました!機種変、完了っス!」
 愛原:「ご苦労さん。昼飯にラーメンでも食って、それからケーキ買って帰るか」
 高橋:「いいっスね。誰とやり取りしてたんスか?」
 愛原:「リサだよ。クリスマスプレゼントは何がいいかって聞いたんだけど、迷ってるみたいで……」
 高橋:「あいつ、贅沢なヤツだ。俺なら、『先生からの体の温もり』で十分だというのに!」
 愛原:「何でオマエもそんな気持ち悪いこと望むかなぁ!」

 リサのヤツ、絶対に俺を感染させる気満々だぞ。
 新型BOWエブリンもそうだが、日本のリサ・トレヴァーも感染者を支配することができる。
 『1番』は学校全体を、『2番』たるリサも、学校内では一部の者に対してそうしている。
 同じテルミナ内で飲食店を探していると、リサから返信があった。

 リサ:「私もサイトーと買い物したいから商品券がいい。クオカード」
 愛原:「クオカードがいいのか?」

 斉藤絵恋さんがどんな商品券もらったのか不明だが、恐らくはクレジット会社系だろう。
 それと比べれば、クオカードは使い勝手に難があるような気がする。
 それとも、リサにはリサの考えがあるのだろうか。
 リサも15歳だ。
 いくらBOWで人間との感覚にズレがあるとはいえ、もう自我があるからな。
 希望通りの物を渡すのがいいだろう。

 愛原:「高橋。昼食が終わったら、ケーキとは別にリサのクリスマスプレゼントを買うぞ」
 高橋:「おっ、何っスか?」
 愛原:「クオカードだってさ」
 高橋:「本屋とコンビニくらいしか使えないイメージっスけどね。……あ、マツキヨでも使えたかな。そんなんでいいんスか?」
 愛原:「リサにはリサの考えがあるんだろう。それの最高額っていくらだ?」
 高橋:「確か1万円っスね」
 愛原:「よし。それにするぞ」
 高橋:「リサも幸せ者っス」
 愛原:「まあな」
 高橋:「スマホの機種変できるボーナスがもらえた俺も幸せ者っスけどね」
 愛原:「そりゃあ、良かった」

 高野君のボーナスの分を高橋に回したことは内緒である。
 因みに高野君にはクリスマスカードと、差し入れ品として本3冊(1人1回3冊までとの規定による)と上着、それと現金をいくらか用意した(拘置所内の売店で収容者が利用する時に必要)。
 年賀状も手紙と同様、拘置所に送ることは可能らしい。

 愛原:「明日が本来のクリスマスだからな。明日、高野君にクリスマスプレゼントに差し入れ品と年末の挨拶をしておこう」
 高橋:「いいっスね。……因みに先生、年末年始は帰省されるんですか?」
 愛原:「うーん……。またコロナが怖いから、あんまり考えてはいないんだよなぁ……」
 高橋:「年始の挨拶くらいはしたいものっスね」
 愛原:「それなら年賀状で十分だろう」
 高橋:「今ならコロナで新幹線もガラ空きっスよ」
 愛原:「まあな。だから、帰省するにしても、慌てて指定席を取ったりする必要は無いわけだ。まあ、両親からも『好きにしろ』って言われてるし、もう少し考えるさ」
 高橋:「はあ……」
 愛原:「もっとも、公一伯父さんからは、『いつ帰省するのか?』という矢のような催促だ」
 高橋:「あのぶっとび博士っスね。何気に『6番』をブッ倒した功労者っス」

 実際には高齢者のプリウスアタックをしただけに過ぎず、その副産物で倒したようなものだ。

 愛原:「まあな」

 私達は昼食を取ると、次のミッションに取り掛かった。

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