報恩坊の怪しい偽作家!

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“Gynoid Multitype Cindy” 「廃銃令」 4

2016-11-21 12:37:55 | アンドロイドマスターシリーズ
[11月4日13:00.天候:晴 埼玉県秩父市 DCJ秩父研究所]

 敷島:「シンディの腕について、ここまで来なきゃいけないとは……」

 DCJにある研究所の1つ。
 関東の山奥にあることから、まるで本当の秘密の研究所だ。

 敷島:「ジャニスとルディの件については、非常に残念なことでした。もしまた奴らが国内に入り込もうとしたなら、シンディがバラバラにしてやりますので……」

 敷島は所内の関係者達に言った。
 ここはジャニスとルディを保管してした所だったが、恐らくKR団残党の関係者のしわざであろうが、復元中に暴走して脱走している。
 その際、この研究所は半壊の憂き目に遭った。
 今も尚、一部が工事中である。

 アリス:「シンディ、準備ができたからこっちに来て」
 シンディ:「はい」
 敷島:「科学館の方でできなかったのか?」
 アリス:「あっちはパビリオンだからね、修理関係の設備しか無いのよ。小さなパーツだったら何とかなるけど、シンディの場合は腕2本だから」
 敷島:「ふーん……って、何で腕2本?銃火器仕込んであるの、右腕だけだろう?」
 アリス:「バカだね。銃火器だけで重量があるのよ?それを軽い普通の腕に交換したら、左右の重さのバランスが崩れるに決まってるじゃない。だから、左腕もそれに合わせたものに交換しなきゃいけないわけ。Understand?」
 敷島:「なるほど。分かったよ」
 アリス:「設計データさえ揃えば、あとは部品などを調達して、科学館でも作れるからね」
 敷島:「設計に1番カネと手間が掛かるとは、よく言ったもんだ」

 取りあえず今日としては、銃火器を封印するしか無いようだ。
 具体的には銃弾を全て回収し、普通の腕形態から銃形態への変形ができないようにする。
 何か、これだけでも良いような気がするが、どうせ使えないというのなら、そのまま取り外そうという考えだ。
 普通の腕はどのようなものにするか、メイドロイドの腕が1番良いのだろうが、せっかくマルチタイプの持ち味をそのまま使わないのも勿体無いので、オリジナルのものを開発するという。

 敷島:「ああ、平賀先生。私です。今、電話よろしいですか?ああ、どうも。実は今、DCJさんの秩父研究所にいるんですが、うちでもシンディの腕交換を行うことにしましたよ」
 平賀:「そうですか。自分の予想では、腕2本を交換することになりそうですね」
 敷島:「実はそうなんです。エミリーもやっぱりそうですか」
 平賀:「ま、そこは同型機ですから」
 敷島:「エミリーの新しい腕というのは、メイドロイドに近いものですか?」
 平賀:「どちらかというと、そうでしょうね。でも自分的に、それは南里先生の御遺志に反すると思いますので、もっと違うものを取り付けようと思っています」
 敷島:「もっと違うもの?」
 平賀:「ええ。これ以上はまだ開発途中なので、何とも言えませんが……」
 敷島:「分かりました」

 敷島は電話を切った後で、

 敷島:(最終的にはシンディと仕様が被りそうだなぁ……)

 と思った。
 同型機のパーツを同じ理由で交換するのだから、交換するパーツも似通うのも仕方ないことであるが。

[同日21:30.天候:晴 DCJ秩父研究所]

 アリス:「タカオ!シンディの新しい腕の設計データが取れたわ!これで、あとは……」

 アリスが敷島の待機している応接室に飛び込んで来た。

 敷島:「クカー……」(←ソファに寝転がって居眠りしている)
 アリス:「っ……!

 スバーンと丸めた紙束で何かを引っ叩く音が室内に響き渡った。

 アリス:「シンディの新しい腕の設計データが取れたから、あとはこれを科学館に持って行って、パーツとツールを用意すれば作れるわ」
 敷島:「そ、そりゃおめでとさん……」

 何故か頬を腫らして鼻血を垂らしている敷島がいた。

 敷島:「それじゃ、今からでもホテルに入って一泊するか」
 アリス:「何言ってるの。金曜日の夜は、家に帰って土日を一緒に過ごす約束でしょお?」
 敷島:「おいおい、今から行って電車あるのか?」

[同日22:46.天候:晴 東飯能駅]

〔まもなく東飯能、東飯能。お出口は、右側です。JR八高線は、御乗り換えです〕

 シンディ:「ここから八高線の川越行きに乗り換えてください」
 敷島:「ジャニスとルディが暴れた時のルートと、逆方向か。まだ電車あったんだな……」

 敷島達が乗っている電車は西武4000系という、2ドア・セミクロスシートの車両である。
 向かい側に座るアリスは、すっかり寝込んでいた。

 敷島:「おい、アリス。降りるぞ。起きろ」
 アリス:「Uu……」
 シンディ:「マスター、起きてください」
 敷島:「アリスには電気流して起こさないのか?」
 シンディ:「しませんよ」
 敷島:「七海は昔、平賀先生を起こすのに、醤油を注ぎ込んだらしいぞ?あー?」
 シンディ:「だから、しませんって!」
 アリス:「うるさいわねぇ……!分かってるよ……!」
 敷島:「分かってるんなら、早く起きろよ」
 アリス:「クカー……」
 敷島:「……って、寝言かい!」

 因みに七海がその稼働テスト中、平賀を起こす為に醤油を飲ませたというのは事実である。
 メイドロイドの間では伝説となっており、主人を起こすのに流行ったとか流行らなかったとか。

[同日22:54.天候:晴 東飯能駅]

 東飯能駅は西武秩父線とJR八高線が乗り入れているが、ホーム番線は連番になっている。
 西武秩父線が1番線(単線なので上下線が共用)、2番線と3番線がJR八高線である。
 八高線も単線であるが、行き違いができるようになっている。

〔まもなく2番線に、各駅停車、川越行きが参ります。危ないですから、黄色い線の内側までお下がりください〕

 この辺は4両編成の電車が走っている。
 西武秩父線も普段の普通電車は4両編成であることから、この辺りの輸送量がうかがえる。
 元は山手線で運転されていた205系を改造したものがやってきた。
 八高線と川越線では、ドアボタン式の半自動ドア方式を通年行っている為、ドア開けは乗客で行う。

 敷島:「満席だから立っとけよ。この方が寝過ごさないで済む」
 アリス:「立ち寝するからヨロシク」
 敷島:「アホか!」

 4両編成の電車は、深夜の鉄路を走り出した。

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