報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Sisters” 「“スーパー北斗”9号」

2017-06-03 14:33:34 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月2日11:08.天候:晴 JR新函館北斗駅]

〔お待たせ致しました。まもなく2番ホームに、11時9分発、札幌行き特別急行“スーパー北斗”9号が、入線致します。……〕

 平賀:「おー、間に合った間に合った」
 敷島:「先生、ちょうど列車が来る頃ですよ」
 平賀:「いやー、喫煙所混んでて」
 敷島:「喫煙者は大変ですね」
 平賀:「そうなんですよ。大学の研究室も禁煙ですからね、今や」
 敷島:「でしょうなぁ……」
 鏡音リン:「煙を出すのがダメなの?」
 敷島:「まあ、そういうことだな」
 平賀:「煙だけじゃない。臭いも嫌だっていう人、多いんだ」
 リン:「ふーん……」

〔「2番線、ご注意ください。札幌行きの特急“スーパー北斗”9号が参ります。7両編成、1番前の車両が7号車、1番後ろが1号車です。グリーン車は1号車、自由席は6号車と7号車です。停車駅は大沼公園、森、八雲、長万部、洞爺、伊達紋別、東室蘭、登別、苫小牧、南千歳、新札幌、終点札幌の順に止まります」〕

 最新型の車両がやってきた。
 キハ261系1000番台という。
 気動車なので、ディーゼルエンジンの音を震わせての入線だった。
 なので電車と違い、屋根からは排気ガスを出している。

 敷島:「先生、この列車にはグランクラスが無いのでグリーン車になりますが、いいですか?」
 平賀:「全然OKです。ほんとにもう気を使ってもらっちゃって……」

 人間達が先に乗る。
 後から乗り込むボカロ達。

 リン:「社長達、煙はダメだってYo〜」
 キハ261系:「?」

 最後尾のグリーン車に乗り込むと、そこは青い革張りシートが並んでいた。
 それも2人席と1人席の3列シート。

 敷島:「先生、どうぞ。窓側へ」
 平賀:「どうも」
 初音ミク:「ここからは社長さん達と一緒なんですね。嬉しいです」
 敷島:「いや、大したことは無い」
 巡音ルカ:「でもMEGAbyteのコ達は普通車なんですね」
 敷島:「本社の某社長がそうしろって言うんだ。しょうがない。こっちは所詮、子会社だからさ」

 隣の2号車だから、指定席は指定席なのだが。
 そうこうしている間に、列車はディーゼルエンジンの音を響かせて発車した。

〔♪♪♪♪。この列車は、札幌行き特別急行“スーパー北斗”9号です。【中略】次の停車駅は、大沼公園です〕

 JR北海道の男声自動放送は抑揚の無い声である。
 席順は大体、新幹線の時と一緒。

〔「皆様、本日もJR北海道をご利用頂きまして、真にありがとうございます。お客様に車内販売のお知らせを申し上げます」〕

 敷島:「そうか。JR北海道の特急で車内販売が廃止になったって聞いたけど、この列車ではやってるんだ」
 平賀:「今や、この函館本線の特急だけになったって聞きましたね。他でもまだやってる所あるのかな?」
 敷島:「あ!もしかしてこのグリーン車、アテンダントサービスってまだあるのかな?」
 井辺:「いえ、ここ1〜2年辺りでそのようなサービスは廃止になったと聞きました」
 敷島:「何だ、そうか……」
 平賀:「サービスが簡素化されて味気が無くなった感じなのに、ホッとしましたね?」
 敷島:「ええ。多分今はもう大丈夫だと思いますが、うちのボカロ達、出された物を口にする習慣があったんで」
 平賀:「う……そういや、昔の七海もそうだった」
 敷島:「アテンダントが『お飲み物は何になさいますか?』って聞いてくるでしょ?」
 平賀:「ええ」
 敷島:「リンの場合、『オレンジジュースください!』って言うんですよ」
 平賀:「ほうほう。……人間のフリをする為に言ったネタですよね?」
 敷島:「いえ、どうやら本当に飲む気満々だったようです。私が慌てて止めましたが」
 平賀:「ご苦労さまでした。本当に飲んだら、ヘタしたらボディを丸々交換する所でしたよ。長期の活動停止が必要になります」
 敷島:「ええ。学習させるのに苦労しました」
 平賀:「他には?」
 敷島:「KAITOが、『エンジンオイルで純度のなるべく高い物を。なるべくメーカーはエネオスで』と言ったのも覚えています」
 平賀:「アンドロイドとしては正しい答えですけど、そんなもの列車内に置いてるわけないですよね?」
 敷島:「今はそんなこと無いと思いますけど……」

 敷島はチラッとボカロ達を見た。

 敷島:「!!!」

 MEIKOが何か透明な液体を口にしている!
 確かに日本酒メーカーとタイアップしたキャンペーンの仕事をしていたことはあったが、実際は飲めない(CMではエタノールを飲んでいた。エタノールなら定期的に経口摂取する潤滑油代わりになるのと、実際に日本酒のアルコール成分はエタノールである為)。

 敷島:「MEIKO!?」
 MEIKO:「なに?社長」
 敷島:「それは……?」
 MEIKO:「ラジエーターの水が減ったんで、補給してるんだけど?」
 敷島:「何だ、そうか」
 MEIKO:「エタノールは撮影の時しか飲まないよ?」
 敷島:「ああ、そうしてくれ」

 車なら人間が補給してやらないといけないが、ロイドは自分でオイルだのラジエーターの水だの補給する。

 シンディ:「あ、MEIKO。私にもちょうだい」
 MEIKO:「あいよ」
 シンディ:「サンクス」
 リン:「おぉ〜!シンディ、間接キッス〜
 シンディ:「人間じゃあるまいし、バカなこと言わないの」
 萌:「!」

 と、そこへ車内販売がやってくる。

 敷島:「そういえばお昼を挟むことになるから、また弁当ですね」
 平賀:「2食続けて駅弁というのも、なかなか無いことです」
 萌:「井辺さん、井辺さん!ボクもラジエーター用に、水を補給したいなぁ……なんて」
 井辺:「分かりました。水を買っておきましょう」
 萌:「で、井辺さんから飲んでください!その後でボクが飲みます!
 井辺:「いえ。私は喉が渇いてないので。萌だけでどうぞ」
 萌:「そんなぁ〜
 敷島:「幕の内弁当と……平賀先生、何にします?」
 平賀:「山海いろごはんで」
 敷島:「井辺君も選んでくれよ」
 井辺:「おすすめの駅弁はありますか?」
 車販係:「本日ですと……」

 結構、いい旅だったりする。

 井辺:「食べ終わったら、MEGAbyteの皆さんの様子を見て来ます」
 敷島:「ああ。頼むよ」

 列車は更に北に向かって進む。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “Gynoid Multit... | トップ | “Gynoid Multit... »

コメントを投稿

アンドロイドマスターシリーズ」カテゴリの最新記事