報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「日曜日の夜」

2024-07-29 20:25:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月23日17時00分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階・リビング]

 愛原「……そうですか。分かりました。では、リサにも伝えておきますので。わざわざありがとうございました。……はい、そちらの方も確認しておきますので。……はい。失礼します」

 リサと高橋がキッチンで夕食を作っている間、愛原は隣のリビングの固定電話に出ていた。

 愛原「リサ、ちょっといいか?」
 リサ「はーい?」

 リサは制服風の私服から一転して、黒いTシャツと緑のクォーターパンツに着替えていた。
 このクォーターパンツは、東京中央学園の体操服の1つである。
 復活させたブルマを穿いていることもあり、これは卒業までお払い箱となったが、たまにこうして穿くことがある。
 メーカーは違うが、実は今のクォーターパンツ、体操服メーカーのカンコーにあっては、『新ブルマ』という名称があるのだとか。
 確かにルーツを見ると、けしてショーツ型である必要は無いのだが、それでも恐らく、『E電』並みに定着せず、死語になる気がするのは作者だけか。

 愛原「今、学校から電話があった」
 リサ「わざわざ電話してくれたの?一斉メールは?」
 愛原「それも来てるだろう。あとは、学校の公式のサイトとか……」
 リサ「明日、どうするかだね?何だって?」
 愛原「臨時休校だそうだ」
 リサ「やっぱり……。明後日は?」
 愛原「一応、明日、体育館をお祓いするんだって」
 リサ「え?……意味あんの、それ?」
 愛原「無いと思う。だが、一応、『お祓いはしたから、明後日以降は心配は無いよ』ということかもしれない」
 リサ「はあ……」
 愛原「結局、生徒達にも事の経緯を説明しないといけないからね」
 リサ「そうだよね」
 愛原「その時に、どうしても体育館に集まらないといけないからね」
 リサ「あー、そうか」
 愛原「明後日は一応警察が来て、特別警備に当たってくれるそうだ」
 リサ「ふーん……」
 愛原「で、明日は代わりに新橋に行くぞ」
 リサ「デイライト?!」
 愛原「そう。例の鍵のことについて、何か分かったみたいだから」
 リサ「アンブレラの傘のマークが付いたヤツか」
 愛原「お前にも聞いて欲しいみたいたぞ」
 リサ「また行くの面倒だなぁ……」
 愛原「まあ、そう言うな。今度は車で行くから」
 リサ「そうなんだ」
 愛原「というわけで、高橋」
 高橋「はい?」
 愛原「点数残り少ないのは知っているが、お前に車を出してもらう」
 高橋「了解です!」

[同日18時00分 天候:雨 同地区 愛原家3階ダイニング]

 

 リサ「本当だ。学園の公式サイト見ても、明日は臨時休校になってる」
 愛原「だろ?明日は学校関係者だけでお祓いだ。神社から神主さんを呼んで、お祓いをやるそうだ」
 リサ「ただのパフォーマンスだね」
 愛原「鬼のオマエから見ればそうだろうな」

 むしろ鬼退治をするのは、剣士の方だろう。
 どうしても聖職者を出したくば、仏教の僧侶の方かも。

 高橋「先生、お代わりありますよ?」
 愛原「俺は一杯だけでいいよ」
 リサ「はーい!わたしお代わりー」
 高橋「マジかよ。オメーがバクバク食ったら、朝カレーが無くなるぞ」
 愛原「その時は普通の朝食でいい。食材はあるんだろ?」
 高橋「それはありますが……。いいんスか?『一晩寝かせたカレーは美味い』と、先生仰ってましたが……」
 愛原「無理して食うことはないよ」
 高橋「はあ……そうですか」
 愛原「それより、酒がお代わりだ」
 高橋「あ、ハイ」
 リサ「はーい!わたしもー!」
 愛原「お前は“鬼ころし”だけ飲んでろ」
 リサ「えー……」
 愛原「本当は“鬼ころし”も酒だから、飲んじゃいけないんだぞ?しかし、何故かオマエの暴走を抑えられるからってことで、特別に許可されてるんだ。あと3年待て」
 リサ「はーい……」
 高橋「暴走してリサをブッ殺そうとして化け物になったヤツ、どうしてアンブレラの鍵を持っていたんスかね?」
 愛原「分からんな。別に、両親を含めて、親族にアンブレラの関係者がいたとは聞いていないが……」
 リサ「別に、アンブレラ本体とは限らないよ?」
 愛原「えっ?」
 リサ「アンブレラって巨大企業だったから、いくつものグループ会社が存在したんだよ」
 愛原「知ってるよ。だけど、その殆どが潰れたそうじゃないか」

 一部は社名を変えて営業を続けていたり、他社に資本吸収されたりしている。

 リサ「グループ会社は、ロゴマークを微妙に変えていたからね。例えば、紅白の色を青白にしたりとか……」
 愛原「それが“青いアンブレラ”だろ。あれは関連企業じゃなくて、本体が変化したものだ」

 アンブレラの生き残りの関係者達が、かつての製薬企業だった頃に働いた悪事を反省し、それによって世界中に拡散されてしまったバイオハザードの種を回収するという目的で、業種を民間軍事会社にして復活させたもの。
 あえてアンブレラを名乗っているのは、かつての悪事の反省を忘れないようにする為なのだとか。
 但し、日本では民間軍事会社の存在は法律で禁止されている為、非合法である。
 しかしながら、かつての関係者が設立したこと、理由はハッキリしているとはいえ、昔の名前で活動していることから、その会社に不信感を抱いている者も少なくない。

 リサ「他にも紅白を逆にしたり、あのマークの真ん中にアルファベットを入れたりとかして、関連会社ですよってアピールしてる会社もあったね」
 愛原「まさか、その中に、『紅白の傘を横から見た図』を社章にしている関連会社があったのか?」
 リサ「どこかで見たことあるような気がするんだよねぇ……。どこだっけ?」
 愛原「いや、俺に聞くなよw」
 リサ「いや……でも、愛原先生と一緒だったような気がする」
 愛原「ええ?高橋は知ってるか?」
 高橋「うーん……。俺自身、そのマークを直接見たことはないんで……」
 愛原「そうだよな……。でも、そう言われてみると、『紅白の傘を横から見た図』をどこかで見たような気がする……」

 因みに、アンブレラ本体の社章は、『紅白の傘を上から見た図』である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“愛原リサの日常” 「デートの終わり」

2024-07-29 16:10:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月23日15時21分 天候:曇 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原家]

 

 リサ達を乗せた京王電車……都営地下鉄新宿線内を走行中の京王電車だが、ダイヤ通りにトンネル内を走行していた。
 そして、菊川駅のホームに滑り込む。

 愛原「いよいよ、お出掛けも終わりだな」
 リサ「このままどっか遠くへ逃げたいなぁ~」
 愛原「何言ってるんだよ。この電車じゃ、遠くて千葉県市川市にしか行かないぞ」

 東京都営地下鉄なのに、終点が千葉県の都営新宿線。
 まあ、それを言ったら、東京メトロなのに、終点が千葉県の東西線もあるが。

 リサ「そこから京成線に乗り換えて成田空港」
 愛原「オイオイ……」
 リサ「……というわけには行かないかw」
 愛原「そりゃそうだw」

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 

 2人は電車から降りた。
 すぐホームに、短い発車メロディが鳴り響く。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 そして、ホームドアと車両のドアを閉めて、電車はトンネルの向こうに走り去って行った。
 出て行く時も、ホームには強風が吹き荒ぶ。
 リサの短いスカートが少しだけ捲り上がり、チラッと愛原の目にリサの黒いショーツが目に入った。
 制服ファッションに身を包んでいるものの、スカートの下にはブルマもスパッツも穿いていないらしい。
 スパッツは暑いから嫌だとリサは言う。

 愛原「今日はコンビニには寄らずに、そのまま真っ直ぐ帰るぞ?高橋達が待ってるからな」
 リサ「分かったよ」

 リサはニッと笑った。
 黒いマスクさえしていなければ、牙が覗いたことだろう。
 エスカレーターを昇って、コンコースに出る。
 さすがにリサもこの時はスカートを気にしていて、後ろ手で裾を押さえていた。

 愛原「それにしても、オマエも考えは人間に近くなってきたな」
 リサ「えっ、そう?どの辺が?」

 改札口を出て、今度は地上に向かう。

 愛原「スカートが捲れそうになった時に気にするようになったのと……」
 リサ「ゴメンね。先生には見せてもいいんだけど、他の人には見せたくないからね」
 愛原「いや、それでいいんだよw あとは……さっきの話」
 リサ「さっきの話?」

 リサは首を傾げた。

 愛原「ほら、『遠くへ逃げよう』って話」
 リサ「えっ、なに?まさか、今から本当に実行しようって?」
 愛原「違う違う。そういう発想が、人間に近いってことさ」
 リサ「そうなの?」
 愛原「そうだよ。例えば、エヴリンの例だ。研究所に行きたくないからと、移動中の貨物船内で暴走して、バイオハザードを引き起こしたわけだが……」
 リサ「ああ、あれね。お子様だよねw」
 愛原「リサなら、どうする?」
 リサ「うーん……。まあ、船内ではバイオハザードは起こさないかな。どうせ逃げ場無いし。わたしが船を操縦できるってんなら、確かに全員ゾンビ化させた後、自分で船を操縦して逃げるけどさ。実際できないし。降りたところを狙うかもね」
 愛原「そうだよな。もしもお前がエヴリンだったら、さっきの電車に特異菌をばら撒いていただろう」
 リサ「ねー。そんなことしても、何の解決にもならないのにね。皆バカなんだよ。ある意味、『大人しくしている』ことが最良なのにね」

 霧生市のバイオハザード。
 郊外山中にあった日本アンブレラの研究施設で事故が発生し、施設内のセキュリティシステムがダウンしてしまった。
 その隙に施設内に飼育されていた実験生物達は脱走し、それは日本版リサ・トレヴァー達も同様だった。
 しかし、ここにいるリサだけは施設内に留まった。
 ここにいる『2番』のリサ以外のリサ・トレヴァー全員が後に殺処分されたことを考えると、あの時の『2番』のリサの判断は正しかったと言える。
 今でも個体番号の『2』という数字は、左脇腹の下に入れ墨として入ったままだ。
 尚、最後に日本版リサ・トレヴァーとなり、『12』の数字を与えられた善場優菜は、後に『0』となっている。
 善場の左脇腹の下には、『12』という数字が消され、代わりの『0』の数字が入っている。

 愛原「分かってるじゃないか。賢くなるのも、人間に近づく方法の1つだよ」
 リサ「だよね!」

 そんなことを話しながら家に帰る。

 愛原「ただいまぁ……」

 1階からは、エレベーターで3階に上がった。

 高橋「先生、お帰りなさい!……おい、先生に荷物持たせるとは何だ!?」
 リサ「いや、わたしも持ってるから!」

 

 リサは制服の入った紙袋や、ドンキの袋を床に置いて高橋に反論した。

 愛原「まあまあ。お前達にも土産はあるから」
 高橋「えっ、マジっスか?」
 愛原「ドンキでも酒は売ってるからな。これで今夜は一杯やろうや」
 高橋「いいっスね」
 リサ「ちょっと着替えてくるね?」
 愛原「ああ」
 リサ「……見る?」
 愛原「い、いや、いいよ」
 リサ「遠慮しなくていいのにw」
 高橋「いいから、さっさと着替えて、夕飯作り手伝え!」
 リサ「はーいw」

 リサはペロッと舌を出すと自分の荷物を手に、階段で4階に上がった。

 リサ「わたしのブラウスは……いっか。前みたいに、脱衣カゴに入れとけば」

 そして、自分の部屋に入って、服を脱いだ。
 制服風の服だけでなく、下着や靴下も全部脱いで全裸になると、ベッドにダイブする。
 人間形態から鬼形態になって、大の字になった。
 顔は解放感に満ちた笑顔になっている。

 リサ「これが1番落ち着くー!!」

 しばらく解放感に浸った後は、ドン・キホーテで買った新しい下着を取り出すと、それを着始めた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする