報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「鬼娘リサの帰宅」

2024-04-02 20:40:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月13日15時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 栃木県の板室温泉でホテルを経営している上野利恵から、宿泊招待券が届けられた。
 使用期限がリサのいない春休みのみだったので、どうしようか検討しているところだ。
 取りあえず、今のところ、宿泊券はしまっておくことにした。

 リサ「ただいまァ!」

 リサが学校から帰って来た。
 今日は午後まで授業だったらしい。
 今は来客が無いので、リサも堂々と制服姿で事務所に入ってきた。

 愛原「お帰り。今日は午後まで授業か」
 リサ「最後の授業、体育だったから疲れちゃった!」
 愛原「嘘つけ。鬼のお前が体育くらいでヘバるわけ無いだろう」
 リサ「エヘヘ……」

 こういう場合、着替えるのが面倒で、ジャージのまま帰宅するということも多い学生達であるが、リサは制服に着替えていた。
 恐らく、ブルマを穿いているからだろう。

 リサ「本当はお腹空いた」
 パール「3階におやつのビーフジャーキーがありますよ」
 リサ「ほんと!」

 人間の女子高生ならスイーツだろうに、鬼娘のリサはビーフジャーキーである。
 高橋曰く、犬用のジャーキーでもバクバク食うのではないかとのこと。
 しかし、リサは……。

 リサ「ム!?」

 人間形態から鬼形態へと変化すると、赤い瞳をギラリと光らせ、鼻をフンフンをヒクつかせた。

 リサ「フンフンフン!フンフンフン!」

 そして、私の机に飛び込んで来る。

 愛原「わあっ!?何だ何だ!?」」
 リサ「変な臭いがする!」
 愛原「犬かな!?」
 リサ「鬼だよ!この机の中から変な臭いがする!」

 この机の引き出しには、上野利恵からもらった宿泊券が保管されている。
 なのにリサ、何かの匂いを感じ取ったというのだろうか。

 リサ「この中から鬼の臭いがする!」
 愛原「引き出しに入る鬼なんかいるわけないだろ!」
 リサ「くっ!開かない!」

 幸い、宿泊券は鍵の掛かっている引き出しにしまっている。
 しかし、リサの鬼の力なら、鍵を壊して開けてしまいそうだ。

 愛原「やめなさい!ここには重要書類とかが入ってるんだから!」
 リサ「ううーん!」
 パール「ほーら、リサさん!ビーフジャーキーですよ!お腹が空いて、イラついてるんでしょ?早くこれを食べてください!」
 リサ「ガァァッ!!」

 リサ、今度はパールに飛び掛かる。
 そして、パールからビーフジャーキーを奪い取ると、それをガツガツ食べ始めた。

 愛原「リサ、食べるなら3階でな」
 パール「私が連れて行きます」

 パールはエレベーターにリサを乗せると、3階に連れて行った。

 愛原「たかだか宿泊券で、こんなに反応するなんて……」

 私は鍵を取り出すと、それで引き出しを開けた。

 高橋「いや、先生。もしかして、これに反応したんじゃないスか?」

 高橋は宿泊券が入っていたレターパックを取り出した。
 宛先等は手書きで書かれている。
 普通は手書きにしても、黒か青のボールペンなどで書かれていることが多い。
 ところが、このレターパックに関しては、何故か赤黒い字で書かれていた。
 一見して黒いインクのように見えるのだが、よく見ると赤黒い。
 その場にいた善場主任曰く、これは『鬼の血』なのだそうだ。
 鬼の血そのもので書くわけには行かないから、鬼の血をインクに混ぜて書いたのではないかとのこと。
 何故そんなことをしたのかは不明だが、それほどまでに私達に来て欲しいということの表れなのだろうと。
 鬼の血が混じっているから、リサの鼻はそれに反応したということなのだ。
 これはビニール袋に入れるなどして、匂いが拡散しないようにしなければならない。
 人間の鼻であれば、文字に鼻を近づけても、若干インクの匂いがするかしないかといった程度なのだが。

 愛原「これだろうな。ビニールのパウチとかは無いかな?レターパックがまるっと入るようなサイズの」
 高橋「ちょっとキッチン辺りを探してきます」
 愛原「頼むぞ」

 その時、エレベーターが2階に下りて来た。
 ドアが開くと、そこからパールが単独で降りて来た。

 パール「リサさんはリビングで、おやつとジュースに集中されています」
 愛原「よし。リサを暴走させない為にも、この引き出しは春休みまで封印だ」
 高橋「鬼除けの御札でも貼りますか?」
 愛原「どこから持って来るんだよw」
 高橋「ワンチャン、神社で売ってませんかね?」
 愛原「そこまでしなくていいよ。それより、お前はリサに怪しまれないよう、早いとこパウチを探してこい」
 高橋「分かりました」

 高橋はパールが乗って来たエレベーターに乗り込んだ。

 愛原「取りあえず、『立入禁止』のシールでも貼っておくか」
 パール「どこに貼るつもりだったんです?」

[同日18時00分 天候:晴 愛原家3階ダイニング]

 リサは体操服にブルマという姿で、4階から降りて来た。
 どうやら引き出しのことについては、もう忘れているようだ。
 か、忘れていないが、もう気にしていないか。
 レターパックは、高橋が見つけて来たパウチに入れておいた。
 案内状も手書きで、同じような色合いだったので、これも封印しておいた。
 上野利恵は清楚とした見た目ながら、こういう所は鬼女なんだと気づかされる。
 BSAAに狙撃されないよう、人食いを断っているのは本当のようだが。

 リサ「先生」
 愛原「えっ、何だ?」
 リサ「明日は午前中で授業終わりだから」
 愛原「そうなのか。お昼は食べて来るのか?」
 リサ「そうだね。今度はレイチェルだけじゃなく、他の『魔王軍』のメンバーともランチしたい。……から、お昼代ちょうだい」
 愛原「あ、学食は無いのね」
 リサ「学食があるのは、午後まで授業がある日だけ」
 愛原「それもそうか。Pasmoにチャージするんだろ?」
 リサ「そう」
 愛原「後で現金やるよ。チャージ忘れんなよ?」
 リサ「分かってるよ」

 終業式は20日。
 PTA会長代行の私も、来賓で招かれている。
 多分、来年度からは正式な会長に任命されるのだろう。
コメント
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