[3月17日18時00分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]
予定通り、金曜日の夜はカレーとなる我が家。
カレーの具材は、スーパーの値段によって決まる。
今日は幸いカレー用の牛肉が特売となっていた為、それを購入した。
リサ「カレーにはお肉!お肉だよね!赤身肉がいっぱい入ったヤツ!」
パール「野菜も食べないとダメですよ。野菜カレーはオススメです」
高橋「俺は、ムショ時代にも食えなかったシーフードカレーなんかいいと思ってるんだけどな」
愛原公一「何の何の。ワシほどの食通になれば、ルゥのみで十分ぢゃ」
愛原学「皆して好みがバラバラだねぇ……。高橋が今夜の夕食当番の時は、シーフードカレーになるところだったかな」
高橋「そうかもです」
公一「うーむ……カレーの成り立ちからして、シーフードは、ワシはあんまりオススメできんがの」
高橋「そうスか?でも、ここは日本っスからねぇ……」
学「いや、ちょっと待て待て待て!マテウス!」
高橋「何スか?」
学「何で公一伯父さんがしれっとうちの夕食に参加してんの!?」
公一「何じゃ?伯父が甥っ子の家に遊びに行っちゃいかんのか?」
学「いや、あんた、普通のおじさんじゃないじゃん!」
公一「つれないのォ……。せっかく、お前の弟子達が結婚するというんで、お祝いを持って来たというのに……」
学「どこで聞き付けたの……。だいたい伯父さん、指名手配食らってるんだから、あんまりのこのこ出歩かない方がいいんじゃない?」
公一「指名手配といっても、ワシのはお前達の想像する指名手配とは違うからの」
学「何だい、それ?」
公一「もしも警察がワシを見つけても、任意同行しかさせられんのぢゃ。あくまでも、BSAAに指名手配されとるというだけ。ワシを拘束できるのは、BSAAやその窓口機関のデイライトだけぢゃよ。学、オマエも元警備員なら分かっているように、如何に探偵とて、民間人のオマエ達にもワシを拘束できる権限は無いのぢゃ」
学「あー、そうだね」
公一「というわけで、これはワシからの御祝儀ぢゃ。結婚、おめでとう」
高橋「あざっス!……いや、ありがとうございます!」
パール「ありがとうございます」
なかなか厚みのある封筒だが、一体諭吉先生が何人分入っているのだろう?
愛原「ちゃんと祝儀返ししないとダメだぞ?」
高橋「は、はい!」
公一「そんなもん要らんよ。それじゃ、ごちそーさん」
公一伯父さんは席を立った。
どうやら用件としては、夕食のタダ飯と、高橋夫婦に御祝儀を渡しに来ただけのようである。
公一「ああ、そうそう。藤野に行く件じゃが……」
学「それも知ってるのか……」
公一「多分、鬼には気をつけなくても大丈夫かもしれんぞ?」
学「えっ、どういうこと?」
公一「ワシの知っている限り、今、鬼達で争いが起きておる。そうじゃのう……」
公一伯父さんは、リサを指さした。
リサ「ん?」
公一「このコが第1の勢力だとしたら、第2は言うまでもなく、栗原蓮華。そしてもう1つは……」
学「上野利恵か?」
公一「ほっほ!さすがの学も察しが良いわい!」
学「他に思いつかないんでね」
リサ「勢力って、わたし1人だけ?」
学「まあ、デイライト、引いてはBSAAがバックに付いているじゃろうがな」
リサ「リエが……」
学「天長会の布教活動でも始めるつもりなのかね?」
公一「気になるようなら、オマエも『現地調査』してみてはどうかね?」
学「現地調査……。天長園に泊まれってか」
するとリサが……。
リサ「ダメーッ!絶対ダメーッ!」
目の前にまだ牛肉たっぷりのカレーが残っているにも関わらず、リサはそれを食べるのを中断して席を立った。
リサ「先生!リエのヤツ、先生を食べようとしてるんだよ!だから絶対行っちゃダメ!」
愛原「あ、ああ、そうだな……」
既に宿泊招待券が来ているだなんて、口が裂けても言えねぇ……。
公一「かなり確信的な事を言うが、何か証拠でもあるのかね?」
リサ「まず、前科がある!それから、リンが言ってたの!」
公一「リン?ああ、上野利恵の娘か」
学「何て?」
リサ「『実家のお母さんが、「再婚するなら、愛原先生みたいな人がいいね」って言ってました』って!」
学「何で俺は鬼の女にしかモテないんだ……」
高橋「先生、ドンマイです!」
公一「ふーむ……。確か上野利恵の夫は、次女を作る最中、あまりにも興奮してしまったことで理性が飛んだ利恵に食い殺されたんじゃそうじゃな?」
リサ「そう!」
食い殺してしまった夫の子種は見事、利恵の子宮内の卵子に当たり、次女の上野理子を産むことになる。
長女と同様、人間の夫なので、娘達は『半鬼』ということである。
但し、食人衝動こそ皆無に等しいものの、人間以上の身体能力は持つ為、リンは陸上部では大活躍である。
リサ「いい年こいて、きっと先生とヤりたいんだよ!で、その後で食べるつもりなんだ!」
高橋「オマエもそうするつもりなんじゃねーのか?」
リサ「た、食べないよ~……」
高橋「嘘つけ!オマエは、だいたい……」
公一「上野利恵って、いくつくらいぢゃ?」
学「確か、40くらいですね。俺と大して歳変わらないはずなんで」
パール「ヤろうと思えばヤれる歳ですよ。私、女子刑務所に入ってたこともありますけど、そういうアラフォーのオバさんいましたから」
愛原「やっぱ危険かな……」
公一「栗原蓮華と、どっちが危険かね?」
愛原「いや、比べちゃダメだと思いますけど……」
高橋「鬼全般危険物に決まってんじゃないスか。コイツもそうですよ」
リサ「ガァァッ!」
高橋「ほら、これ」
公一「ふーむ……。よし、ではこうしよう。ワシが行って来る」
学「ええーっ!?」
高橋「ま、マジっスか!?」
パール「チャレンジャーですね」
公一「なーに、現地調査ぢゃよ。学の伯父のワシが来たとあらば、向こうもそんな邪険な対応はせんじゃろう。手持ちのカードとしては、ワシをもてなせば、学に多少は口利きができるとでも言っておけばいい。もしも万が一、ワシの身に何かあった場合は……分かっておるな?と。こんなところでいいじゃろう」
学「そう上手く行くかなぁ……?」
公一「上手く行けば彼女らを扇動させることで、栗原蓮華討伐に駆り立たせる。栗原蓮華も、オマエ達どころじゃなくなるぢゃろうから、藤野は安全地帯となるわけぢゃ」
学「そう、上手くいくかなぁ!?」
何かムシの良すぎる伯父さんの計画に、私は却って事態を悪化させるのではと不安になった。
予定通り、金曜日の夜はカレーとなる我が家。
カレーの具材は、スーパーの値段によって決まる。
今日は幸いカレー用の牛肉が特売となっていた為、それを購入した。
リサ「カレーにはお肉!お肉だよね!赤身肉がいっぱい入ったヤツ!」
パール「野菜も食べないとダメですよ。野菜カレーはオススメです」
高橋「俺は、ムショ時代にも食えなかったシーフードカレーなんかいいと思ってるんだけどな」
愛原公一「何の何の。ワシほどの食通になれば、ルゥのみで十分ぢゃ」
愛原学「皆して好みがバラバラだねぇ……。高橋が今夜の夕食当番の時は、シーフードカレーになるところだったかな」
高橋「そうかもです」
公一「うーむ……カレーの成り立ちからして、シーフードは、ワシはあんまりオススメできんがの」
高橋「そうスか?でも、ここは日本っスからねぇ……」
学「いや、ちょっと待て待て待て!マテウス!」
高橋「何スか?」
学「何で公一伯父さんがしれっとうちの夕食に参加してんの!?」
公一「何じゃ?伯父が甥っ子の家に遊びに行っちゃいかんのか?」
学「いや、あんた、普通のおじさんじゃないじゃん!」
公一「つれないのォ……。せっかく、お前の弟子達が結婚するというんで、お祝いを持って来たというのに……」
学「どこで聞き付けたの……。だいたい伯父さん、指名手配食らってるんだから、あんまりのこのこ出歩かない方がいいんじゃない?」
公一「指名手配といっても、ワシのはお前達の想像する指名手配とは違うからの」
学「何だい、それ?」
公一「もしも警察がワシを見つけても、任意同行しかさせられんのぢゃ。あくまでも、BSAAに指名手配されとるというだけ。ワシを拘束できるのは、BSAAやその窓口機関のデイライトだけぢゃよ。学、オマエも元警備員なら分かっているように、如何に探偵とて、民間人のオマエ達にもワシを拘束できる権限は無いのぢゃ」
学「あー、そうだね」
公一「というわけで、これはワシからの御祝儀ぢゃ。結婚、おめでとう」
高橋「あざっス!……いや、ありがとうございます!」
パール「ありがとうございます」
なかなか厚みのある封筒だが、一体諭吉先生が何人分入っているのだろう?
愛原「ちゃんと祝儀返ししないとダメだぞ?」
高橋「は、はい!」
公一「そんなもん要らんよ。それじゃ、ごちそーさん」
公一伯父さんは席を立った。
どうやら用件としては、夕食のタダ飯と、高橋夫婦に御祝儀を渡しに来ただけのようである。
公一「ああ、そうそう。藤野に行く件じゃが……」
学「それも知ってるのか……」
公一「多分、鬼には気をつけなくても大丈夫かもしれんぞ?」
学「えっ、どういうこと?」
公一「ワシの知っている限り、今、鬼達で争いが起きておる。そうじゃのう……」
公一伯父さんは、リサを指さした。
リサ「ん?」
公一「このコが第1の勢力だとしたら、第2は言うまでもなく、栗原蓮華。そしてもう1つは……」
学「上野利恵か?」
公一「ほっほ!さすがの学も察しが良いわい!」
学「他に思いつかないんでね」
リサ「勢力って、わたし1人だけ?」
学「まあ、デイライト、引いてはBSAAがバックに付いているじゃろうがな」
リサ「リエが……」
学「天長会の布教活動でも始めるつもりなのかね?」
公一「気になるようなら、オマエも『現地調査』してみてはどうかね?」
学「現地調査……。天長園に泊まれってか」
するとリサが……。
リサ「ダメーッ!絶対ダメーッ!」
目の前にまだ牛肉たっぷりのカレーが残っているにも関わらず、リサはそれを食べるのを中断して席を立った。
リサ「先生!リエのヤツ、先生を食べようとしてるんだよ!だから絶対行っちゃダメ!」
愛原「あ、ああ、そうだな……」
既に宿泊招待券が来ているだなんて、口が裂けても言えねぇ……。
公一「かなり確信的な事を言うが、何か証拠でもあるのかね?」
リサ「まず、前科がある!それから、リンが言ってたの!」
公一「リン?ああ、上野利恵の娘か」
学「何て?」
リサ「『実家のお母さんが、「再婚するなら、愛原先生みたいな人がいいね」って言ってました』って!」
学「何で俺は鬼の女にしかモテないんだ……」
高橋「先生、ドンマイです!」
公一「ふーむ……。確か上野利恵の夫は、次女を作る最中、あまりにも興奮してしまったことで理性が飛んだ利恵に食い殺されたんじゃそうじゃな?」
リサ「そう!」
食い殺してしまった夫の子種は見事、利恵の子宮内の卵子に当たり、次女の上野理子を産むことになる。
長女と同様、人間の夫なので、娘達は『半鬼』ということである。
但し、食人衝動こそ皆無に等しいものの、人間以上の身体能力は持つ為、リンは陸上部では大活躍である。
リサ「いい年こいて、きっと先生とヤりたいんだよ!で、その後で食べるつもりなんだ!」
高橋「オマエもそうするつもりなんじゃねーのか?」
リサ「た、食べないよ~……」
高橋「嘘つけ!オマエは、だいたい……」
公一「上野利恵って、いくつくらいぢゃ?」
学「確か、40くらいですね。俺と大して歳変わらないはずなんで」
パール「ヤろうと思えばヤれる歳ですよ。私、女子刑務所に入ってたこともありますけど、そういうアラフォーのオバさんいましたから」
愛原「やっぱ危険かな……」
公一「栗原蓮華と、どっちが危険かね?」
愛原「いや、比べちゃダメだと思いますけど……」
高橋「鬼全般危険物に決まってんじゃないスか。コイツもそうですよ」
リサ「ガァァッ!」
高橋「ほら、これ」
公一「ふーむ……。よし、ではこうしよう。ワシが行って来る」
学「ええーっ!?」
高橋「ま、マジっスか!?」
パール「チャレンジャーですね」
公一「なーに、現地調査ぢゃよ。学の伯父のワシが来たとあらば、向こうもそんな邪険な対応はせんじゃろう。手持ちのカードとしては、ワシをもてなせば、学に多少は口利きができるとでも言っておけばいい。もしも万が一、ワシの身に何かあった場合は……分かっておるな?と。こんなところでいいじゃろう」
学「そう上手く行くかなぁ……?」
公一「上手く行けば彼女らを扇動させることで、栗原蓮華討伐に駆り立たせる。栗原蓮華も、オマエ達どころじゃなくなるぢゃろうから、藤野は安全地帯となるわけぢゃ」
学「そう、上手くいくかなぁ!?」
何かムシの良すぎる伯父さんの計画に、私は却って事態を悪化させるのではと不安になった。