報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「八王子前泊の旅」 3

2024-04-15 21:34:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月21日18時00分 天候:曇 東京都八王子市三崎町 やきとりさんきゅう八王子店]

 リサ達はホテル近隣にある焼き鳥屋で、夕食を取ることにした。

 店員「5本盛り合わせでーす!」
 リサ「おー!ありがとうございます!」
 愛原「お兄ちゃん、ビールお代わり!」
 店員「ありがとうございまーす!」
 レイチェル「愛原センセイ、お酒は1杯だけでは?」
 愛原「んー?そんなこと言ったかぁ~?」
 リサ「ほら、こういう人なの」
 レイチェル「よく分かりました」
 愛原「もっと食っていいぞ!」
 リサ「そういうことなら!盛り合わせもう一皿!」
 レイチェル「チーズつくね、いいですか?」

 尚、JK達を焼き鳥居酒屋に連れて行ったことで、『魔王軍』内で賛否両論が行われたもよう。
 もちろん、JK2人はソフトドリンクしか頼まなかったが。

[同日19時00分 天候:曇 同地区 やきとりさんきゅう→ファミリマート八王子みさき通り店→ホテル東横イン八王子駅北口]

 最後にリサとレイチェルはバニラアイス、愛原は焼きおにぎりで締めた。

 愛原「支払いはカードで」
 店員「ありがとうございましたー!」
 リサ「ここでの飲食費も、デイライトかBSAAに請求するんだろうか?」
 レイチェル「BSAAは支給しないと思いますが……」
 リサ「だよね」

 それでも愛原は、領収書を受け取っていた。

 愛原「ごちそーさまー」

 支払いが終わって退店する。

 リサ「先生、ホテルに戻る前に、ファミマ寄っていい?」

 リサはすぐ近くにあるコンビニを指さした。

 愛原「何だぁ?まだ食べ足りないのかぁ?」
 リサ「夜食は必要だもんね」

 それからリサは、そっと耳打ち。

 リサ「あと、“鬼ころし”」
 愛原「あー、そうか」

 アルコールなので、愛原が一緒でないと買えない。
 暴走防止の為、リサが唯一、飲酒を黙認されている銘柄だ。
 幸いにして、コンビニやスーパーなどで簡単に手に入る酒だ。
 BSAAの研究機関でいくら調べても、どうして“鬼ころし”だけ鬼型BOWの暴走を抑止できる効果があるのかは判明していない。

 愛原「俺もついでに、ソルマック買ってこようか」

 愛原は腹を押さえて言った。
 どうやらリサ達のペースに呑まれ、やや食べ過ぎたらしい。
 あと、飲み過ぎた感もあるだろうか。

 愛原「飲み物なら、ホテルの自販機もあるぞ?」
 リサ「でも、現金しか使えないじゃん?」
 愛原「それもそうか」

 愛原は栄養ドリンクなどが売られている棚から、ソルマックを手に取った。
 飲み屋街にあるコンビニのせいか、それ関係の商品が充実しているように見える。
 愛原はそれと“鬼ころし”を購入した。
 リサ達はスナック菓子を買ったり、スイーツを買ったり、とにかく『甘い物は別腹』といった感じだった。
 それらを購入して、ホテルに戻る。
 ホテルの向かいや周辺は、飲み屋の他にも『夜のお店』が色々……。
 昔は客引きが多数いたらしいが、今は東京都の迷惑防止条例の適用区域に指定された為、その姿は無い。

 リサ「!?」

 エントランスのドアからホテルに入ると、リサの髪がブワッと逆立った。

 愛原「ん!?」
 レイチェル「リサ!?」

 リサの目が、朝食会場を兼ねたロビーの椅子に座る男に一点集中する。

 リサ「『鬼の臭い』がする」
 愛原「は!?」
 レイチェル「端末には、『No monster』とありますが……」

 すると椅子に座っていた男、そこから立ち上がり、にこやかな顔でリサ達に近づいて来た。
 オールバックの黒髪で、丸いレンズの眼鏡を掛けている。
 白いマスクを着けていたが、もう1つの特徴は、紺色の法被を着ていたこと。
 しかもその法被には、『天長会』と書かれていた。
 見た目は30代前半くらいの男。
 しかし、マスクを外すと、にこやかな口元には牙が覗いているのが見えた。

 男「失礼します。愛原学様ですね?」
 愛原「そ、そうですが……。何か御用で?」
 男「私は天長会の者で、ホテル天長園で働いている者です」
 愛原「そ、そうですか」

 ホテル天長園で働いている『半鬼』は、イコール上野利恵一派と思って良いと聞いた。
 上野利恵に『半鬼』にされたからだと。
 但し、上野利恵に悪意は無く、『半鬼』にされた者は、事故で瀕死の重傷を負ったり、重病で長くは持たない者であったという。
 利恵は特異菌を上手く調整して、感染者を完全に『鬼』にするわけでもなく、かといって人間としては生を終えた者に再び『人間』をやらせるわけでもなく、『半鬼』として元気に生活させるという方法を編み出したようだ。
 ただ、リサや利恵のように強いわけでもないので、大した脅威ではないという。
 利恵に特異菌を使用されたことで、『半鬼』の全員が上野利恵に心服追従している。
 なので、基本的に人間を襲うことはない。

 男「我々は副支配人の命令で、栗原蓮華の警戒に当たっております。その御報告に参りました」
 愛原「そうでしたか。それは、わざわざありがとうございます」
 男「いえ。利恵様の御命令ですから」
 リサ「でもアンタ達、弱いじゃん。実際に現れたら、イチコロだよ?」
 男「大丈夫です。私達には、切り札がありますので」
 愛原「切り札?」
 男「それでは、失礼します。……あ、そうそう。利恵様が、『いつでもお待ちしております』とのことです」
 愛原「ああ、そう」
 リサ「誰が行くか!」

 リサは吐き捨てるように言ったが、愛原は明確には否定しなかった。

 リサ「先生!早く部屋に戻ろう!」
 愛原「あ、ああ」
 レイチェル「水を買ってきます」
 愛原「俺も、ポカリスエットか何か買って行こう」

 ロビーの自販機で飲み物を購入してから、3人は客室フロアへと向かった。

 リサ「じゃあ、先生の部屋のカードキーは預かっておくね」
 愛原「分かったよ」
 リサ「わたし以外で誰か来ても、絶対にドアを開けちゃダメだよ?」
 愛原「分かってるって。だいたい、オマエほどの強いBOWなら、ダクトを通って侵入可能だろうが」
 レイチェル「あとは窓を破って来るか、ですね。一応、愛原センセイも、窓に近づかない方がいいと思います。もちろん、カーテンはしっかり閉めて」
 愛原「分かったよ。朝食は、6時半からやってるそうだ。その時間帯に行けば空いてるだろうし、ゆっくり食べれるだろう」
 リサ「分かった」
 愛原「それじゃ、おやすみ」
 リサ「おやすみなさい」

 エレベーターホールの前で別れる。
 リサは一応、愛原が自分の部屋に入るところまで見送った。

 レイチェル「ロビーに現れた男は、信用できませんか?」
 リサ「できないね。そりゃ表立ってわたしやレイチェルに敵対はしないだろうけど、リエだって愛原センセイを狙ってるんだから!
 レイチェル「愛原センセイ、モテモテですね」
 リサ「人間の女にはモテないから、絶対にライバルいないって安心してたのに……」
 レイチェル「何故かBOWの女にモテる男はいるものです。BSAAにもいますよ」 
 リサ「そうなの!?」

 しばらく、レイチェルのBSAA裏話で盛り上がったそうな。
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“愛原リサの日常” 「八王子前泊の旅」 2

2024-04-15 15:55:54 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月21日16時39分 天候:曇 東京都八王子市明神町 京王電鉄京王線7001電車先頭車内→京王八王子駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。次は京王八王子、京王八王子。終点です。出口は、右側です。京王をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 リサ達を乗せた“京王ライナー”は、何事も無くダイヤ通りに走行していた。
 本来なら車内に西日が差し込む時間帯なのだろうが、今日はどんよりと空が曇っており、いつ雨が降ってもおかしくない天気だ。
 そして、紫外線が強くない季節であれば、曇り空でも鬼型BOWは活動できる可能性がある。

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく京王八王子、京王八王子、終点です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください。お出口、右側です。本日も“京王ライナー”をご利用頂き、ありがとうございました」〕

 電車は地下のホームに滑り込んだ。

 愛原「着いたか?」
 リサ「先生、寝てたでしょ?」
 愛原「リクライニングシートより、ロングシートの方が寝れるなw」

 そしてホームに停車し、ドアが開く。
 リサは愛原の後ろに付いて、ホームに降りた。

 愛原「それじゃ、まずは宿泊先のホテルに入ろうか」
 リサ「先生と同じ部屋、先生と同じ部屋」(;゚∀゚)=3ハァハァ
 愛原「なワケないだろう」
 リサ「ちっ……」
 レイチェル「さすがにBSAAでは許可できません」

 レイチェルはジャンパーの内側に手を入れながら言った。
 どうやら、本当にそこに銃でも仕込んでいるらしい。

 愛原「だってさ。リサはレイチェルと同じ部屋だ。しっかり護衛してもらうんだぞ?」
 リサ「わたしには護衛なんて要らないのに……」
 レイチェル「監視でもあります」
 リサ「だろうね」

 地上に出て外に出る。

 愛原「ホテルはJR八王子駅の方だ。途中に色々と飲食店があるから、リサが食べたい物があったら、教えてくれ」
 リサ「分かった」

 リサはガラガラと、血のように赤黒いキャリーバッグを引いて、愛原の後ろに続いた。

 リサ「何がいいかなぁ……?」
 愛原「酒はダメだぞ」
 リサ「分かってるよぉ……」
 レイチェル「なかなか大きな町ですね。ここなら、色々ありそうです」
 愛原「東京都西部では、1番大きな町だからな。まだ時間あるから、ゆっくり探していいぞ」
 リサ「はーい」

[同日17時00分 天候:曇 同市三崎町 ホテル東横イン八王子駅北口]

 愛原「取りあえず、今日はホテルに1泊するから」
 リサ「前に1回泊まったことある?」
 愛原「そうかもな。ここなら、朝食付きだからさ」
 リサ「食べ放題、食べ放題……」

 愛原はホテルの外観を撮影して、それから善場へ定時連絡のメールを送っていた。

 愛原「ところで、どこで食べるか決めたか?」
 リサ「うーん……。何か、色々あって決めかねるよねぇ……。肉一択ではあるんだけど」
 レイチェル「焼き鳥はどうですか?」
 リサ「焼き鳥か。レイチェルが食べたいだけでしょ?」
 レイチェル「日本の焼き鳥は美味しいです」
 愛原「焼き鳥屋なら、来る途中にも何軒かあったけどなぁ……」
 リサ「ん!?」

 するとリサ、ホテルのすぐ近くにある焼き鳥屋を発見した。

 リサ「ここはどう?」
 愛原「ほお……。ここは安いな。ここならリサが大量に食べても、そんなに高くはつかないだろう。だけど、酒はダメだぞ」
 リサ「分かってるよォ……」
 レイチェル「愛原センセイは、どうぞ飲んでください」
 愛原「一杯だけ飲ませてもらうよ」

 するとリサ、レイチェルに耳打ち。

 リサ「愛原先生の『1杯』は『5杯』だから」
 レイチェル「Oh...Syugoですね」
 愛原「おい!掛ける数がおかしくないか!?」
 リサ「何でもナーイ!とにかく、早くホテルに入ろう」
 愛原「あ、ああ」

 3人はホテルの中に入った。

 愛原「じゃあ、ちょっとチェックインしてくるから、待ってて」
 レイチェル「Yes,sir!」
 リサ「いえっさ~」

 愛原はフロントに向かった。
 どうやら、会員カードを出しているところを見ると、会員価格で宿泊するようだ。

 愛原「お待たせ。カードキーは3枚もらったから」
 リサ「じゃあ、先生の部屋のカードキー貸して」
 愛原「何でだよ?」
 リサ「何かあった時に、駆け付けられるように」
 愛原「ええっ?……オマエが俺に何かしないか不安だよ」
 リサ「そんなことしないよ~」
 愛原「どうかなぁ……」
 レイチェル「それにリサ、センセイのカードは1枚だけです。それを預かったら、センセイが入れなくなると思いますが?」
 リサ「いや、それが大丈夫なの。先生の会員カードが、カードキーになるから」
 愛原「ちっ、知ってたか……」
 リサ「ほらほら。先生を狙う鬼は、わたしだけじゃないんだよ。レンゲやリエに横取りされないように、わたしが守ってあげる」
 愛原「今さらっとオマエが俺を狙ってる発言しなかったか?」
 リサ「狙ってますけど?」
 レイチェル「Ah...それはおムコさんとして、ですね?」
 リサ「うん」
 レイチェル「それなら、No problemです」
 愛原「いいのかよ!?……あー、アメニティはそこから取ってくれ」
 リサ「はーい」

 クリーニング済みの部屋着と、歯磨きセットなどのアメニティはセルフサービス。
 それらを取ったら、エレベーターに乗り込んで客室フロアへ。

 愛原「荷物を置いたら、一息付いてから行くか?」
 リサ「うん。早く食べたい」
 愛原「そうか」

 部屋は同じフロアであったが、隣同士というわけではなく、少し離れている。

 愛原「じゃあ、後で電話するから」
 リサ「分かったー」

 リサとレイチェルは、ツインの部屋へ。

 リサ「やっと着いた」
 レイチェル「そうですね」

 リサは窓に寄り、レースのカーテンを開けた。

 リサ「うん。フツーに下は繁華街か」
 レイチェル「賑やかですね。でも、リサはデスク側で」
 リサ「そ、そう?」
 レイチェル「はい。リサの気配を感じたBOWが、窓から侵入してくるかもしれません」
 リサ「そういえばだいぶ前、そんなこともあったかなぁ……」

 リサはデスク側のベッドに、ボンッと背面ダイブした。
 ベッドの幅は、1m10cmのシングルサイズである。
 ベッドの前に、キャリーバッグを置く。

 リサ「よしっと。ちょっとトイレに行って、それから焼き鳥食べに行こう」
 レイチェル「それはいいですね。私は愛原センセイに連絡しておきます」
 リサ「え?何で電話番号知ってるの?」
 レイチェル「Huh?客室の電話ですが?」

 レイチェルは机の上の電話機に手を伸ばした。
 客室同士、内線電話を掛けることができるのである。

 リサ「あ、何だ……」

 リサは拍子抜けして、バスルームに入った。
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