報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「雪の週末」

2023-10-20 21:30:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月21日15時30分 天候:雪 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は土曜日だが、一応は営業している。
 まあ、クライアントさんへ提出する報告書や資料を作成しているだけだが。
 そういえば私の一人称での話は、久しぶりだな……。
 おっと、失礼。
 それは置いといて……。
 ここ最近は何故か事故物件に対する調査依頼が多く、何故か不可解に写ってしまった心霊写真について、どう説明しようか思い悩んでいるところだ。
 まあ、お祓いした方が良いとでも素直に言った方が良いのかもしれないが……。
 今のところ、バイオハザードに関する調査結果は出ていない。
 それと今は、もう1つ仕事ができた。
 それは、善場主任への報告。
 これは電話で行った。

 愛原「……というわけで、リサの春休みは3月25日から4月5日までだそうです」
 善場「さようでございますか。東京都の小中高、標準の期間ですね」
 愛原「やっぱりそうなんですか」
 善場「ええ。私立だから多少の相違があるかなと思ってましたが、東京中央学園は標準的な学校のようです」
 愛原「はい。そうなりますと、3月の24日は修了式ということになりますね。恐らく午前中に終わるでしょうから、夕方には藤野に前乗りを……」
 善場「あ、それは結構です。藤野には、当日入りで大丈夫ですよ」
 愛原「あー……そうなんですか。でも、午前中には入りしないとですよね?」
 善場「それが理想的ではあります」
 愛原「それなら、また八王子かどこかに前泊しますよ」
 善場「かしこまりました。ホテルはどこでも結構ですので、決まりましたら教えてください。……あ、一応、セキュリティのしっかりしているホテルでお願いします」
 愛原「承知しました。事前検査は、いつにしますか?」
 善場「その前の週がいいですね。3月の18日と19日ですか。この2日間で検査をするといった感じにしまして、21日を予備日としましょう」
 愛原「分かりました。リサには、そのように伝えておきます」
 善場「よろしくお願いします」

 私は電話を切った。
 まずは八王子辺りのホテルを予約しようと思った。
 リサを藤野に連れて行くだけだから、高橋の同行は必要無いだろう。
 まあ、行きたがるかもしれないが、断ることにする。
 土日は休業日にして、その2日間だけは私も藤野で立ち会いをしてもいいかもしれない。
 その方がリサも安心だろう。

[同日18時00分 天候:雪 愛原家3階ダイニング]

 夕方になって、リサが4階から降りて来た。

 リサ「お待たせ」

 

 リサは学校の体操服そのままで着た。

 リサ「今日の晩御飯は?」
 パール「カツカレーでございます」
 高橋「少なくともカレーってことは、匂いで分かんだろ」
 リサ「まあ、そりゃそうだ。トンカツ美味しそう」
 愛原「野菜も食っとけよ。いくら鬼だからって」
 リサ「はーい」

 そう言いつつ、リサは唐辛子をカレーの上にドバドバ掛けた。
 カレーは私の好みに合わせて中辛になっているが、辛い物が好きなこの3人は、それでは物足りないようで、辛子を入れて辛味を強くする傾向がある。
 もっとも、リサだけドバドバ入れる極端ぶりだが。

 愛原「あー、食べながらいいから聞いてくれ。まだ、先の話ではあるんだが……。現時点で決まってることを話そうと思う。もちろん、だいぶ先のことだから、それまでに何か変更とかあるかもしれないが……」
 高橋「何スか、何スか?」
 愛原「リサを人間に戻す実験……正確には、なるべく人間に近い状態にする……これも違うな。リサ、今は鬼形態になってるな。まあ、これ以上、化け物に変化するのを阻止する実験が行われる日が決まった。……あくまでも予定だが」
 高橋「おおーっ!……てか、当初のコンセプトより、だいぶズレましたね」
 愛原「理想と現在の科学力が追い付いていないそうなんだ。もっとも、科学は常に進歩しているわけだから、いずれはリサが人間に戻れる日が来るとは思うんだが……」
 リサ「やっぱり春休みだよね」
 愛原「そう。リサが春休みに入る3月25日から4月5日までの間、藤野の研究施設で行われる。もっとも、あくまでも予定だから、4月5日までマックス向こうにいるのかどうかは不明だが」
 高橋「そうなると、また藤野に前泊っスか?」
 愛原「いや、善場主任の話によると、当日入りでいいらしい。まあ、午前中には入りしてるのが理想だがな」
 パール「3月25日と言いますと、土曜日ですね。週末の中央高速は、朝から混みますよ?」
 愛原「だからその前の金曜日に、八王子辺りに前泊し、朝の中央線で藤野に行こうと思うんだ」
 高橋「そういうことっスか」
 愛原「リサを藤野に連れて行くだけだから、高橋はゆっくり休んでていいよ。パールと一緒に過ごしていいし」
 高橋「えっ、でも……」
 愛原「藤野ならもう何回も行ってるし、藤野駅からの行き方も知ってるから心配無いよ」
 高橋「はあ……そうですか……」
 リサ「やった!先生と2人っきり!」
 愛原「そんなに喜ぶなよ。……今から言うけど、ちょっと過酷な実験になるかもしれないらしいぞ?」
 リサ「う、うん……。人間に戻れるのなら、頑張るよ……」

 残念ながら、今回の実験では戻れない。
 なるべく人間に近い状態にできれば良いとはいうが、実際は第2形態以降に変化させないようにできれば御の字だと言われている。

 愛原「それと、その前の週は事前検査があるから。これは浜町の例のクリニックで行われる」
 リサ「これも泊まり掛けなの?」
 愛原「……あ、それは聞いてなかった、ゴメン。後で確認するよ。さすがにもう今日は夕方だし、明日は日曜だから、その次の月曜日に確認しておくから」
 高橋「つったって、こっから浜町なんて全然近ェじゃんかよ」

 菊川から2駅先である。
 仮にリサはクリニックに泊まることになったとしても、高橋の言うように近いのだから、私が近隣のホテルに泊まる必要は無いはずだ。
 まあ、これについても確認しておくことにしよう。
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“愛原リサの日常” 「反省文のリサ」

2023-10-20 15:31:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月21日14時31分 天候:雪 東京都千代田区神田岩本町 都営地下鉄岩本町駅→都営新宿線1408T電車最後尾車内]

〔まもなく4番線に、各駅停車、元八幡行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 

 岩本町駅で帰りの電車を待っていると、トンネルの向こうから轟音や強風と共に電車がやってきた。
 今度の電車も、東京都の車両だった。

〔4番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。いわもとちょう、岩本町。秋葉原〕

 土曜日ということもあって、乗客は平日よりも少なかった。
 いつもは立っているリサも、今日は空いている席にフワリと座る。

〔4番線、ドアが閉まります〕

 JRと同じドアチャイムの音色がここでも鳴って、ドアが閉まる。
 但し、ホームドアのチャイムはさすがに違う。
 恐らく、メーカーが違うのだろう。
 両側のドアが閉まると、発車合図のブザーの音が聞こえて、電車が走り出した。
 あとはこの電車に揺られるだけなのだが、リサは少し気が重かった。
 学校でやらかしたこと、さすがに愛原にも連絡が行ってると思ったからである。
 怒られるのは致し方無いが、愛原の為にやっていることだと理解してもらえるだろうか。

〔次は馬喰横山、馬喰横山。都営浅草線、JR総武快速線はお乗り換えです〕
〔日蓮正宗妙縁寺へおいでの方は、都営浅草線にお乗り換えになり、本所吾妻橋でお降りください。日蓮正宗本行寺と常在寺へおいでの方は、押上でお降りください〕

 リサは電車が菊川に着くまでの間、スマホを弄っていた。
 レイチェルが明るい青色のブルマを欲しがっている旨を『魔王軍』のグループLINEで呼びかけたが、芳しい反応をする者はいなかった。
 『魔王軍』のメンバーにとっては、母親世代の代物だろうから、知っているわけがない。

 リサ(ネットで探すしか無いか……)

[同日14時38分 天候:雪 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原学探偵事務所]

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 リサ「……おっ!」

 リサはLINEに夢中で、一瞬、電車を降りるのが遅くなった。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 幸い、ドアが閉まる前に降りられたので、乗り過ごしをすることはなかった。
 電車が轟音を立てながら、次のトンネルに向かって進んで行く。

 リサ(どう言い訳しよう……?)

 リサは帰ってから愛原に怒られた時の言い訳を考えていた。

 リサ「わぁ……」

 地上に出ると、粉雪がサーッと降っている。
 前回の大雪はボタ雪だったのでガッツリ積もってしまったが、この粉雪だと、そこまで積もらないかもしれない。

 リサ「ただいま」

 愛原は事務所の方にいて、帰って来たリサを招き入れた。

 愛原「お帰り、リサ。また、学校から連絡があったぞ。何て言うんだっけ?」
 リサ「ゴメンナサイ。悪気は無かったの」
 愛原「といっても、2回目のようだが?」
 リサ「今度は女子レスリング部と力比べしたの。わたしが勝ったら、ブルマ穿いてくれるって」
 愛原「そっちかい!俺の為に動いてくれるのはありがたいけど、迷惑は掛けちゃダメだぞ?」
 リサ「分かった。今度はバレないようにする」
 愛原「いや、お前、そういうことじゃ……。学校からのペナルティは何だ?」
 リサ「反省文、月曜日に提出」
 愛原「寛大な処置だな。やり過ぎると、せっかく復活させたブルマがまた廃止される恐れがあるぞ。気をつけろ」
 リサ「うん、分かった。それで、先生からの罰は?」
 愛原「え?」
 リサ「首輪?それとも鞭?それともローソク……?」(*´Д`)ハァハァ
 愛原「俺がやると全部ご褒美なんだろ?だったらいいよ。体操服に着替えてこい」
 リサ「分かった」
 愛原「あとは、しっかりテスト勉強すること」
 リサ「分かった」
 愛原「まあ、アレだ。忘れないうちに、先に反省文書いといた方がいいな」
 リサ「分かった」
 愛原「それとリサの春休みの時期、いつからいつまでだ?」
 リサ「えーと……」

 リサは生徒手帳を取り出した。

 リサ「3月の25日から4月5日までだね」
 愛原「12日間か。案外短いな」
 リサ「短いから、特に宿題も出ない」
 愛原「そうだな」

 春休みにも宿題の出る学校もあるそうだ。

 リサ「この時に、藤野に行くの?」
 愛原「そういうことだな。ただ、その前に浜町で事前検査もあるみたいだが……」
 リサ「本当に、人間に戻れるのかなぁ……」
 愛原「今のところは、まだ完全に戻れないって言われただろ?“鬼ころし”を飲まなくても、第2形態以降に変化しない為の処置だよ。もしかしたら第1形態でも、何か変化はあるかもしれないけどね」
 リサ「なるほど……」
 愛原「もう電撃は出なくなるだろうな」
 リサ「まあ、それならそれで……」

 電撃自体、実はリサにとっては使い勝手の悪いものであった。
 これならまだ、寄生虫の方が良い。
 寄生虫は、リサの思い通りに動いてくれるからである。
 寄生虫の視界をジャックして、監視なんかもできるし……。
 そんな寄生虫を、日本式プラーガと今更ながら呼ぶBSAA。

 リサ「電撃はわたしもメンド臭かったからね」
 愛原「そうなのか?」
 リサ「だって力の加減とか、メンド臭いもん。だったらまだ、寄生虫の方が楽だよ」
 愛原「そういうものか」
 リサ「じゃ、わたしは自分の部屋に行くね」
 愛原「ああ」
 リサ「……あ、そうだ。先生、明るい青色のブルマって好き?」
 愛原「ええっ?」
 リサ「青いブルマは持ってないけど、穿いて欲しい?」
 愛原「いや、それはどっちでもいいけど……」
 リサ「先生はそんな色のブルマ、見たことある?」
 愛原「う、うん。小学校の時、女子はそんなブルマを穿いてたな……。さすがに今はもう無いよ。しかも小学校だし」
 リサ「だよね。……でも、あったことはあったんだ」
 愛原「まあな。今度はそれを穿きたいのか?」
 リサ「わたしじゃなくて、レイチェル。アメリカにいた時、近所に住んでたアスリートのお姉さんが、そういう色のブルマで走ってたんだって」
 愛原「陸上選手か。外国人の場合は、ブルマ直穿きだろうからな」
 リサ「らしいね。リンから聞いたけど。だから陸上用には、裏地にメッシュとかが入ってるんだってね」
 愛原「そうだな」
 リサ「最悪、陸上用にするしかないのか……」
 愛原「まあ、陸上用なら、そういうブルマは今でも売ってるだろうけどな……。別に、リサが無理して買うことはないんだよ」
 リサ「先生がそう言うなら……。因みに、今日は何色のブルマがいい?」
 愛原「緑のブルマは洗濯中だろ?」
 リサ「今、穿いてるよ?」

 リサはスカートを捲って見せた。

 愛原「じゃあ、それでいいよ」
 リサ「分かった。じゃあ、着替えるね」

 リサはそう言ってエレベーターに乗り込み、4階の自分の部屋に向かった。
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