報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「反省文のリサ」

2023-10-20 15:31:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月21日14時31分 天候:雪 東京都千代田区神田岩本町 都営地下鉄岩本町駅→都営新宿線1408T電車最後尾車内]

〔まもなく4番線に、各駅停車、元八幡行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 

 岩本町駅で帰りの電車を待っていると、トンネルの向こうから轟音や強風と共に電車がやってきた。
 今度の電車も、東京都の車両だった。

〔4番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。いわもとちょう、岩本町。秋葉原〕

 土曜日ということもあって、乗客は平日よりも少なかった。
 いつもは立っているリサも、今日は空いている席にフワリと座る。

〔4番線、ドアが閉まります〕

 JRと同じドアチャイムの音色がここでも鳴って、ドアが閉まる。
 但し、ホームドアのチャイムはさすがに違う。
 恐らく、メーカーが違うのだろう。
 両側のドアが閉まると、発車合図のブザーの音が聞こえて、電車が走り出した。
 あとはこの電車に揺られるだけなのだが、リサは少し気が重かった。
 学校でやらかしたこと、さすがに愛原にも連絡が行ってると思ったからである。
 怒られるのは致し方無いが、愛原の為にやっていることだと理解してもらえるだろうか。

〔次は馬喰横山、馬喰横山。都営浅草線、JR総武快速線はお乗り換えです〕
〔日蓮正宗妙縁寺へおいでの方は、都営浅草線にお乗り換えになり、本所吾妻橋でお降りください。日蓮正宗本行寺と常在寺へおいでの方は、押上でお降りください〕

 リサは電車が菊川に着くまでの間、スマホを弄っていた。
 レイチェルが明るい青色のブルマを欲しがっている旨を『魔王軍』のグループLINEで呼びかけたが、芳しい反応をする者はいなかった。
 『魔王軍』のメンバーにとっては、母親世代の代物だろうから、知っているわけがない。

 リサ(ネットで探すしか無いか……)

[同日14時38分 天候:雪 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原学探偵事務所]

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 リサ「……おっ!」

 リサはLINEに夢中で、一瞬、電車を降りるのが遅くなった。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 幸い、ドアが閉まる前に降りられたので、乗り過ごしをすることはなかった。
 電車が轟音を立てながら、次のトンネルに向かって進んで行く。

 リサ(どう言い訳しよう……?)

 リサは帰ってから愛原に怒られた時の言い訳を考えていた。

 リサ「わぁ……」

 地上に出ると、粉雪がサーッと降っている。
 前回の大雪はボタ雪だったのでガッツリ積もってしまったが、この粉雪だと、そこまで積もらないかもしれない。

 リサ「ただいま」

 愛原は事務所の方にいて、帰って来たリサを招き入れた。

 愛原「お帰り、リサ。また、学校から連絡があったぞ。何て言うんだっけ?」
 リサ「ゴメンナサイ。悪気は無かったの」
 愛原「といっても、2回目のようだが?」
 リサ「今度は女子レスリング部と力比べしたの。わたしが勝ったら、ブルマ穿いてくれるって」
 愛原「そっちかい!俺の為に動いてくれるのはありがたいけど、迷惑は掛けちゃダメだぞ?」
 リサ「分かった。今度はバレないようにする」
 愛原「いや、お前、そういうことじゃ……。学校からのペナルティは何だ?」
 リサ「反省文、月曜日に提出」
 愛原「寛大な処置だな。やり過ぎると、せっかく復活させたブルマがまた廃止される恐れがあるぞ。気をつけろ」
 リサ「うん、分かった。それで、先生からの罰は?」
 愛原「え?」
 リサ「首輪?それとも鞭?それともローソク……?」(*´Д`)ハァハァ
 愛原「俺がやると全部ご褒美なんだろ?だったらいいよ。体操服に着替えてこい」
 リサ「分かった」
 愛原「あとは、しっかりテスト勉強すること」
 リサ「分かった」
 愛原「まあ、アレだ。忘れないうちに、先に反省文書いといた方がいいな」
 リサ「分かった」
 愛原「それとリサの春休みの時期、いつからいつまでだ?」
 リサ「えーと……」

 リサは生徒手帳を取り出した。

 リサ「3月の25日から4月5日までだね」
 愛原「12日間か。案外短いな」
 リサ「短いから、特に宿題も出ない」
 愛原「そうだな」

 春休みにも宿題の出る学校もあるそうだ。

 リサ「この時に、藤野に行くの?」
 愛原「そういうことだな。ただ、その前に浜町で事前検査もあるみたいだが……」
 リサ「本当に、人間に戻れるのかなぁ……」
 愛原「今のところは、まだ完全に戻れないって言われただろ?“鬼ころし”を飲まなくても、第2形態以降に変化しない為の処置だよ。もしかしたら第1形態でも、何か変化はあるかもしれないけどね」
 リサ「なるほど……」
 愛原「もう電撃は出なくなるだろうな」
 リサ「まあ、それならそれで……」

 電撃自体、実はリサにとっては使い勝手の悪いものであった。
 これならまだ、寄生虫の方が良い。
 寄生虫は、リサの思い通りに動いてくれるからである。
 寄生虫の視界をジャックして、監視なんかもできるし……。
 そんな寄生虫を、日本式プラーガと今更ながら呼ぶBSAA。

 リサ「電撃はわたしもメンド臭かったからね」
 愛原「そうなのか?」
 リサ「だって力の加減とか、メンド臭いもん。だったらまだ、寄生虫の方が楽だよ」
 愛原「そういうものか」
 リサ「じゃ、わたしは自分の部屋に行くね」
 愛原「ああ」
 リサ「……あ、そうだ。先生、明るい青色のブルマって好き?」
 愛原「ええっ?」
 リサ「青いブルマは持ってないけど、穿いて欲しい?」
 愛原「いや、それはどっちでもいいけど……」
 リサ「先生はそんな色のブルマ、見たことある?」
 愛原「う、うん。小学校の時、女子はそんなブルマを穿いてたな……。さすがに今はもう無いよ。しかも小学校だし」
 リサ「だよね。……でも、あったことはあったんだ」
 愛原「まあな。今度はそれを穿きたいのか?」
 リサ「わたしじゃなくて、レイチェル。アメリカにいた時、近所に住んでたアスリートのお姉さんが、そういう色のブルマで走ってたんだって」
 愛原「陸上選手か。外国人の場合は、ブルマ直穿きだろうからな」
 リサ「らしいね。リンから聞いたけど。だから陸上用には、裏地にメッシュとかが入ってるんだってね」
 愛原「そうだな」
 リサ「最悪、陸上用にするしかないのか……」
 愛原「まあ、陸上用なら、そういうブルマは今でも売ってるだろうけどな……。別に、リサが無理して買うことはないんだよ」
 リサ「先生がそう言うなら……。因みに、今日は何色のブルマがいい?」
 愛原「緑のブルマは洗濯中だろ?」
 リサ「今、穿いてるよ?」

 リサはスカートを捲って見せた。

 愛原「じゃあ、それでいいよ」
 リサ「分かった。じゃあ、着替えるね」

 リサはそう言ってエレベーターに乗り込み、4階の自分の部屋に向かった。

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