報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「成田空港の戦い」

2023-07-30 11:43:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月3日15時30分 天候:晴 千葉県成田市三里塚字御料牧場 成田空港第1ターミナル]

 ひったくり犯「へっ、ここまで来れば……」

 ひったくり犯の前に、ピンク色のパーカーにフードを被り、デニムのジーンズを穿いた者がいる。

 リサ「そいつを止めてーっ!」
 鬼の女(あれは……?まだ、ここにいたんだ)
 ひったくり犯「どけや!邪魔だ!!」

 鬼の女はパーカーのポケットから水の入ったペットボトルを出すと、それを床にぶちまけた。
 そして、マスクを外すと、大きく息を吹く。

 ひったくり犯「邪魔だ、コラ!!」

 ひったくり犯は鬼の女を突き飛ばした。

 ひったくり犯「うわっ!」

 鬼の女を突き飛ばしたことで、自分も僅かに体勢が崩れる。
 だが、本来ならその程度の崩れ、すぐに整えることができるはずだった。
 床が乾いていれば!

 ひったくり犯「いでっ!?」

 凍結した床に足を滑らせ、そのまま転がった。
 持っていたバッグも落とす。

 鬼の女「あのコには悪いけど、これ以上、お兄ちゃんが悪さしない為だものね……」

 鬼の女はその場を立ち去ろうとした。
 ひったくり犯は転倒した際に頭を打った為、昏倒してしまっている。

 愛原「高橋、パール!この犯人を頼む!」
 高橋「了解です!ボコしておきます!」
 愛原「いや、ボコさんでいい!警察に引き渡してくれればいいんだ!」

 これだけ騒ぎになれば、警察も来るだろう。
 それよりも……。

 愛原「リサ!あれを追うぞ!」
 リサ「分かった!鬼の臭いがする!」
 愛原「やっぱりか!」

 鬼の女は、まるでスピードスケートをするかのような動きで、床を滑るように移動している。
 そして、チラッとリサ達を振り向いた。

 鬼の女「このまま連れて行くのは難しいか……。ならば、いっそ……」

 鬼の女は立ち止まって振り向いた。

 愛原「おっ、立ち止まったぞ!?」

 鬼の女は、もう片方のポケットに入れていた水のペットボトルを床に投げ捨てた。
 そして、そのペットボトルを踏みつける。
 踏みつけられたことで破裂したペットボトルは、中身の水を床に撒き散らした。
 再び息を吹くと、その水が見る見るうちに凍り付く。

 リサ「それがどうした!」

 リサは両手の爪を長く鋭く尖らせて、鬼の女に飛び掛かった。

 鬼の女「鬼同士の戦いなんて不毛だからやめない?」
 リサ「うるさい!」

 だが、鬼の女が右手を挙げると、氷が起き上がった。
 それがまるで、上級BOWタイラントのような姿の巨漢に変わる。
 リサがその氷の巨人に向かって爪を振り下ろすと、リサの爪の方が折れた。

 リサ「いってーっ!?」

 指先から血が出るが、そこは鬼型BOW。
 すぐに血は止まり、再び爪が生える。

 鬼の女「私はあなたに来てもらいたいだけよ」
 リサ「なにぃ!?」

 鬼の女のフードが取れる。
 その下は白に近い青い髪をしており、顔色も青に近い白だった。
 それだけだと本当に雪女のように見えるが、頭には鬼の男のように1本角が生えていることから、鬼だと分かる。

 愛原「大人しくしろ!」

 愛原はいつの間にかショットガンを組み立て、それを鬼の女に向けた。

 鬼の女「プッw」
 リサ「先生!こいつはヤバいヤツだと思うから、ショットガンは……ああっ!?」

 リサは後ろから、鬼の女に氷の塊を口に詰め込まれた。

 リサ「んーっ!んーっ!」

 そして、鬼の女に掴まれる。

 鬼の女「お兄ちゃんを紹介したいだけだから、こっちに来てもらうよ?」

 リサは放電しようとしたが、何故かできない。
 口に詰め込まれた氷のせいだろうろか?

 鬼の女はリサをガッチリ掴むと、ターミナルの窓をブチ破って外に出た。

 愛原「リサっ!リサーッ!!」

 下では愛原の叫び声が響いていた。

[同日16時00分 天候:晴 千葉県成田市某所 空港周辺の空き地]

 鬼の男「おお……!さすがは殺鬼(さつき)!俺の妹!」

 リサは鬼の女に後ろ手を組まれ、鬼の男の前に差し出された。

 鬼の男「この匂い……。やっぱり女だぁ!」
 鬼の女「だから女だって。どうする?山に連れて行くの?」
 リサ(山……?)
 鬼の男「もちろん!今日から俺の女だぜ!」
 リサ(はあーっ!?なに勝手に決めてんの!?山ってなに!?)
 鬼の女「私達はね、大江山の……」
 鬼の男「んなこと、どうだっていいんだよ!それより、軽く『味見』させてもらうぜ!きっと『美味い』ぞ!」
 鬼の女「それより、早く逃げた方がいいと思うけど……」
 鬼の男「先に1発ヤらせろよ。そこの車ん中に連れ込め」

 鬼の男は1台のハイエースを指さした。
 窓ガラスはフルスモークになっており、外からは見えない。

 リサ「嫌だ!」

 リサは口の中に詰め込まれた氷の塊を嚙み砕いた。
 そして、体中から放電する。

 鬼の女「きゃっ!!」

 直接、リサを掴んでいた鬼の女が感電した。
 それで、女はリサを放してしまう。
 だが……。

 鬼の女「このクソガキ!!」

 鬼の女は右手から鬼の金棒の形をした氷を棒を出すと、それでリサの頭を殴り付けた。

 リサ「ぎゃっ!」

 物凄い衝撃である。
 リサは意識が朦朧となった。

 鬼の男「おいおい、これからヤるんだから、手加減してやれよ」
 鬼の女「だーって!」

 鬼の男は無抵抗となったリサを抱き上げると、ハイエースのスライドドアを開けた。
 車内は既にフルフラットシートになっている。

 鬼の男「ヤり終えるまで、外で見張ってろよ?」
 鬼の女「ほんっと、妹使いが荒いんだから!」

 鬼の男がリサを連れ込み、スライドドアを閉めた時だった。

 鬼の女「ん?」

 さっきからヘリコプターの音が聞こえている。
 もちろん、空港の近くなのだから、それくらいは不思議でも何でもない。
 しかし、何故かどんどん音が大きくなってきているのだ。

 鬼の女「え……?」

 ヘリコプターは鬼達の上空でホバリングした。
 そのボディには、こう書かれていた。
 『Umbrella Corporation』と。
 ロゴマークは開いた傘を上から見た様子を図案化したもの。
 しかし、かつての悪徳製薬会社の物と違い、色合いが異なっていた。
 白に青である。
 いわゆる、『青いアンブレラ』であった。

 鬼の女「ちょ、ちょっと!?」

 ヘリコプターは軍事用の物で、鬼の女を捕捉すると、装備していた機銃を掃射してきた。

 鬼の女「何すんのよ!」

 鬼の女は右手から氷の槍をヘリコプターに向かって突き飛ばすが、今度はヘリコプターから火炎放射器が現れて、氷の槍を融かしてしまった。
 更にヘリコプターは低空まで降下すると、再び機銃掃射。
 今度はハイエースにも容赦無く当たる。

 鬼の男「おい!一体、何だってんだよ!?」

 さすがに鬼の男も、気になって降りて来たようだ。

 鬼の女「お兄ちゃん!さすがにマズいよ!逃げよう!」
 鬼の男「何なんだ、あれは!?」

 “青いアンブレラ”の攻撃ヘリは2機、3機と増えて、鬼の兄妹に集中砲火を浴びせた。

 鬼の男「ちくしょうっ!絶対に諦めねぇからなぁーっ!」

 鬼の兄妹は這う這うの体で逃げ出して行った。

 高野芽衣子「降下するわ。準備して」
 パイロット「はっ!」

 3機のヘリのうち、1機に乗っていた高野芽衣子はヘリから垂らされたロープを伝って地面を降りた。

 高野「リサちゃん、助けに来たよー」
 リサ「高野お姉ちゃん……。随分、派手だねぇ……」

 リサも何発か被弾していたが、そこは鬼型BOW。
 この程度では死にはしない。

 高野「あー、服がボロボロだねぇ……」
 リサ「半分以上は、お姉ちゃん達のヘリのせいだよ」
 高野「メンゴメンゴw」

 上着は鬼の男に引き裂かれたが、それ以外はヘリの機銃掃射によって開いた穴である。

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