[11月7日19時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
ピザが届くまでの間、私はリサの服などを洗濯した。
夜から雨が降るというので、洗濯物は部屋干しにする。
リサは先に風呂に入っていた。
愛原「どうもお世話さま」
配達員「ありがとうございましたー!」
ピザは時間通りに届いた。
玄関を開けると、湿った空気を感じたので、雨が降り出してくるのも時間の問題らしい。
リサ「おーっ!ピザ届いた!」
全裸にバスタオルだけ巻いたリサが、脱衣所から湯気を立てて顔を出した。
そのまま出てきそうだったので……。
愛原「テーブルの上に用意しておくから、ちゃんと服着てこい!」
リサ「本日ネイキッド・デー」
愛原「アホか!」
リサ「ラスボスクラスのBOWは、服着てないよ?」
愛原「それはBSAAやテラセイブに射殺される前提だからな?それに、オリジナルのリサ・トレヴァーは最期まで服着ていたそうじゃないか」
リサ「それもそうだね」
リサは納得して、再び脱衣所に入っていった。
アメリカのオリジナルのリサ・トレヴァーを引き合いに出すと、体内のGウィルスが反応するのか、素直に言う事を聞く。
Gウィルスの始祖を作り出したのは、リサ・トレヴァーだからだ。
リサ「お待たせ」
リサは服を着てきたが、体操服にブルマだった。
緑と紺のブルマは洗濯中な上、準学校指定体操着としての緑ブルマはもう1着あるのだが、明日も体育があるということで、さすがに今は穿かないようだ。
よって、今はエンジ色のブルマを穿いている。
白いTシャツ型の体操服には、大きく『リサ・トレヴァー』と書かれたゼッケンが付いていた。
愛原「オマエなぁ……。まあ、いいや」
リサ「ちゃんと服着たからいいでしょ?それも、先生の好きなヤツ」
愛原「読者が誤解するからやめなさい」
リサ「ジュース出すねー?先生は『鬼ころし』?」
愛原「ああ」
私はコンビニで買った、学校給食の牛乳パックのような形の日本酒を飲むことにした。
リサが以前誤飲したものとは違う銘柄であり、リサも酒には懲りたはずなのだが、何故かこの『鬼ころし』だけは関心を寄せていた。
私がまるで本当に牛乳を飲むかのように、ストローを突き刺す。
リサ「本当に牛乳みたい」
愛原「なあ?」
しかし飲んでみると、間違いなく日本酒だった。
アルコール度数15度の辛口。
違う酒造メーカーとはいえ、恐らく似たような味であろう同じ名前の酒を、実家の父親は美味そうに飲んでいた。
愛原「うわっ!これ、効くなぁ……!」
リサ「……『鬼の力は封じ、人間の力は増大する、正に鬼退治の妙酒』」
愛原「どこのマンガだ?“鬼滅の刃”か?“うる星やつら”か?」
リサ「演劇部の台本。この前の文化祭でやってた」
愛原「演劇部か。あれは観に行かなかったなぁ……」
リサ「わたしも出演を求められたけど、練習とかメンド臭そうだから断った」
愛原「いいラスボスの役だろうなぁ……」
リサ「『桃太郎と夜叉姫』。わたしに、『是非とも夜叉姫の役を!』なんて言われたけど……」
愛原「いいじゃん!イメージと合ってそうだよ!」
リサは口を開いて、牙を剥き出しにした。
それで、Lサイズのピザにガブリ付く。
リサ「嫌だ。先生以外の男とイチャラブなんて」
愛原「どうせ演技だろう?ていうか、そういうストーリーなんだ?」
リサ「何でも、実際の桃太郎の続編がモチーフらしいよ?」
愛原「桃太郎の続編……。『桃太郎元服絵巻』か。確か、桃太郎に退治された鬼達が、奪われた宝物とメンツを取り返す為に、ボスである赤鬼の娘を人間に化けさせ、桃太郎の所に送り込むという話だな」
基本的には三人称視点での物語になっているが、桃太郎側の一人称視点、鬼側の一人称視点に変えてみると、だいぶイメージが変わるという。
リサ「それが夜叉姫」
愛原「桃鉄とかにもいたなぁ……。うん。桃鉄(桃太郎電鉄)だとよく分かんないけど、桃伝(桃太郎伝説)の方だと、夜叉姫は閻魔大王の娘という設定だったな」
リサ「そう、それ!」
愛原「何だ。どっちかっていうと、桃伝シリーズがモチーフか」
リサ「イザとなったら、サイコロ振って決めるとか、移動が汽車とかっていうシーンもあったらしいよ」
愛原「桃鉄も入ってんじゃん!」
桃太郎『電鉄』なのに、移動の基本はSLという矛盾。
リサ「ね?何か面白くなさそうでしょ?」
愛原「う、うーん……。まあ、ちょっとカオスティックなストーリーになりそうだ」
リサ「作者に脚本してもらえばいいんだよ」
愛原「作者だと、列車のシーンだけで1話が終わるからダメだ」
リサ「ねー、先生。それより、わたしにも一口ちょうだい」
愛原「ダメだ。あと3年待て」
リサは『鬼ころし』を所望した。
愛原「ネーミングが鬼から見れば最悪なのに、よく飲む気になるな?」
リサ「なんかね、こういうお酒は特別って感じがするんだよ」
愛原「そうなのか?」
リサ「というわけで、お願い!おねがーい!」
リサが私の隣にやってきて、おねだりしてきた。
これが普通の飲み物なら喜んであげるところだが、さすがは酒はダメだ。
愛原「だから、酒はダメだって」
リサ「えーっ!?」
愛原「3年経ったら、飲ませてやるから」
リサ「そんなぁ……!」
それにしても、ビールも私と一緒に飲みたがるフシはあるが、すぐに諦めてしまう。
しかし、この『鬼ころし』だけは、随分と食い下がってきた。
愛原「どうして、そんなに飲みたいんだ?」
リサ「『鬼ころし』は、特別なような気がするの」
愛原「でも、普通の酒だって」
リサ「この赤鬼さんが千鳥足になるくらいなんだよ?わたしを酔わせてヤるチャンスだよ?」
リサはパックに描かれている赤鬼を指さした。
リサの指先は鬼らしく、全ての爪が長く伸びている。
こんなので思いっきり引っ掻かれたら、肉は裂け、血が噴き出すであろう。
愛原「鬼にそんなことやったら、1発で衆合地獄行きだろうが」
八大地獄の1つ。
酒や女で悪さをした者が落ちる地獄。
基本的にどの地獄も鬼達に責められることに変わりは無いのだが、衆合地獄においてのみ、美しい女の鬼が責めてくれるそうである。
愛原「鬼は辛い物が好きで、酒も好きだそうだ。リサ、オマエ、本当に鬼に……」
リサ「……うん。そうかもね」
リサはピザには、タバスコソースを思いっきり掛けて食べている。
しかし、全く動じることはない。
いつの間にかリサの頭には2本の角が生え、両耳も長く尖っていた。
リサ「……もう、人間には戻れないのかもしれない……」
愛原「そ、そんなことはないさ。そんなことは……」
とはいうものの、確信を持って答えることができない私だった。
ピザが届くまでの間、私はリサの服などを洗濯した。
夜から雨が降るというので、洗濯物は部屋干しにする。
リサは先に風呂に入っていた。
愛原「どうもお世話さま」
配達員「ありがとうございましたー!」
ピザは時間通りに届いた。
玄関を開けると、湿った空気を感じたので、雨が降り出してくるのも時間の問題らしい。
リサ「おーっ!ピザ届いた!」
全裸にバスタオルだけ巻いたリサが、脱衣所から湯気を立てて顔を出した。
そのまま出てきそうだったので……。
愛原「テーブルの上に用意しておくから、ちゃんと服着てこい!」
リサ「本日ネイキッド・デー」
愛原「アホか!」
リサ「ラスボスクラスのBOWは、服着てないよ?」
愛原「それはBSAAやテラセイブに射殺される前提だからな?それに、オリジナルのリサ・トレヴァーは最期まで服着ていたそうじゃないか」
リサ「それもそうだね」
リサは納得して、再び脱衣所に入っていった。
アメリカのオリジナルのリサ・トレヴァーを引き合いに出すと、体内のGウィルスが反応するのか、素直に言う事を聞く。
Gウィルスの始祖を作り出したのは、リサ・トレヴァーだからだ。
リサ「お待たせ」
リサは服を着てきたが、体操服にブルマだった。
緑と紺のブルマは洗濯中な上、準学校指定体操着としての緑ブルマはもう1着あるのだが、明日も体育があるということで、さすがに今は穿かないようだ。
よって、今はエンジ色のブルマを穿いている。
白いTシャツ型の体操服には、大きく『リサ・トレヴァー』と書かれたゼッケンが付いていた。
愛原「オマエなぁ……。まあ、いいや」
リサ「ちゃんと服着たからいいでしょ?それも、先生の好きなヤツ」
愛原「読者が誤解するからやめなさい」
リサ「ジュース出すねー?先生は『鬼ころし』?」
愛原「ああ」
私はコンビニで買った、学校給食の牛乳パックのような形の日本酒を飲むことにした。
リサが以前誤飲したものとは違う銘柄であり、リサも酒には懲りたはずなのだが、何故かこの『鬼ころし』だけは関心を寄せていた。
私がまるで本当に牛乳を飲むかのように、ストローを突き刺す。
リサ「本当に牛乳みたい」
愛原「なあ?」
しかし飲んでみると、間違いなく日本酒だった。
アルコール度数15度の辛口。
違う酒造メーカーとはいえ、恐らく似たような味であろう同じ名前の酒を、実家の父親は美味そうに飲んでいた。
愛原「うわっ!これ、効くなぁ……!」
リサ「……『鬼の力は封じ、人間の力は増大する、正に鬼退治の妙酒』」
愛原「どこのマンガだ?“鬼滅の刃”か?“うる星やつら”か?」
リサ「演劇部の台本。この前の文化祭でやってた」
愛原「演劇部か。あれは観に行かなかったなぁ……」
リサ「わたしも出演を求められたけど、練習とかメンド臭そうだから断った」
愛原「いいラスボスの役だろうなぁ……」
リサ「『桃太郎と夜叉姫』。わたしに、『是非とも夜叉姫の役を!』なんて言われたけど……」
愛原「いいじゃん!イメージと合ってそうだよ!」
リサは口を開いて、牙を剥き出しにした。
それで、Lサイズのピザにガブリ付く。
リサ「嫌だ。先生以外の男とイチャラブなんて」
愛原「どうせ演技だろう?ていうか、そういうストーリーなんだ?」
リサ「何でも、実際の桃太郎の続編がモチーフらしいよ?」
愛原「桃太郎の続編……。『桃太郎元服絵巻』か。確か、桃太郎に退治された鬼達が、奪われた宝物とメンツを取り返す為に、ボスである赤鬼の娘を人間に化けさせ、桃太郎の所に送り込むという話だな」
基本的には三人称視点での物語になっているが、桃太郎側の一人称視点、鬼側の一人称視点に変えてみると、だいぶイメージが変わるという。
リサ「それが夜叉姫」
愛原「桃鉄とかにもいたなぁ……。うん。桃鉄(桃太郎電鉄)だとよく分かんないけど、桃伝(桃太郎伝説)の方だと、夜叉姫は閻魔大王の娘という設定だったな」
リサ「そう、それ!」
愛原「何だ。どっちかっていうと、桃伝シリーズがモチーフか」
リサ「イザとなったら、サイコロ振って決めるとか、移動が汽車とかっていうシーンもあったらしいよ」
愛原「桃鉄も入ってんじゃん!」
桃太郎『電鉄』なのに、移動の基本はSLという矛盾。
リサ「ね?何か面白くなさそうでしょ?」
愛原「う、うーん……。まあ、ちょっとカオスティックなストーリーになりそうだ」
リサ「作者に脚本してもらえばいいんだよ」
愛原「作者だと、列車のシーンだけで1話が終わるからダメだ」
リサ「ねー、先生。それより、わたしにも一口ちょうだい」
愛原「ダメだ。あと3年待て」
リサは『鬼ころし』を所望した。
愛原「ネーミングが鬼から見れば最悪なのに、よく飲む気になるな?」
リサ「なんかね、こういうお酒は特別って感じがするんだよ」
愛原「そうなのか?」
リサ「というわけで、お願い!おねがーい!」
リサが私の隣にやってきて、おねだりしてきた。
これが普通の飲み物なら喜んであげるところだが、さすがは酒はダメだ。
愛原「だから、酒はダメだって」
リサ「えーっ!?」
愛原「3年経ったら、飲ませてやるから」
リサ「そんなぁ……!」
それにしても、ビールも私と一緒に飲みたがるフシはあるが、すぐに諦めてしまう。
しかし、この『鬼ころし』だけは、随分と食い下がってきた。
愛原「どうして、そんなに飲みたいんだ?」
リサ「『鬼ころし』は、特別なような気がするの」
愛原「でも、普通の酒だって」
リサ「この赤鬼さんが千鳥足になるくらいなんだよ?わたしを酔わせてヤるチャンスだよ?」
リサはパックに描かれている赤鬼を指さした。
リサの指先は鬼らしく、全ての爪が長く伸びている。
こんなので思いっきり引っ掻かれたら、肉は裂け、血が噴き出すであろう。
愛原「鬼にそんなことやったら、1発で衆合地獄行きだろうが」
八大地獄の1つ。
酒や女で悪さをした者が落ちる地獄。
基本的にどの地獄も鬼達に責められることに変わりは無いのだが、衆合地獄においてのみ、美しい女の鬼が責めてくれるそうである。
愛原「鬼は辛い物が好きで、酒も好きだそうだ。リサ、オマエ、本当に鬼に……」
リサ「……うん。そうかもね」
リサはピザには、タバスコソースを思いっきり掛けて食べている。
しかし、全く動じることはない。
いつの間にかリサの頭には2本の角が生え、両耳も長く尖っていた。
リサ「……もう、人間には戻れないのかもしれない……」
愛原「そ、そんなことはないさ。そんなことは……」
とはいうものの、確信を持って答えることができない私だった。