報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「勝利の代償」

2022-12-28 20:18:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月13日15:30.天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 校庭から叫び声が聞こえる。
 そして、風に乗って血の匂いも。

 リサ:「うウ……!」

 リサは血の匂いを辿って、現場に走った。

 リサ:「ウあっ!?」

 現場に着くと、そこには血だまりができていた。
 そして、その中央にはうつ伏せになっている女子生徒が……。
 体をあらぬ方向に捻じ曲げて、ピクピクと動いている。
 うつ伏せになっているので顔は分からないが、匂いからして、リサには心当たりがあった。

 リサ:「会長……!」

 リサには、生徒会長の城ヶ崎だと分かった。
 それでも、血などの匂いがリサのBOW(生物兵器)、人食い鬼としての本能を誘う。

 リサ:「ウウウ……!」
 栗原蓮華:「おい!」

 だが、そんなリサの肩を後ろから掴む者がいた。

 蓮華:「それ以上、近づくな。もしアンタが、あの血肉にむしゃぶりついた時点で、私はアンタを人食い鬼として斬らなくちゃいけなくなる」
 リサ:「う……!」

 リサは無言で何度も頷くと、すぐにその場から離れた。

 教師A:「離れろ!全員、散れ!教室に戻れ!」
 教師B:「救急車、誰か呼んだ!?」

 リサは人混みの外に出た。
 すると、そこには数人、恐らく瞬間を目撃したであろう、女子生徒が座り込んでいた。
 そして、その中に1人、『魔王軍』のメンバーがいた。

 リサ:「おい、ちょっと。何があった?」
 メンバー:「ま、魔王様……。と、突然、屋上から、人が飛び下りて来て……」
 リサ:「屋上から飛び降り!?」
 メンバー:「き、きっと自殺です……」
 リサ:「自殺……屋上……飛び下り……!」

 その3つのワードから、リサはある物を連想した。
 そして、目にも留らぬ速さで、その場から消えた。
 さすがは大ボスクラスの特級BOW。

 蓮華:「! あいつ、どこ行った!?」

 義足が人混みに引っ掛かってしまい、抜け出すのに苦労して、後からやってきた蓮華は、リサを見失ってしまった。

 リサ:(遺書だ!あいつ、遺書なんか残してやがったら……!)

 リサは校舎の反対側に回ると、両手から触手を出して、それで一気に外壁を昇った。
 生体フックショットとでも言うのか。
 幸い屋上には、まだ誰も来ていなかった。
 そして、城ヶ崎が飛び下りたと思われる場所には靴が揃えて置かれており、その上に遺書が置かれていた。
 リサはすぐにそれを拾い上げて、中身を読んだ。

 リサ:「あのクソ女……!!」

 遺書にはリサが一番怪しいこと、あんな恥をかかされたからにはもう生きて行けぬこと、そして、自分の命と引き換えに、ブルマ禁止を校則に盛り込んでほしいことが書かれていた。

 リサ:「フザけるな!」

 リサは遺書をグシャグシャに丸めると、それを口の中に放り込んだ。

 教師C:「早く鍵を開けてください!」
 警備員:「ちょっと待ってください。向こう側から、何かに押さえつけられています!」

 リサがドアを見ると、外側からつっかえ棒がされていた。
 どうやら城ヶ崎が、自殺を邪魔されるのを防止する為にそうしたらしい。

 リサ:「さようなら」

 リサは丸めた遺書を飲み込むと、屋上から人けの無い裏庭に飛び下りた。
 因みに、高さは4階建て校舎の屋上。
 オリジナルのリサ・トレヴァーが、もっと高所から飛び下りても死ななかったのだ。
 そのGウィルスを受け継ぐ日本版リサ・トレヴァーが、この程度で死ぬはずがなかった。
 物の見事に、地面に着地する。

 リサ:(先生の為に、あそこまでやったんだ!ここで邪魔されてなるものか!)

 リサは急いで校舎の中に入り、自分の教室に戻った。

 坂上:「愛原、遅いぞ!どこへ行ってた!?」

 臨時のホームルームが行われており、リサは遅刻である。

 リサ:「こ、ゴメンナサイ!トイレに行ってて……」
 坂上:「そういう時は、誰かに言ってから行け!」
 リサ:「すいません……」
 坂上:「分かったら早く席に座れ」
 リサ:「はい」

 リサが席に着くと、担任の坂上が話し始めた。

 坂上:「……というわけで、皆も知っての通り、先ほど事故が発生しました。今、救急車や警察のパトカーが来ていますが、皆は変な野次馬根性出さずに、真っ直ぐ帰ってください」
 リサ:(今のところは事故扱いか……)

 遺書はリサが隠蔽した。
 さすがに靴までは隠せなかったし、そもそも隠す必要があるのかも分からなかったので、そのままにしておいた。
 遺書は隠蔽したが、揃えられた靴の状態からして、警察は自殺と判断するだろう。
 当然、学校関係者にも聞き込みを開始するだろう。

 リサ:(あー……わたしの所にも来るかな?)

 だが、証拠は無い。
 リサの寄生虫は、体の外に出た時点で死滅する。
 リサの正体について知る者は、この学園ではごく一部の者だけ。
 それも、リサの寄生虫について更に知る者はもっと限られている。
 生徒会には知られていないので、リサの所に捜査の手が来ることは考えられない。

 新聞部員:「あー、すいません。新聞部の者ですが、ちょっとお話よろしいですか?」

 帰り際、リサの所に新聞部員が来た。

 リサ:「なに?」
 新聞部員:「『ブルマ復活賛成派』の代表として、『ブルマ復活反対派』の代表である会長が亡くなりました。それについて、何か一言お願いできますか?」
 リサ:「気の毒だと思うけど、死んだらそこで負け。もしも本当にわたしの計画を阻止したければ、生きてわたしに立ち向かって来て欲しかったね」
 新聞部員:「なるほど。さすがは、霧生市のバイオハザードを生き延びられただけのことはあります」

 リサは表向き、霧生市のバイオハザードに巻き込まれ、そこで家族を失い、愛原の所に引き取られたということになっている。

 新聞部員:「愛原さんは、会長の自殺の原因は何だと思われますか?」
 リサ:「さあ……。遺書が……おっと!」
 新聞部員:「ん?遺書が何ですか?」
 リサ:「わたしにはよく分からないけど、自殺だったとしたら、遺書か何かあれば、そこに書いてあるかもね」
 新聞部員:「なるほど」
 リサ:(思いっ切り遺書に書いてあった。わたしのせいだって)

 リサはリサで冷や汗をかいてきた。

 リサ:(まさか、ここで死ぬとは……!)

 リサは完全に立入禁止になっている教育資料館(旧校舎)を見て思った。

 リサ:(“トイレの花子さん”がまだいたら、怒られそうだな……。でもまあ、しょうがない)

 当然こんな状況になっては、美術部で絵のモデルができるわけもなく、リサはこのまま帰るしかなかったのである。
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“愛原リサの日常” 「『魔王軍』の勝利」

2022-12-28 15:13:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月12日11:00.天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・保健室]

 午前中の授業が続く学園。
 そこに、1人の女子生徒が白いリネンに包まっていた。
 養護教諭は所用があって退室しており、室内にはその女子生徒1人しかいない。
 その女子生徒とは、生徒会長の城ヶ崎であった。

 リサ:「こんにちは。会長」

 リサは体育の授業を抜け出して来ていた。
 その為、今は体操服にブルマを穿いている。

 リサ:「体の具合ばとう?1週間分の糞便を垂れ流したからスッキリしたでしょ?」
 城ヶ崎:「…………」
 リサ:「わたし達の計画を邪魔しようとした罰が当たったんだよ。こんないい物を禁止しようだなんて、バカなことをしたねぇ!」

 リサはくるっと回った。
 体操服の裾はブルマの中に入れていないので、回った時に緑色のブルマが完全に露わになる。

 リサ:「オマエはこれから教室で、廊下で、体育館で、『総会中に脱糞した女』って呼ばれるんだ!」
 城ヶ崎:「もう嫌ですぅぅぅ!お願い……!許して……!許して……!!」

 城ヶ崎は布団を頭から被って泣き出した。

 リサ:「総会は私達主導でやらせてもらうよ?幸い、男子役員は乗り気だからね」

 
(東京中央学園の女子体操服のイメージ。男子は反対しないだろう。男子は)

 城ヶ崎:「グスッ……グスン……!」
 リサ:「決まったら、アンタにも着てもらうことになる。……まあ、それは後の話になると思うけど」

 リサは手に持っていた、SDカードメモリーを城ヶ崎の枕元に置いた。

 リサ:「これは渡しておく。アンタがお漏らしを始めてから終わるまでの動画。1分以上はブリブリ漏らしてたねぇ?……よく自分で見直しておくといいよ。それじゃ」

 リサは保健室を出た。
 そして授業に戻る。

 淀橋:「SDカードは渡したの?」
 リサ:「うん」
 小島:「そのまま持ってて、交渉の材料とかにも使えるのに……」
 リサ:「いや、しばらく生徒会の女子役員は登校できないはず。その間に、副会長以下男子役員を篭絡させて、強行採決だ」
 淀橋:「さすがは魔王様」
 リサ:「全ては、愛原先生の為……!」

 尚、リサは自分で撮影したSDカードを渡しはしたが、他の生徒達も実は撮影していて、それに関しては全くのノータッチとした。
 男子生徒としては秘蔵動画にするのかもしれないし、エロ動画専門の動画サイトにアップする者もいるかもしれない。
 また、生徒会総会は新聞部も取材し、学校新聞に載せる為、カメラを構えている者もいた。
 その辺からシャッター音がしたり、フラッシュの光が発生したことから、新聞部も城ヶ崎の脱糞シーンを撮影していただろう。

 リサ:「邪魔者は全て排除する」
 小島:「そ、それは頼もしい……」

[9月13日15:00.天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 昨日の生徒会総会が中止になった為、急きょ改めて最後の授業時間に臨時の生徒会総会が行われた。
 副会長が代行となり、採決員の殆どが男子役員となっていた。
 お世辞にも公平と言えない採決であったが、『事実上の廃止』から『事実上の復活』と相成った。
 さすがに公平性に欠けるからか、リサの望む『ブルマに統一』は却下された。
 校則における女子体操着に関する文言の中に、『ブルマ』が再び盛り込まれることで採決された。
 『体育の授業において、女子生徒は学校指定の【中略】下はジャージ(長ズボン、クォーターパンツ)などまたはブルマとする』と。
 太字が今回、盛り込まれることとなった文言。
 横線で削除されている部分が、それまでの文言。
 それまでも、『など』という形でブルマを禁止したわけではなかったのだが、今回新たに文言を復活させたことで、より存在感が増した。
 ただ、全体的に見ると、内容自体はそんなに変わっていない。
 ブルマを穿きたくない者は、それまで通りジャージや短パンで良いのだ。
 リサとしては『ジャージ(長ズボン、クォーターパンツ)または』を削除して、『必ず』という文言を入れたかったらしいのだが、あまりにも急進的過ぎるし、何度も述べるように、公平性の欠いた採択で、賛成と反対が男女で別れるという結果になった為である。
 『ジャージ(長ズボン、クォーターパンツ)』という文言はそのまま残すことで、何とか終了した。

 リサ:「ちっ……!」
 淀橋:「まあ、こんなもんでしょう。魔王様の理想通りに進め過ぎると、生徒会総会では決定したとしても、職員会やPTA総会で却下される恐れもあるし……」
 リサ:「PTAの方は大丈夫だと思うけどね。愛原先生が会長代行だし」
 小島:「いや、そういう問題じゃないってw 何だかんだ言って、PTAはお父さんよりお母さんの方が強いから」

 もう1つ、リサ達が勝利していることがある。
 それは、高等部の結果が中等部にも波及することだ。
 中等部でも元々ブルマは使用されており、しかも廃止の時期が高等部より数歩遅れて『事実上の廃止』となっている為、購買部の倉庫に在庫が残っていたりする(明確に禁止または廃止が謳われたわけではないので、新品状態の物を処分できなかった)。
 中等部の校則は高等部の物を参考にしているので、高等部のこの校則の変化が、中等部にも波及する可能性は高い。

 淀橋:「それより、魔王様の目論見通り、生徒会長来てないね?」
 リサ:「来れるわけがない」

 『ブルマの完全復活』とまでは行かなかったものの、『事実上の復活』にまで持って行けたことで、一応はリサ達の勝利で終わったと言えるだろう。

 小島:「校則に盛り込まれるということは、購買でもブルマが売り出されるようになるかもね。今、短パンとかは売ってるでしょ?」
 リサ:「それだ」

 臨時の生徒会総会が終わり、そのまま放課後となる学園。

 桜谷:「リサ様、また絵のモデル、お願いします」
 リサ:「分かった」
 新聞部員:「愛原さん!『ブルマの復活』が校則で決まりましたが、何か一言お願いします!」
 リサ:「事実上の勝利。この勝利を愛原先生に捧げる」

 会場となった体育館をあとにするリサ達。
 だが、校庭の方から何か叫び声が聞こえた。
 先に引き上げていった女子生徒達の金切り声であった。
 そして、リサの耳には聞こえた。
 その叫び声が上がる直前、鈍い音がしたことを……。
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