[9月3日08:00.天候:晴 東京都港区新橋 相鉄フレッサイン新橋日比谷口・客室]
枕元にセットしたアラームが鳴り響き、リサは目を覚ました。
リサ:「うーん……」
手を伸ばして、アラームを止める。
リサ:「ふわ……」
昨夜は愛原を迎えに行けるということで、なかなか寝付けなかった。
それでもいつしか、眠りに落ちたようだ。
リサは大きな欠伸をして、牙を覗かせながらバスルームに向かった。
昨日は早速、桜谷の絵のモデルになる為の衣装合わせをやってみた。
ブルマは“ドキュンサーガ”の魔王様に合わせて、紺色の物を用意した。
上は学校の体操服のものだったが、その上から演劇部が使用していた黒いマントを羽織ることにした。
それだけだと手持無沙汰なので、演劇で使用したゴツい杖も持つことにした。
そしたら何故か、写真部からも撮影を求められるほどで、美術部との間で小競り合いが起きた。
更には、新聞部まで……。
とにかく、美術部の方が先約なので、そちらを先にすることにした。
リサ:(わたしはBOW的にリサ・トレヴァーであって、魔王ではないんだけどなぁ……)
リサは顔を洗って、歯を磨きながらそう思った。
せっかくだからと、服は私服ではなく、制服を着てみる。
その下には、昨日穿いた紺色ブルマを穿くことにした。
モスグリーンのスカートに、紺色のブルマはややミスマッチだろうか。
リサ:「よし」
朝の身支度を終えると、リサは朝食を食べに2階の大戸屋に向かった。
[同日09:25.天候:晴 同区内 JR新橋駅→京浜東北線816B電車10号車内]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の6番線の電車は、9時25分発、各駅停車、南浦和行きです。当駅を出ますと、次は、有楽町に停車します〕
朝食後、ホテルをチェックアウトしたリサは、キャリーバッグを持って新橋駅に向かった。
愛原の迎えに行くのはいいが、善場達は先に病院に行っている為、病院までは電車とバスで自力で来るように言われた。
もっとも、ルート選定まではしてくれたが。
リサ:(京浜東北線の、大宮行きか南浦和行きに乗る……)
京浜東北線快速運転中は、全ての電車が通過する新橋駅であるが、この時間帯はまだ各駅停車での運転である。
〔まもなく6番線に、各駅停車、南浦和行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
ホテル側に1番近いホームである。
ホームからは、駅前広場が見える。
よく、マスコミが中継や、サラリーマンにインタビューを行う場所だ。
そして、電車がやってくる。
平日よりも空いていた。
〔しんばし~、新橋~。ご乗車、ありがとうございます。次は、有楽町に、停車します〕
電車に乗り込み、空いているブルーの座席に腰かける。
山手線とは違う曲の、アップテンポの発車メロディが流れた。
〔6番線の京浜東北線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕
電車が走り出す前から、換気の為に開けられた窓より風が吹き込んで来る。
実は台風が接近していて、既に風が強まっているのだ。
晴れているのは午前中でも、午後には曇り、夜からは雨が降り出して、明日は大荒れの天気になるという。
その前に退院できて良かったと思う。
電車は、高架線の上を走り出した。
〔次は有楽町、有楽町。お出口は、右側です。地下鉄有楽町線と、地下鉄日比谷線はお乗り換えです〕
リサはスマホを見た。
今日は愛原のLINEが来ている。
昨日はLINEを送ったが、全く帰って来なかった。
何でも、一昨日と昨日は頭痛や吐き気、嘔吐の症状が酷く、リサのLINEを返せる状態ではなかったというのだ。
幸いそのような症状は、昨夜のうちに改善したという。
それで予定通り、今朝の回診や検査を終えて、異常が無ければ退院とのことだ。
しばらくは頭に針(医療用ステープラー)を刺したままなので、それを外しにまた通院しなければならないとのことだ。
[同日10:00.天候:曇 埼玉県川口市並木 JR西川口駅→国際興業バス川51系統車内]
〔「お客様にお知らせ致します。翌日は台風接近に伴い、電車のダイヤが乱れる恐れがございます。お出かけの際は、最新の運行情報にご注意ください。まもなく西川口、西川口。お出口は、右側です」〕
風は強いが、荒川は通常の速度で渡った。
特にまだ、速度規制が出るほどの強さではないのだろう。
〔にしかわぐち~、西川口~。ご乗車、ありがとうございます。次は、蕨に、停車します〕
リサは教えられた通りの駅で、電車を降りた。
ヒュウッと強い風が、リサのおかっぱ頭を撫でる。
スカートの裾も靡くが、捲れ上がるほどの強さではない。
エスカレーターを昇って、改札口を出る。
そして、西口に向かった。
リサ:(バスはどこから出るんだろう……?)
本来は重たいキャリーバッグだが、そこは特級BOW(生物兵器)。
普通の通学鞄を持つような感覚で、ヒョイと持ち上げ、階段を下りる。
そんなに広くないロータリーに、1台のバスが止まっていた。
駅の入口に背を向けて止まっている。
リアウィンドウにある、オレンジ色のLEDの行き先表示を見ると、『川51 川口駅西口』と書かれていた。
リサ:(あのバスだ)
すると、バスがエンジンを掛けた。
もうすぐ発車するのだ。
リサ、ダッシュで乗り込む。
バスはオーソドックスなワンステップバスで、あまり乗客は乗っていなかった。
リサ:(そうだ。埼玉のバスは、乗る時にもPasmoを当てるんだった)
リサはスカートのポケットから定期入れを取り出し、それを読取機に当てた。
〔「原町経由、川口駅西口、発車致します」〕
リサを最後の乗客に、バスは引き戸式の中扉を閉めて発車した。
リサは空いている1人席に座った。
〔♪♪♪♪。毎度、国際興業バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。このバスは西川口五丁目、原町経由、川口駅西口行きです。途中お降りの方は、お手近のブザーでお知らせ願います。次は西川口三丁目、西川口三丁目。……〕
リサ:(あれ?このバスで行くと、すぐに着いちゃうんだ……)
フロントガラス上の運賃表示器を見る。
今はフルカラーLEDで、運賃表や次停留所案内だけでなく、経由地についても表示される。
それを見ると、乗車時間は大したこと無さそうだった。
リサ:(わたしの足なら、歩いて行っても大丈夫だったんじゃないかな?)
それとも、監視の為にあえてバスに乗せたのだろうか。
監視といってもリサを尾行するわけではなく、GPSや遠方から監視しているようであり、もしもリサが暴走するようなことがあれば、ライフルで狙撃するようになっているようである。
もちろんそれだけでリサは殺せないが、足止めにはなるだろう。
バスは駅前ロータリーを出ると、西川口駅前通りを進んだ。
枕元にセットしたアラームが鳴り響き、リサは目を覚ました。
リサ:「うーん……」
手を伸ばして、アラームを止める。
リサ:「ふわ……」
昨夜は愛原を迎えに行けるということで、なかなか寝付けなかった。
それでもいつしか、眠りに落ちたようだ。
リサは大きな欠伸をして、牙を覗かせながらバスルームに向かった。
昨日は早速、桜谷の絵のモデルになる為の衣装合わせをやってみた。
ブルマは“ドキュンサーガ”の魔王様に合わせて、紺色の物を用意した。
上は学校の体操服のものだったが、その上から演劇部が使用していた黒いマントを羽織ることにした。
それだけだと手持無沙汰なので、演劇で使用したゴツい杖も持つことにした。
そしたら何故か、写真部からも撮影を求められるほどで、美術部との間で小競り合いが起きた。
更には、新聞部まで……。
とにかく、美術部の方が先約なので、そちらを先にすることにした。
リサ:(わたしはBOW的にリサ・トレヴァーであって、魔王ではないんだけどなぁ……)
リサは顔を洗って、歯を磨きながらそう思った。
せっかくだからと、服は私服ではなく、制服を着てみる。
その下には、昨日穿いた紺色ブルマを穿くことにした。
モスグリーンのスカートに、紺色のブルマはややミスマッチだろうか。
リサ:「よし」
朝の身支度を終えると、リサは朝食を食べに2階の大戸屋に向かった。
[同日09:25.天候:晴 同区内 JR新橋駅→京浜東北線816B電車10号車内]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の6番線の電車は、9時25分発、各駅停車、南浦和行きです。当駅を出ますと、次は、有楽町に停車します〕
朝食後、ホテルをチェックアウトしたリサは、キャリーバッグを持って新橋駅に向かった。
愛原の迎えに行くのはいいが、善場達は先に病院に行っている為、病院までは電車とバスで自力で来るように言われた。
もっとも、ルート選定まではしてくれたが。
リサ:(京浜東北線の、大宮行きか南浦和行きに乗る……)
京浜東北線快速運転中は、全ての電車が通過する新橋駅であるが、この時間帯はまだ各駅停車での運転である。
〔まもなく6番線に、各駅停車、南浦和行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕
ホテル側に1番近いホームである。
ホームからは、駅前広場が見える。
よく、マスコミが中継や、サラリーマンにインタビューを行う場所だ。
そして、電車がやってくる。
平日よりも空いていた。
〔しんばし~、新橋~。ご乗車、ありがとうございます。次は、有楽町に、停車します〕
電車に乗り込み、空いているブルーの座席に腰かける。
山手線とは違う曲の、アップテンポの発車メロディが流れた。
〔6番線の京浜東北線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕
電車が走り出す前から、換気の為に開けられた窓より風が吹き込んで来る。
実は台風が接近していて、既に風が強まっているのだ。
晴れているのは午前中でも、午後には曇り、夜からは雨が降り出して、明日は大荒れの天気になるという。
その前に退院できて良かったと思う。
電車は、高架線の上を走り出した。
〔次は有楽町、有楽町。お出口は、右側です。地下鉄有楽町線と、地下鉄日比谷線はお乗り換えです〕
リサはスマホを見た。
今日は愛原のLINEが来ている。
昨日はLINEを送ったが、全く帰って来なかった。
何でも、一昨日と昨日は頭痛や吐き気、嘔吐の症状が酷く、リサのLINEを返せる状態ではなかったというのだ。
幸いそのような症状は、昨夜のうちに改善したという。
それで予定通り、今朝の回診や検査を終えて、異常が無ければ退院とのことだ。
しばらくは頭に針(医療用ステープラー)を刺したままなので、それを外しにまた通院しなければならないとのことだ。
[同日10:00.天候:曇 埼玉県川口市並木 JR西川口駅→国際興業バス川51系統車内]
〔「お客様にお知らせ致します。翌日は台風接近に伴い、電車のダイヤが乱れる恐れがございます。お出かけの際は、最新の運行情報にご注意ください。まもなく西川口、西川口。お出口は、右側です」〕
風は強いが、荒川は通常の速度で渡った。
特にまだ、速度規制が出るほどの強さではないのだろう。
〔にしかわぐち~、西川口~。ご乗車、ありがとうございます。次は、蕨に、停車します〕
リサは教えられた通りの駅で、電車を降りた。
ヒュウッと強い風が、リサのおかっぱ頭を撫でる。
スカートの裾も靡くが、捲れ上がるほどの強さではない。
エスカレーターを昇って、改札口を出る。
そして、西口に向かった。
リサ:(バスはどこから出るんだろう……?)
本来は重たいキャリーバッグだが、そこは特級BOW(生物兵器)。
普通の通学鞄を持つような感覚で、ヒョイと持ち上げ、階段を下りる。
そんなに広くないロータリーに、1台のバスが止まっていた。
駅の入口に背を向けて止まっている。
リアウィンドウにある、オレンジ色のLEDの行き先表示を見ると、『川51 川口駅西口』と書かれていた。
リサ:(あのバスだ)
すると、バスがエンジンを掛けた。
もうすぐ発車するのだ。
リサ、ダッシュで乗り込む。
バスはオーソドックスなワンステップバスで、あまり乗客は乗っていなかった。
リサ:(そうだ。埼玉のバスは、乗る時にもPasmoを当てるんだった)
リサはスカートのポケットから定期入れを取り出し、それを読取機に当てた。
〔「原町経由、川口駅西口、発車致します」〕
リサを最後の乗客に、バスは引き戸式の中扉を閉めて発車した。
リサは空いている1人席に座った。
〔♪♪♪♪。毎度、国際興業バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。このバスは西川口五丁目、原町経由、川口駅西口行きです。途中お降りの方は、お手近のブザーでお知らせ願います。次は西川口三丁目、西川口三丁目。……〕
リサ:(あれ?このバスで行くと、すぐに着いちゃうんだ……)
フロントガラス上の運賃表示器を見る。
今はフルカラーLEDで、運賃表や次停留所案内だけでなく、経由地についても表示される。
それを見ると、乗車時間は大したこと無さそうだった。
リサ:(わたしの足なら、歩いて行っても大丈夫だったんじゃないかな?)
それとも、監視の為にあえてバスに乗せたのだろうか。
監視といってもリサを尾行するわけではなく、GPSや遠方から監視しているようであり、もしもリサが暴走するようなことがあれば、ライフルで狙撃するようになっているようである。
もちろんそれだけでリサは殺せないが、足止めにはなるだろう。
バスは駅前ロータリーを出ると、西川口駅前通りを進んだ。