報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「『魔王軍』の侵攻」

2022-12-25 21:04:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月10日11:00.天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・某女子トイレ]

 校舎内の女子トイレに、上野凛が入っている。
 凛は何も用を足す為だけに、このトイレに入ったのではない。
 リサに命令されて、このトイレに入ったのだ。
 命令内容は簡単。
 ここの個室に、しばらく籠ること。
 凛は首を傾げたが、『魔王様』の命令には抗えない。
 入ってみて首を傾げたのは、個室が1つだけしか使えなくなっていたことだった。
 故障中の札が掛かっていて、まともに使えるのは1つだけ。
 当然、凛はこの個室に入った。

 凛:(一体、何だっていうんだろう……?)

 仕方が無いので、凛は用を足すついでに、生理用品を換えることにした。
 凛はタンポン派。
 運動部に所属して運動していると、ナプキンだと、どうしてもズレる為。
 こんなことをしていると、誰かがトイレに入って来た。

 凛:(うわっ、こんな時に誰か入って来た!)

 他の個室が空いているのなら、特に気にする必要は無いのだが、いかんせんこのトイレで使える個室は、凛が入っている1つだけである。

 女子生徒:「あぁあ……!」

 個室の外から、絶望の声が聞こえて来た。

 凛:(なに?急いでるなら、他のトイレに行けば……)

 いくら何でも、他のトイレはこんな状態ではないだろう。
 他の学年が使っているトイレを使うのは、確かに気が引けるところだが、どうせ今日は土曜日だ。
 大学受験対策の特別講習も今日はやってないから、3年生は殆どいないし、凛の知っている限り、補習や追試も今日は無いはずだ。
 登校しているのは、部活動関係で来ている生徒だけ。
 運動部なら外のトイレや体育館のトイレを使うだろうし、あとはせいぜい文化部の生徒が校舎内のトイレを使うくらいか。
 なので、あまり気を使うことはないはずだ。
 凛の場合はこれから部活に参加するところだったし、リサの命令もあるので。
 それに、今の凛は下半身裸の状態なので、今出るわけにはいかなかった。
 しかし、トイレに入って来た生徒は、ここから出ようとしない。

 凛:「!?」

 凛とて半鬼である。
 並の人間より、聴力は優れていた。
 その聴力から、入って来た生徒の腹がゴロゴロ言っているのが聞こえた。
 それも、かなりヒドい……。
 それなら尚更、他のトイレに向かった方がいいのでは?
 違う。
 もう、他のトイレに行く余裕も無いのだ。
 凛がそれに気づいて、急いで下着とブルマを穿き、トイレから出ようとした時だった。

 女子生徒:「あ……あ……あ……!」

 個室の外から、ついに肛門が決壊して中身が噴き出す音が聞こえて来た。

 女子生徒:「あぁあぁぁああああ……!!」

 そして、トイレ内に充満するヒドい糞便の臭い。

 凛:「うっ……!」

 半鬼故に聴力はもちろん、嗅覚も優れている凛は、思わず顔をしかめた。

 凛:「ちょっと!大丈夫!?」

 凛は個室から出た。
 すると、そこには下半身を自らの汚物で汚しに汚しまくった女子生徒が、泣きながらしゃがみ込んでいた。

 凛:「! あなた……!」

 凛は、その女子生徒が着けているバッジに気づいた。

 凛:(これは、生徒会のバッジ……!)

 そして、何となくリサの作戦に気づいたのだった。

 リサ:「1人目……粛清……!」

 どこからともなく、リサの声が聞こえたような気がした。

 『魔王軍』メンバー:「魔王様の作戦成功!」

 メンバーの1人が入って来ると、泣きじゃくる生徒会役員に向かって、スマホで何枚も写真を撮って行った。

[9月11日11:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 日曜日、予定通り、淀橋と小島がやってくる。

 リサ:「サクラヤからLINEがあった。『生理のせいで、御迷惑をお掛けしてます』って」
 淀橋:「まあ、しょうがないよね。私もヒドい時はヒドいし。その点、魔王様はいつも『軽い』ですよね?」
 リサ:「BOW(生物兵器)の特権。でも、これでも年に何回かは重くなる時もある」
 小島:「年に数回のペースで済んでいるリサさんが、羨ましいわ。因みに、凛は今日も部活だそうです」
 リサ:「まあ、しょうがない」
 小島:「それより、生徒会の下っ端の殆どはリサさんの『粛清』を受けたよ」
 リサ:「わたしへの逆らい方で、粛清の方法が違う」
 淀橋:「さすがは魔王様。1番軽くて、『誰もいないトイレでおもらし』だなんて」
 リサ:「1番最初のあのコは、数合わせて連れて来られただけみたいだから。だけど、それでも生徒会役員として、ブルマ反対に署名したから粛清の対象」
 淀橋:「他には、どんなの?」
 小島:「次のコは、全部塞がっている駅のトイレで『ウン○おもらし』。その次のコは、駅前の通りで『ウン○おもらし』。更に今日は、塾で授業中に『ウン○おもらし』」
 淀橋:「全部『ウン○』じゃない!」
 リサ:「わたしの寄生虫で、1週間ほど『便秘』にしてやった。それが急に『下痢』になったら、どうなる?」

 リサは不気味な笑みを浮かべた。
 その笑みに、魔王軍幹部は背筋が寒くなった。

 淀橋:「わ、私達の体にもそれが……?」
 リサ:「もちろん。でも、2人には何もしない。私の言う事、聞いてくれているから。でも、もしも裏切ったりしたら……」
 淀橋:「だ、大丈夫!魔王様には、ヒドい便秘を治してくれた御礼があるし……」
 小島:「わ、私も、潰瘍性大腸炎の下血を吸い取ってくれたり、むしろ寄生虫のおかげで、お腹の調子がいいし……」
 リサ:「それでいい。それより、話を本題に戻そう。2人も知っての通り、生徒会長との最後の交渉が決裂した」
 淀橋:「あの御嬢様、ヘソ曲げると、とことん頭カタくなるんだねぇ……」
 リサ:「御嬢様を『汚嬢様』にしてやる……!」
 小島:「それも、愛原先生の秘蔵動画?」
 リサ:「うん!」
 淀橋:「別に魔王様は、『女子の体操着をブルマに統一しろ』なんて言ってないのに、頑なに、『ブルマを校則で完全に禁止してやる』なんて言うもんだから……」
 リサ:「いや、本当は『ブルマに統一』が理想」
 小島:「えっ、でも、さすがにそれは……!」
 リサ:「もちろん、難しいのが現実。わたしがインフルエンサーになって、もう少しブルマを穿く生徒が増えればそれで妥協しようと思ってた。幸いわたしや、体型がきれいなヨドバシのおかげで、だいぶブルマが見直されつつある」
 淀橋:「あれは意外でしたねぇ……」
 小島:「でも、お母さんが言ってたけど、『生理の時はキツい』って話ですよ?私もいざ生理の時にブルマを穿こうとすると、『ああ』って思いましたもん」
 リサ:「だから、ケースバイケースで短パンやジャージでもOKにすればいい。要は、今の校則のままでいいんだ」
 淀橋:「ですよねぇ。それを生徒会が余計なことするもんだから……」
 リサ:「そう。城ヶ崎のクソ女には明日、物凄く痛い目に遭わせてやる」

 この『魔王軍』の秘密会議を、部屋の外から聞く者がいた。

 愛原:「……何か、部屋の中から物騒な会話が聞こえて来るんだが?」
 高橋:「女の恨みは怖いっスからねぇ……」
 愛原:「アメリカのオリジナルのリサ・トレヴァーも、アンブレラに恨みを抱いて、バリバリの関係者だったアルバート・ウェスカーを執拗に追い回したって話だからな」
 高橋:「そのDNAが、日本のリサ・トレヴァーにも受け継がれてるってことっス」
 愛原:「な、なるほど……」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“愛原リサの日常” 「『魔王軍』の攻防」

2022-12-25 16:03:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月10日09:00.天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 東京中央学園では一部を除き、基本的には完全週休2日制である。
 基本的にというのは、大学進学希望者を対象に特別講習が行われることがあったり、あとは課外授業があったり、あとはテストで赤点を取った生徒に対する補習や追試が行われることがあるからだ。
 つい数年前まで課外授業は早朝、補習や追試は放課後に行われることがあったが、表向きには『教職員の長時間労働を避ける為』という理由で、裏の理由は、『課外授業や補習、追試で起きた怪奇現象を避ける為』で変えられた。
 私立の学校法人は、学校経営を企業経営の一環として考えている所がある。
 東京中央学園も正にそれなのだが、恐らく公立の高校には無い考えだろう。

 リサ:「まさかのサクラヤ、生理でダウン!」
 淀橋:「まあ、しょうがないよね。生理中じゃ、ブルマは穿けないし」
 小島:「いや、桜谷さんは描く側だから、関係無くない?」
 淀橋:「いや、魔王様が着用を強要……もとい、命令なさっている」
 小島:「いや、言い直さなくても大体同じような表現だし。リサさん、どうする?」
 リサ:「肝心のサクラヤがいないのなら、絵のモデルは今日はしょうがない。今日は頼まれている別の仕事だけしよう」
 小島:「分かったよ」

 本当は今日は、リサだけが登校するはずだった。
 桜谷の絵のモデルの仕事があったからだ。
 しかし、そこへ急に、新聞部から取材の依頼、写真部からは撮影の依頼が入った。
 いずれも、『魔王軍』が推進しているブルマ復活に関係したものである。
 先に写真部の撮影から始まった。
 後から、上野凛も合流する。

 凛:「桜谷さんはどうするんですか?」
 淀橋:「よくある集合写真の、当日欠席した人みたいに、斜め上の所に個別に表示する?」
 リサ:「それいい!」
 写真部員:「いえ、あの、何でしたら、皆さん全員お揃いになった時に、撮影し直しましょうか?」
 淀橋:「ですって。どうする?」
 リサ:「それはその時考える。まずはせっかく来たんだから、わたし達だけで撮ろう」
 小島:「うん、その方がいいと思う」

 もちろん、リサ達は全員、体操服にブルマという出で立ちであった。
 撮影場所は校庭。

 写真部員:「いいですかー?では、撮りますよー!」

 
(あくまでもイメージであるが、右から淀橋、上野凛、愛原リサ、小島である。あくまでも、イメージである。尚、転載元には許可済み)

 リサ:「おー!可愛く撮れてる!」
 小島:「さすがは写真部ですね!」
 淀橋:「なに?この写真、新聞部に売り付けるの?」
 写真部員:「ま、まあ、あの、新聞部に頼まれたら、ですけど……。できれば、文化祭の時に出展したいのですが……」
 リサ:「いいよ」
 凛:「美術部と一緒ですね」
 リサ:「うん」

 それから4人は、今度は新聞部の部室に移動する。
 そこでもインタビューの最中に、写真を撮られた。

 新聞部員(♂):「例のポスターを見ました!確かに淀橋さん、ブルマ姿だと、尚更足が長く見えますね!」
 淀橋:「だよねー。さっき、写真部にも撮ってもらったけど、改めて見ると、それがメリットだよね」
 凛:「私も小柄な方ですけど、足が長く見えます」
 新聞部員(♀):「でも、全国的に一度は廃止になったものを、また復活させるのは大変なんじゃないですか?」
 リサ:「分かってる。だから、わたしがインフルエンサーになろうと思ってる」
 新聞部員(♂):「そもそも、どうしてブルマを復活させようと思ったのですか?失礼ですが、皆さん女子だから、むしろ復活に反対する方に回るんじゃないかと思うんですが……」
 リサ:「正確に言えば、『復活』という表現は間違ってると思う。だって、あくまでも、うちの学園じゃ、『事実上の廃止』であって、『明確に廃止&禁止』ではないから。だから、わたし達があえて穿いていても、何の問題も無いはず」
 新聞部員(♂):「確かにそうですね」
 リサ:「今は多様性の時代。だから体育でも、一律にブルマは廃止で、短パンかジャージだけってのもおかしいと思う」
 新聞部員(♀):「でも、生徒会を中心に、皆さんの動きを封じようという動きがあります。本当に大丈夫なのでしょうか?」

 するとリサ、ニヤリと笑った。

 リサ:「大丈夫。奴らは来週にはもう動けなくなる。むしろ、その様子を取材してもらいたいくらい」
 新聞部員(♂):「ど、どういうことですか?」
 リサ:「絶対、スクープ記事が書けるから」
 新聞部員(♀):「ええっ!?」
 小島:「こちらの魔王様、水泳の水着でも、旧式スク水を復活させようとしているんですよ」
 新聞部員(♂):「そうなんですか?でも、そっちはあまり話題になってないですね?」
 小島:「こっちは別に、『事実上の廃止』ですらないわけだからね」

 水泳の時に着用する水着については、確かにブルマ全盛期の頃までは、一律に『スクール水着』とされていた。
 ただ、その頃にあっても、スクール水着には旧型と新型とが混じり合っていて、統一性はブルマほどではなくなっていたし、その後で競泳水着が認められてからは……まあ、『事実上の廃止』と言えなくもないが、もともと『スクール水着』という言葉でさえ、1つの水着だけを指しているわけではないので、ブルマほど騒がれなかったと言える。
 あとは、基本的に夏にしか着ないので。

 新聞部員(♀):「それもそうですね。せいぜい、『セパレートが禁止』『ラッシュガードが禁止』といったところでしょうか」
 リサ:「そうそう」

 恐らくラッシュガードに統一されようものなら、今度は『スクール水着復活運動』でも起こりそうだが、その頃にはリサも卒業しているだろうから、大勢に影響は無いものと思われる。
 セパレートが禁止なのは、さすがに肌の露出が問題視されたのだろうし、ラッシュガードがまだ認められていないのは、小中学校と違って、高校ではプールの授業も男女別に行われる為であろう。

 新聞部員(♂):「その来週月曜日ですが、全体朝礼の後で、生徒会による総会が行われます。その時、『ブルマ復活運動』について、生徒会長から何か言及があるかと思いますが、どう思われますか?」
 リサ:「どうもこうも、わたし達の勝利は確定しているから」
 新聞部員(♂):「は?それはどういう……」

 その時、校内放送が流れた。

〔「生徒会より、生徒の呼び出しを致します。2年5組の愛原さん、淀橋さん、小島さん。至急、生徒会役員室までお越しください。会長がお呼びです」〕

 リサ:「来たか……!わたし達からの、最後通牒……!」
 新聞部員(♀):「それは、生徒会側からもでは……?」
 リサ:「そうかもね」
 凛:「私だけ呼ばれてませんけど……」
 リサ:「だから凛、オマエはいい。今日も陸上部の練習だろう?オマエはもう戻っていい」
 凛:「わ、分かりました」

 生理中で休んでいる桜谷、呼ばれていない凛を除く、『魔王軍』の幹部達は生徒会役員室に向かった。
 尚、新聞部も、彼女らのやり取りを取材したいと申し出たのだが、生徒会から断られてしまった。
 後で思えば、むしろ逆に新聞部の取材を受け入れていた方が、却って生徒会側の方が有利になったと思われるが、リサの『作戦』によって、冷静な判断を失っていた生徒会側は、この時から既に負けていたのかもしれない。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする