[9月9日15:17.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]
〔まもなく東京、東京。お出口は、右側です。新幹線、山手線、京浜東北線、中央線、横須賀線、総武快速線、京葉線と地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです〕
私と高橋を乗せた中距離電車は、定刻通りに上野東京ラインの線路を走行していた。
愛原:「……よし。リサからのLINEは完了」
リサは今日も美術部で、絵のモデルをやるという。
17時の下校時刻までいるから、家に帰るのではなく、直接現地まで来るように指示しておいた。
高橋:「あいつ、絵のモデルなんてやってるんスか」
愛原:「そう。タイトルは、まんま『魔王様の肖像画』だって」
高橋:「プッw、シュール過ぎますね!」
愛原:「まあな」
列車は東海道本線のホームである10番線に到着した。
〔「ご乗車ありがとうございました。東京、東京です。車内にお忘れ物の無いよう、ご注意ください。10番線の列車は、東海道線、普通列車の平塚行きです。……」〕
私達はホームに降り立った。
高橋:「この電車も懐かしいですけど、東京駅も懐かしいですよ」
愛原:「はは、そうか。それじゃあ、タクシー乗り場へ行こうか」
高橋:「うっス!」
エスカレーターでコンコースへ下りる。
そして、八重洲方面への改札口から出て、タクシー乗り場に向かった。
愛原:「他にリサが手掛けているプロジェクト。『東京中央学園ブルマ復活計画』だってさ」
高橋:「何やってんスか、あいつ?」
愛原:「ま、まあ、俺の為らしいな……」
さすがに、『酔っ払った勢いで命令してしまった』とは言えない……。
高橋:「まーた先生のエロ動画を勝手に観たんスね。しょうがねぇヤツです」
愛原:「ま、まあな」
高橋:「確かあれ、どこかの朝日新聞が面白おかしく騒ぎ立てたせいで廃止になったって聞きましたけど?」
愛原:「ま、まあ、そうだな。東京中央学園って、変な所で保守的な学園なんだよ。ブルマもそうだったんだけど、結局他の学校が皆廃止にしてしまったから、うちも……的な感じだったらしい。だからリサ達の活動に、学園側は何のコメントもしていないし、それの反対派に対しても、特にコメントはしていない」
高橋:「つまり、生徒同士で勝手にやってくれって感じっスか」
愛原:「まあ、そうだな」
尚、そろそろPTAにも飛び火しそうな勢いだが、今のところ、まだPTAにも動きはない。
何せ会長は不在、その代行役の私が男で、副会長も男である。
母親陣がPTA役員をやりたがらないばかりか、こういう時にばっかり役員を父親陣に押し付けられるような形になっていることが裏目に出ているようだ。
他の学校は知らんが、東京中央学園はこんな感じ。
但し、中等部は父親の役員の割合が低めなので、こちらは大きな騒ぎにならないかもしれない。
リサ自身がもう高等部にいるのだし、リサの息が掛かっている中等部生徒は数えるほどしかいないからだ。
愛原:「さあ、早いとこタクシーに乗ろう」
八重洲中央口付近にあるタクシー乗り場に向かう。
ここのタクシー乗り場も、一大ターミナル駅のそれにしては狭いことで不評である。
状況によっては長蛇の列ができていることがあるが、今回はそんなことはなかった。
ハッチを開けてもらい、大きなバッグはそこに乗せる。
そして、私達はリアシートに座った。
愛原:「墨田区菊川1丁目【中略】までお願いします」
運転手:「はい、ありがとうございます」
タクシーは高速バスを交わすようにして、ロータリーを出発した。
高橋:「リサの運動が成功したら、どうするんですか?」
愛原:「どうなるんだろうねぇ……」
リサが卒業したら、また元の『事実上の廃止』になっているような気がする。
まあ、それはそれでいいのではないだろうか。
高橋:「肖像画はどんな感じで描いてるんスか?」
愛原:「これがまた、体操服とブルマなんだよ」
高橋:「ええっ?それのどこが魔王ですか?」
愛原:「だからなのか、その上から黒マントを羽織って、禍々しいデザインのゴツい杖持って、それらしくするらしい」
高橋:「もう、どこからツッコんでいいのやら分かりませんね」
愛原:「まあな」
高橋:「だっだら、まだオリジナルのリサ・トレヴァーの恰好すれば良かったんですよ」
愛原:「いや、それだと、それはそれで魔王感が無くなる。まあ、中ボス感はあるけどな」
高橋:「あ、そうか……」
愛原:「ま、あとは美術部のコが、どういうタッチで描くかだよ」
高橋:「あとは編集でってところっスか?」
愛原:「編集とか言うなw」
[同日15:45.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
タクシーがマンション裏手の駐車場前に到着する。
愛原:「はい、お世話さま~」
私はここでも領収証を切ってもらった。
私が料金を払っている間、高橋が先に降りて、後ろから荷物を降ろしている。
高橋:「おお~っ!懐かしい!」
愛原:「そうだろうな」
高橋は本当に感動しているようだった。
高橋:「先生、早く入りましょう!俺達の愛の巣へ!」
愛原:「何が愛の巣だ!w」
私達はマンションの中に入った。
そして定員一桁の小さなエレベーターに乗り込む。
愛原:「いや、実はさ、オマエが入院して、俺もケガしてみた時、ふと思ったんだ」
高橋:「何スか?」
愛原:「俺と高橋、そしてリサの3人だけの事務所だろ?」
高橋:「え?リサも入れるんスか?」
愛原:「嫌な顔するなよ。あれでも、結構役に立ってるんだぞ」
高橋:「はあ……。それで、その3人だけの事務所が何なんスか?」
エレベーターを降りて、部屋に向かう。
愛原:「いや、何だかマンションと事務所を分ける必要ってあるのかなって」
高橋:「と、仰いますと?」
愛原:「この際、住居と事務所を統合してもいいんじゃないかって思ったんだ」
高橋:「それじゃまるで、以前の王子にあった時の事務所みたいっスね」
愛原:「まあな。ちょうど、あんな感じの物件があるといいんだがな……」
高橋:「俺が不動産サイトで、探してみますよ」
愛原:「まあ、また後でな」
部屋に入る。
高橋:「懐かスぃ~っ!!」
高橋、嬉しさのあまり、テンションがマックスになる。
高橋:「……けど、何か散らかってません?」
愛原:「悪い。改めて、高橋の家事能力の高さに脱帽する次第であります」
高橋:「ま、退院したからには、俺にお任せください」
愛原:「悪いな」
これで、もう心配は無くなった。
あとは、リサの事だけだ。
〔まもなく東京、東京。お出口は、右側です。新幹線、山手線、京浜東北線、中央線、横須賀線、総武快速線、京葉線と地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです〕
私と高橋を乗せた中距離電車は、定刻通りに上野東京ラインの線路を走行していた。
愛原:「……よし。リサからのLINEは完了」
リサは今日も美術部で、絵のモデルをやるという。
17時の下校時刻までいるから、家に帰るのではなく、直接現地まで来るように指示しておいた。
高橋:「あいつ、絵のモデルなんてやってるんスか」
愛原:「そう。タイトルは、まんま『魔王様の肖像画』だって」
高橋:「プッw、シュール過ぎますね!」
愛原:「まあな」
列車は東海道本線のホームである10番線に到着した。
〔「ご乗車ありがとうございました。東京、東京です。車内にお忘れ物の無いよう、ご注意ください。10番線の列車は、東海道線、普通列車の平塚行きです。……」〕
私達はホームに降り立った。
高橋:「この電車も懐かしいですけど、東京駅も懐かしいですよ」
愛原:「はは、そうか。それじゃあ、タクシー乗り場へ行こうか」
高橋:「うっス!」
エスカレーターでコンコースへ下りる。
そして、八重洲方面への改札口から出て、タクシー乗り場に向かった。
愛原:「他にリサが手掛けているプロジェクト。『東京中央学園ブルマ復活計画』だってさ」
高橋:「何やってんスか、あいつ?」
愛原:「ま、まあ、俺の為らしいな……」
さすがに、『酔っ払った勢いで命令してしまった』とは言えない……。
高橋:「まーた先生のエロ動画を勝手に観たんスね。しょうがねぇヤツです」
愛原:「ま、まあな」
高橋:「確かあれ、どこかの朝日新聞が面白おかしく騒ぎ立てたせいで廃止になったって聞きましたけど?」
愛原:「ま、まあ、そうだな。東京中央学園って、変な所で保守的な学園なんだよ。ブルマもそうだったんだけど、結局他の学校が皆廃止にしてしまったから、うちも……的な感じだったらしい。だからリサ達の活動に、学園側は何のコメントもしていないし、それの反対派に対しても、特にコメントはしていない」
高橋:「つまり、生徒同士で勝手にやってくれって感じっスか」
愛原:「まあ、そうだな」
尚、そろそろPTAにも飛び火しそうな勢いだが、今のところ、まだPTAにも動きはない。
何せ会長は不在、その代行役の私が男で、副会長も男である。
母親陣がPTA役員をやりたがらないばかりか、
他の学校は知らんが、東京中央学園はこんな感じ。
但し、中等部は父親の役員の割合が低めなので、こちらは大きな騒ぎにならないかもしれない。
リサ自身がもう高等部にいるのだし、リサの息が掛かっている中等部生徒は数えるほどしかいないからだ。
愛原:「さあ、早いとこタクシーに乗ろう」
八重洲中央口付近にあるタクシー乗り場に向かう。
ここのタクシー乗り場も、一大ターミナル駅のそれにしては狭いことで不評である。
状況によっては長蛇の列ができていることがあるが、今回はそんなことはなかった。
ハッチを開けてもらい、大きなバッグはそこに乗せる。
そして、私達はリアシートに座った。
愛原:「墨田区菊川1丁目【中略】までお願いします」
運転手:「はい、ありがとうございます」
タクシーは高速バスを交わすようにして、ロータリーを出発した。
高橋:「リサの運動が成功したら、どうするんですか?」
愛原:「どうなるんだろうねぇ……」
リサが卒業したら、また元の『事実上の廃止』になっているような気がする。
まあ、それはそれでいいのではないだろうか。
高橋:「肖像画はどんな感じで描いてるんスか?」
愛原:「これがまた、体操服とブルマなんだよ」
高橋:「ええっ?それのどこが魔王ですか?」
愛原:「だからなのか、その上から黒マントを羽織って、禍々しいデザインのゴツい杖持って、それらしくするらしい」
高橋:「もう、どこからツッコんでいいのやら分かりませんね」
愛原:「まあな」
高橋:「だっだら、まだオリジナルのリサ・トレヴァーの恰好すれば良かったんですよ」
愛原:「いや、それだと、それはそれで魔王感が無くなる。まあ、中ボス感はあるけどな」
高橋:「あ、そうか……」
愛原:「ま、あとは美術部のコが、どういうタッチで描くかだよ」
高橋:「あとは編集でってところっスか?」
愛原:「編集とか言うなw」
[同日15:45.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
タクシーがマンション裏手の駐車場前に到着する。
愛原:「はい、お世話さま~」
私はここでも領収証を切ってもらった。
私が料金を払っている間、高橋が先に降りて、後ろから荷物を降ろしている。
高橋:「おお~っ!懐かしい!」
愛原:「そうだろうな」
高橋は本当に感動しているようだった。
高橋:「先生、早く入りましょう!俺達の愛の巣へ!」
愛原:「何が愛の巣だ!w」
私達はマンションの中に入った。
そして定員一桁の小さなエレベーターに乗り込む。
愛原:「いや、実はさ、オマエが入院して、俺もケガしてみた時、ふと思ったんだ」
高橋:「何スか?」
愛原:「俺と高橋、そしてリサの3人だけの事務所だろ?」
高橋:「え?リサも入れるんスか?」
愛原:「嫌な顔するなよ。あれでも、結構役に立ってるんだぞ」
高橋:「はあ……。それで、その3人だけの事務所が何なんスか?」
エレベーターを降りて、部屋に向かう。
愛原:「いや、何だかマンションと事務所を分ける必要ってあるのかなって」
高橋:「と、仰いますと?」
愛原:「この際、住居と事務所を統合してもいいんじゃないかって思ったんだ」
高橋:「それじゃまるで、以前の王子にあった時の事務所みたいっスね」
愛原:「まあな。ちょうど、あんな感じの物件があるといいんだがな……」
高橋:「俺が不動産サイトで、探してみますよ」
愛原:「まあ、また後でな」
部屋に入る。
高橋:「懐かスぃ~っ!!」
高橋、嬉しさのあまり、テンションがマックスになる。
高橋:「……けど、何か散らかってません?」
愛原:「悪い。改めて、高橋の家事能力の高さに脱帽する次第であります」
高橋:「ま、退院したからには、俺にお任せください」
愛原:「悪いな」
これで、もう心配は無くなった。
あとは、リサの事だけだ。