[3月26日11:42.天候:晴 東京都墨田区菊川 菊川駅前バス停→都営バス東20系統車内]
この日、私と高橋、リサは東京駅に向かおうとしていた。
東京駅で斉藤絵恋さんと合流し、向かうは成田空港。
愛原:「このバスが廃止されるのも、あと5日かぁ……」
リサ:「廃止になったら、どうするの?」
愛原:「面倒臭いけど、都営新宿線で乗り換えるしかないかなぁ……」
私は首を傾げた。
廃止になった後、どこかの民間のバス会社が代わりに運行なんてしてくれるわけがない。
日立交通辺りがコミュニティバスとして運行してくれたらありがたいのだが。
リサ:「バス来たよ」
愛原:「ああ。あと何回乗れることやら……」
車両は至って普通のノンステップバス。
全国的に見られるタイプなので、外観上は特筆すべき点は無い。
前扉から乗って、ICカードで先に運賃を払う。
まあ、確かに乗客は少ないが、かといって空気輸送というわけでもないのだが……。
私達は乗り込むと、後ろの席に座った。
リサと高橋には2人席に座らせ、私は1人席に座る。
〔発車致します。お掴まりください〕
バスは南の方に向かって走り出した。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用くださいまして、ありがとうございます。このバスは東京都現代美術館、日本橋経由、東京駅丸の内北口行きでございます。次は森下五丁目、森下五丁目でございます〕
成田空港に行くのは、絵恋さん母娘が乗る飛行機がそこから出るからである。
那覇行きのLCC。
普通、国内線といったら羽田空港というイメージなので、意表を突いた形だ。
また、しかも今日搭乗するのではない。
今日はあえて成田空港のホテルに一泊し、それから明日飛行機に乗るといった形だ。
そうすることで、マスコミの目も誤魔化せると考えたのだろう。
因みに今日来るのは、絵恋さん1人だけ。
それも、大宮から新幹線でやってくる。
なので、待ち合わせ場所は在来線コンコースということになる。
愛原:「今日はホテルに一泊するから、一杯お別れするんだぞ?」
リサ:「分かった」
リサは大きく頷いた。
[同日12:14.天候:晴 東京都千代田区丸の内 都営バス東京駅丸の内北口バスプール→駅構内在来線コンコース]
平日は商業車で混みやすい永代通りも、週末はそこまで混んでいなかった。
都営バスが橋を渡る時、そこから見える景色は意外と良いので、東京観光で都内の景観を求めるのなら都営バスでの移動はオススメである。
特に、中央大橋を渡る東16系統とかはオススメ。
東京スカイツリーも見える。
作者が豊洲の現場に、あえて都営バスで通勤していたのも、それが理由である。
〔「ご乗車ありがとうございました。終点、東京駅丸の内北口です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください」〕
開いた中扉からバスを降りると、赤レンガ造りの駅舎の中へ向かった。
観光スポットにもなっているせいか、ここで写真を撮る観光客の姿も見える。
愛原:「ここでグリーン券を買って行こう」
高橋:「特急で行くんスか?」
愛原:「快速だよ~……予算の都合上」
高橋:「さ、サーセン」
成田空港駅まで、グリーン券を4枚買っておく。
土曜日なので、安いホリデー料金が適用される。
愛原:「Suicaが使えるけど、残額は大丈夫か?」
高橋:「俺は大丈夫っス」
リサ:「わたしはビミョー……」
愛原:「カードを貸せ。チャージしといてやる」
リサ:「ありがとう!」
高橋:「交通費以外に無駄遣いしてるんじゃねぇだろうな?」
リサ:「そ、そんなことないよ……」
リサのICカードにチャージしてやり、それから在来線コンコースに入る。
絵恋さんには、新幹線からの乗り換え改札口で待っているように伝えてある。
そこへ向かってみると、果たしてそこに絵恋さんはいた。
愛原:「こんにちは。大丈夫かい?」
絵恋:「こんにちは。今日は……よろしくお願いします」
絵恋さんはスカート姿の私服を着ていた。
もっとも、リサも私服だが。
絵恋さんは大きなキャリーバッグを持っている。
愛原:「これから総武快速線で成田空港まで行くから」
絵恋:「分かりました。キップなら、そこまで買ってます」
絵恋さんは乗車券を見せた。
新幹線特急券は乗り換え改札口で回収されたそうだが、成田空港までの乗車券は返却される。
愛原:「分かった。それじゃこれ、グリーン券な」
絵恋:「ありがとうございます」
リサ:「先生、お腹空いた」
愛原:「ああ、分かった。駅弁買って行こう」
リサ:「おー!」
[同日12:38.天候:不明 JR東京駅・総武線地下ホーム→1259F列車5号車内]
〔まもなく3番線に、当駅始発、快速、成田空港行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。この列車は、11両です。グリーン車が付いております。……〕
駅弁と飲み物を買って、グリーン車が来る位置に立ち、電車を待つ。
蔓延防止が解除されたからなのか、旅行客の姿が多い……ようだが、本当に成田空港まで乗るのかどうかは微妙だ。
国内旅行は少しずつ利用客を取り戻しつつあるようだが、海外客は【お察しください】。
それでも成田空港への需要があるのは、偏に3月16日の地震のせいだろう。
その地震のせいで東北新幹線が止まり、在来線には臨時列車が運行されたり、高速バスが増便されたり、そして羽田空港や成田空港からも東北方面への臨時便が飛んでいるくらいだ。
新幹線への迂回路として成田空港を利用する客が、こんな鈍行みたいな快速でゆっくり空港まで行くとは思えないのだが……。
愛原:「旧型か」
今、横須賀線・総武快速線は新旧車両入れ替えの時期の為、2つのタイプの電車が一緒に走っている。
新型車に興味があったが、やってきたのは旧型のE217系電車だった。
既にグリーン車の座席は、成田空港方向へとセットされている。
〔「お待たせ致しました。どうぞ、ご乗車ください」〕
ドアが開いて、私達は電車に乗り込んだ。
大きなキャリーバッグを持っているということもあり、2階席には行かず、連結器横の平屋席に向かう。
そこなら天井も高いので、荷棚もある。
愛原:「ここに置くといいんだ」
座面の後ろと壁の間に、スッポリとキャリーバッグを入れる。
このスペースを売りにしているのが、JR東海の東海道新幹線だ。
あとの荷物は荷棚に置く。
〔この電車は総武快速線、成田線直通、成田空港行きです。停車駅は錦糸町までの各駅と新小岩、市川、船橋、津田沼、稲毛、千葉、都賀、都賀から先の各駅です。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください〕
座席に座ると、テーブルを出してそこに弁当と飲み物を置いた。
リサは早速、肉系の駅弁に箸をつけていた。
この日、私と高橋、リサは東京駅に向かおうとしていた。
東京駅で斉藤絵恋さんと合流し、向かうは成田空港。
愛原:「このバスが廃止されるのも、あと5日かぁ……」
リサ:「廃止になったら、どうするの?」
愛原:「面倒臭いけど、都営新宿線で乗り換えるしかないかなぁ……」
私は首を傾げた。
廃止になった後、どこかの民間のバス会社が代わりに運行なんてしてくれるわけがない。
日立交通辺りがコミュニティバスとして運行してくれたらありがたいのだが。
リサ:「バス来たよ」
愛原:「ああ。あと何回乗れることやら……」
車両は至って普通のノンステップバス。
全国的に見られるタイプなので、外観上は特筆すべき点は無い。
前扉から乗って、ICカードで先に運賃を払う。
まあ、確かに乗客は少ないが、かといって空気輸送というわけでもないのだが……。
私達は乗り込むと、後ろの席に座った。
リサと高橋には2人席に座らせ、私は1人席に座る。
〔発車致します。お掴まりください〕
バスは南の方に向かって走り出した。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用くださいまして、ありがとうございます。このバスは東京都現代美術館、日本橋経由、東京駅丸の内北口行きでございます。次は森下五丁目、森下五丁目でございます〕
成田空港に行くのは、絵恋さん母娘が乗る飛行機がそこから出るからである。
那覇行きのLCC。
普通、国内線といったら羽田空港というイメージなので、意表を突いた形だ。
また、しかも今日搭乗するのではない。
今日はあえて成田空港のホテルに一泊し、それから明日飛行機に乗るといった形だ。
そうすることで、マスコミの目も誤魔化せると考えたのだろう。
因みに今日来るのは、絵恋さん1人だけ。
それも、大宮から新幹線でやってくる。
なので、待ち合わせ場所は在来線コンコースということになる。
愛原:「今日はホテルに一泊するから、一杯お別れするんだぞ?」
リサ:「分かった」
リサは大きく頷いた。
[同日12:14.天候:晴 東京都千代田区丸の内 都営バス東京駅丸の内北口バスプール→駅構内在来線コンコース]
平日は商業車で混みやすい永代通りも、週末はそこまで混んでいなかった。
都営バスが橋を渡る時、そこから見える景色は意外と良いので、東京観光で都内の景観を求めるのなら都営バスでの移動はオススメである。
特に、中央大橋を渡る東16系統とかはオススメ。
東京スカイツリーも見える。
作者が豊洲の現場に、あえて都営バスで通勤していたのも、それが理由である。
〔「ご乗車ありがとうございました。終点、東京駅丸の内北口です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください」〕
開いた中扉からバスを降りると、赤レンガ造りの駅舎の中へ向かった。
観光スポットにもなっているせいか、ここで写真を撮る観光客の姿も見える。
愛原:「ここでグリーン券を買って行こう」
高橋:「特急で行くんスか?」
愛原:「快速だよ~……予算の都合上」
高橋:「さ、サーセン」
成田空港駅まで、グリーン券を4枚買っておく。
土曜日なので、安いホリデー料金が適用される。
愛原:「Suicaが使えるけど、残額は大丈夫か?」
高橋:「俺は大丈夫っス」
リサ:「わたしはビミョー……」
愛原:「カードを貸せ。チャージしといてやる」
リサ:「ありがとう!」
高橋:「交通費以外に無駄遣いしてるんじゃねぇだろうな?」
リサ:「そ、そんなことないよ……」
リサのICカードにチャージしてやり、それから在来線コンコースに入る。
絵恋さんには、新幹線からの乗り換え改札口で待っているように伝えてある。
そこへ向かってみると、果たしてそこに絵恋さんはいた。
愛原:「こんにちは。大丈夫かい?」
絵恋:「こんにちは。今日は……よろしくお願いします」
絵恋さんはスカート姿の私服を着ていた。
もっとも、リサも私服だが。
絵恋さんは大きなキャリーバッグを持っている。
愛原:「これから総武快速線で成田空港まで行くから」
絵恋:「分かりました。キップなら、そこまで買ってます」
絵恋さんは乗車券を見せた。
新幹線特急券は乗り換え改札口で回収されたそうだが、成田空港までの乗車券は返却される。
愛原:「分かった。それじゃこれ、グリーン券な」
絵恋:「ありがとうございます」
リサ:「先生、お腹空いた」
愛原:「ああ、分かった。駅弁買って行こう」
リサ:「おー!」
[同日12:38.天候:不明 JR東京駅・総武線地下ホーム→1259F列車5号車内]
〔まもなく3番線に、当駅始発、快速、成田空港行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。この列車は、11両です。グリーン車が付いております。……〕
駅弁と飲み物を買って、グリーン車が来る位置に立ち、電車を待つ。
蔓延防止が解除されたからなのか、旅行客の姿が多い……ようだが、本当に成田空港まで乗るのかどうかは微妙だ。
国内旅行は少しずつ利用客を取り戻しつつあるようだが、海外客は【お察しください】。
それでも成田空港への需要があるのは、偏に3月16日の地震のせいだろう。
その地震のせいで東北新幹線が止まり、在来線には臨時列車が運行されたり、高速バスが増便されたり、そして羽田空港や成田空港からも東北方面への臨時便が飛んでいるくらいだ。
新幹線への迂回路として成田空港を利用する客が、こんな鈍行みたいな快速でゆっくり空港まで行くとは思えないのだが……。
愛原:「旧型か」
今、横須賀線・総武快速線は新旧車両入れ替えの時期の為、2つのタイプの電車が一緒に走っている。
新型車に興味があったが、やってきたのは旧型のE217系電車だった。
既にグリーン車の座席は、成田空港方向へとセットされている。
〔「お待たせ致しました。どうぞ、ご乗車ください」〕
ドアが開いて、私達は電車に乗り込んだ。
大きなキャリーバッグを持っているということもあり、2階席には行かず、連結器横の平屋席に向かう。
そこなら天井も高いので、荷棚もある。
愛原:「ここに置くといいんだ」
座面の後ろと壁の間に、スッポリとキャリーバッグを入れる。
このスペースを売りにしているのが、JR東海の東海道新幹線だ。
あとの荷物は荷棚に置く。
〔この電車は総武快速線、成田線直通、成田空港行きです。停車駅は錦糸町までの各駅と新小岩、市川、船橋、津田沼、稲毛、千葉、都賀、都賀から先の各駅です。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください〕
座席に座ると、テーブルを出してそこに弁当と飲み物を置いた。
リサは早速、肉系の駅弁に箸をつけていた。