報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「両親の来訪」 5

2021-12-03 22:55:39 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[11月20日20:00.天候:晴 長野県北部山中 マリアの屋敷1F西側プレイルーム]

 ディーラー人形A:「いらっしゃいませ。ゲームに参加なさいますか?」
 稲生宗一郎:「ああ。まるで、ちょっとしたカジノだねぇ……」
 稲生佳子:「あら?ポーカーなのに、ジョーカーが入ってるの?」
 ディーラー人形B:「はい。ローカルルールで、何にでも使えるオールマイティーカードです」
 佳子:「それは助かるわ」

 バーカウンターで、カクテルを注文する勇太とマリア。

 バーテンダー人形:「何にしましょう?」
 勇太:「カシスオレンジ」
 マリア:「ジントニック」
 バーテンダー人形:「かしこまりました」
 宗一郎:「私にも、1つもらおうか。マティーニで」
 バーテンダー人形:「かしこまりました」
 佳子:「あなた、ちょっと飲み過ぎじゃない?」
 宗一郎:「一杯だけだよ。それにしても、ちょっとしたカジノみたいなものがある、その心は何だい?ただの気分転換では無さそうだね?」
 マリア:「さすが勇太のダディです。もちろん、気分転換の為という理由に嘘はありません。ただ、もう1つ大きな理由があるのです」
 宗一郎:「それは?」
 マリア:「予知能力を鍛える為です。次に、どのようなカードが来るかを予知し、それが当たるようになれば修行が進んだことになります」
 宗一郎:「こんなんで鍛えられるのかい?何だか、ギャンブラーみたいな理由だね?」
 マリア:「もちろん、それだけではないのですが……」
 宗一郎:「よし。じゃあ、次はブラックジャックで勝負してみよう」
 マリア:「分かりました」

 マリアと宗一郎がブラックジャックで勝負する。
 そして、このゲームにマリアが勝利した。

 宗一郎:「本当に手に取るように分かるんだね!?」
 マリア:「まだ、何となくです。師匠の場合は、目隠ししてでもできます」
 宗一郎:「そうなのか!凄いね!」
 マリア:「いえ……」

[同日22:00.天候:晴 マリアの屋敷西側2Fティールーム]

 イリーナ:「御両親はどうしたんだい?」
 勇太:「今、リラクゼーションルームで、マッサージを受けています」
 イリーナ:「そうかい。マリアの人形は優秀だからね、きっと気に入ってもらえるよ」
 マリア:「本当は師匠の為に造った部屋でしたね」
 イリーナ:「ここ最近、また腰が痛いもんでねぇ……。この体も、そろそろ使用期限が迫っているみたいだよ」
 マリア:「師匠。ですから、そうなる前に新しい体を……」
 イリーナ:「いやいや。私はもう1000年生きた。さすがに、生きるのに飽きたよ。あなた達の子供を、孫代わりに抱っこさせてもらいながら冥府に行くのが、今は私の夢さね」
 勇太:「先生……」
 マリア:「この門内では、死ぬことに関しても、大師匠様の許可が必要ということでしたね?」
 イリーナ:「そうだね。でも、1000年も生きれば十分さ。ダンテ先生も許して下さるよ」
 勇太:「某悪魔なんか、10万年以上も生きているのに……」
 イリーナ:「悪魔と魔道師を一緒にしては困るね。魔道師だって、元は普通の人間だった。しかし、悪魔は違う。悪魔は生まれた時から悪魔なんだ」
 勇太:「すいません」
 イリーナ:「さて……。御両親は長旅でお疲れだ。リラクゼーションサロンでリラックスした後は、就寝ってところだね。あなた達も、寝る準備をし」
 勇太:「分かりました」
 イリーナ:「マリアはどうするの?また、勇太君の部屋で寝るの?」
 マリア:「さ、さすがに御両親が来てらっしゃるので、今夜は自分の部屋で寝ます」
 イリーナ:「ふふ、そうかい。じゃあ、私も隣で寝させてもらおうかね」
 勇太:「僕、お風呂に入って来ます」

 勇太はティールームを出て、東側に向かった。
 22時を過ぎても、まだ廊下には明かりが点いている。
 しかし、その明るさはそれほどでもない。
 暗いわけではないが、明るいわけでもないという感じ。
 ホラー映画やゲームに出てくる洋館だって、館内の明るさはこんな感じだ。
 正しく、そのような雰囲気であった。

 ミカエラ:「…………」

 今夜のメイド長(ハウスキーパー)を担うミカエラが、無表情で鍵束とカンテラを手に館内の巡回を行っている。
 下級メイドは最上級メイドのハウスキーパーには頭が上がらず、鍵束をジャラジャラ鳴らして巡回する様は、恐怖の対象なのだという。
 但し、それは人間に限った話であり、人形には当てはまらない。
 屋敷の住人たる勇太には、出くわしても何もしてこない。
 しかし、それが侵入者だとすると、たちまち攻撃態勢に入る。
 昔は大型ナイフを振り回していたが、今は銃に変わっている。
 もちろん、来訪者登録されている勇太の両親に対しても、攻撃しないはずだ。

[同日22:30.天候:晴 マリアの屋敷1F西側]

 イリーナ:「マリア~、久しぶりに背中流して~」
 マリア:「ええっ!?」

 西側にも浴室はあるが、専らマリアとイリーナが使っている。

 イリーナ:「いいじゃない。入門して暫くの間は、そうしてくれたでしょう?」
 マリア:「昔の話ですよ……。まあ、分かりました。準備をしてきますので、お待ちください」

 マリアは自分の部屋に取って返し、服から水着に着替えた。
 かつて水泳の練習の時に、勇太に着せられたスクール水着ではなく、緑色のビキニである。

 勇太:「ティールームにスマホ忘れた」

 勇太が東側から西側へとやってくる。
 既に入浴した後なので、パジャマ姿であった。

 勇太:「おわっ、マリア!?」
 マリア:「勇太!?」
 勇太:「ど、どうしたの!?水着になっちゃって……」
 マリア:「師匠が背中流してくれっていうから……」
 勇太:「そ、そうだったのか。その水着、今年の夏に買ったヤツだね」
 マリア:「ま、まあね」
 勇太:「改めて見ると、やっぱり似合うよ。ここのプールに入る時も着てね」
 マリア:「スク水に飽きた?」
 勇太:「マリアはきれいだから、どっちも似合うよ」
 マリア:「ふふ……ありがとう」(´∀`*)

 すると、2人の弟子の頭の中に、イリーナからテレパシーが流れて来る。

 イリーナ:「ちょっとマリア。イチャつくなら、アタシの背中を流した後でね」
 マリア:「S-Sorry!すぐ行きます!そういうわけだから勇太、また今度ね!」
 勇太:「お、お疲れ……」

 マリアは急いで浴室に向かった。
 勇太はマリアのビキニを着た後ろ姿を、見えなくなるまで見送った。
コメント
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