報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「名掛丁」

2021-12-14 20:30:00 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月3日13:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 某焼肉店]

 仙台駅で斉藤絵恋さんらと合流した私達は、駅を西口側に出た。
 それから幾ばくも無い距離を歩き、大通りに面した雑居ビルに到着する。
 エレベーターに乗って、お目当ての店へ……。

 店員:「いらっしゃいませ!」

 エレベーターを降りて、すぐ曲がると店の入口になっていた。

 愛原:「5名で予約していた愛原ですが……」
 店員:「愛原様ですね。どうぞ、こちらです!」

 テーブル席を案内される。

 愛原:「ランチ食べ放題を予約しているから、リサは好きにやってくれ」
 リサ:「おおーっ!」
 パール:「愛原先生、私と御嬢様の分は後ほどお支払いしますので……」
 愛原:「少しだけもらっておこうかな。善場主任、3人分しか出してくれそうにないし」
 高橋:「当たり前っちゃあ、当たり前っスけどね」

 で、それから……。

 リサ:「カルビおかわり!あとロースも!」
 愛原:「えー、カルビとロース……」

 私はタッチパネルで注文していく。

 絵恋:「り、リサさん!まだ焼けてないわよ!」
 リサ:「血のしたたるうちに食べるのが美味しいの!」
 絵恋:「ええ~……」
 高橋:「やっぱこいつ人間じゃねぇ……」

 そして……。

 店員:「失礼します。15分前、ラストオーダーの時間です」
 リサ:「もう!?」
 愛原:「制限時間60分だからな」
 リサ:「カルビ、ロース、ハラミ、ライス大盛り、デザートでアイスクリーム!」
 愛原:「ま、マジか……」
 絵恋:「リサさん……うっぷ!」

 絵恋さん、食べ過ぎて吐きそうになる。

 愛原:「絵恋さん、無理について行かなくていいよ!」
 高橋:「リサを倒すのは、BSAAに任せて避難しろ!」
 パール:「御嬢様、後で漢方胃腸薬を御用意させて頂きますね」
 絵恋:「お、お願い……」

[同日14:00.天候:晴 同地区内 某焼肉店]

 愛原:「領収証お願いします」
 店長:「か、かしこまりました……」

 店員数人がかりで私達のテーブルを片付けるところを見た。
 もちろん、リサの座っていた所に空いた皿が山盛りになっていた。

 リサ:「あー、美味しかった!」
 パール:「それはようございました……」
 絵恋:「う、うん。良かったわね……」

 リサに心酔している絵恋さんも、基地外サイコパスメイドと呼ばれたパールも、リサの食欲を前にしては顔面蒼白にならざるを得なかったようである。

〔下に参ります〕

 会計を終えて領収書を手にした私が、一番最後にエレベーターに乗る。

〔ドアが閉まります〕

 エレベーターのドアが閉まり、1階に降りている間、満足そうな笑みを浮かべているリサ以外は顔面蒼白あるいは無表情であった。

〔ドアが開きます〕

 ピンポーン♪

〔1階です〕
〔上に参ります〕

 リサ:「先生この後どうするの?」

 エレベーターを降りてから、リサが聞いて来た。

 リサ:「もうこのまま帰るの?」
 愛原:「ああっと……そうだな。帰りの新幹線は15時57分の“はやぶさ”だ。まだまだ2時間近くあるな」
 リサ:「じゃあ、どうする?デザートのスイーツバイキング!?」
 絵恋:「う゛う゛……ッ!」

 絵恋さんは薬を飲む間もなく、ビル内のトイレに駆け込んだ。

 パール:「御嬢様!大丈夫ですか!?」

 食べ過ぎて胃が大変なことになっていた絵恋さんだったが、リサの食欲に当てられて、ついに戻してしまった。

 高橋:「あーあ……。せっかく食ったのに、勿体無ェ」
 愛原:「そういう問題じゃない!」
 リサ:「どうした、サイトー?生理来た?」
 愛原:「オマエも他人事だな」
 リサ:「私、生理で吐き気は無いから」
 愛原:「ある人はあるの!……って、高野君が前に言ってた」
 高橋:「あー、俺が昔付き合ってた彼女もそうでしたね。『妊娠した。責任取って』なんて言ってやがりましたが……」
 愛原:「本当に生理の症状だったのか、それ?」
 高橋:「俺と別れた後、別の男に妊娠させられて、後々大変なことになったみたいですが」
 愛原:「何だそりゃ……」
 リサ:「先生。スイーツがダメなら、体を動かしたい。食後のスポーツ!」
 愛原:「食後のスポーツってオマエ……」
 高橋:「ゲーセンにでも行きます?そっちのアーケード街にあるみたいっスよ」
 愛原:「ゲーセンか。そこでいいか?」
 リサ:「いいよ!」
 愛原:「ただ、絵恋さんの具合次第だな……」

 そう話しているうちに、トイレから絵恋さんとパールが出て来た。

 愛原:「大丈夫かい、絵恋さん?」
 絵恋:「サイトー、大丈夫?」
 パール:「一応、漢方胃腸薬は飲んで頂きました」
 愛原:「そうか」
 絵恋:「吐いたらスッキリしました。もう大丈夫です」
 愛原:「そういうものか」
 リサ:「サイトー、まだ新幹線まで時間があるから、この近くのゲーセンに行くけど、一緒に行く?」
 絵恋:「行きます!行きまーす!」
 高橋:「急に元気になりやがった……」
 愛原:「とにかく、それならいいや。とにかく行こう」

 私達は名掛丁(なかけちょう)アーケード街に入った。
 しかし、途中には飲食店がそこかしこにあり……。

 リサ:「美味しそう……!」

 リサが涎に耐えている中、絵恋さんは再びの吐き気に耐えていた。
 そして……。

 愛原:「おっ、パチ屋がある。新台導入だって」
 高橋:「いいっスねぇ~!」
 パール:「いいと思います」
 愛原:「めでた♪めーでーたぁーの♪祭りの夜♪キミと2人っきり♪ってか」
 高橋:「いっちょ打ってみますか」
 パール:「お供致します!」
 リサ:「ノー!ノー!」
 絵恋:「こらこら!そこのパチンカス3バカ!」
 高橋:「あぁ!?ガキはおとなしくプリクラでもしてな」
 パール:「……あ、いや、私もマサとプリクラしたいけど?」
 高橋:「あぁ!?」
 愛原:「そ、そうだった。ゲーセンだったな。しょうがない。パチは東京に帰ってからにしよう」
 高橋:「ええーっ?こういう出稼ぎも、なかなかいいと思うんスけどね」
 愛原:「で、新幹線の時間が迫ってそろそろ出ようとする時に限って確変が止まらなくなり、あえなく乗り遅れるパターンだろ?分かってるよ。キミの信心は」
 高橋:「信心!?」
 愛原:「魔の妨害に負けてはいかん。というわけで、当初の予定通り、ゲーセンに行くぞ」
 高橋:「うーっス……」
 パール:「かしこまりました」
 絵恋:「パールとプリクラでも撮りなさい!あ、もちろん私もリサさんと撮るからね!」
 リサ:「ん、分かった」

 パチンコを諦めざるを得ない大人3人の私達であった。
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“私立探偵 愛原学” 「東北本線2538Mの旅」 2

2021-12-14 15:41:22 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月3日12:10.天候:晴 JR東北本線2538M列車1号車内]

 

〔次は、塩釜です〕
〔The next station is Shiogama.〕

 松島~塩釜間は駅間距離が長く、また、JR仙石線と違って山側を走る為、トンネルも多くなる。
 線形も比較的良いので、列車も高速で走行する。

 女性車掌:「次は塩釜、塩釜です」

 駅間距離が長いからか、車掌が車内巡回にやってくる。

 男性客:「車掌さん、さっき駅に着いたばりで、キップ買ってねんだけっどね?」
 車掌:「はい、かしこまりました。どちらまで行かれますか?」
 男性客:「仙台から乗り換えで、愛子まで」
 車掌:「はい、それでは……」

 昔はこういう風景が良く見られたものだ。
 ICカードが普及している今、滅多に見られなくなっている(ICカードの普及していない地域は、そもそも車掌が乗っていない)。

 女性車掌:「ありがとうございました。次は塩釜、塩釜です」
 リサ:「何番線に着くか聞くのん!」
 愛原:「何のキャラだよ。いいよ、いいよ、そんなの。駅に着いてからでも……ん?」

 あらま、結構美人な車掌さんね(ロックオン

 愛原:「すいません」
 女性車掌:「はい、何でしょうか?」
 愛原:「仙台駅には何番線に到着しますか?」( ー`дー´)キリッ
 女性車掌:「はい。仙台駅には2番線に到着です」
 愛原:「2番線ですね。ありがとうございます。ところで車掌さん、我々は実は、仙台駅に着いたら焼肉パーティーをする予定なんですよ。どうでしょう?良かったら、車掌さんも御一緒に……
 女性車掌:「は?」
 リサ:「

 ドンッ!(リサ、愛原の足を思いっ切り踏み付ける)

 愛原:「あうっち!!」
 リサ:「ありがとうございます。この人、ちょっと酔っ払ってるんで。すいませんでした」
 女性車掌:「は、はあ……。失礼します。次は、塩釜、塩釜です」

 車掌、立ち去る。

 高橋:「先生、大丈夫ですか?リサのせいで、電車ごと揺れたような気がするんですが……」
 愛原:「いててて……。絶対、足の骨イッた……!」
 リサ:「ダーリン!浮気は許さないっちゃよ!」
 愛原:「だから何のキャラだよ!」
 高橋:「先生、もし良かったら、グリーンハーブ……」
 愛原:「できれば救急スプレーも頼む……」

 何とか手持ちの回復薬でゲームオーバーを回避した私だった。
 本当にリサは……ラスボスだ。

[同日12:34.天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 JR仙台駅]

 
(写真はウィキペディアより。愛原達を乗せた『ボックスシート付きの新型車両』とは、E721系のこと。そして、『4両固定編成』とは、この1000番台のこと。フロント部分を見てもらえれば分かるが、『ワンマン』を表示する物は無い。尚、固定編成と表現したが、これにプラス2両編成や4両編成を増結することは可能)

〔まもなく終点、仙台、仙台。お出口は、左側です。新幹線、仙石線、仙山線、常磐線、仙台空港アクセス線、仙台市地下鉄南北線と仙台市地下鉄東西線はお乗り換えです。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 言い回しや声優が首都圏のJR線と同じ自動放送が車内に流れる。

〔「2番線に到着致します。お出口は、左側です。仙台からのお乗り換えをご案内致します。東北新幹線上り……」〕

 高橋:「先生、大丈夫ですか?」
 愛原:「う、うん。大丈夫だ……」

 グリーンハーブを2つ調合したものに救急スプレーを使い、更に液体タイプの回復薬を使用して、私の足は何とか回復した。
 このリサに勝つには、最低でもそれだけの回復薬を用意しないといけないということだ。
 こんなリサのオリジナルなどに勝てた人達は、本当の猛者だったのだろう。
 因みに私に多大なるツッコミをしたリサ、力を一番抑えている第0形態だ。
 第0形態でこうなのだから、第1形態や第2形態の力はもっと凄いということだ。

 愛原:「やっと着いた」

 電車は速度を落として、2番線に到着した。
 この2番線をそのまま進行方向に向かって歩くと、ホームが切り欠かれていて、その部分が3番線になっている。
 その隣は4番線である。
 2番線を切り欠いて増設したホームなので、3番線から北方向へ列車は進むことができない。

〔せんだい~、仙台~。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 電車は無事に仙台駅に到着した。

 斉藤絵恋:「リサさん!」

 他の乗客に続いてホームに降りると、リサを呼ぶ声がした。

 リサ:「おっ、サイトー」
 絵恋:「約束通り、迎えに来たよ!」
 リサ:「サイトー、来たー」
 絵恋:「来たよー!」
 リサ:「『かゆい かゆい さいとー 来たー ひどいかおなんで ころして った。うまかっ です』」
 絵恋:「えっ!?」
 愛原:「『飼育員の日記』か!」

 私はリサにゲンコツ。

 リサ:「いたっ」

 意味が分からない人は、ネットで検索してみよう。

 リサ:「それより先生、焼肉食べ放題」
 愛原:「そうだな。もう店は押さえてある。まずは駅を出よう」
 リサ:「おー!」
 パール:「よく、店を押さえられましたね?」
 愛原:「緊急事態宣言が解除されて良かったよ」

 私達は、まずは2階の改札口に向かった。
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